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意外と知らない!?ブロックチェーンとトークンの違い

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トークンは、イーサリアムなどの暗号資産(仮想通貨)のシステムを使って発行する証書のようなもの。交換可能な通貨のように暗号資産として用いられることもあります。

ビットコインやイーサリアムは独自のブロックチェーンを持っていますが、トークンは既存のブロックチェーン上で動作する特定の暗号資産を指します。

ブロックチェーンとトークンの定義

暗号資産やweb3でよく使われる言葉である「トークン」は、本来は「しるし」という意味の言葉で、「ゲームセンターのコイン」や「引換券」など色々な使われ方をします。インターネットでは「一時的な情報」として使われることもあります。ブロックチェーンを基本技術とするweb3では、ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産を意味することもあります。

暗号資産におけるトークンという用語

トークン(token)の英語としての原義は「しるし」「象徴」であり、さらに「記念品」や「証拠」といった意味合いを持ちます。「硬貨の代用として限定的に使えるメダル」のことをトークンと呼ぶというのが仮想通貨が登場するまでの習慣でした。

たとえば、カジノでスロットマシン専用に使われる金属製の硬貨が「トークン」です。イスラエルでは公衆電話を掛ける際には電話用のトークンを購入するという時期がありました。

引用:Wikipedia

近年では、トークンは「使える場所や交換できる対象が限定されている硬貨」から「暗号資産」という意味合いに変化しつつあります。

暗号資産を取り扱っていると多くの場所で「トークン」という単語を見かけますが、大きく2つの意味で使用されています。

まず「トークン」はビットコインやイーサリアム以外の暗号資産を指すことがあります。厳密にはビットコインもイーサリアムもトークンですが、この2つの通貨は圧倒的であることから、その他の暗号資産全体を指す単語があると便利なので、ビットコイン・イーサリアム以外をトークンと呼ぶことがあります。

もうひとつの意味合いがより一般化しつつありますが、こちらには具体的な意味上の含みがあります。

「トークンとは他の暗号資産のブロックチェーン上で動作する暗号資産である」というのがもうひとつの意味です。ビットコインのような暗号資産にはそのコイン専用のブロックチェーンがありますが、トークンは既存のブロックチェーンで動作します。良く使われるブロックチェーンはイーサリアムです。

この意味合いでいう「トークン」は、金利の自動化やNFTアートの販売に至るまで、多くの種類があります。

ブロックチェーンは暗号資産の基盤になる技術のこと

トークンの意味を正しくとらえるためには、まず「ブロックチェーン」そのものを正しく理解しておきましょう。

トークン発行の機能を持っているのが「ブロックチェーン」という暗号資産に用いられている技術です。抑えておきたいポイントは以下の3つです。

1.管理しているデータが改ざんされづらい

ブロックチェーンは情報を管理する技術のひとつです。

暗号資産の取引データをブロックと呼ばれる単位で管理しています。「いつ」「誰が」「誰に」「いくらの」通貨を送ったのかという記録がデータとしてブロックに保存され、それが改ざんされづらいという性質を持ちます。

2.改ざんされづらい

ブロックチェーン上のすべてのブロックに「直前までのブロックの内容」もすべて記録されます。過去の取引を改ざんしようとしても、それ以降のブロックとの整合性が取れなくなるので改ざんを発見することがしやすいです。

3.ユーザー同士で監視するシステム

ブロックチェーンでは、取引データを誰もが閲覧することができます。P2Pネットワークゆえに、いわばユーザーが互いに監視しあうシステムです。そのため、悪意を持ったユーザーがデータを改ざんしようとしても極めて困難です。

暗号資産は独自のブロックチェーンを持っている

暗号資産の世界では、「独自にブロックチェーンを持っているもの」を暗号資産と呼び、既存のブロックチェーン上で作られるものをトークンと呼びます。ゼロから作るのか、既存のブロックチェーンを使うのかという点に違いがあります。

暗号資産を作るには、ゼロからブロックチェーンのプログラムを構築するという方法があります。ただ、膨大な時間や労力が必要です。

ゼロから作るのではなく、既存の暗号資産のプログラムを複製して改変して新しい通貨を作るという方法もあります。ビットコインもイーサリアムも、「オープンソース」と呼ばれるプログラムになっており、誰でも自由に利用可能です。

