2021〜2022年の暗号資産(仮想通貨)市場では、Play to Earnと呼ばれる遊んでお金を稼げるNFTゲームが大きな広がりを見せました。
そんなNFTゲームの普及に大きな貢献を果たしたのが、Yield Guild Games(YGG)と呼ばれるコミュニティであり、DAO(自律分散型組織)という非中央集権的な形式の組織として運営されています。
この記事では、そんなYield Guild Gamesの概要や特徴、運営の仕組みなどをわかりやすく解説していきます。
また、Yield Guild Gamesが投資・出資を行なっているNFTゲームもいくつかご紹介していくので、NFTゲームに興味がある方はぜひ最後までご覧ください。
この記事の構成
Yield Guild Games(YGG)とは?概要や特徴をわかりやすく解説
まずは、Yield Guild Gamesとはどういった活動を行なっているDAOなのか、その概要や特徴について解説していきます。
Play to Earn(P2E)のNFTゲームに特化したゲーミングギルド
Yield Guild Gamesとは、Play to Earn(P2E)のNFTゲームに特化しているゲーミングギルドです。
コミュニティが創設されたのは2020年ですが、その設立のきっかけは2018年にまで遡ります。当時、東南アジアを中心にAxie InfinityというNFTゲームが大きな盛り上がりを見せていましたが、ゲーム内で使用する「アクシー」というモンスターを購入する資金がない方が多く存在していました。
そこで、Yield Guild Gamesの共同創設者であるGabby Dizon氏は、自分が所有しているアクシーを他のプレイヤーに貸し出し始めます。それをきっかけとして、世界中のプレイヤーと投資家を繋ぐことができるコミュニティの創設を思いつき、Beryl Li氏と共同でYield Guild Gamesを創設しました。
現在では、30以上ものNFTゲームに投資・提携しており、参加者はコミュニティで所有しているゲーム内のNFTを借りて遊ぶことで、報酬を獲得することができます。
NFTゲームの普及によって多くのコミュニティが誕生しましたが、Yield Guild Gamesはその中でも世界最大規模のコミュニティと言えるでしょう。
DAO(自律分散型組織)と呼ばれるコミュニティによって運営されている
冒頭でも少しご紹介しましたが、Yield Guild GamesはDAO(Decentralized Autonomous Organization)という中央集権的な管理者がいないコミュニティによって運営されているという特徴があります。
DAOは日本語で「自律分散型組織」と呼ばれており、以下の2つの特徴を持っている組織と理解すればよいでしょう。
- 中央集権的な管理者がいない、分散化されている組織
- 自律的に運営され、成長していく組織
簡単に理解するのであれば、組織のリーダーがいなくともメンバーが自律的に活動し、成長していくコミュニティと理解すれば問題ありません。
また、下記で詳しくご紹介しますが、Yield Guild GamesではYGGトークンという組織の意思決定に参加できるガバナンストークンという暗号資産を発行しており、このトークンを使用してコミュニティの方向性を決定しています。
独自のガバナンストークンであるYGGトークンを発行している
Yield Guild Gamesでは、YGGトークンと呼ばれるガバナンストークンを発行しています。
その名前の通り、組織のガバナンス(統治・管理)する役割を持っている暗号資産であり、トークンの保有者はコミュニティの意思決定において投票する権利が与えられます。
また、YGGトークンを多く保有すればするほど、コミュニティ内での影響力が高まるという特徴も知っておくべきでしょう。
多くのベンチャーキャピタルから資金提供を受けている
Yield Guild Gamesの特徴として、数多くのベンチャーキャピタルから資金提供を受けていることも挙げられます。
実際、世界的にも非常に有名なベンチャーキャピタルであるa16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)からも評価を受け、2021年8月には約5億円の資金調達を行なったことを発表しました。
大手ベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)は、自律分散型(DAO)ゲームコミュニティ組織(ゲームギルド)のYield Guild Games (YGG)に出資したことを明らかにした。
〜中略〜
YGGは、この資金調達によって460万ドル(約5億円)を得ており、a16zの他に、Kingsway Capital、Infinity Ventures Crypto、Atelier Venturesなどが参加している。資金調達は、7月27日に実施されたYGGのトークンセールに先立って実施された模様だ。
こういった業界を代表するようなベンチャーキャピタルから資金提供を受けているという点は、Yield Guild Gamesに将来性や需要があると言える要素の一つです。
2022年3月に日本国内で活動を行うYGG Japanが誕生
画像引用元:PRTIMES
そんなYield Guild Gamesですが、2022年3月に株式会社ForN(フォーン)と提携し、日本国内で活動を行うYGG Japanが誕生しました。
ブロックチェーンゲームのDAO(自律分散型組織)型コミュニティを提供する株式会社ForN(フォーン)は24日、世界最大のブロックチェーンゲームギルド「Yield Guild Games(YGG)」と提携し、「YGG Japan」の国内運営を行うことを発表した。
〜中略〜
「YGG Japan」は、日本ユーザーに向けて新たなコンセプト「Play and Earn(遊んで稼ぐ)」を提供することを目指すゲームギルドだ。「スカラーシップ(奨学金)体制の強化、ギルド運営ツール、ゲームに関する各種インセンティブプログラム」を通して、日本のIP(知的財産権)を活用したブロックチェーンゲーム等を、全世界に届けるための環境整備に尽力する。
