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NFTプロジェクト「Otaku Culture Studio」とは

解説系記事

「アニメとNFT」は相性が良い組み合わせです。アニメファンの多くはネットリテラシーが高く、ネットを使った情報の収集や発信をする傾向を強く持っています。人気のアニメは放送されると必ずといっていいほどTwitterのトレンド上位にランクインします。

ネット上で発行され、取引されるNFTもネットリテラシーの高い人が参加する傾向があるため、自然とアニメとNFTはファン層が重なります。NFTアートには「アニメ系」と呼ばれるアニメキャラクターのような作品が多数発行されており、人気を集めています。

こういった傾向を受けて、「NFTを使ってアニメを制作しよう」という動きが各方面で見受けられるようになりました。アニメ系・PFP系のNFTには「アニメを作る」ことをコミュニティの目標にしているものが数多くあります。

「Otaku Culture Studio」は、アニメの公式サイドとコラボするという新しい形のプロジェクトです。日本のアニメをweb3化して、ファンとクリエイターがともに作品を盛り上げることを目的としています。

この記事では、「Otaku Culture Studio」の活動内容を紹介し、将来性について解説します。

Otaku Cultire Studioとは?

「Otaku Culture Studio」は、アニメやキャラクターグッズの製造・販売やイベント企画を行っている株式会社A3(エースリー)が発足させたNFTプロジェクトです。

株式会社A3は『ダンガンロンパ』や『輪るピングドラム』『暁のヨナ』など、人気アニメのグッズやイベント、期間限定ストアなどの企画を次々と成功させている大手です。

引用元:PRtimes

アニメのファンはコンテンツに参加して盛り上げる方法として、「グッズを買う」「BDなどの映像作品を買う」「イベントに参加する」といったやり方が定着しています。「Otaku Culture Studio」は「コンテンツのweb3化」を通して、新しい「コンテンツの盛り上げ方」を提案しようとしています。

「公式」とコラボするコミュニティ

「アニメとNFT」というと、「NFTを発行して資金調達して自分たちのアニメを作ろう」という壮大な計画を持っているものが多くあります。実現できれば新しい地平を拓く契機となり得ますが、2022年末の現在では成功した事例はないというのが現状です。

「Otaku Culture Studio」は、アニメ制作を目指すというより、「コンテンツの立ち上げが決まっている作品」とのコラボを行うプロジェクトです。

これまでのアニメ制作は、以下のようなフローで資金回収してきました。

  • アニメを作って発表する
  • 映画なら公開して興行収入から製作委員会が収益を得る
  • テレビアニメは、BDの売り上げや配信で収益を得る
  • 作品が発表されたらグッズを販売して収益を得る

この手法だと、「まずは作品を作る」ことが大前提となります。アニメはアニメそのものを制作しているときに最もお金がかかります。ところが資金を回収するのは制作が終わって公開されてからになるので、不確定要素が大きくなる傾向があります。

このタイムスパンを短くしようとして様々な試みが行われてきました。「NFTを発行して資金を作ってアニメを作ろう」という動きが活発になっているのには、こうしたアニメ制作における資金回収の問題を解決しようとしているからです。

「Otaku Culture Studio」は、アニメをweb3化して、ファンと制作がともに作品を盛り上げる世界を目指しています。プロジェクトを通じてクリエイター・制作会社を支援し、ファンが制作にもっと深く関われる世界を作ろうと考えています。

豪華なNFTホルダー特典を提供

「アニメのweb3化」と言われてピンと来る人は少ないでしょう。「Otaku Culture Studio」の活動の中心となるのは、「作品の公式とコラボしてNFTを発行する」ことです。

NFTホルダーに数多くの特典を提供して、「作品そのもののファンを増やす」ことが目的です。アニメのファンに新しい参加の形を提案し、公式とともに作品を盛り上げることをミッションとしています。

アニメファンは、作品を応援するのに「グッズを買う」「BDを買う」などの方法がありましたが、そこに「NFTを買う」を付加して特典を付けるというのが「Otaku Culture Studio」の方法です。

NFTホルダーに用意されている特典

  • ARフィギュア:mintしたNFTと同じキャラクターのARフィギュアが付属します。専用サービスでいつでもARフィギュアの表示が可能です。
  • ファンコミュニティへの参加:NFTホルダー限定のコミュニティに招待されます。同じ作品を愛する人同士で交流して、今後の展開を話し合っていきます。
  • 推しグッズ制作への参加:ホルダー限定グッズの制作にあたって、コミュニティ内で話し合いながら決めていきます。グッズはホルダー限定のECサイトで販売します。
  • 次回以降のコラボNFTへの優先購入権:ホルダーは今後販売されるNFTの優先購入権を得られます。