そのため、既存のプログラムを複製・改変して作られた暗号資産は数多く存在します。

ビットコインは「政府や中央銀行などの特定の機関ではなく、不特定の有志によってネットワークを管理する」という設計思想を持っています。

イーサリアムもブロックチェーンであり、独自の分散型ネットワークを持っています。イーサリアムの特徴は汎用性の高い「スマートコントラクト」機能を実装しています。スマートコントラクトには、自動販売機にも例えられるように、契約を自動実行する機能があります。

ビットコインもイーサリアムも管理者を必要としない独自のブロックチェーンによって取引されます。

トークンと他の仮想通貨との違い

一方、既存の暗号資産のブロックチェーンをそのまま利用して発行されるのがトークンです。すでにプラットフォームとして機能している暗号資産を利用するので、プログラミングなどの専門知識が不要ですし、誰でも簡単に新しいトークンを発行できます。

イーサリアムやネムは暗号資産でもありますが、同時にトークンを発行するプラットフォームとしても機能します。特にイーサリアムはトークンの発行では頻繁に利用されています。

トークンが他の暗号資産と違う点は主に以下の3つです。

・発行者や管理者がいる

通常、ブロックチェーンを利用した暗号資産には中央管理者は存在しませんが、トークンは企業や団体、個人が発行します。発行することはできますが、中央集権的に発行量の管理などをすることはできません。

・個人でも法人でも発行できる

トークンは企業・団体・個人など様々な主体が発行できます。株式の場合、上場させるには証券会社などを仲介する必要がありますが、トークンは証券会社をはさむことなく発行できます。

・独自の価値付けができる

トークンはブロックチェーン上で動作する通貨として流通させることが可能ですが、付加価値を持つように設計されていることがあります。ただの通貨というだけでなく、たとえば投票において議決権を得られる「ガバナンストークン」といった付加価値を加えることができます。

トークンとブロックチェーンの深い関係

「トークン」という単語の元の意味

「トークン」の元の意味は「しるし」「象徴」「証拠」で、そこから派生して「記念品」「証拠品」という意味を持つようになりました。「何らかの価値の代用」がトークンで、欧米では「代用貨幣」という意味で使われてきました。

そこからさらに派生して、暗号資産の世界では「使用範囲を制限して小さい経済圏で使うための通貨」という意味を持つようになりました。

今では「NFT」という言葉が一般にも浸透していますが、これは「非代替性トークン」の略語です。代替可能性がないという点で、ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産とは異なります。

トークンはブロックチェーン技術とセットで考える

暗号資産であるビットコインの核心的技術のブロックチェーンは、技術的な背景が非中央集権的です。

ブロックチェーン上で法定通貨でも暗号資産でもないトークンを発行すると、「中央を介在させずにデータを共有する」ことが可能です。そのため参加者の立場がフラットになり、分散的な管理を可能にします。

ブロックチェーンによって実現した経済圏で、「参加者にトークンを配ることで活性化させる」という発想が一般化したのは当然の流れだったと言えます。

トークンの発行によってコミュニティは民主的になり、参加者がフラットな立場でコミュニティの維持・発展に寄与できます。

代表的なトークンの種類

トークンには4つの種類があります。

分かりやすいのは「ユーティリティトークン」で、具体的なサービスを利用するためのトークンです。たとえば電車の切符がユーティリティトークンです。

これに対して「それ自体に価値があると認められるトークン」が「セキュリティトークン」で、株券や債券などが具体例です。

・トークンの種類

トークン名称 意味 具体例
ユーティリティトークン サービスの対価 ・電車の切符

・映画館の入場券

セキュリティトークン それ自体に価値がある ・株式

・債券

ファンジブルトークン 誰がどこで所有していても同じ価値を持つ ・純金

・銀

ノンファンジブルトークン 代替不可能な価値で区別される ・アートや音声などのデジタルデータ

web3で流行している「NFT」は名前の通り「ノンファンジブルトークン(Non Fungible Token)」です。「同じ種類のトークンであっても、代替可能性がない」トークンがNFTです。

