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日本発の注目NFTコレクション「NEO TOKYO PUNKS」を解説

解説系記事

2022年に入って世界で毎日のようにNFTプロジェクトがリリースされるようになり、日本からも多くのプロジェクトが発信されています。

なかでも大きな注目を集めており、「日本発として初めての世界的成功事例」となりそうな勢いなのが「NEO TOKYO PUNKS」です。ジェネラティブNFTコレクションですが、作品に日本らしい特徴を取り入れており海外のユーザーからも高く評価されています。

引用元:OpenSea

コミュニティも活発に活動しており、ユニークな試みが行われています。今後のNFTプロジェクトの雛形になる可能性があります。

この記事では、NEO TOKYO PUNKSのコンセプトや概要、コミュニティや「ギルド」と呼ばれるグループ、数多くあるコラボの一部を紹介します。

NEO TOKYO PUNKSとは?

世界では「日本のニンジャ」は有名な存在です。きっかけはアメリカ映画「燃えよNINJA」やアニメ「NARUTO」で、日本忍者協議会によると海外での忍者の認知度は驚くほどに高いと報告されています。

海外10ヶ国で忍者を認知している人のなかで「現在も忍者が存在している」と答えた人は全体の60%以上もいます。

引用元:ファミ通.com

「NEO TOKYO PUNKS」はそうした海外での忍者の人気を受けて開始されたNFTコレクションです。世界の人が「ニンジャ」に持っているイメージを上手に利用しながら強いコミュニティを形成しています。

ここでは、「NEO TOKYO PUNKS」のコンセプトを紹介します。

サイバーパンクがコンセプト

引用元:NEO TOKYO PUNKS

NEO TOKYO PUNKSは「ニンジャとアニメとサイバーパンク」をコンセプトにした日本発祥のNFTプロジェクトです。

創設者(Founder)は「NIKO24」氏で、「THE WOLF NFT」や「META WOLF」など数多くのNFTプロジェクトを成功させています。NFTアートを手掛けるアーティストは芸術性にこだわる個性派がいる一方で、「ポップでキャッチーだが個性がない」というアーティストもいます。

NIKO24氏は「力強いタッチ」「物語性を感じさせるデザイン」が特徴のNFTアーティストで、NEO TOKYO PUNKSでもその個性が発揮されています。コレクションは様々な装備を身につけたキャラクターの横顔で、顔や服装、装備などのパーツを組み合わせた典型的な「ジェネラティブアート」の手法で作られています。

ジェネラティブアートは基本となる横顔を複数用意して、そこに装備や髪型、持っているアイテムなどを組み合わせて大量のNFTを一気に作り上げるものですが、キャラクターデザインによっては一部の装備が不自然に装着される絵になってしまうこともあれば、色味が不釣り合いになってしまうこともあります。

NEO TOKYO PUNKSはジェネラティブNFTとしての完成度も高く、すべてのイラストがぴったりと「ハマっている」状態で、これまでのNIKO24氏の経験が活かされているコレクションになっていると言えます。

NEO TOKYO PUNKSは全部で2222体が発表されましたが、2022年3月26日プレセール・27日パブリックセールですべてが短時間で完売して高い人気ぶりをうかがわせました。

ストーリー性のある世界観

ヒットしているNFTコレクションには「魅力的なストーリー」や「しっかりとした世界観」が付き物です。NFTアートそのものは単なる「1枚のイラスト」に過ぎません。複数のイラストが「どういうストーリーを背景にして」描かれたのかを提示し、背後のストーリーに魅力があるほどコレクションは価値が出ます。

NEO TOKYO PUNKSはホルダーやファンが思わず二次創作の漫画やアニメを作りたくなるような魅力的な世界観が提示されています。実際、ファンアートとしての二次創作が多数制作されていて、SNSなどにアップされています。

引用元:NEO TOKYO PUNKS

公式サイトのストーリー説明では「俺達のトウキョウを取り戻そう」と呼びかけています。

2050年、トウキョウは永遠の生命に執着する権力者たちの欲望が作り出した仮想世界である「ブレインバース」に支配されており、社会は分断されて市民は搾取されているという世界観です。

「NEO TOKYO PUNKSに描かれているキャラクターたちは、ブレインバースをハッキングしようと試みているが、そこに大きな問題が立ちはだかる」と書かれています。

ブレインバースは「不老不死に執着する権力者」と「搾取される市民」に二極化しており、それをハックして東京を取り戻すというのが「NEO TOKYO PUNKS」のコンセプトです。

「そこに立ちはだかる大きな問題が何なのか」「ブレインバースとはそもそもどういう世界なのか」はあえて示されていません。欠けている重要な部分をファンたちで想像していく楽しみを残しているのが二次創作の意欲をかきたてます。

なぜこういうコンセプトに?

