近年の暗号資産(仮想通貨)市場においては、中央集権的な管理者がいる暗号資産取引所ではなく、DEX(Decentralized Exchanges)と呼ばれる分散型の取引所の需要が高まっています。
そんな分散型取引所の中でも特に人気が高いのが、2018年11月にローンチしたUniswap(ユニスワップ)です。
この記事では、そんなUniswapの概要や特徴、使い方の手順までわかりやすく徹底解説していきます。
また、Uniswapを利用する前に知っておきたい注意点などもご紹介していくので、興味のある方はぜひ最後までご覧ください。
この記事の構成
Uniswap(ユニスワップ)とはどんな分散型取引所?概要・特徴を徹底解説
ここではまず、Uniswapの概要や特徴について詳しく確認していきましょう。
イーサリアムブロックチェーンで開発されている分散型取引所(DEX)
Uniswap(ユニスワップ)とは、2018年11月に正式リリースされたイーサリアムブロックチェーン上で開発が行われている分散型取引所(DEX)です。
数ある分散型取引所の中でもユーザーが多いDeFiプラットフォームとして知られており、2022年8月現在、イーサリアムブロックチェーン上のDEXの中でも最も人気があります。
また、Uniswapは多くの中央集権取引所で採用されているオーダーブック(取引板)形式ではなく、流動性プールに溜められた暗号資産を使って取引を行うAMM(自動マーケットメーカー)の先駆者的な立場の分散型取引所と言えるでしょう。
シンプルなサイト設計で非常に使いやすい
Uniswapの特徴の一つとして、シンプルで使いやすいサイト設計であることが挙げられます。
上記の画像は、Uniswapで暗号資産をスワップ(交換)する画面となっており、非常にシンプルなUIになっていることがわかります。
これまで暗号資産を購入したことがない方でも直感的に操作できる点は、Uniswapのメリットの一つと考えられるでしょう。
独自のガバナンストークンであるUNIを発行
Uniswapでは、UNIという独自トークンを発行しています。
2022年8月現在、このUNIは全ての暗号資産の中でも時価総額ランキング15位に位置している大型銘柄となっており、多くの投資家からも注目を集めていると言えるでしょう。
また、UNIはUniswapの運営の方向性に対して投票できるガバナンストークンの役割を持っており、保有数に応じてコミュニティに対する影響力が大きくなる特徴を持っています。
Uniswap(ユニスワップ)で利用できる主な機能
Uniswapの特徴の最後に、プラットフォームで利用できる機能をご紹介していきます。
- Swap:暗号資産のスワップ(交換)ができる
- Pool:プールに暗号資産を預け入れ、流動性を提供できる(イールドファーミング)
- Charts:TVL(Total Value Locked)や取引ボリュームをチャートで確認できる
上記の機能について、順番に見ていきましょう。
Swap
Swapとは、暗号資産をスワップ(交換)できるUniswapの最も基本的な機能です。
先ほどもご紹介したように、Uniswapは流動性プールを利用したAMM(自動マーケットメーカー)であるため、上記の取引画面のように一般的な取引所には見られるオーダーブックがありません。
しかし、複雑な取引板で注文する必要がないため、暗号資産の初心者にとっては逆に使いやすいと言えるでしょう。
Pool
Poolとは、スワップで使用する暗号資産が溜められたプールに流動性を提供する機能であり、別名イールドファーミングとも呼ばれています。
流動性プールの中は常に2つのトークンペアが50:50の割合になるように調整されており、自分で好きなプールに流動性を提供することが可能です。
また、流動性を提供することで、そのプールを利用した取引が行われるたびに報酬を獲得することができるメリットがあります。
Charts
Chartsとは、Uniswapのプラットフォーム上に預け入れられている暗号資産の価値の総数であるTVL(Total Value Locked)や、24時間の取引ボリュームを確認できる機能です。
それぞれの流動性プールごとのTVLや取引ボリュームの確認ができ、どのプールに資金を預け入れるべきかの判断指標にもなります。
また、トークンごとの取引ボリュームなどもチェックできるので、現在のUniswapでトレンドとなっている暗号資産もすぐに確認することが可能です。
Uniswap(ユニスワップ)を始めるための方法・手順
ここでは、Uniswap(ユニスワップ)を始めるための手順について、初心者にもわかりやすく解説していきます。
実際のスクリーンショットもあわせてご紹介していくので、始める手順で失敗したくない方はぜひチェックしてみてください。
暗号資産取引所でイーサリアム (ETH)を購入する
先ほどもご紹介したように、Uniswapはイーサリアムブロックチェーン上で開発されている分散型取引所なので、ガス代の支払いにイーサリアム (ETH)が必要になります。
これからUniswapを使っていきたい方は、まず暗号資産取引所でイーサリアム (ETH)を購入していきましょう。
基本的にイーサリアムはどの国内取引所でも取り扱いされていますが、暗号資産の送金手数料が無料のGMOコインが使いやすいでしょう。
画像引用元:GMOコイン
GMOコインのアカウントが作成できたら、日本円を入金してイーサリアムを取引してください。
