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トレカ市場でNFTは大活躍|特徴と人気のコレクションを紹介

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この数年で耳にすることが多くなった「NFT」ですが、実際にどのようなものか理解している人は少ないかもしれません。

NFTとは「Non-Fungible Token」の略語で、日本語では「非代替性トークン」と訳されます。

このように日本語にしても理解が難しいのですが、平たく言えば「デジタルデータに唯一無二の価値を与える」といったイメージです。

現実世界では「有名な画家が描いた1点物の絵」や「直筆サイン」など、唯一無二のアイテムは数多く存在します。

一方デジタルデータは無限に複製できてしまい、今までは価値のないものと考えられていました。

その問題を解決できる技術が、このNFTという訳なのです。

そしてこのNFTはアートだけではなく音楽や動画にまで応用が可能。現在はトレーディングカードにその特性を活かした、新しいトレカ市場が生まれようとしています。

本記事ではそんな「NFTトレカ」について解説します。

NFTトレカとは?

一般的にはトレカとは印刷されたものであり、収集することや交換することで楽しむといったコレクターズアイテムとしての一面が強いものです。

特に世界に数枚しかない貴重なカードなどは、オークションで高額落札されることも珍しくありません。

このようなコレクション性や希少価値といったトレカの特性から、いくらでもコピーできてしまうデジタルデータとは相性が悪いと考えられ、長きに渡り印刷されたリアルのカードが使用されてきました。

しかしブロックチェーン技術により、デジタルデータに唯一性を持たせることが可能となりました。

このように現物としてのトレカをデジタル上に再現したものを「NFTトレカ」と呼びます。

暗号資産(仮想通貨)と同じくブロックチェーンで管理されるのでコピーや偽装が困難なため、トレカとしての特性をデジタル上に移行することが可能となりました。

このNFTトレカはカードごとに音声や動画を入れることも可能であり、進化したトレカとして注目を浴びています。

トレカ市場の現状

現在のトレカの人気コレクションは「ポケモンカードゲーム」、「遊戯王」、「デュエル・マスターズ」などが挙げられ、年間を通して品薄が続くなど人気を博しています。

一般社団法人日本玩具協会が発表した、2021年度のトレカ全体の市場規模は約1,782億5千万円であり、この金額は玩具主要10品目の中で約30%の割合を占めています。

また、2020年度と比較すると145.6%も伸長しており、この伸び率は調査開始から過去最大の伸び率です。

この大躍進は、スマホ向けのゲームアプリや配信ゲームでの使用が広がったことで、対象年齢が拡大したことが大きな要因と考えられています。

またSNSを通じて高額レアカードが注目されるなど、話題性が大きかったことにもよります。

このように、トレカは少しずつデジタル空間に使用の場を移していますが、まだリアルなカードが主流となっています。

しかしデジタルだけで完結するトレカサービスも出てきており、トレカ市場はこれからもさらなる伸長が期待されています。

トレカ市場でNFTができること

これだけ現実世界で市場価値の大きいトレカですが、NFTトレカはどのような価値を新たに提供できるのでしょうか。

ここからはNFTトレカならではの特徴を、大きく4点に分けて解説していきます。

  • 二次流通のスピード感と範囲
  • 販売までのスピードが早い
  • 製造原価がかからない
  • コレクションの運営コストが低い

二次流通のスピード感と範囲

NFTトレカはデジタルデータですので、二次流通の速度が格段に早くなります。

これまでのトレカは親しい仲間内やファン同士でカードを取引する場合、面と向かって交換するか郵送という手段しかありませんでした。さらに海外へ送るとなると、地理的な制限も大きくなり、流通の範囲やスピード感に欠けるものとなってしまいます。

この点、NFTトレカであればデジタルでの取引となるので、いつでも自由にどこの相手でも瞬時に取引が可能です。

二次流通のスピード感と範囲は、これまでと比べ物にならない規模となるでしょう。

販売までのスピードが早い

NFTトレカのメリットは消費者だけではなく、販売側にもあります。

従来のトレカでは印刷して流通させる必要があったので、印刷機でのプリントからパックへの梱包、販売店への輸送など多くの工程を経る必要がありました。

しかし、NFTトレカはこれらの問題を全て解消できます。ブロックチェーン上にNFTトレカのデータを記録し、その後すぐに各サイトで販売できます。

もうすでにこのスピード感を活かしたコレクションも存在しており、スポーツの試合翌日にはスーパープレイを記録したNFTトレカが販売されています。

製造原価がかからない

リアルのトレカを作るためには印刷費用から紙代、インク代の原料費に加えて工場の人件費や輸送費など多くの経費が発生します。

NFTトレカであれば基本的にデザインソフトでの編集のみですので、これまで発生していた経費の多くが削減可能となります。

従来のデジタル上のトレカは、通常のJPEG画像同様にコピーが無制限にできたので価値を見いだされませんでしたが、ブロックチェーン技術によりこの問題が解消され、製造原価を抑えたデジタルデータでありながらも、リアルのトレカ同様の希少価値を持たせることに成功しました。

