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日本国内の暗号資産取引所の口座開設方法から、トラベルルール、税制までを一気に解説。

解説系記事

NFTなど暗号資産(仮想通貨)の取引を始めるにあたって、最初にすることは暗号資産の入手です。

世界中で一番安全と言われる日本国内の取引所の特徴と口座開設の方法の他、トラベルルールと日本における税制に至るまで、幅広く解説していきます。

日本国内での暗号資産取引所の特徴

はじめに、いくつか代表的な国内取引所を紹介します。

銘柄の数や主な特徴を紹介しますが、各取引所には記載した以外の特徴も様々ありますので気になる取引所は公式サイトで確認の上、口座を 開設してください。

なお、偽サイトが横行していますので公式サイトのリンクからのご利用をお勧めします。

Coincheck

引用元:Coincheck

運営会社はコインチェック株式会社(2018年にマネックスグループ株式会社により子会社化)。

取扱い銘柄は16種類と国内では二番目の多さを誇り、アルトコイン(ビットコイン以外の通貨)やマイナーなコインが好きなユーザーから人気を得ています。

通貨の購入は500円からで、手数料無料で購入することが可能な他、アプリの使い易さにも定評があります。

また、CoincheckNFTというNFTマーケットプレイスを持っており、NFT初心者に限らず多くのユーザーが利用しています。

bitFlyer

引用元:bitFlyer

運営会社は株式会社bitFlyer

2014年からサービスを開始しており、日本では一番歴史のある取引所です。

取り扱い銘柄は15種類。

ビットコインの取引量が6年連続で国内ナンバー1の実績を誇っています。

また、米国やヨーロッパでもサービスを展開しており、海外に進出している唯一の取引所です。

通貨の購入は100円から可能で、手数料も無料で購入できます。

BITPoint(ビットポイント)

運営会社は株式会社ビットポイントジャパン。

取扱い銘柄は12種類と比較的少ないですが、トロン(TRX)やエイダ(ADA)などBITPOINTしか扱っていない通貨を扱っています。

この2種類のコイン好きユーザーからの人気はもちろんのこと、最大の特徴である全ての取引に関する手数料がかからないため、初心者からの人気も集めています。

GMOコイン

引用元:GMOコイン

運営会社はGMOコイン株式会社。

東証一部上場企業であるGMOインターネットグループの傘下であることから、安心・安全を全面にアピールしています。

取扱い銘柄は18種類で国内最多を誇ります。

金融系の会社ならではの特徴を生かした様々な取引方法を揃えたサービスを展開していることから、初心者からベテランまで幅広いユーザーに人気があります。

DMM Bitcoin

引用元:DMM Bitcoin

運営会社はDMM.comのグループ会社であるDMM Bitcoin。

取扱い銘柄は11種類ですが、レバレッジ取引は15種類の銘柄を揃えておりレバレッジ取扱い数では国内でナンバー1です。

また、全ての取引手数料を無料で行うことができます。

bitbank

引用:bitbank

運営会社はビットバンク株式会社。

取扱い銘柄数は14種類。

大きな特徴は、ビットコインのセキュリティ専門企業であるBitGoと提携し、ウォレットはオフラインのコールドウォレットを使用するなど、セキュリティ対策に力を入れています。