引用元:Otaku Culture Studio

すでにコラボしている『雨を告げる漂流団地』のARです。

今までの「アニメグッズの販売」とは違い、コミュニティに参加することで一層深い関わりを持つことができます。株式会社A3は、「オリジナルIP」によるNFTプロジェクトも計画しており、そちらへの優先的な参加も可能になると考えられます。

ロードマップ

「Otaku Culture Studio」は、すでに第一弾のコラボ『雨を告げる漂流団地』を実現しています。今後も大きなコラボ企画が期待できます。有名なアニメとのコラボが決定すれば、NFT優先購入権の獲得を狙って第一弾のコラボNFTを求める人が増えることが推測されます。それによるNFTの価格上昇が見込めるので、投資としても有効でしょう。

Otaku Culture Studioは公式に明確なロードマップを記載しています。すでにいくつかは問題なく完了しており、今後も着々と成功させていくと期待できます。

ロードマップ

  • ティザーサイト公開
  • Otaku Culture StudioのNFTコミュニティ(discord)公開
  • 優先購入キャンペーン開始
  • 第一弾コラボ作品の販売
  • NFTホルダーで新しいアニメグッズを企画
  • ARフィギュアの配布
  • NFTホルダー限定のグッズ販売
  • 次回コラボ作品の優先購入権の付与
  • 第二弾以降のコラボ作品販売

第一弾コラボ『雨を告げる漂流団地』・第二弾コラボ『コブラ』と順調にロードマップをこなしています。

Otaku Cultire Studioの実績

2022年11月までのOtaku Culture Studioの実績を紹介します。

「雨を告げる漂流団地」とのコラボ

引用元:Otaku Culture Studio

Otaku Culture Studioのコラボ第一弾はスタジオコロリドが制作した長編アニメ映画『雨を告げる漂流団地』です。

スタジオコロリドは、『のだめカンタービレ』や『ゴールデンカムイ』などを手掛けたプロデューサーの山本幸治氏が立ち上げたアニメスタジオです。「泣けるアニメCM」として話題になったマルコメCMも制作しています。

引用元:スタジオコロリド

2018年発表の『ペンギン・ハイウェイ』は高い評価を受けており、2020年にNetflixで世界配信された『泣きたい私は猫をかぶる』は世界30ヶ国以上で再生回数トップテンに入るほど称賛されています。

スタジオコロリドの3作目の長編アニメ映画が『雨を告げる漂流団地』です。幼馴染の小学生たちが取り壊し寸前の団地に「冒険」にでかけたことから始まる「ひと夏の物語」です。スタジオコロリドらしい瑞々しさと勢いのある映画に仕上がっています。

NFTコレクション詳細

  • 先行販売(プレセール):2022年9月13日
  • 一般販売(パブリックセール):2022年9月16日

発行されたNFT1,111枚は発売開始わずか1時間で完売しました。NFTプロジェクトとしては大成功の部類に入ります。

「コブラ」とのコラボ

引用元:Otaku Culture Studio

『コブラ』は、1978年から1984年にかけて少年ジャンプで連載されたSFアクション漫画です。左腕に「サイコガン」を持っている宇宙海賊「コブラ」が相棒のアーマロイド「レディ」と銀河を駆け巡って様々な事件に関わっていくスペースオペラです。スリリングで危険に満ちた冒険の旅は世界で高く評価されており、2018年時点で単行本の全世界累計発行部数は5,000万部を超えています。

アニメは『スペースコブラ』というタイトルで1982年に映画化、テレビアニメ化しており、こちらも名作アニメとして知られています。ゲームやグッズなど様々な形態で、日本だけでなく世界で愛されているビッグコンテンツのひとつです。

2022年は最初のアニメ化から40周年となります。世界的人気作品のNFT化というのは大きなインパクトをもたらすことが推測されます。

NFTコレクション詳細

  • 先行販売:2022年11月16日~11月17日
  • 販売価格:0.04ETH
  • 販売数:1234枚

発行枚数は1234枚となっていますが、人気作品でもあり早い段階での完売が見込まれます。NFTにはコブラのARフィギュアも付属しますので、ファンにとってはたまらない企画と言えます。

新規オリジナルIPを作成

Otaku Culture StudioのNFT保有者には、ARフィギュアの提供やファンコミュニティへの参加といった特典が提供されますが、もうひとつ「新規オリジナルIPによるプロジェクトへの参加」も設けられています。

株式会社A3は、新規IP創出のプロジェクトを「ANITOKYO」と名付けて、オリジナルコンテンツの制作を目指しています。ファンも制作に関わり、クリエイターとともに新しいコンテンツを作り上げて盛り上げていこうという企画です。

