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NFT特化型ブロックチェーンのFlow(フロー)について徹底解説

解説系記事

現在の暗号資産(仮想通貨)市場では、多くのNFTプロジェクトやDeFiプロトコルがイーサリアムブロックチェーンで開発されています。

しかし、イーサリアムはトランザクションの処理能力からスケーラビリティが大きな問題となっているため、開発基盤にイーサリアムとは異なるブロックチェーンを採用するプロジェクトも出てきています。

今回の記事では、複数あるブロックチェーンの中でもNFTに特化したFlow(フロー)の概要や特徴を徹底解説。

また、Flowが開発されるに至った経緯や、今後の課題・問題点もご紹介していくので、Flowに関する知識を深めたい方はぜひ最後までご覧ください。

NFT特化型ブロックチェーンのFlow(フロー)の概要・特徴を徹底解説

まずは、Flow(フロー)のブロックチェーンとしての概要や特徴を詳しく解説していきます。

Flowが誕生した経緯や、大ヒットしたFlow上の分散型アプリケーション「NBA Top Shot」についてもご紹介していくので、詳しくチェックしていきましょう。

Dapper Labs社によって開発されたNFT特化型のブロックチェーン

Flowとは、ブロックチェーンやNFT関連のプロジェクトを事業とするDapper Labs社によって開発されたNFT特化型のブロックチェーンです。

Flowの最も大きな特徴としては、主流の消費者層にもアプローチできる分散型アプリケーション開発のインフラという点であり、1秒間で10万件のトランザクションを処理できるなど、ユーザーにクリプトであることを感じさせず、ストレスなく利用できる特徴を備えています。

このトランザクションの高速処理を実現できた要因としては、取引の承認を行うバリデータノードの役割を4つに分業する「Multi-Node Architecture」という独自の仕組みを採用したことが挙げられます。

従来のブロックチェーンでは、それぞれのノードがチェーン内の取引にかかる全ての処理を単独で行っていましたが、Flowではこれを分業する仕組みを採用しました。わかりやすくイメージするのであれば、Flowでは工場で商品を製造するパイプラインのように、各作業員の仕事の役割(ノードによる取引承認)を明確化し、効率化・スピード化を行ったと考えればよいでしょう。

特に、ブロックの形成を行うコンセンサスノードと、トランザクションの実行を行う実行ノードの役割を明確に分離する「コンセンサスとコンピュートの分離(Separating Consensus from Compute)」を行ったことで、56倍もの取引量の向上を実現したことは特筆すべきポイントです。

他にもFlowにはアプリケーションの開発者にも使いやすいUXを意識して作られている特徴があり、数多くのサービスが生み出されやすいインフラになっていると言えるでしょう。

Flowブロックチェーンが開発されるまでの経緯

そんなFlowですが開発されるに至った経緯として、Dapper Labs社が2017年にリリースしたCryptoKittiesによるイーサリアムのガス代の高騰が原因として挙げられます。

CryptoKittiesはまさにNFTの初のヒットタイトルと言えるプロジェクトであり、当時はイーサリアムブロックチェーンの全トランザクションの約12%を占めるほどの人気を博しました。

しかし、イーサリアムの処理能力の低さからネットワークの遅延が生じ、CryptoKittiesのNFTよりもガス代の方が高くなってしまうという大きな問題が発生します。

こういった問題を解決するために、当時から一つのブロックチェーンを複数に分けて並行取引を行い、スケーラビリティを向上させる「シャーディング」という技術が注目されていました。

ただ、シャーディングを導入すると「NFTの売買」や「暗号資産の送金」といったごく簡単な取引においても複雑なプログラムが必要になるため、より内容が複雑になるNFTゲームにはシャーディングは適さないという結論に至ります。

こういったCryptoKittiesの苦い経験から、多くの取引を高速で処理できるマス向けのプラットフォームの重要性を痛切に感じたDapper Labs社が、Flowを開発したという経緯は知っておいて損はないでしょう。

最初にFlow(フロー)上で開発された分散型アプリケーションNBA Top Shotが大ヒット

Flowを解説する上で避けて通れないのが、初めてFlow上で開発されたDapps(分散型アプリケーション)である「NBA Top Shot」の存在です。

NBA Top Shotとは、アメリカのプロバスケットボールリーグであるNBAの選手のトレーディングカードを取引・収集できるプラットフォームとなっています。

2020年10月に正式リリースされてからすぐに大きな話題となり、1年経たずして7億ドル(当時約760億円)を超える記録的な売り上げを達成しました。

ダッパーラボ(Dapper Labs)のNFTゲーム「NBA Top Shot」は1年足らずで売上高が7億ドル(約760億円)を超えた。同社CEOのロハム・ガレゴズロウ(Roham Gharegozlou)氏が明らかにした。

