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スマートコントラクトが不要XRPブロックチェーンでのNFT新規格「XLS20」について解説

解説系記事

引用元:https://xrp.cafe/

NFTを発行する際にスマートコントラクトを操作するスキルが必要になりますが、XRP(リップル)のブロックチェーン上でスマートコントラクト不要でNFTが発行できる規格を発表しました。

XRPブロックチェーンであるXPRL(XPRレジャー)の特徴とあわせて解説していきます。

XRPについて

「XLS20」を発表したXRPはビットコインやイーサリアムと並び、とても有名な暗号資産ですが、他の暗号資産とは違う特徴を多く持っています。

今回のXLS20についてを知るために必要な項目に絞って紹介していきます。

XRPとは

XRPとはアメリカにおいて世界的な送金ネットワークの運営を行っているRipple Lab社が発行している、グローバルな決済のために構築されたデジタル資産であり、企業が発行している中央集権的な通貨です。

RippleNetについて

Ripple社はRippleNetと呼ばれる、国際取引における金融機関の従来のシステムよりも迅速で、かつ低コストで送金することを実現している国際送金プラットフォームを開発しています。

異なる国家間での法定通貨の送金には決済時間と手数料が必要ですが、それらを解決するためにRippleNetが開発されました。

このRippleNet上でXRPトークンが活用され、諸外国間での法定通貨の取引を円滑に進めることを実現しています。

具体的には、日本からアメリカに送金する際、日本円を米ドルに両替する必要があります。

その際、日本円→XRP→米ドルのように、XRPがブリッジの役割を担うことにより、法定通貨の送金を円滑に進めることを可能にしました。

このようなことから、XRPは別名「ブリッジ通貨」などとも呼ばれています。

この仕組みはODL(オンデマンド流動性)と呼ばれる技術で、2022年からAI機能も追加され最適なコストで顧客の流動性ニーズを満足させることが可能になりました。

送金速度はビットコインやSWIFT(世界銀行間金融電気通信協会)が約10分程度かかるのに対し、RippleNetでは3〜5秒での決済を可能にし、取引手数料は平均で1取引あたり0.0002ドルです。

(引用元:https://xrpl.org/xrp-overview.html

XRPL(XRPレジャー)

先述したRippleNetを動かしているのがXRPL(XRPレジャー)と呼ばれるネットワークで、コミュニティにより運営されているスケーラブルで持続可能な分散型のパブリックブロックチェーンです。

XRPはXRPLのネイティブトークンで、XRPL内の全てのアカウントは相互にXRPを直接送信することができます。

またXPRLのバリデーターは誰でも自由に参加することができ、現在150を超える大学や企業、個人などによって運営されています。

XPRLの大きな特徴の一つとしては「PoA(プルーフ・オブ・オーソリティ)」を導入している点です。

これは全てのバリデーターから指定された、特定のバリデーターのみがXPRLのルールに従い3〜5秒ごとにトランザクションの順序と結果について合意をする承認アルゴリズムです。

この方法により、ビットコインのような全てのバリデーターによる承認に比べ、迅速な承認を実現しています。

PoAは閉鎖的とも言われますが、バリデーターの信頼性がとても重要視されており、信頼性を損なう行動を起こすとバリデーターから削除されてしまいます。

また、全てのトランザクションは公開されており、その安全性と信頼性も確保しています。

京都大学大学院特任准教授で、リップル社のコーポレート戦略担当VP(バイスプレジデント)で、日本におけるXRP情報発信を行う吉川絵美氏が、XRPLバリデーターの分散性を示す分布図を紹介し、PoAの分散性が証明されているとTwitterに投稿しています。

(引用元:https://twitter.com/emy_wng/status/1600735547777224704?s=20&t=v8r_uKoRZD35xgTtLyVGHQ

CBDCの基盤での活用

XPRLは、CBDC Private Ledgerと呼ばれるCBDC(中央銀行デジタル通貨)の基盤プラットフォームも開発しており、既に導入している国も存在しています。

