Livepeerはイーサリアムブロックチェーンの上に構築された分散型ビデオストリーミングプラットフォームです。
YouTubeやTikTok、あるいはNetflixやAmazon Prime Videoなど、様々な形で私たちは動画コンテンツを楽しんでおり、もはや現代人の生活と切り離すことはできません。
しかし、既存の動画コンテンツやその配信プラットフォームは、実はいくつかの問題を抱えています。
Livepeerはそれらの課題を解決し、放送業界に革命を起こすことを目的として誕生しました。
この記事では、現在の動画配信プラットフォームが直面する課題を踏まえた上で、Livepeerの特徴について解説します。
ぜひ最後までお読みください。
この記事の構成
Livepeerとは
引用元:Livepeer
Livepeerは2017年に誕生した、完全に分散化された初の生配信ビデオストリーミングネットワークプロトコルです。
YouTubeのようなweb2の動画配信サービスは、中央集権性が非常に強く、コンテンツの制作や配信にかかるコストもかなり高額になっています。
Livepeerはこの状況を打破し、経済的かつ効率的なブロックチェーンベースのソリューションとなることを目指しています。
Livepeerの運営会社であるLivepeer, Inc.は、Doug Petkanics氏とEric Tang氏によって設立されました。
現在もLivepeerの開発の中心にいるDoug Petkanics氏は、2006年にペンシルバニア大学でコンピュータ科学の学位を修得。
その後、アクセンチュア社にアナリストとして入社、2010年には後にグルーポンが買収したハイパーパブリック社を共同設立しました。
2013年にはパブリッシングプラットフォーム、及びウェブブラウザであるワイルドカードを共同設立し、2016年からLivepeerの開発に携わっています。
web2の動画配信サービスの現状
引用元:Livepeer
動画配信サービスを提供する放送業界の成長は目覚ましいものがあります。
YouTubeやTikTokはもちろんのこと、Instagramでも「リール」と呼ばれる短尺動画が人気となるなど、今しばらくは動画コンテンツが私たちの生活からなくなることはないでしょう。
しかし、その人気の高さゆえに、動画コンテンツを取り巻く環境にはいくつかの問題も生まれています。
現在の動画産業における課題には、大きく以下の2点があります。
- 中央集権的な産業構造になっている
- 制作・配信にかかるコストが高い
この2点について、順に解説します。
中央集権的な産業構造
一般的に、web3のインターネットは分散的であり、それに対しweb2のインターネットは中央集権的であると言われています。
現在、GAFAを中心とした一部の巨大テック企業に権力が集中し、彼らに富が集まるような産業構造がすでに形成されてしまっています。
これは動画配信プラットフォームにおいても同様です。むしろ動画コンテンツこそ、企業の中央集権的な特色が顕著に出ているとさえ言えます。
例えば、YouTubeにおいて「運営によってアカウントが突然停止(BAN)される」「動画の内容に問題がないにもかかわらず収益化が勝手に剥奪される」といった現象は、少なからずどこかで目にしたことがあるはずです。
このようにプラットフォームの運営側である企業が力を持ちすぎることにより、コンテンツ制作者もコンテンツを消費するユーザーも、運営の判断ひとつでプラットフォームの利用を制限される可能性があります。
コストが高い
動画コンテンツのもう1つの課題はコストです。
具体的には以下のような事情により、動画配信には多大なコストがかかっています。
- テキストや音声に比べてデータの容量が大きい
- 需要が高いため、コンテンツの数自体が増え続けている
- 動画をインターネット配信する際のデジタル化にかかるコストが非常に高い
この結果、インターネットにおけるデータ量の約8割が動画によって占められているとも言われています。
また、動画という媒体自体が上記の通り高コストであるため、それを扱う企業側のサーバー等の維持管理にも多額のコストがかかります。
このような背景から、動画コンテンツは現代のインターネットにおいて非常に高コストな媒体となってしまっています。
Livepeerの特徴
引用元:Livepeer
Livepeerは、「中央集権的な産業構造」「コストが高い」という2つの課題を解決し、放送業界に革命をもたらすことを目指しています。