引用元:ANITOKYO

『雨を告げる漂流団地』『コブラ』のNFTホルダーにはオリジナルIP創出のコミュニティへの参加権が与えられます。いわばNFTは「デジタル会員権」のようなもので、すでにコラボしている2作品のNFTホルダーたちが話し合い、意見を出し合って今までにないコンテンツを創出しようという意図です。

ANITOKYOではすでに複数の制作プロジェクトが進行しており、NFTホルダーなら自分が気になるプロジェクトに参加することができます。意見の発信だけでなく、制作現場を見学できたり一部出演が可能になったりできますし、「エンドクレジットに載る」こともできる予定です。

「NFTを発行して新しいアニメを作ろう」といったプロジェクトはNFT業界では流行といってもいいくらいに良くある事例ですが、あまり成功しているとは言い難い状況です。Otaku Culture Studioはすでに大手のアニメ制作会社「スタジオコロリド」とコラボしている実績があり、コンテンツ創出の成功にかなり近いといえます。

Otaku Cultire Studioが目指すものとは

Otaku Culture Studioは公開された映画や、すでに長年人気を保っているコンテンツとのコラボでNFTを発行しています。

こうした「既存コンテンツとコラボしてNFTを発行する」というのは、今はあまり珍しくありません。アニメ作品のNFTは数多くありますし、アイドルや地方自治体とコラボするといった企画は毎日のように発表されています。

Otaku Culture Studioはこういったコラボとは一味違うスタンスです。どのような地平を目指してプロジェクトを運営しているか解説します。

NFTを使った「推し」の可視化

近年では「推し」という言葉が一般化しつつあります。好きなアイドルは「推しアイドル」ですし、好きなアニメキャラクターは「推しキャラ」です。

人は「推し」のためにグッズを買ったり、イベントに出かけたりして応援を具体的な形にして表現します。「推し」は「ファン以上の存在」となろうとする表現活動とも言えます。

この「推し」ですが、お笑い芸人の「推し」やジャニーズの「推し」などは良く言われていますが、「映画推し」というのはあまり聞かれません。たとえば近年熱心な多数のファンを獲得した映画に『マッドマックス~怒りのデスロード』や『グレイテスト・ショーマン』『アイの歌声を聴かせて』などがあります。頻繁にリバイバル上映され、しっかりと劇場は満員になります。

引用元:新宿ピカデリー映画祭

しかし、「推し映画」が存在してもそれを可視化する手段はありません。映画は単発的な興行であって、アイドルのように継続的に活動はしないからです。

そこに「NFT」を加えてみたらどうなるでしょうか。

映画コミュニティにNFT化した会員権を配布することで、映画ファンを可視化して、その人たちに価値あるサービスを提供することができます。特別上映や監督や制作陣とのトークイベントなど、NFTを購入するほどの熱心なファンがもっと喜べるようなサービスはいくらでも企画できるでしょう。

NFTによって作品の「推し」が可視化できて、製作者とファンの相互作用によって作品は盛り上がります。『アイの歌声を聴かせて』のファンコミュニティができれば、作品単体のイベントを開催してさらに作品のファンを満足させることができるでしょう。ファンアートの展示会なども企画できるかもしれません。

引用元:Twitter

製作過程そのものを売る

最近話題になっている新しいコンテンツの提供方法に「プロセスエコノミー」というものがあります。完成した作品だけでなく、作品の製作過程そのものを販売する方法です。

たとえばアイドルグループの新規加入オーディションを見学するといった「プロセスエコノミー」がすでに始まっています。まさに「リアルショー」として「アイドルが作られていく過程を体験できる」わけです。過程を見ることによって、応援したいという気持ちが強まり、「推し」にしたくなる感情が湧き上がるでしょう。

映画はプロセスエコノミーと非常に相性が良いものです。いくつかの映画では、ファンに撮影の現場に来てもらうというイベントを行っています。映画は多くの人が関わっており、製作の裏側にある思いや努力、トライ・アンド・エラーの過程を開示することで、より「推し」に近い感情を持てるでしょう。

映画のNFT化は、ホルダーと過程を共有して一緒に映画を作っていく感覚を醸成し、その過程で「映画推し」を作っていくことが可能になるかもしれません。

Otaku Culture Studioでは新規IP創出において、ファンとクリエイターがともに作品を盛り上げる世界を目指しています。アニメの制作現場にファンが参加できて、一緒に発信者となって作品のファンを増やしていくことが可能になるでしょう。

