「ブロックチェーンって、なんかスゴいらしいけど詳しくは分からない……。」
こういった方に向けた記事です。
暗号資産(仮想通貨)をきっかけに、ブロックチェーンの認知が一気に広まりました。しかし「ビットコインは分かるけど、ブロックチェーンはよく理解できない」という方もいるはずです。
この記事では、ブロックチェーンの仕組みや用語、活用事例まで徹底解説します。
ブロックチェーンの進歩に取り残されないよう、この記事で理解を深めていきましょう。
この記事の構成
ブロックチェーンとは

ブロックチェーンとは、簡単にいうと「取引履歴をブロックに詰めて、暗号でつなげたものを、ユーザーみんなで共有して改ざんされにくくした技術」です。
現時点では上記の理解で問題ありません。
具体的な仕組みを解説する前に、ブロックチェーンの定義と歴史をご紹介します。
ブロックチェーンの定義
定義はとりあえず「知っておく」程度でかまいません。というのも、理解するのが超難しいからです……。
一般社団法人 日本ブロックチェーン協会が公開している定義はこちら。
1)「ビザンチン障害を含む不特定多数のノードを用い、時間の経過とともにその時点の合意が覆る確率が0へ収束するプロトコル、またはその実装をブロックチェーンと呼ぶ。」
2)「電子署名とハッシュポインタを使用し改竄()検出が容易なデータ構造を持ち、且つ、当該データをネットワーク上に分散する多数のノードに保持させることで、高可用性及びデータ同一性等を実現する技術を広義のブロックチェーンと呼ぶ。」
引用:「ブロックチェーンの定義」を公開しました(日本ブロックチェーン協会)より
この文章が暗号に見えてきますよね。
定義のなかで押さえておきたいのが、1と2があるということです。1はビットコインを基礎としたブロックチェーン、2はサービスやアプリケーションで広く応用されているブロックチェーンを意味します。
いずれもブロックチェーンには変わりないので、基礎知識から活用事例までを見ていくとどちらも理解しやすいですよ。
本記事を読み終わる頃には、定義を見て「なにが言いたいかは分かる」という状態になっているでしょう。
ブロックチェーンの歴史
「ブロックチェーン=暗号資産≒ビットコイン」みたいな認識が広まっていますが、ブロックチェーンの元となるアイデアは、1990年代には存在していました。
そこから現代の暗号資産やNFTが登場するまでの歴史を、時系列でご紹介します。
1991年:元となるアイデアの1つが考案される
研究者のスチュアート・ヘイバー氏とスコット・ストルネッタ氏が、時間を利用したデータ管理方法を考案。デジタルデータにタイムスタンプをつけ、まとまったデータ同士を繋げることで、中身を改ざんしたり時間を書き換えたりするのを防ぐというもの。ただし当時はインターネットすら普及していない時代、周囲の理解も得られず実用化には至らなかった。
2人のアイデアをまとめた論文は、ビットコインのホワイトペーパー(草案書)に、「参考文献」として明記されている。
2004年:核となるアイデアの1つが考案される
暗号分野の研究者ハル・フィニー氏が、Reusable Proof of Work(リユーザブル・プルーフ・オブ・ワーク)と呼ばれるシステムを発表。データの内容や履歴が、間違っていないことを証明するシステム。RPoWと略され、ビットコインが取り入れるPoWの試作品ともいえる。PoWについては本記事の「【コンセンサスアルゴリズム】間違いないことを証明」にて詳しく解説。
2008年:サトシ・ナカモト登場
暗号学者たちのメール宛てに、サトシ・ナカモト名義で、ビットコインのホワイトペーパーが投稿される。その中にはビットコインのベースとなる概念や、成立させるための仕組みが書かれていた。ちなみにサトシ・ナカモトは、日本人なのか、個人なのか団体なのか、そもそも日本と関わりがあるのかすら、一切明らかになっていない(2022年4月時点)。
2009年:ビットコイン爆誕
ビットコインのホワイトペーパーに惹かれた開発者たちが、ホワイトペーパーの内容にそってシステムを開発・構築(この時の開発者コミュニティは、現在もビットコインの改善を行っており、誰でも参加可能)。2009年1月に世界初のビットコインが誕生。同じ月にサトシ・ナカモトから、初めての送金(10BTC)が行われる。受け取り相手は、RPoWを提唱したハル・フィニー氏。
2013年:イーサリアム誕生
開発者コミュニティ内で、メンバーのヴィタリック・ブテリン氏が「ビットコインには(送金だけではなく)アプリケーションを構築するためのプログラムも必要だ」と発言するも共感されず。共感されなかったブテリン氏は、ビットコインの仕組みを応用した「イーサリアム」を開発。
2017年:NFTが作られはじめる
イーサリアムのブロックチェーンは、アプリケーションを動かすためのプラットフォームでもある。またスマートコントラクトという、契約を自動で実行するプログラムを実装していることも特徴のひとつ。そういった特徴を活かし、イーサリアムのブロックチェーン上で、NFTが作られ始めたのが2017年ごろ。NFTについては本記事の「ブロックチェーンの活用事例」にて詳しく解説。