活動内容としてはこれまでと特に変わりませんが、日本のユーザーに向けてPlay and Earn(P2E)を普及していくことを目的としているようです。
また、YGG Japanの設立に伴い、数多くの日本企業から資金提供も行われているとのことなので、国内でも大きな注目が集まっていることは間違いないでしょう。
Yield Guild Games(YGG)の仕組み
ここでは、Yield Guild Gamesの仕組みについてご紹介していきます。
コミュニティ運営の仕組みや、Yield Guild Gamesに入ることでユーザーにどのようなメリットがあるのか知りたい方は、ぜひ確認してみてください。
DAOによってブロックチェーンゲームの中で使用するNFTに投資
Yield Guild Gamesの仕組みとしては、まずDAOによってゲーム内で使用するNFTを購入・投資していることが挙げられるでしょう。
購入しているNFTとしては、ゲーム内のアイテムやLAND(ランド)と呼ばれるようなメタバース上の土地などが挙げられます。
また、DAOが保有している全てのNFTはYGGトレジャリーに保管されており、コミュニティによって管理が行われています。
メンバーはゲームで使用するNFTを借りて遊ぶことで報酬を獲得できる
Yield Guild Gamesでは、コミュニティで保有しているNFTをメンバーに対してレンタルをしています。
つまり、NFTをレンタルしてゲームで遊ぶことで、ユーザーとしては報酬を獲得することができます。
もちろん稼いだ収益全てがユーザーに分配されるわけではありませんが、経済的な理由でNFTを購入できないという方にとっては、コミュニティに参加するメリットは大きいと言えるのではないでしょうか?
YGG SubDAOによってゲームごとのルールを規定して運営している
Yield Guild Gamesの特徴的な仕組みとして、YGG SubDAOの存在を挙げることができます。
画像引用元:Introducing the YGG DAO and SubDAO
SubDAOとは、簡単に言うとそれぞれのNFTゲームに特化して運営されているコミュニティです。
つまり、Axie InfinityやThe Sandbox、League of KingdomsといったNFTゲームごとにSubDAOが存在しており、独自のルールを定めてより効率的にコミュニティの運営が行われています。
また、SubDAO固有のガバナンストークンも発行されており、保有者はSubDAO内での投票権を得られるなど、大きな組織の中で小規模なコミュニティの運営が行われていると考えればわかりやすいかもしれません。
公式Mediumの記事でも言及されているように、Yield Guild Gamesは「SubDAOで構成されているDAO」となっており、それぞれのコミュニティが重要な役割を担っていると言えるでしょう。
Yield Guild Games(YGG)が投資・提携しているNFTゲームをいくつか紹介
次に、Yield Guild Gamesが投資・提携しているNFTゲームをいくつかご紹介していきます。
コミュニティに参加することでどのNFTゲームをプレイできるのか気になる方は、詳しく確認していきましょう。
Axie Infinity(アクシーインフィニティ)
Axie Infinity(アクシーインフィニティ)は、2018年にベトナムでリリースされた世界で最も有名なNFTゲームの一つです。
特にフィリピンをはじめとした東南アジアで大流行し、一時期はゲームで獲得した報酬だけで家族を養っている人もいるほどでした。
ゲームの内容としては、アクシーというモンスターを購入し、ユーザー間で対戦などをして遊ぶことでSLP(Smooth Love Potion)というゲーム内トークンを獲得することができます。
もちろん獲得したSLPは他の暗号資産に交換することができるので、文字通りゲームでお金を稼ぐことが可能です。
The Sandbox(ザ・サンドボックス)
The Sandbox(ザ・サンドボックス)は、メタバース空間の中で自分のアバターを自由に動かし、オリジナルのゲームやアイテム、建物などを作ることができるNFTゲームです。
まさにマインクラフトのNFTゲーム版となっており、2022年3月には登録ユーザーが200万人を突破するなど、数あるNFTゲームの中でも大きな人気を博しています。
また、メタバース空間の中の土地(LAND)もNFT化されており、所有者は他のユーザーにレンタルすることで収益を獲得することも可能です。
今後、よりNFTやブロックチェーンが一般社会に普及することで、新規ユーザーを伸ばしていくことが考えられるゲームと言えるでしょう。
League of Kingdoms(リーグオブキングダム)
League of Kingdoms(リーグオブキングダム)は、イーサリアムブロックチェーンで開発されているMMOシミュレーションゲームです。
自分の王国を建設して兵力の増強や他国との戦闘を行い、自国の領土を拡大していくゲーム内容となっています。
単純に他国と戦って勢力を拡大するのではなく、他の国との同盟を結ぶことができるなど、多様な戦略を組めるのも、このゲームの魅力の一つと言えるでしょう。
また、iPhone・Androidそれぞれに対応したアプリもリリースしており、気軽にスマホで遊ぶことができる点はユーザーにとって嬉しいポイントと言えます。
Star Atlas(スターアトラス)
Star Atlas(スターアトラス)は、約600年後となる2620年の宇宙空間を舞台としたNFTゲームです。
開発ブロックチェーンはSolana(ソラナ)が採用されており、同ブロックチェーン上の分散型取引所であるSerumからのサポートも受けています。
ゲームの内容としては、人類・異星人・アンドロイドが支配している3つの勢力のいずれかに参加し、宇宙を探索しながら自国の領土を拡大していきます。
上記のプロモーションビデオの通り、ゲームとしてのクオリティは非常に高く、これまでのNFTゲームとは一線を画していると言えるのではないでしょうか?
