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ハイクオリティな人気NFT・Azukiとは?その特徴と魅力に迫る

解説系記事

リリースされてまもなくOpenSeaの総取引量ランキングで歴代8位にランクインし、今では人気NFTとしてブランド化されているAzukiについて紹介します。概要を詳しく解説し、ブランドとして目指す方向性を書いたマニフェストやマインドマップから、人気の理由を探っていきます。

Azukiとは

アニメスタイルNFT

Azuki(アズキ)とは、Chiru Labsというロサンゼルス発のスタートアップ企業が発行するNFTコレクションです。主にTwitterなどのSNSアイコン向けに作られたコレクションで、日本のアニメ風のタッチとキャラクターが特徴です。

Chiru Labsを創業したのは、元DeFiエンジニア、元Facebookソフトウェアエンジニア、アマチュアラッパーなど、多彩な匿名のメンバーです。Chiru Labsの中でもキーパーソンと言われているのは、ゲーム業界では有名なアーノルド・ツァン(Arnold Tsang)という人物です。彼は、米大手ゲーム会社「Blizzard Entertainment」のアートディレクターとして勤務し、人気ゲーム『Overwatch』のキャラクターデザインをしており、現在はBlizzard Entertainmentを退職しChiru Labsの仕事に専念しているそうです。このように、Azukiは高いスキルを持ったクリエイター集団によって運営されています。

Azukiはプログラムによって各パーツが組み合わさって自動生成された10,000個のジェネラティブNFTです。キャラクターの肌の色には、普通の人間に近い肌色の「Human」、青色の「Blue」、褐色肌の「Red」、光を放っているような肌の「Spirit」の4種類のタイプがあります。発行枚数が多い順に並べると、Human、Blue、Red、Spiritとなり、最も希少価値の高いSpiritは10,000体中97体しかありません。​​その他にも、衣装・背景・武器・髪型・タトゥー・イヤリング・表情・アクセサリーなど、パーツの種類が細かく分かれており、同じような見た目のキャラクターは一つもなく、多様性にあふれています。

着物や日本酒、刀などの日本的なモチーフも多く採用されており、日本の文化やアニメへのリスペクトが感じられます。多様なキャラクターとクールな見た目はどれも完成度が高く、アイコンとしても映えることから世界的な人気を獲得しました。

「ERC721A」を採用している

Azukiの特徴として特筆すべきは、デザインのクオリティの高さだけではありません。Azukiは「ERC721A」というブロックチェーンの規格を独自に生み出し、初めて活用したNFTプロジェクトです。

現在発行されている​​NFTの代表的な規格である「ERC721」は、発行ごとにいわゆるガス代と呼ばれるトランザクション手数料が多く発生します。Azukiの開発チームはこの問題を重要視し、契約を最適化し、NFTのmint時のガス料金をできるだけ低く抑えることを課題としました。こうして彼らは、1つのNFTをmintするのとほぼ同じコストで複数のNFTをmintできる新しい規格である「ERC721A」を開発し、ガス代の負担を減らすことに成功しました。さらに彼らは「ERC721A」をオープンソースとして公開し、誰でも実装できるようにしました。この取り組みは大きく評価され、NFTコミュニティ全体へ大きく貢献することとなりました。

「ERC721A」については、Azukiの公式サイト内で詳しく紹介されており、GitHubではオープンソースが公開されています。

歴代8位の総売上高

2021年11月16日にAzukiの情報が初めてTwitterで解禁、Discordもオープンされ、運営とチームメンバーによって積極的に発信が行われました。公式Twitterでは、期待感を高めるアニメーションが投稿されています。

引用:https://twitter.com/AzukiOfficial/status/1460337104391528449?s=20&t=ryMfJ4D_1fm1DOaeErHcdA

また12月17日には2021年夏にリリースされたNFTプロジェクトである「On1force」とのコラボレーションが実施され、既存のファンも巻き込み大いに盛り上がりました。そして2022年1月12日にAzukiがリリースされると急速に価格が上昇。OpenSeaの総取引量ランキングでも歴代8位にランクインしました。さらに1月26日には、AzukiのNFTを購入するために結成されたRed Bean DAOが、2次流通で120ETH(当時約2,600万円)でAzuki #9605を購入したことでさらに注目が集まることになります。

また4月には、Azukiのキャラクターたちの相棒としてのNFTコレクション「BEANZ」が発表されました。

https://twitter.com/AzukiOfficial/status/1516175774843240453?s=20&t=01TLDX8DI-dPAaph7Omufw

引用:https://twitter.com/AzukiOfficial/status/1516175774843240453?s=20&t=01TLDX8DI-dPAaph7Omufw

19,944個のNFTからなるこのコレクションは小豆の形をしたキャラクターで、Azukiのホルダーは公式サイト上でウォレットを接続すれば、BEANZとのペアリングを楽しむことができます。