2021年にブータン王国の中央銀行である「RMA(Royal Monetary Authority)」が、XPRL上のプラットフォームを使用しテスト運用を行うことを発表しました

また、オーストラリアの決済業者である「Novatti」社は2022年6月にXPRL上のプラットフォームを用いて、豪ドルのステーブルコインである「AUDC」を発行することを発表しています。

なお、日本では2022年8月に福岡市の高島宗一郎市長が米Ripple社を訪問し、Web3事業においてRipple社と意見交換をしたことも話題になりました。

カーボンニュートラル

2022年5月19日、カーボンクレジットをトークン化し2030年までに温室効果ガスの排出をゼロにする「カーボンニュートラル」の実現に向けて、1億ドル(約129億円)を投資すると発表しました。

その後、2022年11月18日に吉川絵美氏が、Forbesにブロックチェーンとカーボンクレジットについて寄稿しています。

その中で吉川氏は、

「現在のカーボンクレジット市場は炭素削減効果がないにも関わらずクレジットが過大発行されていたり、実体と相違するような場面が多くみられ、その質が適正に反映されていない」

と、その問題点を指摘しました。

この問題をブロックチェーンで解決しようとする動きが出てきており、カーボンクレジットをNFTで発行するなどの試みが始まっています。

しかし、ブロックチェーンにおいてはマイニングを行うことによって大量な電力を消費してしまいます。

XRPLはこれまで説明してきた通り、マイニングを行わずPoAという仕組みを採用し、電力量はビットコインの12万分の1であると言われており、2020年に主要ブロックチェーンの中で初めて脱炭素化に成功しています。

NFT取扱いチェーンのトップ3に君臨

吉川絵美氏が、NFTを取り扱うブロックチェーンの中で時価総額でXPRLが3位に位置し、さらに取引手数料が圧倒的に低いと言う特徴があるという表をTwitterに投稿し、その人気の高さを証明しています。

(引用元:https://twitter.com/emy_wng/status/1595590062166577152?s=20&t=v8r_uKoRZD35xgTtLyVGHQ

XLS20について

2022年11月31日、XPRLで新しいNFTの規格として「XLS20」が実装されたことを発表しました。

投票から実装までの経緯とXLS20を採用したプロジェクトなどを紹介します。

XRPLでの投票

2022年8月、吉川絵美氏がTwitter上で「XLS20」についての投票が行われており、80%が賛成していると発表しました。

(引用元:https://twitter.com/emy_wng/status/1564622843840630787?s=20&t=_r0GvgRYfr-EXF-vMpWzMw

バリデーターの投票状況はxrpscanでリアルタイムに見ることが可能で、中央集権的であるという批判を跳ね返すtweetも行い、正当な投票が行われていると共に、しっかり分散されていることも証明しました。

(引用元:https://twitter.com/emy_wng/status/1564622846428471303?s=20&t=FmgsaOa7NBfs3fEUNzf0Ow

そして投票が終わり、2022年11月31日に「XLS20」が実装されたことを発表しました。

XLS20の特徴

XLS20の特徴を紹介していきます。

スマートコントラクトが不要

NFTプラットフォームの多くが使用するEVM(Ethereum Virtual Machine:イーサリアム・ヴァーチャル・マシン)系のチェーンでは、スマートコントラクトが必要になります。

しかし、XLS20を発行するXRPLにはスマートコントラクトのようなNFTを発行する機能が既に実装済みとなっています。

従ってスマートコントラクトを書く際に求められるSolidity(ソリディティ)などの知識がなくても簡単にNFTを発行することができます。

また、スマートコントラクトの開発におけるバグなど、開発者に依存する様々なセキュリティリスクを回避することも可能になります。

手数料(ガス代)が安い

先述したとおり、そもそもXPRL上での手数料はとても安く設定されているので、NFTの発行も0.001XRP(2022年12月11日時点で52.94円/XRP)程度での発行が可能です。