上記のような歴史をたどってきたブロックチェーンの、基本的な仕組みについて見ていきましょう。
【ブロックチェーンの仕組み】意外と簡単に理解できる

ブロックチェーンの仕組みを理解するために、6つのポイントに分けて解説します。
- ブロック
- トランザクション
- ハッシュ値
- デジタル署名
- コンセンサスアルゴリズム
- P2Pネットワーク
冒頭でも書いたように、ブロックチェーンとは「取引履歴をブロックに詰めて、暗号でつなげたものを、ユーザーみんなで共有して改ざんされにくくした技術」です。
6つのポイントを理解することで、ブロックチェーンの基本的な仕組みを理解できます。
補足として、ここで解説するのはビットコインのブロックチェーンです。応用されたブロックチェーンは、記事後半で事例とともにご紹介します。
【ブロック】データを格納するための箱
「ブロックチェーン」の由来になっているブロックには、取引履歴を含むデータが格納されています。
【データの種類】
- トランザクション(取引履歴)
- トランザクションの数
- ナンス
- ハッシュ値
- タイムスタンプ
これらの情報をまとめて格納したブロックを、チェーンのように繋げているのがブロックチェーンです。
ブロックの容量は最大1MBと決まっており、ブロックいっぱいにデータが格納されたら直前のブロックに繋がれます。
ブロックに格納する作業をマイニングといい、誰でも参加可能です。マイニングでは格納するデータが正しいか確認し、正しいデータだけを格納したブロックをブロックチェーンに追加します。この仕組みが、のちほど解説する「コンセンサスアルゴリズム」です。
ちなみにマイニングとは「採掘作業」を意味します。ブロックに格納する作業を「マイニング」と呼ぶ背景は次の通りです。
- 1ブロック分のマイニングを作業者(マイナー)が一斉におこなう
- 1番早く正確に終えた人は報酬としてBTCをもらえる
- ゴールド(金)の採掘にたとえて、マイニングと呼ばれる
- BTCはマイニング報酬としてのみ発行される
ビットコインは10分に1ブロックのマイニングが行われ、ブロックチェーン上の取引が正しいか承認作業をしています。
多くのコンピュータで承認作業をして、正しいブロックだけをチェーンに繋ぐことで、ブロックチェーンの正確性が担保されています。
【トランザクション】ブロックに含まれる取引履歴
トランザクションとは日本語で「取引」を意味し、誰から誰にいくら送ったかを表す取引履歴のことです。
ブロックチェーンに刻まれたトランザクションは、誰でも確認可能です。

ただしトランザクションには、誰が誰に対していくら移動したか、を記述しているだけで、ウォレットアドレスの残高は記載されません。
ブロックの容量が最大1MBと決まっており、容量を節約する目的もありますが、そもそもウォレットには実際にビットコインが保管されているわけではないからです。
したがって、利便性を高めるために、ビットコインをはじめとする暗号資産は、ウォレットという財布のようなアプリに保管します。それぞれのウォレットには、ウォレットアドレスが設定されており、アドレスがあるからこそ、そのウォレットの所持者に送金が可能となるのです。
たとえば「Aさんのウォレットアドレスから、Bさんのウォレットアドレスに、1BTC送った」というのがトランザクションです。こういったトランザクションを、いくつかまとめてブロックに格納していきます。
ビットコインのやりとりはトランザクション履歴を参照して、ビットコインを動かすための権利をやりとりしています。暗号資産取引所の口座やウォレットに表示されている残高は、「あなたはこれだけの暗号資産を動かす権利があるよ」と表しているだけです。
つまりブロックチェーン上には「誰がいくらのビットコインを持っているか」ではなく、「ブロックチェーン上のビットコインの総量に対して、いくら動かす権利があるか」が記されています。
誰でも確認できるブロックチェーン上に、取引履歴がすべて保管されているため、元をたどれば正しい残高を証明できます。これにより残高を書き換えたり、1件の取引履歴を改ざんしてもバレるということです。
【ハッシュ値】履歴を改ざんされないための技術
「ブロックを並べるだけだと、入れ替えが可能では?」と思うかもしれません。しかしブロックチェーンでは、直前のブロックのデータを新しいブロックに格納することで、入れ替えや改ざんができない仕組みになっています。
直前のブロックに関するデータを、ハッシュ関数という数式に通すことで、ハッシュ値が生成されます。このハッシュ値を次のブロックに記載することで、ブロックの前後関係が決まるという仕組みです。
ハッシュ値は、入力するデータが1文字でも違うと、まったく異なる値が返ってきます。また入力データの文字数に関わらず、出力される桁数は一定です。