購入したイーサリアム (ETH)をMetaMaskに送金する
イーサリアムの購入ができたら、次にMetaMaskにイーサリアムを送金していきます。
MetaMaskとは暗号資産やNFTを保管できるウォレットであり、Uniswapを利用するためには必要になってくるものです。
まだMetaMaskのアカウントを持っていない方は、MetaMask公式サイトにアクセスしてブラウザの拡張機能にダウンロードしておきましょう。
MetaMaskのアカウント作成ができたら、画面上部が「イーサリアムメインネット」になっていることを確認し、赤枠で示している箇所をクリックして送金アドレスをコピーします。
再び国内取引所の管理画面に戻り、コピーした送金アドレスを貼り付けてイーサリアムの送金手続きを完了させてください。
Uniswap(ユニスワップ)にアクセスし、MetaMaskと接続する
MetaMaskにイーサリアムを送金できたら、MetaMaskとUniswapを接続していきます。
まずはUniswap公式サイトにアクセスし、画面右上にある「Connect Wallet」をクリックしてください。
画面が切り替わり接続できるウォレットが表示されるので、ここでは「MetaMask」を選択しましょう。
立ち上がったMetaMaskの画面に沿って接続を許可すれば、Uniswapを利用することができます。
Uniswap(ユニスワップ)で暗号資産をスワップ(交換)する方法・手順
次に、Uniswap(ユニスワップ)で暗号資産をスワップ(交換)する方法をご紹介していきます。
スワップする手順は非常に簡単なので、ぜひチェックしてみてください。
スワップ(交換)する暗号資産を選択する
Uniswapで暗号資産をスワップするためには、まず交換する通貨を選択する必要があります。
上記画像の赤枠で示した「Select a Token」をクリックしてください。
今回は例として、イーサリアム(ETH)をUSDCにスワップしてきます。検索窓に「USDC」と入力し、赤枠の箇所をクリックしましょう。
スワップ(交換)する暗号資産の数量を入力する
次に、イーサリアムとUSDCを交換する数量を入力します。入力できたら、「Swap」をクリックしてください。
今回の取引内容が表示されるので、問題なければ「Confirm Swap」をクリックしましょう。
ガス代を支払い、スワップ(交換)を完了させる
最後にMetaMaskが自動で立ち上がり、発生するガス代が表示されます。問題なければ、「確認」をクリックしましょう。
以上で、Uniswapで暗号資産をスワップする手順は完了です。
Uniswap(ユニスワップ)でプールに流動性を提供する方法・手順
ここでは、Uniswap(ユニスワップ)のプールに流動性を与えるイールドファーミングの手順をご紹介していきます。
初心者でもわかるように実際のスクリーンショットとあわせて解説していくので、詳しく確認してみてください。
プールへ移動し、新しいポジションを作成する
Uniswapで流動性を与えるためにはプールの画面に移動する必要があるので、まずは画面上部を「Pool」に変更します。
変更できたら、赤枠で示している「+ New Positions」をクリックしてください。
流動性を提供するプールを選択する
次に、流動性を提供するプールを選択していきます。赤枠で示している「Select a token」をクリックしましょう。
今回は例として「ETH-USDC」のプールに流動性を提供していくので、検索窓に「USDC」と入力します。
USDCが表示されたら、クリックしてください。
流動性を提供する数量や各種条件を設定し、プールに流動性を追加する
最後に流動性を提供する通貨の「数量」や手数料設定、通貨の交換レンジなどを選択していきます。
入力が完了したら「Approve USDC」をクリックし、画面に沿って流動性を提供していきましょう。
以上で、プールに流動性を提供する手順は完了です。
Uniswap(ユニスワップ)を利用する前に知っておきたい注意点
最後に、Uniswap(ユニスワップ)を利用する前に知っておきたい注意点をいくつかご紹介していきます。
全て事前に知っておくべき注意点になっているので、しっかりと確認しておくことをおすすめします。
ハッキングされるリスクがある
Uniswapなどの分散型取引所の注意点として、ハッキングされてしまうリスクがあります。
基本的にDeFiプロジェクトはサイトのプログラミングコードをオープンソースとしており、コンポーザビリティを実現できるなど多くのメリットがある反面、ハッカーによってコードの脆弱性が発見される危険性もあります。
実際、2022年7月にはUniswapへのフィッシング攻撃が発生しており、4,295 ETH(約6.4億円)が流出する事件が起こりました。
DEX大手のUniswap V3のユーザーは12日未明から、フィッシング攻撃を受け、仮想通貨イーサリアム(ETH)を大量に盗まれているようだ。
バイナンスのCZ氏は「バイナンスの危機情報部がUniswap V3の異常活動を検知した。Tornado Cashで資金洗浄されている」と投稿。4295 ETH(6.4億円)が流出した模様だ。
Uniswap LabsのHayden創設者はSNSで、V3のスマートコントラクトに問題があったわけではなく、フィッシング攻撃による流出だったと説明した。
今回の事件はUniswapのコードに問題があったわけではないとのことですが、こういったリスクがあることを把握した上で利用する必要があると言えるでしょう。