米CoinDeskが主催するカンファレンス「Consensus 2021」に登壇したガレゴズロウCEOは、NBA Top Shotのユーザー数は現在100万人に達したと述べた。単一の暗号資産プロダクトとしては驚異的な数字だ。ユーザーの半数は、デジタルトレーディングカードの購入や取引にお金を費やしており、毎日15万人〜25万人がログインしている。

引用元:ダッパーラボのNBA Top Shot、売上高7億ドル、ユーザー数100万人──CEOが語った大躍進の秘訣

また、NBA Top Shotの特徴的なポイントとしては、いわゆるクリプト系のGeek(マニア)のみをターゲットとしているのではなく、しっかりと多数の消費者層(メインストリーム)の人々にアプローチできていることです。

NBA Top Shotのように、これまで暗号資産に関わりがなかった多くの人々を取り込んでいる事例は、ブロックチェーンがさらに社会へと普及していくための手がかりになり得るのではないでしょうか。

数々の有名企業・団体と提携している

Flowの特徴として、数々の有名企業・団体と提携していることも挙げられます。

先ほどご紹介したアメリカのバスケットボールリーグである「NBA」をはじめ、世界最大の総合格闘技団体である「UFC」、スペインプロサッカーリーグの「LaLiga」とも提携しています。

また、ブロックチェーンゲームの開発企業として有名な「Animoca Brands」や、フランスのコンピューターゲーム開発会社の「Ubisoft」と提携していることも注目すべき点でしょう。

今後、こういった各界の有名企業と共同で開発を進め、Flow上で様々なアプリケーションやNFTゲームがリリースされると予想できます。

ブロックチェーンの分散化も進んでいる

Flowのブロックチェーンは、しっかりと分散化が進んでいることも特徴の一つです。

【原文】
Dapper Labs announced that Flow community validators are now running 68% of the blockchain network’s consensus nodes.

【翻訳】
Dapper Labs社は、Flowを運営するバリデータの68%がコミュニティによって稼働していることを発表しました。

引用元:Flow Blockchain Now ‘Controlled by Community,’ Says Dapper Labs

上記のように、Flowブロックチェーンの68%のバリデータ・トラフィックはコミュニティによって稼働しており、Dapper Labs社は残りの32%しか占めていません。

分散化はブロックチェーンネットワークのセキュリティを高める大きな要因となるので、このように分散化が進んでいることはポジティブな要素と言えます。

独自のステーブルコインや暗号資産ウォレットをリリースしている

Flowの最後の特徴として、独自のステーブルコインや暗号資産ウォレットをリリースしていることを挙げることができます。

2021年6月、Dapper Labs社はエコシステムの拡大や利便性の向上を目的として、Flow上のステーブルコイン「FUSD」の発行を発表しました。

NBA Top Shotなどの開発で知られるDapper Labsは、独自ブロックチェーンのFlow上で、米ドルのステーブルコインFUSDをローンチしたと発表した。エコシステムの利便性拡大を狙う。

Flow USD(FUSD)は米ドルに1:1で担保されるステーブルコインで、発行は金融インフラのソリューションを提供するPrime Trustが担う。

引用元:NBA Top ShotのDapper Labs、独自ステーブルコインを発表

また、Dapper Labs社は「Dapper」という独自の暗号資産ウォレットも開発しており、ウォレットからの手数料収入もFlowのエコシステムを支える重要な収入源となるでしょう。

Flow(フロー)が抱える今後の課題・問題点

ここでは、Flowが抱える今後の課題・問題点についてご紹介していきます。

Flowをしっかり理解するためにも、デメリット面もしっかり把握しておくことをおすすめします。

Flow(フロー)ブロックチェーンのエコシステムの拡大

Flowの今後の課題としては、やはりエコシステムのさらなる拡大が必要なことです。

FlowはもともとNFT特化型のブロックチェーンとして開発された経緯がありますが、イーサリアムと比較すると開発されているプロジェクトの種類に乏しく、今後エコシステムが大きく発展しづらい可能性があります。