Genopets(ジェノペッツ)
Genopets(ジェノペッツ)とは、遊んで稼ぐ「Play to Earn」と運動して稼ぐ「Move to Earn」を掛け合わせたNFTゲームです。
Genopet(ジェノペット)と呼ばれるペットのNFTを購入し、歩きながら育成やバトルを行うことでゲーム内のトークンを稼ぐことができます。
日本人に馴染み深いゲームでイメージするなら、ポケモンGOを想像するとよいかもしれません。
2022年にSTEPNが爆発的な人気を博したことから、今後もGenopetsなどのMove to Earnのプロジェクトには注目していく必要があるでしょう。
ガバナンストークンのYGGを購入する方法・手順
記事の最後に、Yield Guild Gamesが発行しているガバナンストークンYGGを購入する方法をご紹介していきます。
実際の手順のスクリーンショットもあわせて解説していくので、YGGトークンへの投資に興味がある方は詳しくチェックしていきましょう。
国内取引所でビットコインなどの暗号資産を購入する
YGGトークンを取引するためには、まず原資となるビットコインなどの暗号資産を購入する必要があります。
ビットコインは基本的にほぼ全ての国内取引所で取り扱われているので、自分が利用しやすい取引所で購入すれば問題ありません。
もし、まだ国内取引所のアカウントを持っていないという方は、後に行う海外取引所への送金手数料が無料のBITPOINTが使いやすいと考えられます。
BITPOINTの口座開設が完了したら、日本円の入金を行いビットコインなどの暗号資産を購入しておいてください。
YGGトークンを取り扱う海外の暗号資産取引所に送金する
国内取引所でビットコインなどを購入できたら、次にYGGトークンをラインナップしている海外取引所に送金していきます。
YGGトークンを取り扱いしている海外取引所は複数ありますが、今回は世界最大の暗号資産取引所であるBinance(バイナンス)への送金を例にして確認していきましょう。
Binanceの管理画面にログインしたら、まずは「ウォレット」→「フィアットと現物」の順番にクリックしてください。
次に、国内取引所から送金したい暗号資産の「入金」をクリックします。今回は例として、ビットコインの「入金」を選択していきます。
画面が切り替わると、Binanceへの送金アドレスが表示されるので、赤枠で示したアイコンをクリックしてコピーしておいてください。
再び、暗号資産を購入した国内取引所の管理画面に戻り、Binanceの送金アドレスを貼り付けて送金手続きを完了させましょう。
送金した暗号資産でYGGトークンを購入する
Binanceへの送金が完了したら、送金した暗号資産を原資にしてYGGトークンを購入していきます。
Binanceにログイン後、画面上部にある「トレード」→「現物」の順番にクリックしてください。
画面が切り替わると、暗号資産の現物取引の画面が表示されます。まずはYGGトークンの取引画面に移動する必要があるので、赤枠で示した検索窓に「YGG」と入力しましょう。
YGGトークンの取引画面が表示されたら、最後に購入手続きを完了させてください。
以上で、ガバナンストークンのYGGを購入する手順は完了です。
Yield Guild Games(YGG)の特徴・仕組みや提携するNFTゲームまとめ
今回の記事では、Play to EarnのNFTゲームに特化したコミュニティ、Yield Guild Games(YGG)について解説してきました。
ご紹介したように、Yield Guild Gamesに参加しているメンバーはコミュニティで保有するNFTを借りることができ、ゲームで遊ぶことで報酬を得られる仕組みとなっています。
また、DAO(自律分散型組織)という非中央集権的な組織によって運営されていることも、大きな特徴として挙げられるでしょう。
今後、さらにNFTゲームが社会に普及していくことで、Yield Guild Gamesが果たす役割もより大きなものになってくるかもしれません。