また、「TradingView」というテクニカル分析に対応しているサービスも展開しており幅広い投資家から支持を得ています。

LINE BITMAX

引用:NE BITMAX

運営会社はLINE株式会社のグループ会社であるLVC株式会社。

口座開設から全ての取引がLINE上で行うことができるので、見た目のわかりやすさと使いやすさを前面に出しています。

取扱い銘柄は6種類。

最大の特徴は、暗号資産の貸出を行っていることです。

ユーザーが保有している暗号資産をLINE BITMAXに貸し出すことで賃貸料を受け取ることができるサービスです。

また、2022年4月にNFTマーケットプレイスである「LINE NFT」が始まり、とても注目されています。

Liquid by FTX

引用:Liquid by FTX

運営会社はFTXジャパン株式会社。

取扱い銘柄は8銘柄と少ないですが、2022年2月にソラナ(SOL)が日本で初上場したことで話題になりました。

大きな特徴としては、日本円だけでなく暗号資産で購入が可能なことです。

取扱い銘柄は8種類ですが、円建以外の通貨で購入できることにより通貨ペアは30にも上ります。

海外取引所のような買い方ができるのでとても使い勝手がよく、他の国内取引所とFTXを併用しているユーザーも多いようです。

口座開設方法を紹介

ここからは口座の開設方法を紹介します。

日本の取引所は、サイト上でとてもわかりやすく説明がされているので、基本的には画面の指示通りに行っていけば簡単に登録ができます。

KYC(本人確認)で免許証などの本人確認書類が必要になるので事前に用意しておくとよいでしょう。

今回はコインチェックとLiquid by FTXの方法を紹介します。

Coincheck

TOPページから「会員登録」をクリック。

メールアドレスとパスワードを入力。

画像認証を行う。

下記の画面になったら「会員登録」をクリック。

この後、登録したメールアドレスに確認のメールが届く。

メールに届いた確認メールのURLをクリック。

各種重要事項の確認と本人確認へ進む。

2段階認証は上のタブからのみの設定です。

後からでもできるので必ず設定を行ってください。

重要事項の全ての項目にチェックを入れたら「サービスを利用する」をクリック。

本人確認が終わっていない場合は下記の画面になるので本人確認に進む。

本人確認の書類提出は全てスマホで完結できます。

詳細は公式サイトで、スマホでの口座開設方法とあわせて詳しく紹介されているのでそちらを参照ください。

本人確認の書類を提出後、確認完了のメールが届けば全ての登録が完了です。

Liquid by FTX

TOP画面からチェックをしてメールアドレスを入力。

登録したメールアドレスに確認メールが来るので「本人情報を登録する」をクリック。

本人確認の登録画面になるので、画面の指示に従って入力していく。

Liquidは本人確認の書類は不要で、画面の入力のみで完結します。

ただし、非常に項目が多く、ある程度時間がかかるので時間に余裕を持って作業を行ってください。

全ての作業が終わると下記の画面になり、取引が開始できます。

トラベルルールについて

2022年4月1日より、日本国内の各取引所にて業界の自主規制である「トラベルルール」が始まりました。

トラベルルールとはどのようなルールで、国内取引所の利用者には何が求められて、規制や罰則のようなものはあるのでしょうか?

取引所のアナウンスだけではわからない部分が多いと思いますので、トラベルルールの概要と利用者である私たちユーザーはどのような対応が必要になるのか、Q&A方式も交えて説明していきます。

トラベルルールとは

そもそもトラベルルールとは何か。

マネー・ロンダリング及びテロ資金供与対策(以下、AML/CFT対策と表記)のため、1989年に多国間協議を行う場として設立されたFATF(金融作業部会)と呼ばれる、現在では日本を含め37ヵ国が参加している国際的な組織があります。

FATFがAML/CFT対策として設けた国際基準(FATF基準)をもとに、世界各国へ導入を求めているルールをトラベルルールと呼びます。

トラベルルールは暗号資産取引に対するルールですが、それ以外の銀行などの金融業界についてもAML/CFT対策への取組は行われています。

なお、トラベルルールはシンガポールや米国、カナダでは既に取組が行われており、日本では少し遅れての実施になります。

本来トラベルルールの実施は「犯罪収益移転防止法」の法改正が必要になりますが、まだ間に合っておらず、2023年頃に改正される見込みのようです。

従って、今回のトラベルルールはJVCEA(日本暗号資産取引業協会)の自主規制にもとづいて、各取引所が対応する形になっています。

具体的な措置の内容について

トラベルルールの具体的な内容について説明します。

定義は「利用者の依頼を受けて暗号資産の送付を行う暗号資産交換業者は、送付依頼人と受取人に関する一定の事項を、送付先となる受取人側の暗号資産業者に通知しなければいけいない」というルールです。

あくまでも取引所に課せられたルールですので、その取引所が、利用者に必要となる情報を求める内容になります。

図にまとめましたのでこちらを参考にしながら説明します。

取引所に求められている内容は以下の二つになります。

  1. 移転関連情報の取得・保存義務(上の図で1)
  2. 通知義務(上の図で2)

この二つを合わせてトラベルルールとなっています。

私たち利用者が関係するのは図で言う1のみで、報告義務が生じる対象者と内容は以下の通りです。

  • 対象者
    • 金額に関わらず送金依頼をする利用者全員
  • 報告内容
    • 送付先の暗号資産アドレス
    • 受取人が送付依頼人本人か否か、送付依頼人本人ではない場合は受取人の氏名及び、受取人の住所に関する情報
    • 暗号資産交換業者等の名称           

また、上記の図に受取については報告義務がないと書いていますが、実はJVCEAでは受取についても規則を設けています。

しかし、今のところ各取引所での対応はないようですので省きましたが、DMM Bitcoinのみ対応していますので後ほど紹介します。

ここからはQ&A方式で説明していきます。

Q1.いつから?

