ICP(Internet Computer Protocolr)におけるブロックチェーンとNFTについて、解説します。
NFTの世界では、イーサリアムブロックチェーンが主流です。有名コレクションはどれもイーサリアム上で取引されており、数あるブロックチェーンのなかで圧倒的なシェアを誇ります。
しかしこのイーサリアムブロックチェーンは、大きな課題を抱えています。具体的な問題点は、スケーラビリティとガス代の高さです。
このため、イーサリアム上の利用者増加に耐えきれず、様々な不具合が発生しています。
そこで注目されるのが、新興ブロックチェーンのNFTです。なかでも、ICPブロックチェーンは大きな可能性を秘めています。
この記事では ICP上で取引されるNFTについて、特徴や買い方を解説します。
この記事の構成
ICP(Internet Computer Protocolr)とは
ICP(Internet Computer Protocolr)は、2021年5月に始動した次世代型ブロックチェーンです。
このブロックチェーンは、新時代のインターネット基盤として活用するために開発されました。
現代のインターネットは、一部の巨大企業が独占するプラットフォームによって運営されています。
この現状を変えるべく、ICPは社会インフラとしてのインターネットを実現するために誕生しました。
ICPは、従来のブロックチェーンよりも通信速度やスケーラビリティに優れています。
なぜなら、世界中に高性能なデータセンターを持ち、広く分散したネットワークを実現するからです。
加えて、ブロックチェーン自体にセキュリティやバックアップ機能が組み込まれているため、高い安定性を誇ります。
従来は必要であったデータベースサーバーやストレージ管理も不要となり、分散型のアプリケーションを容易に展開できるようになりました。
このため、ウェブページやSNS、動画サービスといったサービスも、ブロックチェーン上で運用できます。
このように、ICPブロックチェーン上では様々なサービスが開発されています。もちろん、NFTもその一つです。
主流であるイーサリアム上のNFTより、ICPが秀でている点も多く存在します。そこで、ICPブロックチェーンの特徴とイーサリアム上のNFTとの違いを説明しましょう。
イーサリアムNFTにはないICPの強み
NFTにおけるICPブロックチェーンの特徴と、イーサリアムよりも優れた点を説明します。
イーサリアムブロックチェーンのNFTが圧倒的なシェアを誇る一方で、ICP上のNFTはほとんど普及していません。
しかしICPブロックチェーンでは、イーサリアムが抱える問題の克服も可能です。具体的には、以下の特徴があります。
安価なガス代
ICPブロックチェーンでは、NFTを売買する際にガス代がかかりません。
なぜなら購入者ではなく、プロジェクト運営者がガス代を負担する仕組みだからです。
これに対してイーサリアム上のNFTでは、取引の度に高額のガス代が発生します。利用者の増加によってガス代の高騰が続いており、気軽にNFTを購入できません。
ICPであれば、投資資金をすべてNFTの購入費用に充てられるため、効果的な投資ができます。
高速ネットワーク
ICPでは、イーサリアムよりも高速にNFTトレードができます。
ICPは、新時代のインターネット基盤を目指して開発されました。そのため、膨大な量のトランザクションに対しても、遅延せずにデータ処理が行われます。
一方でイーサリアムでは、データ処理能力のひっ迫が課題です。
イーサリアムでは利用者が増加しているにも関わらず、ブロックチェーンのデータ処理には制約があります。結果として、取引の遅延やガス代の高騰が起きています。
ポリゴンチェーンのようなレイヤー2の活用も進んでいるものの、抜本的な解決には至っていません。
これに対してICPはスケーラビリティの面で優れているため、遅延せずにNFT売買ができます。
巨大なエコシステム
ICPブロックチェーンには巨大なエコシステムがあるため、NFTの種類が豊富です。
例えばエコシステム上では、3DゲームやSNSといったサービスも存在します。これらのサービスが発行するNFTも自由に取引ができるのです。
ほかにも以下の用途で、ICP上のNFTが用いられています。
- ゲーム内のアイテム
- DAOの会員証
- メタバースの地権証
- ウェブサイトのドメイン
ICPブロックチェーンで稼働するサービスは、イーサリアムよりも多種多様です。そのため、様々な用途のNFTがトレードされています。
ICPのNFTはアートやジェネラティブコレクションに留まらず、多方面で重要な役割を果たします。
独自のプログラミング言語
ICPのブロックチェーンには、独自のプログラミング言語「Motoko」が用いられます。
このMotokoはシンプルでありながら堅牢な設計がされており、ICPブロックチェーンの開発環境の要です。
加えて、
イーサリアムのプログラミング言語「Solidity」とは異なる独自の言語で、ICPブロックチェーンのエコシステムを支えています。
ビットコインとの連携
ICPブロックチェーンでは、ビットコインと連携する計画が進められています。
暗号資産(仮想通貨)の中で不動の地位にある銘柄が、ビットコインです。時価総額でも首位の座にあり、他の銘柄とは一線を画します。
しかし、ビットコインにはスマートコントラクト機能がありません。そのため、ビットコインを使ったNFT取引はできません。
この課題を解決するために、ICPブロックチェーンではビットコインとの接続計画が進行しています。