入力データ | ハッシュ値 |
こんにちは | 125AEADF27B0459B8760C13A3D80912DFA8A81A68261906F60D87F4A0268646C |
こんにちわ | F2D8A962C68276C632AF108003686993EEE754D70B0D310743822F93544C8E61 |
ビットコイン | B89AE3280372363341C1ACEF577B58D1E5B7DF65A3775C7C8F1788AEF9A04B66 |
BTC | DA8562E7ABC01A6F0D49A25D144CE6A9D7752A079C5D950AD5A93FD6D623F7FD |
ブロックチェーンってなんだか難しいよね | 915B6BAA04FF6504A4BD0E3C238A7B6B20561FCF429103E515520BE614636801 |
ハッシュ値は「不可逆性(一方向性)がある」ともいわれます。入力データをハッシュ関数に通すとハッシュ値が得られますが、ハッシュ値をハッシュ関数に通しても、入力データの特定はできません。
ハッシュ関数の特性を利用して、ブロックの要約データをハッシュ値に変換し、次のブロックに刻むことで改ざんされにくくしています。
【デジタル署名】安全に送り合うための鍵を作る
先ほども述べたように、ビットコインを送る際には、トランザクションに関わるウォレットアドレスも公開されます。すると「誰かに抜き取られるのでは?」と不安に思うかもしれません。
その不安は『デジタル署名』と『公開鍵暗号方式』によって解決されています。
デジタル署名とは、データの作成者や送り主を証明するための、電子的な署名です。デジタル署名を活用すれば、署名者によってデータが作成され改ざんされていないことを証明できます。
公開鍵暗号方式とは、公開鍵と秘密鍵の2つを使って、データの不正コピーや改ざんを防ぐ方法です。 AさんからBさんに1BTCを送る場合、次の流れになります。
- まずBさんからAさんに公開鍵を送る
- Aさんは公開鍵を使ってデータを暗号化
- 公開鍵とデジタル署名した暗号化データをBさんに送る
- Bさんは公開鍵のペアである秘密鍵でデータを復号する
- 公開鍵と秘密鍵がペアで間違いなければ送金完了
実際には、ウォレットがデジタル署名や2つの鍵を作る役割を果たすため、次の手順だけです。
- AさんはBさんのウォレットアドレスを確認
- 署名ボタンを押してBさんのアドレス宛てに送金
- アドレスの間違いがなければ送金完了
公開鍵は文字通り、ブロックチェーン上に公開されています。一方で秘密鍵は受け取る人しか持っていません。第三者がデータを不正に入手しても、秘密鍵がなければ確認できない仕組みになっています。
【コンセンサスアルゴリズム】間違いないことを証明
コンセンサスアルゴリズムとは、直訳すると「合意形成のための計算方法」を意味します。
ブロックチェーンにおいては、「間違いないことを証明するためのルール」というイメージです。
コンセンサスアルゴリズムには、以下のような種類があります。
- PoW:Proof of Work
- PoS:Proof of Stake
- PoI:Proof of Importance
- PoC:Proof of Consensus
ここではビットコインに採用されている、PoW(プルーフ・オブ・ワーク)を例に解説します。ほかの種類はこの記事の「ブロックチェーンと暗号資産」にて解説します。
ビットコインは取引を承認する、つまりデータの間違いがないか確認しブロックをつなぐ必要があります。この作業を、前述の通り、マイニングと呼びます。
作業の内容を簡単にいうと「ある文字列を探し出す作業」です。
この文字列のことをナンスといい、「ハッシュ関数にかけた場合に、頭に0が◯個並ぶ文字列」を指します。ハッシュ値の頭に0が◯個並ぶまで、ひたすら文字列(ナンス)を入力しまくるわけです。
この作業を大勢のマイナーが一斉に始めて、1番早く終えたマイナーがブロックを承認し、その報酬としてビットコインをもらいます。
1番仕事量(計算量)が多かった人に対して、承認の権限を与えるのが、PoW:プルーフ・オブ・ワーク(仕事量による証明)です。
PoWのおかげで、ブロックチェーンの正確性や信頼性が確保されています。
【P2Pネットワーク】みんなで履歴を共有する
P2Pとは、Peer to Peer(ピア・トゥ・ピア)の略です。Peerとは「仲間」や「対等」という意味で、対等な関係で繋がっているネットワークを「P2Pネットワーク」といいます。
P2Pネットワークは多数のコンピュータ同士が繋がり、データを共有していることで、ひとつのPCがシャットダウンしても、全体のシステムダウンは起きないのが特徴です。