NEO TOKYO PUNKSの創設者であるNIKO24氏は、元々は「THE WOLF」でコミュニティを立ち上げ、そこでNEO TOKYO PUNKSのメインスタッフとなるTOMO氏やエンジニアの0xSumo氏と出会っています。

引用元:Twitter

さらに本業が放送作家であるSHOWGO氏やデジタル知財に関する企業を経営するRyo氏などが加わり、「世界に日本のサイバーパンクのクオリティを示すこと」をミッションとしてプロジェクトがスタートします。

企画がスタートした頃はまだ日本ではジェネラティブNFTが流行しておらず、多くはアーティストが1枚ずつ手描きしたNFTアートを販売しているという状況でした。海外でジェネラティブNFTアートが盛り上がっているのを見たスタッフたちは、「日本から世界にも通用するNFTコレクションを生み出したい」という気持ちを持つようになりました。

NIKO24氏が販売していた「THE WOLF」というコレクションは手描きの70枚ほどのNFT作品でしたが、ここでは「なかなかコミュニティが広がっていかない」という実感があったと語っています。

そこで、NEO TOKYO PUNKSではホルダーたちと一緒に物語を共有して拡張していく「ジェネラティブ・ストーリー」という思想で展開することにしたと語っています。「富裕層や権力者が支配するブレインバースから失われた東京を取り戻す」という大枠だけ決めて、2222体のNFTが登場人物になってコミュニティ内で物語の詳細を考えていくというものです。

こうして、ホルダーにとっては「いつ」「どういう物語」に自分のイラストが登場するのかという楽しみを持たせることが可能になりました。

大枠の物語だけ決めて、ホルダーやファンが想像を膨らませてストーリーを形作っていくという手法が受け入れられ、NEO TOKYO PUNKSは大きな人気を獲得しました。日本では人気のあるアニメやマンガの二次創作をファンが手掛けて盛り上がるという文化が定着しています。日本人の旺盛な二次創作意欲を上手に刺激した点にNEO TOKYO PUNKSの人気の秘訣がありそうです。

コミュニティが充実しているのが強み

NFTコレクションの面白いところであり、難しいところでもあるのが「ファンやホルダーによるコミュニティの存在が欠かせない」という点です。

コレクションの価値は「コミュニティの盛り上がり」にかかっているので、多くのNFTコレクションがコミュニティの発展のために様々な施策を実行しています。

NEO TOKYO PUNKSは企画段階からコミュニティの大きな盛り上がりがあり、人気を決定づけました。ここでは、NEO TOKYO PUNKSのコミュニティを紹介します。

ホルダーがコレクションを盛り上げようとしている

NEO TOKYO PUNKSはパブリックセールはわずか2分で完売するという人気ぶりを見せつけました。OpenSeaでは最高で27位にまで上昇するという実績を残しました。

NEO TOKYO PUNKSのコミュニティマネージャーであるTOMO氏は、この背景には「強いコミュニティがあるから」と語っています。

プロジェクトはすでにNFTローンチ前から存在していたDiscordのコミュニティ内でリリースまでの過程を公開し、「みんなでNEO TOKYO PUNKSを盛り上げよう」という空気が作られていたそうです。Twitterなどでの情報拡散を通じて、認知度が高まりファンの熱量も上がっていったとのことで、コミュニティがどれほど大切か分かります。

また、パブリックセールの後に投資家から「NFTの価値を高めるためのアクションを起こしてほしい」というリクエストがあり、そのときにもコミュニティのメンバーが「日本のサイバーパンクを世界に広げる」というミッションのもと尽力したと語っています。

ホルダーがコレクションを盛り上げようとする姿勢が強く、運営と一体になってコレクションを成長させています。「ホルダーと運営が一体に」というのは多くのコレクションで目指している形ですが、成功事例は実際には少なく、NEO TOKYO PUNKSは今後のNFTコレクションの方向性を示すものと受け止められています。

引用元:Twitter

ファンの熱い思いが伝わるツイートです。「二次創作」である点もNEO TOKYO PUNKSらしいと言えるでしょう。

引用元:Twitter

笹川友里さんは、元TBSのアナウンサーで退職後は実業家としてキャリアをスタートしている有名人です。「有名人が購入して、それを公表する」というのも、NFTコレクションのヒットに欠かせない要素のひとつです。

Discordで熱狂的なコミュニティが立ち上がっている

NEO TOKYO PUNKSは世界観の良さとイラストの完成度の高さなどがファン心理をくすぐる出来栄えで、コミュニティは非常に盛り上がっています。外野から見ると「ちょっと引いてしまう」レベルになっており、この熱量が今後のコレクションの価値を高める可能性があります。

