2021年の年末からビットコインをはじめとした暗号資産(仮想通貨)が大きく暴落していますが、それでもこの業界への投資は止まるところを知りません。
その投資を牽引しているのがVC(ベンチャーキャピタル)であり、どのベンチャーキャピタルが投資を行っているのか?という点がプロジェクトの将来性を測る一つの指標にもなっているほどです。
この記事では、暗号資産やブロックチェーン業界で有名なベンチャーキャピタルを15選にまとめてご紹介しています。
また、そもそもベンチャーキャピタルとはどういうもの?といった基礎知識についても解説しているので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。
この記事の構成
VC(ベンチャーキャピタル)とはそもそもどういうもの?
ここでは、ベンチャーキャピタルの概要・特徴をご紹介していきます。
また、ベンチャーキャピタルが投資を行うラウンド(投資フェーズ)についても解説していくので、詳しく確認していきましょう。
ベンチャーキャピタルとは将来性があるスタートアップ企業に投資を行う組織のこと
ベンチャーキャピタルとは、創業から間もないベンチャー企業(新興企業)に投資を行う組織・投資会社のことです。
一般的には投資する企業の株式を取得し、その会社が上場した際に利益を獲得することを目的としています。
つまり、早期からプロジェクトへの投資を行うことで、より大きなリターンを狙っている投資会社と考えればわかりやすいでしょう。
しかし、投資対象としているのがベンチャー企業であるため、大きなリスクが伴っていることも事実です。
なお、今回ご紹介するベンチャーキャピタルの多くは、暗号資産やブロックチェーンに関連する企業・プロジェクトに特化して投資を行っており、クリプト・ベンチャーキャピタルとも呼ばれています。
ベンチャーキャピタルが行う投資にはいくつかの投資ラウンド(投資を行うフェーズ)がある
そんなベンチャーキャピタルですが、投資を行う時期によって分類される「投資ラウンド」という5つのフェーズが存在しています。
- Pre-seed(プレシード)
- Seed round(シードラウンド)
- Series A(シリーズA)
- Series B(シリーズB)
- Series C(シリーズC)
それぞれ順番に確認していきましょう。
Pre-seed(プレシード)
Pre-seed(プレシード)とは、まだプロジェクトの構想段階での投資であり、別名「エンジェルラウンド」とも呼ばれています。
ここでは創業前後のアイデアに投資するようなものなので、必然的に投資金額が少ないという特徴があります。
Seed round(シードラウンド)
Seed round(シードラウンド)は、ある程度のビジネスモデルが確立し、プロジェクト始動のための準備を行っているタイミングでの投資です。
このタイミングではプロジェクトの実現可能性などを測るために、プロトタイプと呼ばれる仮で作成された製品・サービスを確認し、投資価値があるのかどうかの判断を行っています。
Series A(シリーズA)
Series A(シリーズA)とは、ビジネスを開始した直後のフェーズに行う投資を指します。
この段階では製品・サービスの可能性について具体的な検証が行われ、投資資金はマーケティングや広告費に使われることが多いです。
Series B(シリーズB)
Series B(シリーズB)は、すでにビジネスがある程度軌道に乗り、製品・サービスが評価されているタイミングに行う投資です。
今後、大きく成長するために資金が必要になるタイミングでもあるため、一般的に大きな投資が行われるタイミングと言えるでしょう。
Series C(シリーズC)
最後のSeries C(シリーズC)とは、すでにビジネスで黒字化を達成しているベンチャー企業に行う投資のことです。
ベンチャーキャピタルからの投資資金は、製品・サービスのさらなる普及・拡大のために使用される形となります。
ベンチャーキャピタルの存在がプロジェクトの将来性を測る一つの指標となっている
様々な暗号資産関連のプロジェクトに投資を行っているベンチャーキャピタルですが、冒頭でもご紹介したように、プロジェクトの将来性を測る一つの指標にもなっています。
ほとんどのプロジェクトの公式サイトでは、下記の画像のようにバックにいる投資企業を公表しています。
画像引用元:STEPN
ここに有力なベンチャーキャピタルが掲載されていれば、一定程度の信頼が持てるプロジェクトだと判断できるかもしれません。
もちろん、有名なベンチャーキャピタルが投資をしていれば必ず成功するわけではありませんが、一般ユーザーにとってベンチャーキャピタルの存在が投資判断の一つになっていることは多いと思われます。
暗号資産業界で有名なVC(ベンチャーキャピタル)15選
ここからは、暗号資産・ブロックチェーン業界で有名なベンチャーキャピタル15選をご紹介していきます。
これから暗号資産への投資を検討している方や、ベンチャーキャピタルについて詳しくなりたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。
Andreesen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)
