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次世代ブラウザBraveとは?使うだけで暗号資産がもらえる仕組みと広告カットの快適性について解説

解説系記事

「〇〇をするだけで暗号資産(仮想通貨)がもらえる!」と謳うサービスが増えています。

しかしその多くは、必ずしもユーザーにとって有益なサービスであるとは限りません。中には、ユーザーは指定された広告を閲覧するだけで少量のBTCがもらえるというように、ただ既存の広告ビジネスモデルを後押しするだけのものもあります。

その中において、本記事で紹介するBrave(ブレイブ)と呼ばれるブラウザは一線を画します。

BraveはGoogle ChromeやSafariなどと同じWebサイトを閲覧できるブラウザです。そして、ユーザーはBraveを利用するだけでBAT(Basic Attention Token)という暗号資産を受け取ることができます。ですが、Braveが提供する価値はそれだけではありません。

この記事では、次世代ブラウザと呼ばれるBraveの機能やエコシステム内で流通する暗号資産BAT、そしてBraveがもたらす真の価値について解説します。

Brave Software社について

BraveとBATを開発・運営しているのはBrave Software社です。インターネットブラウザの業界では非常に著名なBrendan Eich氏とBrian Bondy氏の2名によって創設されました。

Eich氏は1995年にプログラミング言語であるJavaScriptを発明した人物でもあります。その後、2004年には世界的に利用されているWebブラウザのMozilla Firefoxのローンチにも貢献しました。

かたやBondy氏も、Mozilla、Corel Corporation、Khan Academyなどでソフトウェア開発に従事した経験豊富なエンジニアです。

その他、公式サイトに掲載されているチームメンバーの多くが開発やエンジニアリングのバックグラウンドを持っています。

Braveブラウザとは

引用元:Brave

BraveはGoogle ChromeやSafari、Microsoft Edgeなどと同様のインターネットブラウザです。

公式サイトの言葉を借りてBraveの特徴を一言で表すと、「邪魔な広告をカットできる次世代の高速ブラウザ」と言えます。

また、Braveのもう1つの特徴として、ユーザーはBraveを利用することでネイティブトークンのBATを受け取れるという点があります。

「広告の排除」および「暗号資産の付与」というエコシステムの構築により、インターネット環境にさらなる快適性をもたらすこと、そして既存の広告ビジネスモデルを変革すること。これがBraveが目指す世界です。

ではここからは、Braveが考える既存のインターネットの課題である「ネット広告のあり方」についてより深く考えていきましょう。

既存のインターネット広告の課題

Braveは「高速表示による快適性」と「プライバシーの保護」を追求するブラウザです。

これは裏を返せば「既存のインターネットは表示が遅くて快適ではない」、そして「プライバシーが保護されていない」ことを意味しています。

そしてその原因となるのが、わたしたちが日々インターネット上で目にする広告です。

Web広告の世界には「リターゲティング広告」という手法があります。

これは、テレビCMや新聞のように、大勢の人に対して一斉に同質の内容を届けるマス広告とは対極にあるものです。

具体的には、ユーザーが過去に訪れていたサイト情報を企業側が取得することで、ユーザーがどのような商品に興味を持っているかを把握し、その趣味嗜好に合わせた広告を何度もネット上に表示することで購買につなげる手法です。

スマホやパソコンで何気なくWebサイトを見ているときに、同じような商品・サービスの広告が何度も画面上に表示された経験がある人も多いのではないでしょうか。

それがまさにリターゲティング広告です。

リターゲティング広告は不特定多数のユーザーに一斉配信する広告に比べて、個人の趣味嗜好に合致する広告のみを効率よく画面上に表示させることができるため、効果的に顧客にアプローチすることができます。