Azukiのマインドマップとマニフェスト

チーム単位で運営される大規模なNFTアートプロジェクトの多くは、将来の展開・計画を記したロードマップを公開しています。ファンやNFTの購入層はロードマップを見てコレクションの将来性を見極め、投資や購入を検討します。しかしAzukiにはロードマップが存在せず、マインドマップとマニフェストが公式サイトで公開されているのみです。ロードマップが存在しないのに、なぜこれほどまでに人気を博したのでしょうか。それぞれの内容を詳しく見ていきます。

マインドマップ

マインドマップには、Azukiがブランドとして運営していくために重視する思考プロセスが大きく分けて6つにまとまっています。ここではそれぞれの概要を簡単に紹介します。

①ビジョンと価値
自らの最大の価値はコミュニティにある。また、分散化の動きは時間がかかることを認め、プロセスを信じることに重きを置く。

②コミュニティ
Azukiのプロジェクトを支えるモデレーターの存在、クリエイターの募集、交流場所について紹介。

③メタバース
1年以上先の未来を見据えてメタバースやゲームへの進出に注力。

④フィジカルの世界
The Gardenのメンバー向けに販売されるウェアや、展示会、音楽イベントなどの展開。

⑤架け橋
物理的な世界とデジタルの世界の架け橋としてのゲームやアニメを展開。

⑥苗
パートナーシップや独自トークンなど、今後の展開に関するアイデアを紹介。

マインドマップのページの7つ目にはアイデアの投稿フォームが用意されており、サイトを訪れた人がAzukiに意見を伝えられるようになっています。このことからも、Azukiがコミュニティを重視し、関わる人すべてと共にブランドを構築していこうという意志を感じます。

マニフェスト

Azukiの公式サイトでは「マニフェスト」のページがあり、コレクションを通して実現したいビジョンが表現されています。

​​Here comes a new wave…
And surfing here is different.
Breaking down barriers.
Building open communities.
Creating magic internet money with our friends.

(直訳)
ここに新しい波が来る…。
そして、ここでのサーフィンは違う。
障壁を打破する。
オープンなコミュニティの構築。
仲間とともに魔法のインターネットマネーを作る。

少々抽象的な表現ではありますが、Web3の波に乗るためのオープンなコミュニティを作ろうという意志が感じられます。

また、Azukiのホルダーは限定のコミュニティである「The Garden」に参加することができます。マニフェストでは、このコミュニティについて以下のようなことが書かれています。

To a world that’s created by more and owned by all.
From The Garden come the human beans that sprout into your family.

(直訳)
より多くの人が作り出し、すべての人が所有する世界へ。
The Garden(庭)から人間の豆が生まれ家族になる

「人間の豆」(human beans)はAzuki(小豆)、そしてhuman being(人間)とかけていると思われます。ウェブサイトの「The Garden」のページには、Azukiは「コミュニティによるメタバースのためのブランド」であると書かれています。Azukiを所有することで、Azukiが展開するコミュニティ、およびブランドを構成する一員になれるということがマニフェストでも強調されています。

キャラクターデザインのクオリティの高さも人気の理由の一つですが、マインドマップとマニフェストから読み取れる今後の展開への期待と信頼感、小豆色で見る人に印象づける強固なブランディングなども効果的に働いていると言えます。

ホルダーのメリット

保有している作品の商標利用権が得られる

Azukiのホルダーは保有しているNFTの商用利用権が得られます。アイコンへの設定やグッズ化することによる収益化も可能。これは有名なNFTコレクションであるBored Ape Yacht ClubやCoolCatでも許可されています。

限定コミュニティ「The Garden」へのアクセス

ホルダーは限定コミュニティ「The Garden」へアクセスすることができます。「The Garden」は、「インターネットの一角でアーティスト、コミュニティ、そしてweb3に共鳴する者とカルチャーが融合する魔法のようなサービスを提供する場所」と説明されています。

「The Garden」はまだ発展途上のようですが、ホルダー限定のエアドロップやストリートウェアブランドNFTを優先購入などが計画されています。

まとめ:Azukiの魅力

Azukiは今後、RPGやアニメ化、Azukiが運営するメタバース「Azuki-Verse」の開発、ハリウッド進出も視野に入れているなどの話も出ており、今後の動向にますます注目が集まっています。

キャラクターデザインの質の高さや、ERC721Aを開発する技術力、徹底したブランディング、コミュニティ主導の体制、リアルとデジタルの境界での振る舞い方などを見ると、Azukiは単なるNFTプロジェクトの一つというよりも、ファッション性の高いNFTブランドと言うことができます。今後のニュースにも大いに期待できます。

春眠

shunmin

アート関連の仕事をしながら副業ウェブライターとして活動。NFTコレクション運営においては、企画、マーケティング、コピーライティング、情報発信などを担当。NFTによってアートの世界がどのように変化していくかに興味があり、日々情報を収集している。毎日の読書によるインプットを欠かさず、読みやすい文章で丁寧に執筆することを心がけている。
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