コレクションの運営コストが低い

トレカの楽しみ方の1つとして、全てのトレカをコンプリートするというものがあります。

そのためにはコレクションの提供側も珍しいトレカを配布したり、各種イベントを実施する必要があります。しかしその都度人件費が発生してしまうことや、新たなカードの原価が発生してしまうなど、運営面でのコスト負担は少なくありません。

この問題についても、NFTトレカであれば全てをWeb上で完結させることが可能です。

コレクションの運営コストを抑えられる上に、様々なイベントも容易に実施できるのです。

人気のNFTトレカコレクション

すでに様々なNFTトレカのコレクションが流通しています。

こちらではその中でも日本や世界で人気のコレクションを一部紹介します。

  • NBA Top Shot
  • Sorare
  • CryptoSpells
  • SKE48
  • BABYMETAL
  • ももいろクローバーZ

NBA Top Shot

NFTトレカで最も有名なコレクションは「NBA Top Shot」ではないでしょうか。

これは全米プロバスケットリーグであるNBA選手のトレカコレクションです。

スポーツのトレカはリアルでも複数ありますが、NBA Top ShotはNFTトレカの特性を存分に活かしており、選手が試合で決めたシュートや名プレイが音楽と同時にショートムービーとして流れる動画のトレカとなっています。

中には数千万円で取引されるものもあり、NFTトレカとして確固たる地位を築いているコレクションです。

Sorare

Sorare(ソラーレ)はNFTトレカを使用したカードゲームです。

実際のサッカー選手の試合成績がゲーム内へ反映されるといった、これまでにないゲーム性が注目を浴びています。

自身の所有する選手のNFTトレカが現実世界で活躍すれば、プレイヤーはポイントを獲得できるといった流れです。

ゲーム結果は毎週集計されており、高ポイントを獲得したプレイヤーは暗号資産であるETH(イーサリアム)を手に入れられます。

当然人気の選手のNFTトレカは高額となりますので、従来のトレカ同様にゲーム外での取引も楽しむことが可能です。

CryptoSpells

CryptoSpells(クリプトスペルズ)は日本初のNFTトレカを使用したゲームです。

大きな特徴はカード発行権をゲーム内で入手することで、プレイヤーのオリジナルトレカが作成できます。

カード発行権の入手難易度は高いですが、自分が発行したカードに人気が出た場合は大きな利益を得ることも可能となっています。

またコレクションの世界観に統一性はなく、ファンタジー風の絵柄からアニメ、マンガのキャラクター、実際の有名人など多岐に渡ります。

運営側とプレイヤーが一緒にゲームを作っていくような方針で進められていますので、これから先どのように進化していくのか注目のコレクションです。

SKE48

SKE48のNFTトレカは2020年10月に第一弾が発売されました。

内容は「SKE48 Anniversary Fes 2020 〜12公演一挙披露祭〜」というイベント中のメンバー撮り下ろし写真を「いきなりNFTトレカ」として発売。

その後も人気メンバーの卒業コンサートをトレカにしたコレクションが続き、日本国内においてNFTトレカの認知度向上に貢献しました。

画像データだけではなく音声や動画も含まれており、NFTトレカの特性を最大限に活かしたコレクションです。今後もアイドル関連のNFTトレカの需要は高まっていくと考えられます。

BABYMETAL

BABYMETALは日本のグループでありながら、海外での人気が高いメタル系アイドルです。

結成10周年を記念した、1,000セット限定のNFTトレカコレクションは数分で完売しました。

2022年8月3日現在、公式サイト上では、日本時間の9月10日午前0時に発売が予定されているコレクションが発表されており、内容は3つのレア度に分かれた全20枚のNFTトレカと告知されています。

他にもNFTに関連するコラボアイテムを多く発表しており、メタバース上でのLIVE活動をおこなうなど、最先端を走る国内グループだと言えるでしょう。

ももいろクローバーZ

ももいろクローバーZのコレクションは、結成10周年のLIVE写真をNFTトレカとして2021年10月に発売されました。

2,288パック限定と先程のBABYMETALよりも多い数だったにもかかわらず、わずか1時間余りで完売。

それだけグループの人気の高さがうかがえると同時に、NFTトレカの可能性に多くの人が気づいた好例であると言えるでしょう。

コレクションの第二弾はSNS上のアイコンに使用できるNFTを発売しており、今後ますますNFTは日本国内でも浸透していくと思われます。

NFTトレカを売買できるマーケットプレイス

NFTの代表的なコレクションを紹介しましたが、実際の購入はどのようにすればいいでしょうか。

NFTはマーケットプレイスと呼ばれる販売所で購入できるのですが、それぞれのサイトで販売しているコレクションは異なってしまいます。

ご自身が求めているコレクションを元に、販売されているマーケットプレイスへの登録をおこないましょう。

こちらでは代表的なマーケットプレイスを4つ紹介します。

  • CoincheckNFT(β版)
  • OpenSea
  • AdambyGMO
  • HABET

CoincheckNFT(β版)