A1. 4月1日から実施されています。3月から開始している取引所もありますが、現在は既に全ての取引所で取組は始まっています。

Q2.報告する内容は?

A2. いくつかの取引所を例に紹介しますが、ほとんどの取引所ではJVCEAの規則に則っての対応になっています。

例外もありますので注意してください。

  送付・移転時
JVCEA規則 ・送付先の暗号資産アドレス
・受取人が送付依頼人本人か否か。本人でない場合は受取人の氏名及び受取人の住所に関する情報
・暗号資産業者等の名称
Coincheck bitFlyer bitbank BITPOINT Liquid by FTX LINE BITMAX JVCEA規則に同じ
GMOコイン JVCEA規則に以下の項目が追加 受取人との関係受取人が法人の場合、実質的支配者情報
DMM Bitcoin JVCEA規則に以下の項目が追加 出金または送付される目的及びそれに関する情報その他当社が必要と判断する事項

 

受取時については下記の通りです。

  受取時
JVCEA規則 通知を受けられなかった場合に、当該暗号資産の送付のリスク評価の為に必要な送付人に関する情報で合理的に取得可能なものを取得する
Coincheck
bitFlyer
bitbank
BITPOINT
Liquid by FTX
LINE BITMAX
GMOコイン
対応なし
DMM Bitcoin
  • 暗号資産の入金元に関わる暗号資産アドレス
  • 入金依頼人がお客様ご自身であるか否か
  • 入金依頼人が第三者である場合には、当該第三者の氏名及び住所
  • 入金元が暗号資産交換業者、外国暗号資産交換業者、又はその他日本国内外で暗号資産を取り扱う事業者(入金元取引所等)である場合にはその名称、並びにその他当社が必要と判断する事項

Q3.報告義務が発生するのは日本円で10万円以上ではないのか?

A3. こちらもわかりにくい内容となっていますので説明します。

先述した通り、今回の報告の対象は利用者全員で、金額を問わず報告する義務があります。

その他、下記の条件の全てが満たされる場合に取引所での対応が追加されます。

  • 受取人と送付依頼人が同一である。
  • 国内の暗号資産交換業者が受取側暗号資産交換業者である。
  • 送付する暗号資産がBTCまたはETHである。
  • 送付する暗号資産の邦貨換算額が10万円を超える額である。

これは上の図で言う2の場面になりますが、この4つの条件が全て満たされた場合に取引所Aから取引所Bへ、送付依頼人の個人情報等が通知されることになります。

この内容の10万円というワードが一人歩きしてわかりにくくなっているようですので、整理していただければと思います。

なお、この条件が満たされて個人情報の通知が必要になった場合、送付依頼人に通知することへ同意を求めるアナウンスが取引所からきます。

これに同意しない場合は送金が中止されることがほおとんどになりますので、該当する場合は、各取引所への対応などを確認して対応するようにしたほうがよいでしょう。

Q4. 罰則などや制限などがあるのでしょうか?

A4. 虚偽の報告などを行わない限りありませんが、虚偽報告をした場合にどのような罰則があるかは不明です。

また、個人のウォレットなどへの送金ができなくなるのではないかと心配される方も多いと思いますが、全く問題ありません。

トラベルルールは規制することが目的ではなく、不正な送金を追跡しやすくする為のものですので、個人ウォレットも引き続き安心して利用できます。

ただし、海外取引所への送金については取引所によって対応が分かれます。

現状、ほとんどの取引所で規制は行っていませんが、DMM BITCOINについては海外取引所への送金は独自で規制を設けていますので、利用する場合は確認が必要です。

Q5. 今後の予定は?