ユーザーの閲覧したサイト情報を取得するために用いられているのが「Cookie(クッキー)」という仕組みです。

Cookieとは、わかりやすく言えばユーザーがWebサイトにアクセスした情報を蓄積したデータのようなものです。

このCookieに蓄積した情報を利用して、企業や広告主は個々のユーザーに最適な広告を見せることが可能になっています。

そしてこのリターゲティング広告こそが、インターネットの快適性とプライバシーを損なう原因となっているのです。

インターネット広告の課題その1 〜快適性〜

引用元:Brave

Web広告は以下の2つの点において、インターネットの快適性を損なっています。

  • 広告表示による画面読み込み速度の遅延
  • (ユーザーにとって)望まない広告の表示

まずは画面の読み込み速度の遅延です。

Webサイトを閲覧する際、画面上に表示される画像や動画の数が多いほど、読み込みにかかる時間は長くなります。

特にスマホの通信速度制限がかかっているときなどに、画像の読み込みができずイライラした経験がある人は少なくないはずです。

そしてこの遅延は、元々サイトに掲載されている画像のみならず、画面の隅に表示されている広告画像によっても引き起こされます。

ユーザーが望まない広告画像の表示のために、ブラウザの表示速度が損なわれてしまっているのです。

これに加えて、広告が表示されることをユーザーはそもそも望んでいないということも問題です。

もちろん、リターゲティング広告は自分の趣味嗜好に合わせた広告を表示してくれるため、自分にとって全く役に立たない広告ばかりを見せつけられているわけではありません。

ときには、リターゲティング広告に表示された商品やサービスの中から、本当にほしいものが見つかることもあるでしょう。

しかし、積極的に「広告を見たい、ぜひ見せてほしい」というような考えを持っているユーザーは基本的に少数のはずです。

多くの人にとって、Webサイト上にむやみやたらと表示される広告は望ましいものではありません。

このようにWeb広告は、読み込み速度の遅延と望まない広告の表示という2点においてインターネットの快適性を損なっていると言えます。

インターネット広告の課題その2 〜プライバシー〜

引用元:Brave

Web広告のもう1つの課題はプライバシーの保護です。

わたしたちがWebサイトにアクセスした情報を蓄積しているCookieは、ユーザーの趣味嗜好や個人情報を「勝手に集めている」と考えることもできます。

そして企業や広告主は、集まった情報をユーザーが知らぬところで勝手に用いてリターゲティング広告に利用しているとも言えます。

最近では、Cookieによる情報収集を許可するか否かをユーザーに問うWebサイトも増えましたが、それでも基本的にはユーザーにとって「自分の知らぬところで勝手に情報を収集されている感」は否めません。

このように、個人の情報を自動的に収集してビジネスに用いることはプライバシーの侵害にあたるとされ、既存のインターネット広告の大きな問題点の1つだとされています。

Braveブラウザがもたらす解決策

これらの課題に対して解決策を打ち出しているブラウザがBraveです。

Braveの主要な特徴として、以下の2点があります。

  • 不要な広告をブロックする(Brave Shields)
  • Cookieに情報を蓄積しない

まずはBrave Shields(ブレイブ・シールド)と呼ばれる広告の自動ブロック機能です。

Google ChromeとBraveで同じWebサイトを開いた画面を比較してみましょう。

【Google Chromeで閲覧したYahoo! JAPAN のトップページ】

Google Chromeでサイトを開いた場合、画面の右側(赤枠部分)にかなり大きなサイズで広告が入っていることが確認できます。

【Braveで閲覧したYahoo! JAPAN のトップページ】

Braveで同じサイトを開いた場合、先ほど広告画像が掲載されていたスペースに画像はありません。

画像がなくなったことで、画像の下部に配置されていた情報が上に詰めて表示されています。

このように、Braveは初期状態ですでに「広告カット」の機能が有効になっているため、ほぼ全てのインターネット広告を自動的に非表示してくれます。

これは、YouTubeの視聴時に途中で挿入される動画広告にも有効です。

本記事の筆者も一度BraveでYouTubeの視聴を試してみましたが、広告は一切表示されませんでした(もちろん、YouTubeアプリでの視聴時の広告はカットされません)。

この広告カット機能により、不必要な画像を読み込まずに済むため、画面の表示速度が向上します。

公式サイトによると、スマートフォンでは最大8倍、パソコンでは最大2倍の読み込み速度向上が見込めるようです。

次に、Braveを使用している間はCookieに情報が蓄積されることがありません。

これはつまり、広告の自動カットに加えて、そもそもリターゲティング広告を打つために必要な個人情報を回収されることがないことを意味しています。

Braveの公式サイトには「個人情報をデバイスから外には出しません」との記載があります。

Cookieに限らず、何らかの手法でWebサイトがユーザーの個人情報を外部に送ろうとした際は、Braveが自動的にその動きをブロックしてくれます。

この機能により、Braveは非常に高いレベルでユーザーのプライバシー保護を実現しています。

BATとは

Brave最大の特徴であるWeb広告のカット機能についてはすでに述べた通りです。

しかし、Braveにはもう1つ大きな特徴があります。

それが、ネイティブトークンであるBAT(Basic Attention Token)の存在です。

BATを入手する方法としては、暗号資産取引所で購入する以外に「Braveを利用する」というものがあります。

Braveを使ってWebサイトを閲覧するだけで、BATトークンが付与されるのです。

また、BATの使いみちも非常にユニークなものがあります。

ここからはBATの特徴について解説します。

BATの獲得方法

引用元:Brave Rewards

BATを獲得する方法はとても簡単です。

Braveを利用し、Brave Rewards(ブレイブ・リワード)と呼ばれる独自のプライベート広告を閲覧するだけです。

不要な広告カットが強みのBraveにおいて、広告を見ることで報酬が得られるのは違和感があるかもしれません。

しかし、実際にBraveを利用するとわかりますが、このBrave Rewardsという広告は非常に控えめな広告です。

また、Brave Rewardsの閲覧は完全に任意であり、一般的な広告と違って強制的に画面に表示されることはありません。表示させたくない場合は、あらかじめそのように設定することも可能です。