ブロックチェーンを使ったトークンのビジネス事例

トークンの独自の性質は、様々な活用方法を生み出します。多くのビジネスの現場で応用されており、その一部が「NFT」です。

NFTはトークンビジネスの典型的な事例

2021年から取引値が高騰した「NFT」もトークンの一種です。「Non Fungible(代替不可能)」の略称でNFTと呼ばれます。NFTが優れているのは、真贋性を立証できる点にあります。簡単に言えば「本物を持っている」ということを証明することができるのです。NFTは、暗号資産によってマーケットプレイスなどで取引することができます。世界に1つだけの価値を持つアートをアーティストから直接購入することも可能です。

NFTには「代替不可能」という特性が付与されているため、さらに様々な分野での活用が広がることが期待されています。現在は「アート」「ゲーム」「キャラクター」などが注目されています。

今後、NFTは代替不可能であるという特徴を活かし、エンタメ分野の領域を超えて「所有権証明が必要なあらゆる分野」で実用化されると予想されています。すでにゲーム上に存在する土地の所有権にNFTが活用されています。

ファントークン

トークンビジネスの代表例のひとつが「ファントークン」です。一定のファン層によるコミュニティで専用のトークンを発行するのもで、購入したファンにとっては「応援の証」になります。

2022年現在で最も成功しているファントークンはサッカークラブが発行するものです。「FCバルセロナ」や「アルゼンチン代表」などのチームが発行しています。トークンは「Socios.com」というプラットフォーム上で、世界中のファン同士で売買が行われています。

ファントークンを所有するメリットには以下の3つがあります。

  1. 通貨として流通するので、クラブが成功すると通貨の価値も上がる。
  2. ファントークンの特典として限定商品を購入できたり、チケットの割引サービスが受けられたりする。
  3. クラブ運営に関する投票に参加できる。

今までサッカーファンは「試合を見に行く」「グッズを買う」という形でしかチームに貢献できませんでした。ファントークンを購入した人にチームの運営の一部も担ってもらうことで「参加する意識」が高まります。また、現地の試合を見に行けない人も、クラブに貢献できるというメリットがあります。

トークンエコノミー

「トークンエコノミー」は、小さい経済圏のなかで代替通貨としてトークンを発行する方法です。

地域コミュニティや一定数のユーザーがいるコミュニティでトークンを発行し、商品券やゲーム内通貨などのように利用してもらいます。

円やドルではなく、ブロックチェーン技術を使ったトークンにすることには一定のメリットがあります。

  1. 少額でのやり取りが可能になる。
  2. 仲介者なしでクリエイターや商店オーナーに直接支払いができる。

手数料がほとんどかからず気楽にトークンを送ることができるトークンエコノミー内では、今まで評価することが難しかった「価値のある行為・作品・品物」を評価できるようになります。

トークンエコノミーの活用事例として「会津財布」があります。会津若松市の観光の活性化として導入されました。アプリを通じて地域住民や観光客などへ地域通貨やクーポン、便利なサービスなどを提供するプラットフォームです。トークンの動きをデータ化してマーケティングに役立てています。

まとめ

「トークン」について基本的な知識や活用事例などを解説していきました。

最後にもう一度、内容を振り返っておきましょう。

  • 「トークン」は既存のブロックチェーン上で動作する特定の暗号資産である。
  • 「トークン」は使用範囲を限定した小さな経済圏で使う。
  • 2021年に取引値が高騰したNFTもトークンのひとつである。
  • トークンにはNFTのほか、ファントークンやトークンエコノミーなどの活用事例がある。

ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産のよりも狭い範囲での流通を目的として、既存のブロックチェーン上で作成されるのがトークンです。

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Web3.0ジャンル専門のフリーランスWebライターとして活動中。ビットコインをはじめとする暗号資産、および国内・国外のさまざまなNFTを保有。暗号資産やブロックチェーン、NFTなどを「とことん分かりやすく」解説するのがモットー。多くの人がWeb3.0に興味を持つきっかけとなるような記事を書いている。
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