イーサリアム上の分散型取引所なので、比較的ガス代が高い
Uniswapはイーサリアム上の分散型取引所なので、取引時のガス代が比較的高いことが挙げられます。
2022年8月現在、イーサリアムのガス代の高騰は少し落ち着きが見られていますが、一時期は1回の取引における平均のガス代が約40ドルまで高騰を見せていた時期もありました。
2021年1月から2022年5月までの約2年間、イーサリアムネットワークが必要とする平均ガス代はおよそ40ドルで、2022年5月1日には196.638ドルの最高ガス代を記録していることが、BitInfoChartsのデータから明らかになった。
今後行われるイーサリアムのアップデートによってガス代が削減されるとの期待もありますが、一時的に取引が集中するタイミングでは再びガス代が急騰を見せるタイミングがあるかもしれません。
イールドファーミングで資金運用をする場合は、インパーマネントロスに注意する
Uniswapの注意点として、イールドファーミングで資産運用する際に必ず発生するインパーマネントロスの存在も挙げることができるでしょう。
先ほども少し解説したように、流動性プールの中では常に2つのトークンが50:50の割合でなければいけないため、どちらかの暗号資産の価格が変動することでプール内のリバランスが発生します。
このリバランスによって発生する損失が「インパーマネントロス」と呼ばれており、流動性プールを利用する上では避けては通れないものです。
例えば、流動性プールの中に総供給量の10%にあたる「1ETH:1,000USDC(合計2,000ドル)」の通貨ペアを預けたと仮定して考えていきましょう。
ユーザーが「1ETH:1,000USDC」を預けた後、ETHの価格が1,000USDC→4,000USDCにまで急上昇しました。
その結果、流動性プール内では「1ETH=1,000USDC」から「1ETH=4,000USDC」になるようにリバランスが行われるため、流動性プールの中にあるETHの数量が減少します。
自分の資産 | 価格レート | プール全体の流動性 | |
流動性提供前 | 1ETH + 1,000USDC
(合計2,000ドル) |
1ETH=1,000USDC | 9ETH:9,000USDC |
流動性提供 | 1ETH + 1,000USDC
(合計2,000ドル) |
1ETH=1,000USDC | 10ETH:10,000USDC
(10%のシェア) |
価格変動 | 1ETH=4,000USDC | 5ETH:20,000USDC
(10%のシェア) |
|
流動性解除 | 0.5ETH + 2,000USDC
(合計4,000ドル) |
1ETH=4,000USDC | 4.5ETH:18,000USDC |
その後、ユーザーが流動性の提供を解除した際、手元に戻ってくる金額は「0.5ETH + 2,000USDC」の合計4,000ドルとなります。
当初預けた2,000ドルよりは増加していますが、仮に「1ETH + 1,000USDC」をそのまま保有していた場合、合計5,000ドルの資産となっていたため、インパーマネントロスによって1,000ドルの損失が発生した計算となります。
ただし、ETHの価格変動が起こった過程でも利息収入は発生しているので、実際の損失額はもう少し限定的となっているでしょう。
上記は詳しい計算方法となりますが、トークン価格の変動によって発生する損失をざっくりと把握したい方は、下記を参考にしてみてください。
-
1.25倍の価格変動 = 0.6%の損失
-
1.50倍の価格変動 = 2.0%の損失
-
1.75倍の価格変動 = 3.8%の損失
-
2倍の価格変動 = 5.7%の損失
-
3倍の価格変動 = 13.4%の損失
-
4倍の価格変動 = 20.0%の損失
-
5倍の価格変動 = 25.5%の損失
場合によっては、イールドファーミングで運用するよりもそのまま暗号資産を保有していた方が大きな利益を得られるケースもあるので、そういったリスクは事前に把握しておきましょう。
スキャム(詐欺)コインに注意する
最後の注意点として、スキャム(詐欺)コインに注意する必要があります。
基本的に中央集権的な取引所で暗号資産を上場する際には厳格な審査が行われますが、Uniswapではそういった審査が一切なく、誰でもパーミッションレスに暗号資産をリストすることが可能です。
そういったパーミッションレスなシステムには様々な暗号資産の取引をできるというメリットもありますが、中には運営実態が伴っていないスキャム(詐欺)コインが含まれている可能性もあります。
詐欺コインを取引しても大切な資金を失うだけなので、あまりにもマイナーなコインを購入する際は事前にしっかりとした調査を行うようにしてください。
Uniswap(ユニスワップ)の概要・特徴や使い方まとめ
今回の記事では、世界で最も有名な分散型取引所であるUniswap(ユニスワップ)の概要や特徴、使い方などを徹底解説してきました。
ご紹介したように、Uniswapは数ある分散型取引所の中でも人気が高く、TVLランキングでも常に上位に位置しています。
サイトデザインもシンプルながら使いやすいので、暗号資産初心者の方でも問題なく利用できるでしょう。
これからDeFiに触れていきたいと思っている方は、ぜひこの機会にUniswapも詳しくチェックしてみてはいかがでしょうか。