Andreesen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)は、数多くのブロックチェーン関連のプロジェクトに投資を行うベンチャーキャピタルです。
2009年にMarc AndreessenとBen Horowitzの両氏によって設立され、一般的に「a16z」の略称で呼ばれています。
暗号資産関連のベンチャーキャピタルとしては、世界で最も有名な企業の一つであり、CoinbaseやUniswap、MakerDAOといった名だたる企業・プロジェクトに投資を行っています。
Andreesen Horowitzのポートフォリオ一例
- Coinbase
- Compound
- MakerDAO
- NEAR Protocol
- OpenSea
- Uniswap
Pantera Capital(パンテラ・キャピタル)
Pantera Capital(パンテラ・キャピタル)は、アメリカに拠点を置く、同国初のブロックチェーンに特化した機関投資家向けの資産運用会社です。
2013年に暗号資産に特化した投資ファンドを立ち上げて以降、レイヤー1ブロックチェーンや暗号資産取引所、DeFi関連のプロジェクトなどに投資を行ってきました。
過去にはUSDCで知られるCIRCLEや、Polkadotなどにも投資を行っており、業界の発展に大きく貢献していると言えるでしょう。
Pantera Capitalのポートフォリオ一例
- 1inch
- BitDAO
- CIRCLE
- Coinbase
- Polkadot
- Ripple
Blockchain Capital(ブロックチェーン・キャピタル)
Blockchain Capital(ブロックチェーン・キャピタル)は、アメリカのサンフランシスコを拠点としているベンチャーキャピタルです。
クリプト・ベンチャーキャピタルのパイオニア的な存在として知られており、これまで100以上の暗号資産関連企業に投資を行ってきました。
様々なプロジェクトに投資を行っていますが、中でもDeFiやインフラ系のプロジェクトを中心にポートフォリオを形成しています。
Blockchain Capitalのポートフォリオ一例
- AAVE
- CIRCLE
- Filecoin
- OpenSea
- Uniswap
- yearn.finance
Digital Currency Group(デジタルカレンシーグループ)
Digital Currency Group(デジタルカレンシーグループ)は、アメリカ・ニューヨークを本社としているクリプト・ベンチャーキャピタルです。
暗号資産による新しい金融システムの開発促進を使命としており、ビットコインや多くのブロックチェーン関連企業への投資を行っています。
2022年11月現在、150以上の企業・プロジェクトに投資をしており、暗号資産業界でも大きな存在感を示していると言えるでしょう。
Digital Currency Groupのポートフォリオ一例
- Coinbase
- Coindesk
- Decentraland
- Kraken
- Ledger
- Zcash
Jump Crypto(ジャンプクリプト)
Jump Crypto(ジャンプクリプト)は、アメリカやヨーロッパ、アジアなど複数の拠点を持つ暗号資産に特化したベンチャーキャピタルです。
大元の企業はJump Tradingというトレーディング会社であり、その中のクリプトに特化した投資部門となっています。
web3.0の未来を構築していくことを目的としており、BYBITやKuCoinといった取引所だけでなく、APTOSなど次世代のレイヤー1プロジェクトにも投資を行っています。
Jump Cryptoのポートフォリオ一例
- APTOS
- BYBIT
- chiliz
- KuCoin
- Solana
- Sui
Dragonfly Capital(ドラゴンフライ・キャピタル)
Dragonfly Capital(ドラゴンフライ・キャピタル)は、2018年に設立されたサンフランシスコを本拠地としている暗号資産に特化した投資会社です。
企業名のDragonfly Capitalは、自然界で最もエサの狩猟成功率が高い「トンボ」から来ており、ブロックチェーン業界でも大きな影響力を持つベンチャーキャピタルにまで成長しました。
これまでAnimoca BrandsやMakerDAOといった、業界を代表するような企業・プロジェクトに投資を行っており、業界でも非常に知名度が高いベンチャーキャピタルとなっています。
Dragonfly Capitalのポートフォリオ一例
- Animoca Brands
- Cosmos
- Dune Analytics
- dYdX
- MakerDAO
- MINA Protocol
Animoca Brands(アニモカ・ブランド)
NFTゲーム業界で最も有名な企業の一つであり、ベンチャーキャピタルとしても活動しているのがAnimoca Brands(アニモカ・ブランド)です。
主にNFTゲームやメタバース関連のプロジェクトに投資しており、Axie InfinityやDecentralandなどをポートフォリオとしています。
自社でもThe Sandbox(ザ・サンドボックス)という人気の高いメタバースプロジェクトを開発しているなど、今後も業界のリーダーとしての役割を担っていくと考えられるでしょう。
Animoca Brandsのポートフォリオ一例