ICPとビットコインが接続できれば、ICPのスマートコントラクトを利用してビットコインでのNFT売買が可能となります。
このビットコインとの接続計画は、ICPのNFTにとって重要なイベントです。
ICPブロックチェーンでビットコインが利用できるようになれば、イーサリアムに匹敵するNFTマーケットになる可能性があります。
ICP NFTの有名プロジェクト一覧
ICPブロックチェーンにおける有名NFTプロジェクトを4つ紹介します。
ICPでは、さまざまなNFTプロジェクトが進行しています。ここで取り上げるのは、そのなかでも上位の取引額を誇るコレクションです。
BTC Flower
(引用元:Entrepot)
ICPにおける高級NFTが、BTC Flowerです。
既存金融システムを象徴する墓標と、ビットコインの大輪が描かれています。
BTC Flowerはビットコインが誕生した2009年にちなんで、2,009点が発行されました。発行枚数が少ないため、高価格帯で取引されています。
このNFTのモチーフは、2018年にフランス人アーティストLudoが発表したストリートアートです。
実際にパリの街中に展示された現代アートが、このNFTプロジェクトの発端となっています。
このBTC Flowerは「Flower Power DAO」というDAOへの入会権です。芸術をテーマに掲げるDAOであり、アーティストへの支援活動に携われます。
Motoko Ghosts
(引用元:Entrepot)
ICPブロックチェーンのプログラミング言語「Motoko」をモチーフとしたNFTです。
Motokoの誕生2周年を記念して、1万枚のNFTが発行されました。
このキャラクターはICPブロックチェーンの象徴として、様々な場面で登場します。そのため、ICPに携わるエンジニアの間で人気となっています。
プログラミング言語Motokoが広く普及し多くのプログラマーに知られる存在となれば、このNFTはさらに価値を増すでしょう。
Poked bots
(引用元:Entrepot)
ロボット型のキャラクターが描かれたNFTコレクションです。
これらのキャラクターは、有名なアニメ制作会社「pokedstudio」によってデザインされました。
一般的なジェネラティブコレクションとは異なり、一点ずつ丁寧に作り込まれた作品です。
Poked botsの特徴は、3Dによる立体的なデザインで描写されている点です。
将来的にゲームやアニメ化が計画されており、そこに登場するキャラクターとしてデザインされているからです。
もしPoked botsが人気のコンテンツとなれば、そのオリジナルであるNFTも大きな注目を集めるでしょう。
ICPunks
(引用元:Entrepot)
ICPunksは、ピエロ風の男性が描かれたNFTです。
ジェネラティブコレクションとして、1万枚が発行されました。
このNFTのモチーフは、アメリカのロックバンド「ICP(インセイン・クラウン・ポッシー)」です。BAYCやCryptoPunksを彷彿とさせるデザインが採用されており、高い人気があります。
ICPunksは、ICPブロックチェーンにおける初期のNFTプロジェクトです。ICPブロックチェーンにおいて歴史があるため、ICPunks所有者に対するエアドロップ企画なども存在します。
ICPの黎明期に登場したプロジェクトとして、価値のあるNFTです。
ICPの NFTを購入する方法
ICPブロックチェーンにおけるNFTの購入方法を紹介します。
ICPは独自のブロックチェーンであるため、イーサリアムNFTとは購入方法が異なります。
事前に海外暗号資産取引所「Binance」にて、資金となるビットコインやイーサリアムを準備してください。
なお操作の際には、パソコンのGoogle Chromeを使用します。
①BinanceにてICPを入手する
まず、暗号資産ICPを入手します。
ICPは、ICPブロックチェーンにおける決済通貨です。
ICP上のNFTを購入する際には、ビットコインやイーサリアムは使用できません。そこで、BinanceにてICPを調達する必要があります。
Binance口座にビットコインやイーサリアムを用意して、ICPとトレードをしてください。
Binanceのトップ画面を開き「Binance Convert」をクリック
「振替元」に資金となる銘柄を指定し、振替先に「ICP」を選択する
コンバージョンプレビューを行い、ICPとの両替を行います。
これにより、暗号資産ICPが手に入りました。
②Plugをインストールする
次に、暗号資産ウォレット「Plug」のインストールです。
「Plug」はICPブロックチェーンにおけるMetamaskの役割を果たします。
Google Chrome上でPlugのTwitterアカウントを開いてください。
検索欄からもダウンロードページへ遷移できるものの、推奨できません。なぜなら、スパムを目的とした偽の拡張機能アプリも紛れ込んでいるためです。
この理由からTwitterの公式アカウントなど、信頼できるページからダウンロード画面へ遷移してください。
Twitterプロフィール欄にある「plugwallet」のリンク先へ遷移
「Chomeに追加」をクリックして、拡張機能をインストールします。
まず、インストール画面で「アカウント引継ぎ」か「新規作成」の選択肢が現れます。
新規作成である「Create Wallet」をクリック
最初に、ウォレットのパスワードを設定します。12文字以上のパスワードを設定してください。
パスワードの設定後は、シークレットリカバリーフレーズを書き写す作業です。