「推し」エコノミーの推進

近年、「推しエコノミー」という言葉が言われるようになりました。これは、ユーザーが作品に積極的に関わることで大きくなる経済圏のことを指します。

今までのコンテンツは供給側から一方的にユーザーに届けられました。作品が放映されたり上映されたり、販売されたりしたものをユーザーが受けとったら完結するのが従来のコンテンツビジネスです。上映された映画を鑑賞したりソフトを購入した時点で「コンテンツとファンの関係」は終わりです。

ところが、近年はアニメやゲームなどを中心に「作品を買ったら終わり」ではなく、「ファンが参加する」というスタイルのコンテンツが注目されています。

典型的な事例が「初音ミク」です。初音ミクは「ボーカロイドソフトの名称」に過ぎませんが、そこにキャラクターが加わります。コンテンツは初音ミクを通して発信されますが、発信者は「作曲ができてソフトを動かせる人」であれば誰でもよく、ファンはまるで初音ミクというアイドルが歌っている楽曲であるかのように聴きます。

引用元:HATUNE MIKU OFFICIAL BLOG

「推しエコノミー」の提唱者である中山敦雄氏は「初音ミクは過去にないキャラビジネスで、経済規模は破格である」と述べています。

「推しエコノミー」は日常的にも行われています。

最初はSNSで「推し」をつぶやくことから始まり、テレビで放映されたら「実況」して「お祭り感」を高めます。推しコンテンツの良さを発信して「布教」していきます。さらに二次創作も作って作品を盛り上げます。

ファンが自分から積極的に作品に関わろうとして、やがて他のファンの参加を引っ張り上げます。

同じようなことは、『バーフバリ』でも『マッドマックス』でも発生しました。「映画推し」が積極的に発信して未経験の人を引っ張り込むという現象が発生しています。

Otaku Culture Studioが着目しているのも、こうした「推しエコノミー」です。NFTを会員権として、作品の成立過程から関わった人たちが「まだその作品を知らない」人たちに宣伝していき、一緒に盛り上げていきます。こうしたファンを巻き込んだ盛り上がりを期待していると考えられます。

web3時代の映画制作とは

Otaku Culture Studioが目指しているのは「日本のコンテンツをweb3化して、才能あるクリエイターを支援し、ファンが制作に関われる機会を作成する」ことです。ファンとクリエイターがともに作品を盛り上げる世界を作ろうとしています。

現在、「web3時代のコンテンツ制作」が盛んに議論されています。映画業界ではすでに多くの試みが始まっています。

NFTの発行はコンテンツの資金調達に大いに役立ちます。株式でも資金は調達できますが、「保有者に対して将来儲けた分の利益を還元すること」は「証券」に該当してしまうので困難です。一方、NFTは「証券」ではなく、さらに企画の初期から参加したファンを可視化できるので、作品がヒットしたときに初期から応援していた人たちに対して還元することが可能です。

また、映画でNFTを活用すれば制作者一人ひとりを可視化することもでき、映画の製作プロセスに革新をもたらす可能性があります。グローバルにも届けることができるのがNFTの強さで、日本発のコンテンツであっても様々な国のクリエイターやファンが参加できます。

ファンとのつながりを意識し、ユーザーが作品を製作する側に参加できる機会を用意できるのは、映画製作に大きな変化をもたらす可能性があります。

Otaku Culture Studioが目指しているのは、「コンテンツ×NFT×プロセスエコノミー」によって「映画推し」を創出し、さらに業界を盛り上げていくことです。第一弾・第二弾のNFTはすでに発表されています。ホルダーには様々な恩恵がもたらされ、さらに新しいIPの創出にも関わることができます。今後の動きに大いに期待しましょう。

まとめ

NFTプロジェクト「Otaku Culture Studio」について活動や今後の展開を紹介しました。

最後にこの記事をまとめます。

  • Otaku Culture Studioはアニメ公式とコラボする企画
  • NFTホルダーには豪華な特典が提供される
  • 『雨を告げる漂流団地』『コブラ』とのコラボが実現している
  • NFTホルダーは新規IP創出のプロジェクトに参加できる
  • NFTを使った「映画推し」の可視化に貢献する可能性がある
  • web3時代の映画作りを目指している

これからのOtaku Culture Studioの動向に注目しておきたいところです。

Spritz

Spritz

Web3領域を専門とするライター。DeFiやNFT分野への投資経験をもとに、クリプトに関する記事を発信しています。これまでに執筆した暗号資産に関する記事は70本以上。特に関心の強い分野は、セキュリティトークンです。ブロックチェーンによってもたらされる社会変革に焦点を当て、初心者にもわかりやすい記事を心がけています。
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