逆にP2Pではない場合、サーバとクライアントという主従関係になり、サーバがダウンするとシステム全体が止まってしまいます。最悪の場合は、サーバに保管していたデータが消えてしまうことも。 P2Pネットワークで、履歴の台帳(ブロックチェーン)を参加者みんなで分散して共有することで、システムダウンを防いでいます。ブロックチェーンが分散型台帳と呼ばれるのも、P2Pネットワークの特徴からです。
ブロックチェーンが注目される5つの理由

ビットコインの成功事例をきっかけに、注目が高まっているブロックチェーン。
注目される5つの理由を解説します。
- ネットワークの正確性が高いから
- 発行や承認のコストを削減できるから
- 効率的で安全性の高い取引ができるから
- 運用の透明性が高いから
- 金融の民主化が期待できるから
理由1:ネットワークの正確性が高いから
ブロックチェーンはP2Pネットワークで、各コンピュータが取引履歴の台帳を共有しています。仮に1台のコンピュータにある台帳が、改ざんされたり消えたりしてもネットワーク全体への影響はありません。
またブロックチェーンが正しいかを判断するのは、人ではなくコンピュータです。人の手が入らないことで、ヒューマンエラーも防げます。
1台のコンピュータがエラーを起こしても、他のコンピュータが承認作業を行っているのでシステムが止まることもありません。
理由2:発行や承認のコストを削減できるから
ビットコインの場合、発行や承認にかかるコストを削減できます。
なぜなら新しいビットコインの発行自体が、ブロックチェーンの承認作業になっているからです。
日本円や米ドルなどの法定通貨は、数々の承認を経て中央銀行から発行されますが、ビットコインには中央組織が必要ありません。
組織を必要としないため、複数人の承認を得るための時間や金銭的なコストがかからないメリットがあります。
理由3:効率的で安全性の高い取引ができるから
ブロックチェーン上の取引、暗号資産のやり取りは、24時間365日いつでも可能です。さらにトランザクションが承認されたら成立するため、最短10分でどこへでも送れます。
今までの国際送金の場合、いくつかの金融機関を経由して、それぞれに承認作業が必要でした。数日から数週間待つことも珍しくありません。
一方でブロックチェーンなら、金融機関といった中央組織を通さず、P2Pネットワークで繋がっているため相手のアドレスさえ分かれば送ることができます。
また人の手によって価格操作されたり、組織の思惑でコントロールされる心配もありません。
効率的かつ安全に使える「金融ネットワーク」としても注目されています。
理由4:運用の透明性が高いから
多くのブロックチェーンは、オープンソースです。オープンソースとは、誰でもプログラムコードを閲覧できることを意味します。またコードやシステムに不審な点を感じれば、開発者コミュニティでの提言も可能です。
運用の透明性が高いことでコミュニティの信用が生まれ、ブロックチェーンを使った暗号資産の価値に繋がっています。
理由5:金融の民主化が期待できるから
金融機関を信用できない人や銀行口座を持つのが困難な人にとって、ブロックチェーンを使った金融システムは画期的なものです。
地域や人種、性別、宗教に関係なく暗号資産を保有でき、特定の組織の圧力が及びにくいブロックチェーン上に資産の履歴が刻まれています。
また、法定通貨は政府の信用に大きく左右されますが、ブロックチェーン上の暗号資産は国際通貨ともいえるため、特定の政府の不信で価値が下がることはありません。
中米のエルサルバドルでは、2021年9月からビットコインを法定通貨として採用しています。この事例の成果次第では、多くの発展途上国がビットコインや暗号資産を、法定通貨に採用する流れが起きるかもしれません。
参照:世界初、ビットコインを法定通貨に採用した「中米エルサルバドル」の狙い
ブロックチェーンが抱える5つの課題

注目され活用もされ始めているブロックチェーンですが、もちろん課題もあります。
- 技術的コストの増大
- スケーラビリティ問題
- セキュリティとプライバシー
- 違法行為への対応
- 法的規制の可能性
いくつかの課題は、すでに解決に向けて動いていますが、課題を知っておくことで解決策についても深く理解できますよ。
課題1:技術的コストの増大
ビットコインが取り入れているPoWのマイニングには、膨大な電力を必要とします。
その理由はマイニング競争で勝つために、マイナーは高性能コンピュータを大量に導入し、24時間稼働させ続けているからです。マイナーと聞くと個人を思い浮かべるかもしれませんが、組織的なマイナーもたくさんいます。
オランダのDigiconomist社が公開したレポートによると、年間の電力消費量は204.50TWhというデータが出ています。これはタイの年間電力消費量に相当し、それに伴うCO2排出量はクウェートに相当する量です。
ビットコインのブロックチェーンを維持するのに、PoWは欠かせないシステムですが、このような環境負荷を懸念する意見もあります。
上記の課題に対しては、再生可能エネルギーを使用したり、PoW以外のコンセンサスアルゴリズムを採用する暗号資産が開発されたりしています。
