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【ゲームだけじゃない】メタバースの現在と今後の活用まとめ

解説系記事

メタバースには、Meta社を始めとした大企業が投資を行っています。世界的に注目度は高いですが、メタバースについて調べると「ユーザー間でコミュニケーションが取れる」「コミュニティが作れる」「NFTの売買で稼げる」など、表面的な特徴だけが説明されていることがほとんどです。

  • 調べたけど、メタバースのことがイマイチよくわからない
  • 昔からゲーム内でコミュニケーションはとれたのでは?
  • わざわざメタバースにする意味は?

このような疑問を持っている人も多いのではないでしょうか。

実は、メタバースはゲームだけでなく、ビジネスや社員の研修・トレーニング、また観光や農業、建設業への応用など、大きな可能性を秘めています。

本記事では、メタバースの現在と、将来なにに活用できるのかを詳しく紹介していきます。

そもそもメタバースとは?

まずはメタバースについておさらいしておきましょう。

暗号資産(仮想通貨)取引所のCoincheckは、以下のように説明しています。

メタバースは一言でいうと、「インターネット上に構築された仮想空間」を指します。
引用元:Coincheck|【初心者向け】メタバースとは?意味や始め方を分かりやすく解説!

文中の仮想空間とは、自分の分身であるアバターを用いて、自由に動ける空間のことです。上記のシンプルな条件を満たせばメタバースと呼べるということになります。

例えば、アバターを操作してユーザー同士でチャットができる「アメーバピグ」や、3D空間で冒険が楽しめるMinecraft(マインクラフト)、無人島を舞台としたゲーム「あつまれ どうぶつの森」もメタバースと言えるでしょう。

メタバースというとゲームを真っ先に思い浮かべる人が多いかと思いますが、実はそれ以外の目的のために作られたものも少なくありません。ネットショップとやライブコマース機能が一体化した「Vma dome」、みずほ銀行やJR西日本、大丸松坂屋百貨店など大手企業も参加したVRイベント「バーチャルマーケット 2022」、東京の丸の内をバーチャル上に再現した「バーチャル丸の内」なども同様にメタバースです。

次からは、具体的なメタバースの事例を見ていきましょう。

メタバースの活用事例

まずは、すでに事例や実績が豊富なものから紹介していきます。

ゲーム

現在、ゲームは要素の強いメタバースが多くリリースされています。代表的なものは「The Sandbox(ザ・サンドボックス)」「Decentraland(ディセントラランド)」「Axie Infinity(アクシー・インフィニティ)」などです。ゲーム内では専用の仮想通貨が用いられており、NFTの売買やミッションをこなすことで稼ぐことができます。

2021年にはPlay to Earnという言葉が話題になり、ゲームを遊ぶだけで生活費を稼いでしまう人が世界中に誕生しました。2022年に入りブームはやや下火になっていますが、魅力的なゲームは続々とリリースされており、今後も期待できる分野と言えそうです。

マーケティング、広告

メタバースには世界中から人が集まります。一人でも多くの人に商品やサービスをPRをしたい個人や企業には、決して見逃せないものとなるでしょう。

すでにadidas、GUCCIなどの世界的な大企業がThe Sandbox内に土地を購入したことを発表しています。それらの会社は土地の上に建物を立て、自社商品のPRにつなげていくと考えられます。

バーチャルライブ

メタバース内で、著名人のライブが開催されることがあります。

先日、俳優でアーティストでもある星野源さんが、メタバースの「FORTNITE」上で72時間アクセス可能のバーチャルライブを開催しました。ライブではユーザーが「逃げるは恥だが役に立つ」の主題歌の「恋ダンス」を一緒に踊れることが目玉であり、演奏中は一体感のある空間が生まれたようです。

他にも音楽クリエイターの祭典である「MusicVket 4」や、バーチャル渋谷でアーティストと交流できる「JAM JAM powered by smash.」など、さまざまなライブが開催されています。こうしたライブをきっかけにして、メタバースの認知度が上がっていくことでしょう。

ショッピング

メタバース内で、3Dデータやリアル商品の展示・販売も行われています。

2022年8月13日〜8月26日の間には「バーチャルマーケット2022 Summer」が開催され、世界各地から多くの人が訪れました。セレクトショップのBEAMSや大手百貨店の大丸松坂屋などがバーチャル店舗の出店を行い、洋服や食品の販売を行なっていたようです。

次回の「バーチャルマーケット2022 Winter」は、2022年12月3日〜12月18日に開催されます。前回以上の盛り上がりが期待されるので、興味のある方はぜひ詳細をチェックしてみてください。

ミーティング

メタバース内では、複数人とのチャットや実際の画面を使ってミーティングを開くことができます。

メタバースの特徴として「アバターを使う」ことがあります。自分の分身であるアバターを介してコミュニケーションを行うことで、普段より意見が出やすい、喋りやすいなど独自のメリットもあるようです。