CoincheckNFT(β版)は日本でも有名なCoincheckが運営するNFTプラットフォーム。

国内初のNFTマーケットプレイスとして、2021年3月にリリースされました。

ネットワーク手数料が無料である点や、決済方法も比較的簡単ですので初めてのNFT購入にオススメできるサイトです。

日本語対応していますので、初心者でも安心して取引できるでしょう。

OpenSea

Open Seaは世界最大規模のNFTマーケットプレイスです。

ここで扱っているNFTは多岐に渡り、アートや音楽、写真、ゲーム内のアイテム、もちろんNFTトレカも数多く出品されています。

購入だけではなく、NFTの発行や出品についても比較的簡単におこなえますので、自身のコレクションを展開したいと思っている方にもオススメできます。

AdambyGMO

AdambyGMはGMOインターネットグループが2021年8月に開始したNFTマーケットプレイスです。

Coincheckに約半年ほど遅れて提供された、国内企業が運営するサービスです。

大きな特徴は暗号資産だけではなく、クレジットカード決済による日本円での取引に対応しているということ。

NFTに興味があっても暗号資産は少し抵抗があるといった方も、気軽に購入することが可能です。

HABET

HABETはこれまで紹介してきたNFTマーケットプレイスとは違い、NFTトレカを専門としたプラットフォームです。

YouTubeのクリエイターが多く在籍しているUUUM株式会社のグループ会社が運営しており、数多くのインフルエンサー関連のトレカが購入できます。

またGMO同様、クレジットカード決済による日本円での購入も可能。

気軽にNFTトレカを購入してみたいという方は、このHABETから手を出してみるといいかもしれません。

CoincheckNFT(β版)でのNFTトレカ購入方法

代表的な国内外のマーケットプレイスを紹介しましたが、こちらではCoincheck NFT(β版)において実際にNFTトレカを購入するまでの流れを簡単に解説します。

まずはCoincheckのログイン画面から、下記の赤枠部分よりサイトへアクセスしましょう。

アクセスすると次の画像のように、上段には様々なアナウンスとオススメタイトルが表示されている画面に移ります。

そして、その下には新着のNFTが複数表示されています。

そして次の画像のタイトル画面の右端にある、「一覧を見る」をクリックしましょう。

その先では複数のコレクションから目的のNFTを選択できます。

今回は左下にある「NFTトレカ」を選んでみます。

次の画像のように複数のNFTトレカが表示されます。

アイテム画像の左上が「SOLD」表示されているNFTは、残念ながら売り切れとなっています。

「出品中」となっているお気に入りのNFTが見つかったら選択しましょう。

NFT選択後は次のような画面へと変わり、指定の暗号資産銘柄と金額が記載されています。

日本円での参考価格も表示されていますので、おおよその相場がひと目でわかり安心です。

このNFTの価格は「0.05ETH」となっており、日本円換算は「10,608円」です。

NFTと金額に問題がなければ購入確認をクリック。

購入の最終決定を選択することで、NFTトレカを手に入れられます。

トレカとNFTの相性と課題点

トレカ市場は元からコレクション性が高いことや、頻繁に二次流通がおこなわれているなどNFTと相性が良いことは前述した通りです。

それでは、これからNFTトレカが普及するにあたっての課題点はないのでしょうか。

【希少価値】は文句なし

リアルのトレカと同様、NFTトレカの「希少価値」については文句なしにクリアしているでしょう。

数量限定のアイドルNFTが短時間で完売していることや、高価格で二次流通されていることからも、多くの人がそこに価値を見出していることが分かります。

その反面NFTトレカコレクションの中には、その希少価値だけを全面に押し出した投機的なものも存在しています。

二次流通の価格については間違いなく上昇するとは言い切れませんので、消費者自身が騙されないような知識が必要となっています。

【体験価値】はこれから

リアルのトレカはその現物自体に美しさを有していたり、部屋に飾って鑑賞することや、実際に人に見せるといった「体験価値」があります。

デジタルデータであるNFTトレカは、まだまだこの点については劣っていると言えるでしょう。

しかし今後メタバース上でアバターに所有させることや、デジタル空間にNFTトレカを展示できるようになればこの問題もクリアできるかもしれません。

現在では所有しているNFTトレカを展示できるようにしたり、特定のNFTトレカ所有者のみが参加できるイベントの開催などといった形で、ファンへの体験価値の提供が試みられています。

こうした体験面を補うことができれば、NFTトレカの普及は更に加速していくと考えられます。

NFTトレカについてのまとめ

NFTトレカについて解説してきました。

もともとトレカが持っていた性質とNFTの相性は非常に良いことから、今後更に伸びると期待されている分野です。

「二次流通の早さ」や「コレクションの運営が簡単」など、消費者にも売り手にもメリットの多いNFTトレカ。

デジタルデータを所有するという感覚がこれから多くの人に広がっていけば、非常に大きな金額を有するリアルトレカの市場をNFTトレカが占める日も遠くないかもしれません。

May

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ブロックチェーンを筆頭とする様々な技術が、今後世の中の仕組みを大きく変えるかもしれないという点に対し興味を持っているWebライター。 自身の経験を元にだれにでも分かりやすく、興味をもってもらえるような記事を執筆するように心がけて参ります。
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