NEO TOKYO PUNKSの特徴は「背景に物語性がある」というだけでなく、購入時のNFTの個々のレアリティに関係なく保有するNFTに付加価値がつくという点です。

通常のNFTコレクションでは、NFTのパラメータによってレアリティの格付けがされています。出現頻度が高いものは価格が安くなる傾向があり、出現頻度が低いものは価格が上昇します。

ところが、NEO TOKYO PUNKSでは「いつ」「どういうストーリーで」キャラクターが登場するのか分かりません。そのため、レア度だけではNFTの価格が決まらないのです。

Discordでは、ファンが自由に創作をしています。TOMO氏によると、「月に3回から5回くらいの頻度で運営が日時や場所、イベントなどを決定し、ストーリーの要素として発表」します。発表を元にホルダーが物語を創作します。

引用元:Twitter

Discordのコミュニティでは、「シーンごとのスレッド」が立ち上がるほどの盛り上がりで、「Discordのスレッドが二次創作の現場」に変貌します。なかには、小説ほどの分量のストーリーを創作する人もいますし、動画を編集してナレーションを付けるファンもいます。

「ギルド」に分かれてNEO TOKYO PUNKSの世界を楽しんでいる

NEO TOKYO PUNKSにはコミュニティをさらに細分化した「ギルド」というシステムがあります。簡単にいうと「派閥」ですが、人数の少ないチームに分かれることで「結束感のより強い仲間」という感覚が楽しめます。

ギルドは主にNFTのアイテムからチームを振り分けます。ギルドごとに個性が異なり、ギルドがそれぞれに正義やバックボーンを背負っているという設定です。

NEO TOKYO PUNKSのギルド一覧

  • NEO TOKYO PUNKS
  • HOPE
  • WAGMI
  • DENNOW
  • SKULL
  • W-WIND
  • FUTURE
  • NO BAD VIBES
  • 神神
  • jokers
  • GUILD-XX

ギルドは「ネオトーキョー」内に拠点を持っているという設定で、たとえばDENNOWはデジタル庁地下、WAGMIは天王洲アイルの倉庫に拠点を持っています。

引用元:NEO TOKYO PUNKS JOURNAL

ギルドはNEO TOKYO PUNKS内のストーリーでの役割があり、たとえばHOPEは「NPTに追随する第2勢力」「穏健、中道派のギルド」「しいたげられている人の希望になるという思い」などを持っていることになっています。

ギルドのなかには、独自にウェブサイトを解説して活動している人たちもいます。たとえばGUILD-XXは「NFTの関連プロジェクトを企画する」というミッションを帯びたチームです。「未知なる世界へチェンジする」とうたっています。

引用元:NEO TOKYO PUNKS GUILD-XX

「閉じたコンテンツ」にしない工夫も

NEO TOKYO PUNKSはNFTプロジェクトとしては大成功の部類で、二次流通を含む売上高は約3億円あると言われています。コミュニティは活発ですし、ギルドというチームも存在しています。

ただ、「すでに出来上がった仲間」の活動があまりに旺盛だと逆に新規参入のハードルが上がってしまう可能性があります。NFTの業界ではよく発生することで、「外野から見るとお祭り騒ぎしてるだけ」に見えてしまうことは珍しくありません。

中心メンバーであるTOMO氏はNFTプロジェクトの持つ「内輪受けで終わる傾向」について意識的で、コンテンツが閉じたものにならない工夫をしています。

新規の購入者にプロジェクトの価値を伝え、NFTを金融商品として考える人からの要求を「クリエイティブでない」として拒否しています。

海外展開のためのアプローチを進めて、コミュニティを海外にも紹介する努力をして「おもてなし精神とジャパニーズクオリティ」を広げてていきたいと語っています。

また、コミュニティカルチャーの言語化にも積極的で、「いずれNFTの熱狂は収まるので、そのときにコンテンツに目が向けられるようマネジメントする」と意欲を見せています。

今後の展開

引用元:NEO TOKYO PUNKS JOURNAL

NEO TOKYO PUNKSは今後の展開として3つの目標を挙げています。

  • サンドボックスとのコラボ
  • メタバースの構築
  • ジェネラティブストーリーへの挑戦

サンドボックスでコミュニティのメンバーと一緒に「LAND」を作って交流する計画では、ホルダーだけが入れるLANDでNEO TOKYO PUNKSのアバターを登場させます。

音声だけでメタバースを構築している「Audio Metaverse」と提携して、位置情報を活用したメタバースを構築します。NEO TOKYO PUNKSは東京が舞台です。NFTホルダー限定で、「東京に足を踏み入れる」というメタバース体験ができるようにします。

ジェネラティブストーリーというのは世界初の試みです。通常のNFTでは「NFTのレアリティ」が価値を変動させますが、ジェネラティブストーリーはレアリティに頼らない価値を生み出すものです。