課題2:スケーラビリティ問題
スケーラビリティとは拡張性という意味で、ブロックチェーンの課題でいうと、処理量の拡張性です。多くのトランザクションを、同時に処理できるかの限界値が課題とされています。
トランザクションの処理はマイナーが行い、ブロックに格納してチェーンに繋ぐとお伝えしました。さらにマイニングを1番に終えたマイナーが、ブロックを承認します。
ここで問題なのが、処理を1番に終えたマイナーのマシンパワー、つまりコンピューターの性能に依存してしまうことです。
ユーザーが増え、取引が増えるほど、トランザクションを処理する量も増えるため、マイニング処理が追いつかないリスクがあります。
実際にクレジットカードやオンライン決済の処理数と比べると、スケーラビリティの課題はあきらかです。
- Visa:45000CTPS
- PayPal:200CTPS
- イーサリアム:20CTPS
- ビットコイン:7CTPS
※CTPS:理論上の1秒間あたり処理数
この課題の解決策として、のちほど解説する「Lightning Network」があります。
課題3:セキュリティとプライバシー
ブロックチェーンは改ざんされにくく透明性が高いシステムですが、万全のセキュリティというわけではありません。
あくまで人間がプログラムしたシステムなので、コードのバグや51%攻撃の可能性もあります。51%攻撃とはPoWに参加しているコンピュータの51%以上が、不正な取引をわざと承認させた場合、それがチェーンに追加されてしまうことです。
またプライバシーに関しても万全とはいえません。ブロックチェーン上の取引は、ウォレットアドレスだけで利用できるとはいえ、すべての取引履歴が公開されています。
一度ブロックチェーン上に格納されれば、取り消すことはできません。たとえ個人情報であっても、世界中で動き続けているネットワークなので、個人情報保護法も手が届きません。
人間が作って人間が使うものなので「セキュリティもプライバシーも完璧」というシステムではないということですね。
課題4:違法行為への対応
ブロックチェーン上で、匿名性が高く世界中での取引が可能な暗号資産は、マネーロンダリングに利用されるという懸念もあります。マネーロンダリングとは資金洗浄といい、資金の出どころを分からなくするという犯罪手口です。
2021年5月には、アメリカの企業がハッキングされ、ビットコインで身代金を要求された事件がありました。この事件はのちに、ビットコインのアドレスを追跡し解決されています。
ただ実際に懸念されていたことが起こったため、注目を集めた事件となりました。
匿名性の高さから違法行為に使われてしまうことは、ブロックチェーンを活用する暗号資産の大きな課題です。
課題5:法的規制の可能性
ブロックチェーンを活用した暗号資産に対して、法的規制がかかる可能性もあります。
ブロックチェーンは中央組織を必要とせず、自律的に稼働するシステムのため、政府のコントロールが効かないからです。
日本でも暗号資産に関する法整備が進められています。
もちろん法律はユーザーの権利を守ることを第一に考えているはずですが、逆に業界の発展の足かせになる可能性もあります。
これからブロックチェーンの開発が進むにつれて、それをコントロールしようとする圧力が強まるかもしれません。
ブロックチェーンに関する覚えておきたい用語7選

ブロックチェーンを理解するうえで、覚えておきたい用語を7つ解説します。
- パブリックチェーンとプライベートチェーン
- オンチェーンとオフチェーン
- サイドチェーンとクロスチェーン
- Lightning Network
- ハードフォークとソフトフォーク
- マイニングと半減期
- スマートコントラクト
この記事で解説した仕組みが関わるので、理解するのは難しくありません。
1:パブリックチェーンとプライベートチェーン
パブリックチェーンとは、ここまでに解説したオープンなブロックチェーンです。パブリックには「公開」や「公共の」といった意味があります。
パブリックチェーンは参加するのも離脱するのも自由で、誰でも参加可能です。そのためシステムを問題なく稼働させるために、コンセンサスアルゴリズムを要します。
一方でプライベートチェーンは管理者が存在し、参加ユーザーも限定的です。参加人数を把握しやすく、悪意のあるユーザーが参加するリスクを抑えやすいメリットがあります。
また取引の承認やシステムの変更は、参加ユーザーの同意によって行われるため、コンセンサスアルゴリズムがなくても運用可能です。
おもに企業など、限定的な組織での活用が期待されています。
さらにコンソーシアムチェーンというものもあり、プライベートチェーンの管理者を複数人にしたチェーンです。(コンソーシアム=協会)
複数企業が集まる、組合や連合での活用が期待されています。
2:オンチェーンとオフチェーン