ビジネスでの利用には賛否両論あるかと思いますが、今後新たなミーティングの形として根付く日もそう遠くないかもしれません。

新入社員向け研修

新入社員の「研修はつまらない」という声から、研修をVR(メタバース)で行なっている企業もあります。

監査法人の「PwCあらた監査法人」では、HMD(ヘッドマウントディスプレー)を着用し、職場でどのように資料作成を進めるか、VR空間で体感できるようにしました。人工的に作られたVR空間ですが、職場の臨場感が再現されており、口頭で言われたり映像を見るよりも強くインパクトが残ったようです。

こうした取り組みが普及することで、従来の研修方法が大きく変わる可能性もあります。

将来的にメタバースの活用が期待される業界や分野

続いて、メタバースが今後大きな変化をもたらす可能性のある業界を紹介していきます。

医療

メタバースは医療分野での活用が期待されています。

順天堂大学では、日本IBMと連携し「順天堂バーチャルホスピタル」の構築を行なっています。順天堂バーチャルホスピタルの目的は、主に以下3つです。

・実際の来院前にバーチャルで病院を体験
・外出が困難な患者のためのコミュニティを作る
・治療を疑似体験し不安を軽減

参照元:日経クロステック|順天堂大学と日本IBMが「バーチャルホスピタル」構築へ、メタバースの医療応用探る

従来の医療にメタバースを取り入れ、患者が抱える悩みを解決することが期待されています。

また、患者と医師との間ではなかなか本音を話してくれないことも多い中、アバターを介することで、コミュニケーションがスムーズになった事もあるようです。

医療の分野でも、自分の顔を出さずにしゃべることでコミュニケーションが円滑になる事例が出てきています。メタバースは、病気の早期発見やカウンセリングにも役立つことでしょう。

観光

メタバースは日々進化を続けており、現実世界さながらの映像を再現したものも多くリリースされています。

「バーチャルOKINAWA」は沖縄の街をバーチャルで再現しており、メタバースプラットフォーム「VR Chat」を通じてプレイが可能です。首里城プロジェクションマッピングや国際通りでの花火大会など、現実に存在する場所でのイベントも開催されており、家にいながら、沖縄を体験することができます。

他にも、観光バス事業を運営する「琴平バス」のオンラインバスツアーや、国土交通省が横浜みなとみらいエリアのバーチャルで再現をしたことで、観光好きな人の関心を集めています。「メタバースと観光」は相性が良く、今後も他の地域でも導入されていくかもしれません。

農業

日本の農業は若手の就農者が少なく、高齢化、担い手不足という悩みを長年抱えています。そうした中で、メタバースが従来の農業に革新をもたらす可能性があります。

例えば、メタバース内で農業体験をすることで、農業を敬遠しがちな若者に対して興味を持ってもらう、ゲーム感覚でプレイして実際に楽しんでもらうなどの働きかけができます。また、農家のコミュニティの中で孤立している方も、同世代が参加するメタバースのコミュニティであれば前向きになれることでしょう。

若者が農業に対して持っているネガティブなイメージを、メタバースが払拭できる可能性があります。

製造

バーチャル空間上で細かな再現ができるメタバースは、製造の分野でも活用できる可能性があります。

例としては、新たな設備の疑似体験を行う、ショールームを開設し遠方の顧客に対して自社商品を展示する、新製品発表会をメタバースを通じて行うことなどが考えられます。

昨今業務にITを組み込み効率化を図る「DX」という言葉を耳にすることが増えました。日本の経済を発展させ支えてきた製造業も、いま変革の時を迎えています。メタバースによって画期的な取り組みが行われることに期待しましょう。

建設

従来建物の増築工事をする際には、モックアップと呼ばれる模型のようなものを作成し、完成後は廃棄することを行なってきました。完成イメージが持ちやすい反面、デメリットとして費用がかさむことや、廃材による環境問題も指摘されてきましたが、メタバース上で忠実に再現することで、こうした問題を解決することが期待できます。

また、道路や下水道などのインフラ工事の際に、仮想空間を創ることもできます。周辺住民に工事期間中の疑似体験をしてもらうことで、理解を得られやすくなることでしょう。

建設業でも、疑似的に体験・再現ができる特徴を持つメタバースが活躍する場は多そうです。

まとめ

メタバースの認知度はいまだに低く、一部の知っている人でも「ユーザー間でコミュニケーションが取れるゲーム」「Play to Earn」「NFTで稼げる」などの認識に留まっているのが現状です。

しかし、本記事でも紹介してきたように、メタバースは各業界に大きな影響を与える可能性を秘めています。昨今の日本全体のDX化の流れも相まって、今後さまざまなシーンで利用されていくことでしょう。

S.G

SG

月間100万PV超えの投資情報サイトや、ニュースサイトなど、暗号資産に関する記事を数多く執筆するフリーランスのライター。自身も2016年から暗号資産投資を行なっており、日進月歩の進化を遂げる暗号資産業界を常に追ってきた。ライター歴は3年で「文章で読者をワクワクさせ、行動に移させる」をモットーに執筆を行う。東南アジア在住、海外留学の経験があり、英語の翻訳記事も得意にしている。
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