Livepeerがどのようにしてこれらの課題を解消するのか、Livepeerの特徴に触れながら解説します。
エコシステムについて
まずはLivepeerのエコシステムについて解説します。
ブロックチェーンを用いたエコシステムでは、バリデータ(ブロックチェーンに記録されるデータの正誤を検証するノード)やトークンが重要な役割を果たします。
Livepeerにおけるバリデータは「トランスコーダー」と呼ばれています。
動画の作成において、あるデータ形式で圧縮・符号化された動画データなどを、同じ形式で画素数などの仕様が異なるデータに符号化しなおす行為を「トランスコード」と呼びます。
例えば、PCなど大画面向けの高画素数の動画をスマートフォンのような画面の小さい機器用に変換する場合、データ量を減らしてデータサイズ自体を縮小する必要があります。
この変換処理をトランスコードと呼び、これを担っているのがトランスコーダーです。
Livepeerのトランスコーダーは、エコシステムの中でこの動画の変換作業を行うことで報酬を得ています。
しかし、一度に稼働できるトランスコーダーの数には限りがあるため、全員が一斉に稼働して報酬を得ることはできません。
そこで、実際に稼働するトランスコーダーの選出に用いられるのがネイティブトークンのLPTです。
LPT保有者は投票してトランスコーダーを選出するために、まずは自身のLPTを特定のトランスコーダーに紐付けます。
これはすなわち、トランスコーダーに対してLPTをステーキングしている状態です。
トランスコーダーは、ステーキングされたLPTに比例した量の報酬を、自身が行った作業に対する報酬として受け取ります。
また報酬の一部は、LPTをそのトランスコーダーに結びつけたLPT保有者に支払われます。
このようにLivepeerのエコシステムでは、LPTを用いた投票を行うことで、最も効率的で信頼に足るトランスコーダーがサポートされ、その結果としてトランスコーダーとユーザーの双方が報酬を得ることができます。
配信コスト
トランスコーダーをLPTの投票によって選出するLivepeerのエコシステムは、既存の動画配信プラットフォームが抱えるコストの問題を解決します。
すでに述べたとおり、動画配信にかかるコストの1つに「動画のデジタル化にかかるコスト」があります。
これは具体的には、トランスコードの作業にかかるコストを指します。
そしてLivepeerにおいては、最も効率的な働き方をするトランスコーダーが投票によって選ばれるため、コストの削減につながっています。
また、トランスコーダー自身にも「効率的に働くほど自身の報酬が増える」というインセンティブが働くため、エコシステム全体としてコスト削減が自然に促進される構造になっています。
分散化された自由な配信環境
Livepeerのプラットフォームには中央集権的な管理者が存在せず、全体として分散化された構造になっています。
トランスコーダー含め分散的なエコシステムが構築されており、中央が管理するサーバーもありません。
従来のweb2プラットフォームで時折見られた「運営による恣意的なアカウント停止や動画の削除」が起こることもなく、自由な配信ができる環境になっています。
LPTを取り扱っている暗号資産取引所
LivepeerのネイティブトークンであるLPTは、現在のところ日本の暗号資産(仮想通貨)取引所での取り扱いはありません。
LPTを購入する場合、まずは国内の暗号資産取引所でBTCなどを購入し、海外の暗号資産取引所へ送金した後、海外取引所にてBTCとLPTを交換することになります。
LPTが上場している代表的な海外の暗号資産取引所は以下の通りです。
- Binance
- Coinbase
- KuCoin
- Gate.io
- MEXC
Livepeerの今後の展望まとめ
Livepeerは、ブロックチェーンを活用することで分散型のビデオストリーミングを実現したプラットフォームです。
5Gなど通信システムが発達することで、動画コンテンツ産業自体が今後ますます伸びることが予想されます。
その中で、中央集権性を排除し、自由な動画配信環境を提供するLivepeerが成長する可能性は十分にあります。
LPTトークンを用いたステーキング、及びトランスコーダー選出の仕組みなど、興味深い点も数多くあります。
web3時代の動画ストリーミングサービスを体験してみたい方は、一度実際にLPTトークンを手にしてみるのもよいかも知れません。