A5. 2の場面については、7月以降の取組になるようです。

その他は今のところわかっていませんが、先述した法改正が完了した後に何らかの変更があるものと思われます。

日本における暗号資産の税制について

2022年2月に以下のようなニュースがありました。

『暗号資産で申告漏れ、追徴2億円超も。年収900万円の会社員「収められる金額ではない」』(引用元:読売新聞オンライン

非常に気の毒なニュースではありますが、暗号資産に関する税は非常に複雑であり、わかりにくいだけでなくFXなどの投資などに比べると納税額も大きく、個人・法人問わず深刻な問題として取り上げられるようになってきました。

そこで暗号資産にかかる税について簡単に紹介していきますが、取引を開始して利益が発生した場合は、申告漏れがないよう税務署などに相談することをお勧めします。

暗号資産は総合課税

まず、暗号資産で20万円以上の利益を取得した場合は雑所得として確定申告する必要があります。

そして、この雑所得は総合課税の対象で他の収入と合算した額に応じて税率が決まる仕組みになっています。

さらに金額が大きければ大きいほど税率が高くなる累進課税となっています。

端的に言えば、稼ぐほど納税額が大きくなるということです。

国税庁で公表している総合課税の税率は以下の通りです。

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万以上、330万円以下 10% 97,500円
330万以上、695万円以下 20% 427,500円
695万以上、900万円以下 23% 636,000円
900万以上、1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万以上、4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円以上 45% 4,796,000円
(参考元:国税庁「所得税の速算表」

暗号資産と株・FXの課税の違い

株やFXは租税特別措置法によって特例的に税率が約20%に軽減され、さらに損失を翌年以降三年にわたって繰越ができます。

一方暗号資産は累進課税のため、住民税を含めると税率が最大で55%になり損失を繰越すことができません。

このように他の投資と比べて非常に不利な税率を課せられています。

暗号資産で課税が発生するケースを紹介

では、具体的にどのような場面で課税が発生するのか、三つのケースを紹介します。

  1. 暗号資産の売買で利益を出した場合
    通常の取引にあたるパターンですが、売買のたびに所得を計算し一年分の合計を所得額として申告する必要があります。
  1. 暗号資産で買い物をした場合
    暗号資産を決済に利用した場合ですが、これは「暗号資産を使用して生じた利益」とみなされます。

例をいくつかあげます。

  • 暗号資産(仮想通貨の購入)
    1BTCが10万円の時に1BTCを購入。
    この後、1BTCが50万円の時に他の暗号資産であるETHを1BTCで購入。

    この場合
    ETH購入価格50万円ーBTC購入価格10万円 = 40万円 → これが課税所得になります。
  • 現物の購入
    1BTCが10万円の時に1BTCを購入。
    1BTCが30万円の時にPCを1BTCで購入。

    この場合
    PC購入価格30万円ーBTC購入価格10万円 = 20万円 → これが課税所得になります。

つまり、最初にBTCを購入したときの円評価額ではなく、購入時の円評価額が採用される仕組みになっています。

  • マイニングで暗号資産を取得した場合
    該当する方はほとんどいないと思いますが、マイニングによって暗号資産を取得した場合も課税対象になります。

課税対象にならない場合

暗号資産を購入後、利確もせず、ただ保有しているだけでは税金がかかりません。

今後の動向

現在の日本では暗号資産に関する税金の整備は追いついておらず、暗号資産ユーザーに取っては不利な状況ですが、JCBA(日本暗号資産ビジネス協会)などからも政府に対してさまざまな要望を提出しています。

具体的には

  • 課税方法を20%の申告分離課税に。
  • 損失については翌年以降三年間、暗号資産にかかる所得金額から繰越控除に。
  • 暗号資産デリバティブ取引についても同様の措置を。

中でも一番目の20%の申告分離課税については暗号資産ユーザーにとっては少しでも早く実現して欲しい項目であるといえます。

また、最近のNFTやWeb3などの世界的ブームについても議論が進み始めました。

こうした要望は協会だけでなく、暗号資産関係者からもあがっています。仕組みの改善が、今後のより良い条件での暗号資産取引実現のポイントになるでしょう。

Yukimasa

Yukimasa

ブロックチェーン歴6年のライター。ブロックチェーンは必ず新しい時代を築き上げると確信し、その一躍を担うべく本格的に執筆活動中。とどまる事なく進化し続けるNFTやCryptoに関わる情報を初心者にもわかりやすく、そして的確に伝えていく。
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