オンチェーンとは、ブロックチェーン上で取引を行うことです。反対にオフチェーンとは、ブロックチェーンの外側で取引を行います。
オフチェーンは、スケーラビリティ問題を解決するために考案されました。取引のすべてをブロックに記録するのではなく、最終的な結果だけをトランザクションとして記録します。
たとえば1BTCを、Aさん→Bさん→Cさんと順番に送った場合、トランザクションの数は2つです。しかし最終的な結果は、Aさん→Cさんに1BTCが渡っただけ、つまりトランザクションは1つで済みます。
こうしてトランザクションの数を減らすことで、スケーラビリティ問題の解決を図っています。
3:サイドチェーンとクロスチェーン
前提として、ブロックチェーンはビットコイン以外にもあり、イーサリアムにはイーサリアム(ETH)のブロックチェーンがあります。
サイドチェーンとは、メインのブロックチェーン(以下、メインチェーン)の横に作られる第2のチェーンです。オフチェーンの機能も実装できるため勘違いされますが、厳密には違います。
サイドチェーンの大きな特徴は「機能を拡張できること」と「メインチェーンの恩恵を受けられること」です。
ビットコインの場合、ブロックチェーンの仕様を変えたり、機能を拡張したりするには、開発者コミュニティで承認されなければいけません。時間もかかるし、実現するのも困難です。
そこでメインチェーンに繋がったサイドチェーンを作り、機能を拡張させる方法が開発されました。サイドチェーンはメインチェーンと紐づいているため、機能面や信頼性の恩恵を受けることもできます。
さらにサイドチェーン上で作られた暗号資産は、メインチェーンの暗号資産との移動も可能です。この仕組みを「双方向ペグ」といいます。
クロスチェーンは、別々のブロックチェーン上にある暗号資産や情報を、お互いに移動・交換できる仕組みです。
サイドチェーンは、メインチェーンに繋がったチェーンを作る仕組みですが、クロスチェーンは独立しているチェーン同士を相互運用できます。
たとえば違う種類の暗号資産を交換する場合、一般的には暗号資産取引所の中で行われますが、クロスチェーンを使えば第三者を経由する必要がありません。
暗号資産取引所を通す際のリスクを避けられる、という理由で注目されています。
4:Lightning Network
Lightning Networkは、複数のペイメントチャネルを経由し、任意の相手との取引を実現する仕組みです。ビットコインの「スケーラビリティ問題」を解決できると期待されています。
ペイメントチャネルとは、二者間のオフチェーン取引で用いる、専用送金ルートのようなものです。
たとえばAさんとBさんが、10BTCずつを管理するペイメントチャネルを立ち上げたとします。最終的にAさん8BTC、Bさん12BTCとなった場合、チャネルを閉じた時の結論のみがブロックチェーンに記録される仕組みです。
ただチャネルを開くには、取引する予定のビットコインがデポジット(手付金)としてロックされます。そのため複数人とチャネルを開くと、使わないビットコインまでロックされる欠点がありました。
そこでLightning Networkでは、第三者のペイメントチャネルを利用して、チャネルを開いていない相手との取引も可能にしています。
仮にAさんとDさんが取引したい場合、「A:B」「B:C」「C:D」のチャネルを経由して取引が可能です。
もちろん取引には公開鍵と秘密鍵があり、第三者が横取りすることはできません。
必要なペイメントチャネルだけを開き、閉じる時だけブロックチェーンに記録されるため、スケーラビリティ問題の解決に期待されています。
5:ハードフォークとソフトフォーク
フォークとは、想像通りのアレです。野球の……ではなく、スプーンとフォークのアレです。分岐を意味します。
ハードフォークとソフトフォークは、ブロックチェーンがアップデートされる時に起こる現象です。
ハードフォークでは、それまでのブロックチェーンとは互換性のないチェーンにアップデートされます。ハードフォークが起きる原因は、アップデートに関して開発者コミュニティ内で意見が分かれた場合などに、分岐させてアップデートを行うからです。
暗号資産も2種類に分岐し、それまでの所有者にはアップデート後の暗号資産も配布されます。
ビットコイン(BTC)にもハードフォークの過去があり、スケーラビリティ問題をめぐって意見が分かれ、ビットコインキャッシュ(BCH)が誕生しました。
ソフトフォークは名前の通り、やんわりとしたアップデートです。アップデート前後のチェーンに互換性があり、新しく暗号資産が発行されることはありません。
チェーン自体が分岐するものの、アップデート前と後で良い方をユーザーも開発者も利用するため、自然と1本のチェーンに収束していきます。
ビットコインでは、2021年11月に「タップルート」というソフトフォークが実施され、今後もソフトフォークの予定が控えています。
参照:After Taproot, What’s Next for Bitcoin’s Future?