シークレットリカバリーフレーズとは、ウォレットを復元させるための合言葉です。シークレットリカバリーフレーズ」 を失うと、ウォレットの中の財産を一切動かせません。
また、このフレーズは決して他人に公開しないでください。
シークレットリカバリーフレーズが漏洩すると、第三者があなたの財産を操作できるようになるからです。
いかなる場合にも、この情報は決して教えてはいけません。
インターネット上では、シークレットリカバリーフレーズを聞き出そうとする詐欺が多発しています。
このような詐欺に遭わぬよう、十分に注意してください。
モザイク部分をクリックすると、シークレットリカバリーフレーズが表示されます。
表示されたシークレットリカバリーフレーズを、正確に記録してください。また、記録した媒体は厳重に保管し、紛失しないでください。
記録が完了したら、チェックボックスをクリックして「Continue」を押す
これで初期設定は完了です。
③PlugにICPを送付する
Binanceに保管されているICPを、Plugへ送付します。
まず、Google Chrome拡張機能のアイコンをクリックして、Plugを選択してください。
拡張機能からPlugを起動する
公開アドレスを確認するため「Deposit」をクリック
「From Exchange, DFX, or Account ID」に記載された入金アドレスをコピー
Plug同士の送受金に使用するアドレスと、外部からの入金用アドレスが表示されます。
今回はBinanceから入金するため、下部の「From Exchange, DFX, or Account ID」をコピーしてください。
続いて、Binanceの操作画面で「ウォレット」を開きます。
フィアットと現物を選択
出金をクリック
通貨に「ICP」を選択し、Plug側でコピーした入金アドレスをペースト
binanceからの出金によって、PlugにICPが届きます。
これで暗号資産ウォレットに、ICPの入金ができました。
③PlugをEntrepotに接続する
続いて、暗号資産ウォレットをNFTマーケットに接続します。
ICPブロックチェーン上のNFTを売買できるマーケットが「Entrepot」です。このサイトは、イーサリアムにおけるOpenSeaと同様の機能を持ちます。
右上のアイコンを選択して「CONNECT YOUR WALLET」をクリック
Plugを選択
Plugのパスワードを入力すると、EntrepotにおいてNFT売買ができる状態となります。
④EntrepotにてNFTを購入する
最後に、EntrepotでNFTを購入します。
「MARKETPLACE」をクリック
この画面では、NFTコレクションの一覧が表示されます。このなかから、興味のあるコレクションを選択してください。
コレクション画面に遷移し、各個体を確認できます。
「BUY NOW」をクリックして、購入
これで、ICPブロックチェーンのNFTを購入できました。
ICP NFTの出品方法
続いて、NFTの出品方法を紹介します。
Entrepotでは、所有するNFTの売却も可能です。手放したいコレクションには、売却価格を設定しましょう。
①出品したいNFTアイテムを選択
まず、Entrepot上にてPlugを接続します。
右上のアイコンをクリックして、Collectedを選択してください。
Collectedをクリック
あなたの所有するNFTが、表示されました。この中から、販売したいNFTを指定します。
売却するNFTを選び「SELL」をクリック
続いて、価格設定をしてください。
②販売価格を入力する
最後に、販売価格の入力です。
Entrepotでは、NFTコレクションごとにクリエイターへの二次流通手数料が設定されています。価格設定にあたっては、二次流通手数料とマーケット利用料がかかる点に注意してください。
販売価格を設定する
価格設定が完了すると、マーケットで一般販売が開始されます。
③売却後にICPを入手する
最後に、暗号資産ICPの入金です。
第三者があなたのNFTを購入すると、自動でNFTが購入者に転送されます。
これと同時に、PlugにICPが着金します。
ICPのNFTに関するよくある質問
ICPブロックチェーンのNFTに関するよくある質問に回答します。
イーサリアムとの互換性はある?
イーサリアムとの互換性はありません。
ICPとイーサリアムは、互いに独立したブロックチェーンです。そのためICP上のNFTは、イーサリアムのブロックチェーンでは使用できません。
MetaMaskの接続はできる?
ICPブロックチェーンでは、MetaMaskは使用できません。
ICP上で使用できる専用の暗号資産ウォレットが「Plug」です。このPlugが、MetaMaskと同様の役割を果たします。
他の暗号資産銘柄でICPのNFTで売買できる?
他の暗号資産では、ICPブロックチェーン上のNFTを売買できません。
購入にあたっては、暗号資産ICPが必要となります。
ICPブロックチェーンのNFTを購入してみよう!!
ICPブロックチェーン上のNFTについて、紹介しました。
現時点では、ICPはイーサリアムと比較してマイナーなブロックチェーンです。しかし、イーサリアムよりも高いスケーラビリティを持つなど、大きな将来性を秘めています。
特にビットコインとの接続が完了すれば、ICPブロックチェーンへ多額の資金が流入するでしょう。
ICPブロックチェーンは、NFTの新たな基盤として注目をされています。
この機会に、ICPブロックチェーンのNFTを購入してみましょう。