Youtubeやinstagramなどで、実際にライブをしながら商品の販売を行う「ライブコマース」という販売手法をご存じでしょうか。ライブコマースは、スマートフォンと通信環境さえあれば、すぐにオンライン販売を始めることができますよ。
日本では馴染みが薄いですが、中国や東南アジアを中心とした地域では普及しており、年々成長を続けているEC市場です。中国国内では2022年に売上高55兆円を突破し、今後はさらに伸びると言われています。
現在、この「ライブコマース」と、仮想空間の「メタバース」を組み合わせた「メタバースコマース」のプロジェクトが多く立ち上がっています。
この記事では「メタバースコマース」とはなにかという基礎的なことから、日本での市況、具体的なプロジェクトの概要をまとめました。メタバースはゲームとして遊ぶだけでなく、ECビジネスの可能性を大きく秘めています。ぜひ記事を参考にして、未来のECを考えてみてください。
この記事の構成
メタバースコマースとは?
メタバースコマースとは、メタバース内で通販のように商品を紹介して販売を行うことです。
記事の冒頭でも説明したように、ライブコマースは中国や東南アジアでは人々の間で浸透しています。現在はインフルエンサーが商品を紹介するのが主流となっていますが、今後はVRやメタバースへと移行すると予想されています。
日本では、そもそもライブコマースがあまり普及していません。よって、今後日本でメタバースコマースが普及するには、まずはライブコマースの文化ができることが先決と考えられます。
一方で、日本ではライブコマースがあまり普及していません。販売者、利用者共に少なく、まだ未開の領域であると言えます。
次からは現在の日本や世界のライブコマース市場がどのような状況にあるか、より細かく見ていきましょう。
現在のライブコマース市場
ここでは、世界と日本のライブコマース市場を解説していきます。
世界のライブコマース市場は急成長中
新型コロナによる巣篭もり需要も相まって、世界各国のライブコマース市場は年々大きくなりつつあります。
中国での売上は、2021年に2996.6億ドル(約41兆円)、2022年には4794.6億ドル(約65兆7,000億円)と60%以上の伸びを記録すると予想されています。
米国での売上は、2021年は110億ドル(約1兆5,000億円)、2024年には350億ドル(約4兆8,000億円)と3年間で3倍以上に成長すると予想されているようです。
すでにAmazonやTaobaoなどの世界的大手ECサイトから、楽天やZOZOTOWNなどの国内ECサイトまでライブコマースへの参入を発表しています。ライブコマースは今後も人々の関心を集める分野となりそうです。
日本での市場規模は小さい
日本の大手ECサイトはライブコマース機能を実装しているものの、まだ流行っているとは言えないのが現状です。
日本のライブコマース市場の売上は2021年で314億円、2022年に492億円と、中国やアメリカと比べると、大きく見劣りする数字になっています。日本で普及していない原因は、消費意欲が低いことや、新しいものを敬遠しがちなとさまざまな国民性や商慣習が関係している
と考えられます。
今後ライブをメタバースで行う可能性
日本の市場規模はまだ小さいですが、2024年には2021年の売上の3倍以上となる984億円になると予想されているように、成長市場であることは間違いありません。また、日本にはアニメの文化があり匿名のネットユーザーが多いことから、ライブコマースをVRやメタバースでアニメグッズを取引したり。その取引をアバターなど匿名性が担保されるかたちで実施する土壌があるとも考えられます。
現在、数々のメタバースコマースの開発が進んでいます。次からはどのようなプロジェクトがあるかを見ていきましょう。
具体的なメタバースコマースのプロジェクト
ここでは、以下3つのプロジェクトを紹介していきます。
- EC・ライブコマース機能が一体化した「Vma dome」
- 全世界から100万人以上が参加する「バーチャルマーケット 2022」
- さわって楽しむメタバース「さわれるライブ™ 5D LIVE™」
内容を具体的に見ていきましょう。
EC・ライブコマース機能が一体化した「Vma dome」
引用:https://vma.virtual-space-market.com/
「Vma dome」とは、ECやライブコマース機能に特化したメタバースです。
Vma domeではショッピングモールのように、区画に分けられたブースが販売されています。ブースは「Type A」「Type B」「Type C」の3つが用意されており、それぞれ音声通話やライブ配信などを行うことができます。
ビジネス向けに作られたメタバースであり、ブラウザから利用可能です。月額利用料は税込330,000円〜で、メタバースの新たな活用方法として関心を集めています。
全世界から100万人以上が参加する「バーチャルマーケット 2022」
引用:https://summer2022.vket.com/
バーチャルマーケット 2022とは、アバターなどの3Dデータやリアル商品(洋服、PC、飲食物など)を売買できる世界最大のVRイベントです。
イベント内では有名セレクトショップの「BEAMS」によるオンライン接客やアバター衣装の販売、製薬会社の「ロート製薬」による目薬鉄砲アトラクション、Webやデザインを教える大学「デジタルハリウッド大学」はオープンキャンパスを開催するなど、多種多様な企業や団体が出展を行っています。
バーチャルマーケットは毎年開催されており、参加することで現在の最先端のメタバース市場を感じることができるはずです。
「バーチャルマーケット2022 Summer」は2022年8月13日〜8月28日の開催、「バーチャルマーケット2022 Winter」は2022年12月3日〜12月18日を予定しています。参加は「スマホ/Webブラウザ」「VRChat」「Vket Cloud」のいずれかから無料(バーチャルマーケット2022 Summerの場合)でできるので、興味のある方はぜひ次の開催をチェックしてみてください。
さわって楽しむメタバース「さわれるライブ™ 5D LIVE™」
引用:https://5dlive.birdman.tokyo/
「さわれるライブ™ 5D LIVE™」とは、VRの映像に触れて新しい体験ができる、メタバース型バーチャルプラットフォームです。
さわれるライブ™ 5D LIVE™では、会場内を自由に歩きお気に入りの出演者の動きにフォーカスする、画面をタッチすると花火が上がる、VRで空間に入り込むなど、ユーザーを魅了するさまざまな演出が用意されています。また、ライブを行うアーティストが着ている服を実際に購入するといった、ライブコマース機能も実装しています。
すでに公開されており、公式サイトではデモ版を触ることが可能です。すでに有名タレントとのコラボも実現している、期待感の高いプロジェクトです。
まとめ
ライブコマースは世界的に伸びている分野ですが、日本で普及するのはもう少し先になるかもしれません。 また、メタバースについての世間一般の認知度もまだまだ低いため、「メタバース × ライブコマース」の実現は、今すぐの実現は想像できないようにも思えます。
しかし、世界最大のイベント「バーチャルマーケット 2022」には、みずほ銀行やSMBC日興証券、東京マルイ、JR西日本など日本の名だたる企業も参加しています。今後は業界の垣根を超えて、さまざまな企業が参入してくることでしょう。
メタバースは、エンターテイメント性の部分だけでなく、ビジネスへの活用も期待されています。今後もぜひ注目して見ていきましょう。