6:マイニングと半減期
マイニング報酬には「半減期」というものが訪れます。ビットコイン価格ではなく、マイニング報酬であるビットコインの数量が半減する時期です。
マイニングでは1ブロックの承認作業を終えるごとに、2022年時点で6.25BTCが報酬として発行されます。
この発行される数量は、21万ブロックごとに半分になるようプログラムが設計されています。1ブロックあたり10分でマイニングされるため「21万×10分=約4年」、およそ4年に1度のタイミングで半減期が訪れます。
2012年に1回目の半減期が訪れるまでは、マイニング1回あたり50BTCでした。
年 | マイニング報酬(BTC) |
---|---|
2012年 | 25 |
2016年 | 12.5 |
2020年 | 6.25 |
2024年 | 3.125 |
2028年 | 1.5625 |
ビットコインの総供給量は2,100万枚と決まっているため、半減しながら最後のBTCが発行されるのは2140年ごろといわれています。
「半減し続け、発行が終わるとマイナーがいなくなるのでは?」と思うかもしれません。
その疑問に対しては、ビットコインの値上がりが半減期のデメリットを吸収することと、マイナーはトランザクション手数料によっても報酬を得られることで解決するとされています。 さらに既存のマイナーが減ると、新規参入するチャンスも生まれるため、すぐにいなくなることは考えにくいようです。
7:スマートコントラクト
スマートコントラクトとは、「自動で実行される契約」という意味です。ブロックチェーンにおいては、「自律的に実行されるプログラム」という解釈もされます。
自動販売機のように「お金を入れる→商品を選ぶ→条件が成立→商品が出てくる」といったプログラムをブロックチェーン上で構築できる仕組みです。
ビットコインは送ったり受けとったりのみですが、スマートコントラクトを実装できるブロックチェーンであれば、複雑なプログラムを組むことができます。
スマートコントラクトを実装できるブロックチェーンの、代表格はイーサリアムです。
活用事例で紹介する「NFT」にも、スマートコントラクトの仕組みが応用されています。
ブロックチェーンの強みを活かしながら、既存サービスへの活用が期待されている技術です。
ブロックチェーンと暗号資産

それぞれの暗号資産について、ブロックチェーンを中心に解説していきます。
- 【BTC】ビットコイン
- 【ETH】イーサリアム(イーサ)
- 【XRP】リップル
- 【XEM】ネム
【BTC】ビットコイン
ビットコインは最初の暗号資産であり、知名度でも時価総額でもほかとは比べ物になりません。

ビットコインをきっかけにブロックチェーンの認知が広まり、さまざまな暗号資産が生まれています。
ビットコイン以外の暗号資産を「アルトコイン」と呼ぶことからも、暗号資産界隈でのビットコインの立ち位置がうかがえますね。
※アルトコイン:Alternative Coinの略。Alternative=代替品
【ETH】イーサリアム(イーサ)
イーサリアムとは、スマートコントラクトを活用した分散型アプリケーションを開発できる、プラットフォームです。イーサリアム上で使用される暗号資産を「イーサ(ETH)」と呼びます。
日本ではプラットフォームと暗号資産を、どちらも「イーサリアム(ETH)」と呼ぶことが多いです。
時価総額はビットコインに次ぐ2位で、ビットコインにはないスマートコントラクトの実装ができる点が特徴です。またイーサリアムは、アップデートを重ねる中で、PoWからPoSへの移行も目指しています。
PoS:Proof of Stake(プルーフ・オブ・ステーク)
コンセンサスアルゴリズムの1種で、ステーク(資産)によってブロックチェーンの証明を行う仕組みです。
イーサリアムのPoSに参加する人は「バリデーター」と呼ばれ、32ETHを預ける必要があります。バリデーターはランダムで選出され、ブロックが追加されるごとに128人のバリデーター委員会が組織される仕組みです。
128人のうち1人に新規のブロックを提案する権利が与えられ、残りの127人は投票によって提案を検証します。過半数以上に承認されると、ブロックはチェーンに追加されるという流れです。
32ETH以上持っている人がバリデーターに選ばれやすいため、ステーク(資産)によるプルーフ(証明)といわれています。
【XRP】リップル
リップルはRipple社が開発した、送金・決済システムおよび暗号資産です。システムをRTXP、暗号資産をXRPと表記します。
大きな特徴は中央集権的である点です。ビットコインなどの中央組織がない暗号資産とは違い、企業が管理・運営しています。
また送金・決済システムとして開発されているため、ビットコインより約1300倍も速い送金を実現しています。
リップルは銀行間の送金やオンライン決済での導入に注目が集まり、多くの大企業が出資および提携を発表しています。

PoC:Proof of Consensus(プルーフ・オブ・コンセンサス)
プルーフ・オブ・コンセンサス(PoC)では、コンセンサス(合意)によってブロックチェーンの信頼性を証明しています。
PoCはバリデーターと呼ばれる承認者が承認作業を行っており、80%以上の合意を得られるとブロックがチェーンに繋がれるという仕組みです。
PoS(プルーフ・オブ・ステーク)との違いは、バリデーターの選出がステーク(資産)とは関係ないことです。
バリデーターはRipple社が管理しているため、中央集権的な側面は否めません。しかし銀行間や企業間の限られたネットワークであれば、リップルの送金スピードによるメリットの方が大きいようです。
【XEM】ネム
XEMは2015年に公開された比較的新しい暗号資産です。
約1分でブロックが生成されるため処理速度が速いことと、すでに発行が終わっている点が特徴です。発行総数は8,999,999,999XEM(約90億XEM)。
またコンセンサスアルゴリズムに、PoIを取り入れている唯一の暗号資産でもあります。