特にこれからNFTが様々なジャンルで活用されるであろうことを考えると、NFTゲームやDeFiといった分野への展開も進めていく必要があると言えるでしょう。

盤石な地位を築くためのさらなる主要消費者層(メインストリーム)のファンの取り込み

エコシステムの拡大のために新たな分野への展開も必要ではありますが、Flowは主要消費者層へのアプローチを目的としたアプリ開発のインフラであるため、足元を固めるためにもさらなる主要消費者にアプローチし、の取り込むことが重要になってきます。

現状としては、やはりすでに成功しているエンタメ分野の「NBA Top Shot」に力を入れ、多くのNBAファンにアプローチしていくことが効果的と言えるでしょう。

また、アメリカの総合格闘技であるUFCとコラボしたプロジェクト「UFC Strike」も2022年1月から開始しており、こういったエンタメ領域の横展開も多くのマス層へアプローチできる手段と言えます。

簡単なことではありませんが、こういった課題をクリアしていくことでFlowが「メインストリームへとアプローチできるアプリ開発インフラ」として盤石の地位を確立することも不可能ではないでしょう。

暗号資産FLOWを購入する手順をわかりやすく解説

最後に、Flowブロックチェーン上で発行されている暗号資産FLOWを購入する手順をわかりやすく解説していきます。

2022年8月現在、FLOWは日本国内の暗号資産取引所ではラインナップされていないので、国内取引所から海外取引所に送金する手順もご紹介していきます。

今回は例として、Binance(バイナンス)でFLOWを購入する方法を見ていきましょう。

国内取引所でビットコインなどの暗号資産を購入する

FLOWを購入するためには、まず国内取引所で原資となるビットコインなどの暗号資産を購入する必要があります。

国内取引所は自分が使いやすい場所でも問題ありませんが、購入時にスプレッド(売買時の価格差)が発生しない「取引所」があり、かつ暗号資産を手数料無料で送金できるGMOコインが利用しやすいでしょう。

GMOコインなどの国内取引所に日本円の入金ができたら、ビットコインなどの暗号資産を購入してください。

FLOWを取り扱う海外取引所に暗号資産を送金する

国内取引所で暗号資産を購入できたら、次にFLOWを取り扱う海外取引所に送金手続きを行っていきます。

2022年8月現在、FLOWは以下の海外取引所などでラインナップされていますが、ここではBinance(バイナンス)を利用して取引する手順を確認していきましょう。

  • Binance(バイナンス)
  • Bybit(バイビット)
  • Huobi Glpbal(フォビグローバル)
  • KuCoin(クーコイン)
  • Gate.io(ゲートアイオー)

まずはBinance(バイナンス)の管理画面にログインし、「ウォレット」→「フィアットと現物」の順番にクリックしてください。

画面が切り替わったら、Binance(バイナンス)に入金した暗号資産の「入金」をクリックします。

Binance(バイナンス)への送金アドレスが表示されるので、上記画像の赤枠で示したアイコンをクリックしてコピーします。

次に国内取引所にログインし、コピーした送金アドレスを貼り付けて送金手続きを完了させましょう。

もし貼り付ける送金アドレスに1文字でも間違いがあった場合、送金した暗号資産はほぼ100%の確率で失うことになるので、注意して手続きを進めるようにしてください。

送金した暗号資産を原資にしてFLOWを購入する

最後に、送金した暗号資産を原資にしてFLOWを購入していきましょう。

Binance(バイナンス)の管理画面で「トレード」→「現物」の順番にクリックします。

画面が移動したら、上記画像の赤枠で示した箇所に「FLOW」と入力し、FLOWの取引画面に変更します。

「指値注文」「成行注文」など自分にあった取引方法を選択し、FLOWを購入していきましょう。

以上でFLOWを購入する手順は完了です。

NFT特化型ブロックチェーンのFlow(フロー)の特徴や今後の課題まとめ

今回は、NFTに特化したブロックチェーンとして有名なFlow(フロー)の概要や特徴などを解説してきました。

ご紹介したように、Flowはイーサリアムブロックチェーンのトランザクションの処理能力の問題から開発された経緯があり、マス向けのアプリケーション開発のインフラとなることを目的としています。

まだ課題や問題点もありますが、今後に期待できるブロックチェーンのプロジェクトであることは間違いないでしょう。

GM

gm

2017年から仮想通貨投資を開始し、2020年から本格的にweb3.0の世界に参入。現在はフリーランスとして暗号資産やブロックチェーン、NFT、DAOなどweb3.0に関する記事を執筆。NFT HACKでは「初心者にもわかりやすく」をモットーに、読者の方々に有益となる記事の作成を行なっている。
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