ストーリーに登場する人物は2222体のNFTのなかからランダムに選ばれ、仮にそのNFTのレアリティが低くても、ストーリーの登場人物となることで付加価値がつきます。こうした価値付与の仕方はNFTプロジェクトでは新しいと言えます。

NEO TOKYO PUNKSのコラボ企画

NEO TOKYO PUNKSは2222体のNFTが一気に売れたことや、コミュニティの活動が旺盛であること、また発信力にも優れていることから、高い知名度を獲得しています。

熱烈なファンの多いアニメやマンガがファッションブランドなどとコラボする事例と同様に、NEO TOKYO PUNKSも人気の高いカルチャーとして他のジャンルとのコラボを実現させています。

銀座NFT会員制暗号資産バーとのコラボ

引用元:Twitter

東京都銀座にNFT会員制の暗号資産バー「CryptoBar P2P」があります。NEO TOKYO PUNKSは2022年7月1日から7月31日までCryptoBar P2Pとのコラボイベントを開催しました。

バーの内装に感情センシングを活用した「NEO TOKYO PUNKS」のキャラクターが表示されるサイネージが展示されました。音声から感情を推定するAIエンジンによって、バーの音や来場者の声から喜びや怒りなどの4つの感情と気分を測定する指標をセンシングします。センシングされた感情の蓄積から、その場その時のバーの雰囲気に合わせたキャラクターが生成されました。

コラボ期間中には、NEO TOKYO PUNKSの舞台である2050年をイメージしたスナックやカクテルが提供されました。未来食として有望視されている昆虫や海藻を利用したスナックなどが登場しました。

現代の先鋭的な表現技術を駆使して「30年後の東京」をイメージした空間を実現して好評を得ました。

暗号資産取引所コインチェックとのコラボ

引用元:Coincheck

コインチェックは国内大手暗号資産取引所として高い知名度があります。NEO TOKYO PUNKSは、コインチェックが製作を進めるメタバース都市「Oasis TOKYO」「Oasis KYOTO」とのコラボを発表しました。

「Oasis TOKYO」「Oasis KYOTO」は、「2035年の近未来都市」をコンセプトにしたメタバースのコミュニティ空間です。日本を連想させる町並みに美術館やステージなどを設置して様々なイベントを実施する予定です。

コラボではメタバース空間にNEO TOKYO PUNKSの世界観を表現した展示エリアを制作し、サイバーパンクを思わせるガジェットを身につけたオリジナルアバターの制作が予定されています。

web3ブランド「VARBARIAN」とのコラボ

「VARBARIAN」はジェネラティブNFTプロジェクトで、3333枚のジェネラティブスニーカーNFTを発行しています。

ホルダー全員に継続的にウェアラブルNFTを配布し、クリエイターが継続的に制作に参加できる仕組みを開発して、web3やDAOベースでのファッションブランドの構築を目指しています。

現在はDecentralandとSandboxに1つずつ利用可能なランドを持っており、Decentralandで店舗を公開しています。その他のメタバースにも展開する予定で、Decentraland以外にも店舗を出す予定です。

中央集権であるメガブランドが分散型のweb3やメタバース世界で本当の意味でフィットしたブランドを作るのは矛盾しているというのがVARBARIANの考え方です。

ホルダーやクリエイターに権利や報酬を平等に分散化させるファッションブランドがVARBARIANの目指す形です。

NEO TOKYO PUNKSはVARBARIANとのコラボ企画を実施しました。2022年7月23日にゲーム企画を実施し、ホルダー同士の交流が行われました。

まとめ

ユニークな試みを実施して話題になっているNEO TOKYO PUNKSについて紹介しました。

最後にこの記事をまとめます。

  • NEO TOKYO PUNKSはニンジャとアニメとサイバーパンクがコンセプトの日本発NFTプロジェクト
  • 思わず二次創作をしたくなる魅力的な世界観を持っている
  • ホルダーたちと一緒に物語を共有・拡張する「ジェネラティブストーリー」という思想を持っている
  • コミュニティが活発で、細分化したギルドまで存在する
  • 閉じたコンテンツにならない工夫をしている
  • 多くのコラボを成功させており、今後もコラボが予定されている

すでに大きな成功を収めていますが、今後の伸びしろも充分に感じられるNFTプロジェクトです。これからのNEO TOKYO PUNKSに期待しましょう。

Spritz

Spritz

Web3領域を専門とするライター。DeFiやNFT分野への投資経験をもとに、クリプトに関する記事を発信しています。これまでに執筆した暗号資産に関する記事は70本以上。特に関心の強い分野は、セキュリティトークンです。ブロックチェーンによってもたらされる社会変革に焦点を当て、初心者にもわかりやすい記事を心がけています。
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