XPRLのDEXでそのまま売買が可能

XPRL上に実装されているDEX(分散型取引所)で売買ができるので、他のマーケットプレイスに出品するような手間が不要になります。

譲渡不可能なNFT発行が可能

譲渡不可能なNFTであるSBT(Soulbound Token:ソウルバウンドトークン)の発行も可能です。

自動ロイヤリティ機能の提供

最近話題になっているロイヤリティについても自動ロイヤリティ機能が提供されており、二次流通の際、クライアントに自動的にロイヤリティが支払われます。

XLS20を採用したプロジェクト

XLS20を扱うXRPLのマーケットプレイスはxrp.cafeと呼ばれ、既に様々なコレクションが出品されています。

その中で、参加を表明している日本のプロジェクトを紹介します。

kawaii Meta Collage X

(引用元:https://twitter.com/kazushi_fujii_/status/1591670633586655232?s=20&t=kqZV9zlSiHQx2i3abKFGCw

メタバース上に展開したオペラハウスに、リアルな芸術などを演出する「Opera meets Metaverse(オペラ・ミーツ・メタバース)」プロジェクトで、第一弾がカズシ・フジイ氏が出がける「kawaii Meta Collage X(カワイイ・メタ・コラージュ・X)」です。

元々のコレクションである「kawaii Meta Challange」は5,500作品が販売されると一瞬にして完売するほどの人気で、現在でも活発なコミュニティが展開されているプロジェクトです。

2022年12月11日時点で、まだxrp.cafeでは販売していませんが、3,000の作品を出品する予定です。

(引用元:https://mobile.twitter.com/kazushi_fujii_/status/1591995320338350081

メタ秋田

(引用元:https://pbs.twimg.com/profile_banners/1551950861793824768/1669483594/1500×500

秋田犬保存会が秋田犬と地方文化を組み合わせた秋田犬のNFT「メタ秋田」が、xpr.cafeに登場します。

メタ秋田はNHKや読売新聞などにも取り上げられとても話題になり、Openseaでの第1弾では500体のコレクションが開始5分で完売しました。

xrp.cafeでは「101 Akita-inu X」というコレクション名で、12月12日に101作品がリリースされます。

下記は2022年12月11日時点のセール前の画像です。

(引用元:https://xrp.cafe/collection/akita-inu-x

NFT OMAMORI

日本の伝統でもある「お守り」をデジタル化し、様々な祈りを世界に届ける「NFT OMAMORI」がxrp.cafeに登場します。

NFT OMAMORIのTwitterでは、お守りについて海外の方にも分かりやすいようにとても興味深い説明を英語で行っています。

例えば2022年11月27日のtweetでは「侍とお守り」について説明しています。

(引用元:https://twitter.com/meta_folks_/status/1596811495483924480?s=20&t=1U3WjkEdsxUMWknCN6WiRw

また、同年12月10日のtweetではお守りの基本的な使い方として

「お守りを開けてしまうと効果がうすれてしまうので、開けずにカバンや財布などに結びつけて、1年に1回交換するのが通例ですが、必須事項でありません。」

と説明しています。

(引用元:https://twitter.com/meta_folks_/status/1601411386076037121?s=20&t=1U3WjkEdsxUMWknCN6WiRw

こちらもxrp.cafeでは販売前ですが、とても楽しみな様子が伝わる内容でtweetしています。

(引用元:https://twitter.com/meta_folks_/status/1597766299106836480?s=20&t=1U3WjkEdsxUMWknCN6WiRw

まとめ

XRPはSECと長期間にわたり訴訟争いを行っておりますが、プロジェクトの勢いは衰えるどころか、リアルインベントなども行い、益々盛り上がりを見せています。

今回のXLS20もXRPらしい特徴で、今後も参入するプロジェクトも増えてくると予想されますので注目していきましょう。

Yukimasa

Yukimasa

ブロックチェーン歴6年のライター。ブロックチェーンは必ず新しい時代を築き上げると確信し、その一躍を担うべく本格的に執筆活動中。とどまる事なく進化し続けるNFTやCryptoに関わる情報を初心者にもわかりやすく、そして的確に伝えていく。
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