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分散型メールサービス「D-mail」とは?Web3時代のメールを徹底解説

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Web3の到来によって、データやアカウントの所有権をユーザー自身が持てるようになりました。このWeb3の波は、電子メールの世界にも押し寄せています。そこで今回は、Web3型のメールサービス「D-mail」について解説します。

D-mailは、ICP(Internet Computer)のブロックチェーン上で稼働するメールサービスです。さまざまな組織がWeb3型メールの開発に取り組んでいるなかで、先陣を切ってリリースされました。この記事では、D-mailの特徴や使い方に焦点を当てつつ、Web3型メールのメリットを紹介します。

D-mailとは?

D-mailは「D-mail Network Foundation」という組織が開発したメールアプリケーションです。世界初となる分散型のメールサービスであり、2022年6月からベータ版の運用が開始されました。

このD-mailには、以下の特徴があります。

ブロックチェーンで稼働するメールサービス

D-mailの最大の特徴は、ブロックチェーン上でのみ稼働している点。ICP(Internet Computer)というブロックチェーン上に構築されたアプリケーションであり、D-mailに関わるデータはすべてブロックチェーンに刻まれます。

従来型のメールサービスでは、特定の企業が大規模なサーバーを保有してシステムを運用していました。一方でD-mailでは中央集権的なサーバーを必要とせず、世界中のノードによって運営されています。

D-mailではブロックチェーンにデータが記録されるものの、プライバシーに関わる情報は当事者しか閲覧できない仕組みです。具体的には、メール本文のデータは「プライベートキャニスター」と呼ばれるブラックボックス化された領域に保存されます。キャニスターの開封には暗号が必要となり、この暗号をメールの送受信者が共有することでアクセスできるようにしています。この仕組みによってプライバシーが保護されることになります。

NFT化されたメールアドレス

D-mailで用いられるメールアドレスは、一つひとつがNFTとして発行されます。そのためサービスを利用するにあたっては、まずメールアドレスのNFTを入手しなければなりません。NFTの保有によって、メールアドレスの所有権は完全にユーザーへ帰属します。つまり、第三者によってメールアドレスが利用停止に追い込まれるリスクはありません。

従来のメールサービスの場合、運営会社がユーザーに対してメールアドレスを付与しています。そのため、運営会社の判断のみでアカウントが停止されるリスクもありました。一方で、D-mailではNFTを手放さない限り、メールアドレスを失うことはありません。ユーザーが希望すれば、永続的にひとつのメールアドレスを使い続けることもできます。また、メールアドレスがNFT化されているため、NFTの売買によって第三者にメールアドレスの譲渡も可能に。。

このようにD-mailでは、メールアドレスをユーザー自身の所有物として扱える仕組みになっています。

従来のメールとWeb3を橋渡しするアプリケーション

D-mailはブロックチェーン上のアプリケーションでありながら、従来型のメールとの相互通信も可能です。もちろんテキストのやり取りだけでなく、画像や文書ファイルも問題なく共有できます。加えて、操作方法についても従来のメールサービスを踏襲しています。

このようにD-mailは、Web3とWeb2のどちらの環境でも問題なく利用できるサービスです。
ブロックチェーンは次世代のインターネット技術として期待を集めているものの、普及には長い年月を要するかもしれません。つまり、しばらくの間は従来のインターネットとWeb3の共存した状態が続くと考えられます。このような背景から、D-mailはWeb3とWeb2の双方の環境に対応したサービスとして設計されました。

D-mailのメリット

従来のメールサービスでも充分に利便性が高いため、分散型メールの必要性を感じないかもしれません。しかし分散型メールなら、これまでにはない新たなメリットを享受できます。

ここでは、分散型メールであるD-mailならではの利点を紹介します。

サービス終了の懸念がない

D-mailの運営は特定の企業に依存しないため、サービス終了となる恐れがありません。つまりメールアドレスのNFTを保有する限り、誰でも恒久的にメールサービスを利用できる点が特徴です。

従来のメールサービスでは、運営会社の意向によってユーザーが翻弄されてきました。例えば運営会社が廃業や撤退の決断をすると、ユーザーは否応なしにメールアドレスを剥奪されてしまいます。実際にインターネット黎明期から現在までに多くの企業が撤退し、メールサービスが淘汰されてきました。加えて運営会社の収益低迷から、無料のメールサービスが突如として有料化される可能性も。