PoI:Proof of Importance(プルーフ・オブ・インポータンス)
プルーフ・オブ・インポータンスでは、XEMの保有量にくわえ取引回数や取引量などからスコアを決めて、承認者を選出しています。
インポータンス(重要度)によって、承認者が決まるコンセンサスアルゴリズムです。
PoS(プルーフ・オブ・ステーク)では、保有資産量が多いほど権限を獲得しやすいため、流動性が下がるという懸念がありました。
PoIでは取引に応じてスコアリングされるため、流動性の問題を解消できるとされています。
すでに始まっているブロックチェーンの活用事例

ブロックチェーンは暗号資産だけでなく、さまざまな分野で活用されています。
- NFT
- 金融
- 医療
- 不動産
- 選挙の投票
- サプライチェーン
どのような課題解決のために活用されているのか、分野ごとに解説していきます。
NFT
NFTはNon-Fungible Token(ノンファンジブル・トークン)の略で、非代替性トークンを意味します。
非代替性とは「替えが効かない唯一無二」、トークンとは「印や象徴」という意味です。
ブロックチェーンの耐改ざん性を応用し、デジタルデータにNFTを付与することで、データが唯一無二であることを証明できます。
NFT化された画像やイラストが、数億円で取引されるなど投資商品としても注目されています。
もちろんデジタルデータであれば、基本的になんでもNFTにすることが可能です。
- テキスト
- 音声
- 動画
- 音楽
- ドメイン
改ざんされると困る、唯一無二を証明したいデータにNFTを活用する動きも広がっています。たとえば登記簿や売買契約書、印鑑などです。
NFTアート以外にも、多くの場面での活躍が期待されている技術になります。ちなみにNFTの購入は、暗号資産(仮想通貨)を使って簡単に行うことができますよ。
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金融
金融分野は、ブロックチェーンの活用がとくに期待されています。
プログラムとP2Pネットワークで稼働し続ける、ミッション・クリティカルなブロックチェーンは、金融と相性がいい仕組みです。
既存の金融サービスは人の手が入る場面が多く、ヒューマンエラーや時間コストの増大が起きていました。
そこでブロックチェーンを活用した金融サービスの提供が、世界中で進められているわけです。
前述のリップルでは、すでに導入事例が増えており、日本の金融機関においてもブロックチェーンの活用が進んでいます。
医療
医療分野では、患者の健康・医療情報の共有や医薬品の在庫管理システムに、ブロックチェーンを活用する動きが広がっています。
株式会社レシカと千葉大学の研究チームでは、医療データの安全な管理と共有を、ブロックチェーン技術によって進めると発表しました。
参照:レシカがブロックチェーン活用の医療データ共有サービス開発、千葉大医学部附属病院と共同研究
また医薬品の使用期限による廃棄を減らすため、株式会社INDETAILが手掛けた医薬品売買システムといった事例もあります。
参照:ブロックチェーンを活用した医薬品のデッドストック販売プラットフォーム
患者の命と情報を守る医療においても、ブロックチェーンが活用されています、
不動産
不動産分野では、NFTのほかに契約システムへの活用事例があります。
アメリカのPropy社では、不動産の取引をスマートコントラクトで行い、登記台帳をブロックチェーン上に構築しようと取り組んでいます。
不動産取引には多くの時間と人手と書類を要しますが、ブロックチェーンやスマートコントラクトの活用で、大幅なコストカットが可能です。
選挙の投票
日本ではなかなか進まない選挙のオンライン投票も、ブロックチェーンの活用で大きく前進する可能性があります。
すでに海外では、アメリカの一部の州やエストニアで事例があるため実現は可能です。
2019年には茨城県つくば市でも、オンライン投票の実証実験が行われました。
ブロックチェーンとマイナンバーカードと顔認証を使った仕組みで、実証は無事に成功し好感触だったようです。
参照:ブロックチェーン×マイナンバーカード×顔認証技術によるインターネット投票を実施しました!(茨城県つくば市)
サプライチェーン
サプライチェーンとは「調達→製造→販売→消費」など、生産活動における一連の流れです。サプライチェーンへの活用が増えると、自分が手にした物品がどのルートを通ってきたのかが分かります。
食料品や衣料品などは、生産者の情報が掲示されていますが、どこをどのように通ってきたのかまでは分かりません。しかしブロックチェーン上に、商品の受け渡しポイントがすべて記録されると、その経路を誰でも閲覧することが可能になります。
これにより商品に細菌やウイルスが付着していたり、危険物や危険生物が混入していたりする場合に、未然防止や原因追求に活用することができます。
ブロックチェーンを理解するための完全ガイド:まとめ

ブロックチェーンについて、仕組みから活用事例までを解説してきました。
あの暗号のように見えた定義も、言いたいことは分かるはずです。
再掲
1)「ビザンチン障害を含む不特定多数のノードを用い、時間の経過とともにその時点の合意が覆る確率が0へ収束するプロトコル、またはその実装をブロックチェーンと呼ぶ。」
2)「電子署名とハッシュポインタを使用し改竄検出が容易なデータ構造を持ち、且つ、当該データをネットワーク上に分散する多数のノードに保持させることで、高可用性及びデータ同一性等を実現する技術を広義のブロックチェーンと呼ぶ。」
引用:「ブロックチェーンの定義」を公開しました(日本ブロックチェーン協会)より
ブロックチェーンはまだまだ発展途上なので、これからも多くの専門用語や活用事例が出てきます。
この記事の内容を参考にして、ブロックチェーンの世界を楽しんでください。
さらに理解を深めるためには、自分で暗号資産やNFTを所有することもおすすめです。ブロックチェーンの一部を手にしていることが実感できますよ。
始め方は以下の記事をご活用ください。ブロックチェーンの世界に触れてみましょう。