このようにBrave Rewardsを見ることで獲得したBATは、国内暗号資産取引所bitFlyerのウォレットに毎月自動的に出金することもできます。

獲得できるBATは非常に少額ですが、文字通り「Braveを使うだけ」で暗号資産が獲得できるため、あえてこれを避ける必要もありません。

そもそもBraveの広告カット機能は非常に快適なため、その快適性を享受するついでに暗号資産も獲得できると考えれば、もはや使わない理由がないサービスであるとさえ言えます。

エコシステム内でのBATの用途

出金して日本円にすることもできるBATですが、エコシステム内でそのまま活用することもできます。

BraveエコシステムにおけるBATの主要な用途には以下のようなものがあります。

  • 広告主からBraveユーザーに対する広告閲覧時の報酬支払い
  • ユーザーからコンテンツクリエイターに対する投げ銭

Braveのエコシステムの登場人物には主に「広告主」「利用者(Braveブラウザを閲覧するユーザー)」「コンテンツクリエイター」の3者がいます。

広告主は、Brave Rewardsを閲覧したユーザーに対する報酬としてBATを支払います。

ユーザーは受け取ったBATを、コンテンツクリエイターに対する報酬支払いに利用することができます。

具体的にはYouTubeやTwitch、Reddit、GitHub、Vimeoなどのコンテンツプラットフォームでは既に投げ銭としてBATが利用できるようになっており、BraveユーザーはBrave Rewardsの機能を有効にしておくことで、各プラットフォームでBATを使って投げ銭ができます。

コンテンツクリエイター視点に立てば、広告収入以外の収益化手段として、ファンからのダイレクトな支援をBATにて受け取ることが可能な仕組みになっています。

Braveの利用体験談

2021年末時点でBraveの月間アクティブユーザー数は5,000万人を突破しており、5年連続で前年の2倍増を達成しています。

本記事の筆者も、メインのブラウザとして日常的にBraveを使っています。

そこで、Braveの特徴について「実際のところはどうなのか?」という体験談をもとに改めてまとめます。

まず、広告カット機能は非常に快適です。

読み込み速度自体は、通信速度に問題がないネット環境であればそこまで大きなメリットは感じません。

一方、広告が一切表示されない機能は、一度Braveを使うと他のブラウザに戻れないほど快適です。いかに普段わたしたちが、多くの広告を強制的に見せられていたかを強烈に実感できるレベルで、Braveは広告をカットしてくれます。

また、自ら広告を閲覧することで獲得できるBATについては、月間の獲得額が数十円から最大でも100円程度と、これだけで大きく稼げる金額ではありません。

しかし、Brave Rewardsが優れているのは「見ていることに気づかない程度の控えめな広告」である点です。

以下の画像は筆者が実際に広告を閲覧することで受け取ったBATの金額ですが、この報酬を獲得するためにBrave上で広告を見たという実感がそもそもありません。

おそらく、ユーザー側が「これがBrave Rewardsの広告だ」とはっきり認識することすらない程度の広告を、時折見せられているのだと思います。

結果的に、広告を見ている実感は一切なく、ただBraveを使っているだけでいつの間にか報酬を受け取ることが出来ています。

さらにBraveは、Google ChromeやSafariから移行するのがとても簡単です。

初めてBraveをダウンロードした際は、Google Chromeでブックマークしているサイト情報はすべて引き継ぐことができました。

また、Google Chromeの拡張機能は基本的にBraveでも利用できるため、MetaMaskなどの暗号資産ウォレットもまったく同じような使い心地で使用できます。

Braveの今後の展望まとめ

本記事では次世代ブラウザBraveについて解説しました。

Webブラウザのシェアでは今なお、Google Chromeが圧倒的な強さを誇っています。

しかし今後、ブロックチェーン技術を備えたサービスが各方面で用いられるようになれば、中央集権的な存在による一方的な広告ビジネスに対するアンチテーゼとしてBraveの地位はさらに高まっていくと考えられます。

何より、快適な環境でWebを利用できる上に報酬までもらえるサービスを使わない理由はないはずです。

ここまでお読みいただいた方は、ぜひBraveをダウンロードして、次世代のブラウザを実際に体験してみてください。

Sparrow

Sparrow

フリーランスのWebライター。ブロックチェーンの非中央集権的な世界観に惚れ込み、暗号資産・NFT・メタバースなどのWeb3領域に絞って記事を執筆。自らの暗号資産投資やNFT売買の経験をもとに、難しいと思われがちなブロックチェーンについて、初心者にもわかりやすい記事を書くことを心がけています。好きなNFTクリエイターは「おにぎりまん」氏。
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