さらに従来のメールサービスでは、運営会社の判断によって突如としてアカウントが停止になることも考えられます。このように、メールサービスを利用できるか否かの決定権は、運営会社が握っています。

これに対してD-mailでは、特定企業の意向でサービスが廃止される懸念はありません。自分がメールアドレスのNFTを保有する限り、永続的にそのメールアドレスの利用が可能です。

データの所有権を持てる

D-mailでは、メールデータの所有権はユーザーに帰属します。データは「プライベートキャニスター」と呼ばれるユーザーごとの格納庫に保管され、所有者のみがアクセスできる仕組みです。運営会社を介さずに直接データにアクセスできるため、第三者にデータを操作される恐れがありません。

従来のメールサービスでは、データの所有権は必ずしもユーザー側にあるとは言えない状況でした。なぜなら、データの一部は運営会社のメールサーバーに保管されているから。万が一アカウントが停止されると、サーバー上のデータにアクセスできなくなってしまいます。サーバーによっては管理者によって盗み見することも可能です。ほかにも長年にわたって利用実績がない場合に、データが削除されるケースも考えられるでしょう。
一方でD-mailでは、所有者によるメールデータの直接管理が可能です。このため、第三者によってデータを削除されたり凍結される恐れはありません。

プライバシーが保たれる

プライバシーが保たれる点も、D-mailのメリットです。D-mailではメールの内容は送信者と受信者以外による閲覧ができず、完全な秘匿性を持ちます。

意外に感じるかもしれませんが、従来のメールサービスでは完全にプライバシーが保護されているとは言えません。なぜならフリーメールの場合、個人情報の一部が運営会社によって収集されているからです。運営会社はメールの内容を機械的に読み取り、そのデータを広告や消費行動の分析に活用しています。つまり無料で利用できる代償として、プライバシーの一部を犠牲にしていると言えるでしょう。

これに対してD-mailなら、特定の運営会社を介さずにデータを受け取れます。第三者に個人情報を読み取られる恐れがなく、安心して利用できます。

資産移動ができる

D-mailでは、メールとともに暗号資産(仮想通貨)やNFTの送受信も可能です。これにより、従来よりも手軽に資産を送り合えるようになります。

従来のメールは、金融機能とは切り離されています。そのため、メールの送り主に対して送金する際には、別のプラットフォームで決済する必要がありました。一方でD-maiでは、メールと同時に暗号資産の授受も可能です。メールと決済機能が一体化したサービスであるため、取引がスムーズに進むと考えられます。

D-mailにおけるメールアドレスの取得方法

D-mailの利用にあたっては、まずドメインアカウントNFTの取得が必要です。ここでは、NFTの入手からD-maiの設定までの手順を紹介します。

暗号資産を用意する

ドメインアカウントNFTを購入するには、以下のいずれかの暗号資産が必要です。

  • USDT(ETH/BSC)
  • ICP

これらの暗号資産を、MetaMaskあるいはPlugに入れた状態で準備します。

NFTドメインアカウントを取得する

続いて、D-mail公式サイトにてドメインアカウントを購入します。まずはアカウントの空き状況を確認しましょう。トップページの上部から、「Get Now」をクリック。

4桁以上で希望するドメイン名を入力します。ドメインアカウントが未使用であった場合は、「Lock & Buy」が表示されます。

決済画面が表示されました。この決済画面に遷移してから、10分以内に決済を完了してください。暗号資産の支払いが完了すると、ドメインアカウントのNFTが発行されます。

DmailとNFTドメインアカウントを連携させる

NFTを入手したら、D-mailとの接続設定を行います。D-mailの「mail」をクリックし、「setting」を選択。取得したNFTを指定し「Binding」をクリックしましょう。

これで、メールアカウントの設定が完了です。一般的なメールアプリと同じように、送受信ボックスからメールの操作ができるようになります。

D-mailの特徴や注目される理由のまとめ

本記事では、D-mailの特徴や注目の理由について解説しました。このD-mailには、以下の特徴があります。

  • ブロックチェーン上で稼働しており、中央管理者がいない
  • サービス終了となるリスクがない
  • データやアカウントをユーザー自身が所有できる

このように、従来のメールにはなかったメリットがあります。分散型メールサービスはまだ黎明期にあるものの、今後もさまざまなサービスが登場するでしょう。この機会に、D-mailを体験してみてください。

段巴亜

dan

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