- Axie Infinity
- CryptoSpells
- Decentraland
- METAPRINTS
- STAR ATLAS
- Yield Guild Games
Binance Labs(バイナンス・ラボ)
Binance Labs(バイナンス・ラボ)は、世界最大の暗号資産取引所であるBinanceを親会社としたベンチャーキャピタルです。
これまで25か国・200種類以上のプロジェクトに投資を行っており、多くのブロックチェーン関連のスタートアップ企業や起業家を支援してきました。
ブロックチェーン業界の成長に貢献できるプロジェクトに対して資金提供を行っており、業界全体を発展させることを目的としています。
Binance Labsのポートフォリオ一例
- Axie Infinity
- Harmony
- Polyon
- raydium
- STEPN
- Travala.com
Coinbase Ventures(コインベース・ベンチャーズ)
Coinbase Ventures(コインベース・ベンチャーズ)は、アメリカに拠点を置く世界第2位の暗号資産取引所「Coinbase」の投資部門です。
プロジェクトの初期段階から起業家と連携して支援を行い、業界の発展および世界に多くの経済的自由を提供することを目的としています。
これまでレイヤー1やNFT、メタバース、DeFiなど300種類を超えるプロジェクトに投資をしているなど、業界を支える主要プレイヤーであることは間違いありません。
Coinbase Venturesのポートフォリオ一例
- Arbitrum
- Dapper Labs
- Etherscan
- LayerZero
- Magic Eden
- Yuga Labs
Sequoia Capital(セコイア・キャピタル)
Sequoia Capital(セコイア・キャピタル)は、1972年に設立されたアメリカを代表するベンチャーキャピタルの一つです。
2015年から暗号資産関連の企業やトークンに投資を行っており、ブロックチェーン業界への投資にも本格的に参入しています。
また、2022年2月には、700億円規模の暗号資産ファンドを設立するなど、今後の動向には注目しておく必要があるでしょう。
GRAYSCALEのポートフォリオ一例
- Filecoin
- Fireblocks
- LayerZero
- Magic Eden
- Starkware
- STEPN
Multicoin Capital(マルチコイン・キャピタル)
Multicoin Capital(マルチコイン・キャピタル)は、テキサス州オースティンを拠点とするクリプト・ベンチャーキャピタルです。
主にシード資金を求めているプロジェクトに投資を行っており、資金提供を行った企業の成功・成長を最大の目的としています。
FlowやNEAR Protocol、Solanaなど、主要なレイヤー1プロジェクトをポートフォリオに組み込んでいることも特徴の一つと言えるでしょう。
Multicoin Capitalのポートフォリオ一例
- APTOS
- Ethereum
- Flow
- Lido Finance
- NEAR Protocol
- Solana
Polychain Capital(ポリチェーン・キャピタル)
Polychain Capital(ポリチェーン・キャピタル)は、ブロックチェーンや暗号資産に焦点を当てた投資を行うベンチャーキャピタルです。
2016年にカリフォルニア・サンフランシスコで設立され、投資家に多くのリターンを提供することを最大の目的としています。
2022年11月現在、88もの企業やプロジェクトに資金提供しており、資産運用額も66億ドルを超えるなど、かなり大規模な投資会社と言えるでしょう。
Polychain Capitalのポートフォリオ一例
- Ava Labs
- Clover Finance
- Coinbase
- DFINITY
- Orca
- Quai Network
Paradigm(パラダイム)
Paradigm(パラダイム)は、元CoinbaseのFred Ehrsam氏と、Sequoia Capital出身のMatt Huang氏によって設立されたベンチャーキャピタルです。
暗号資産・Web3.0のプロジェクトに特化した投資を行っており、100万ドルから最大1億ドルまでの資金規模で支援をしています。
また多くの場合、プロジェクトの初期段階から参入し、長期的にweb3.0起業家を支援することを特徴としています。
Paradigmのポートフォリオ一例
- Chainalysis
- MoonPay
- OpenSea
- Phantom
- Starkware
Draper Associates(ドレイパー・アソシエイツ)
Draper Associates(ドレイパー・アソシエイツ)は、Tim Draper氏によって1985年に設立されたアーリーステージのベンチャーキャピタルです。
カリフォルニア州のシリコンバレーを拠点としており、SkypeやTesla、SpaceXなどブロックチェーン以外の有名企業にも投資を行ってきました。
現在は、多くのブロックチェーン関連のプロジェクトをポートフォリオとしており、中にはCoinbaseやLedgerなどが含まれています。
Draper Associatesのポートフォリオ一例
- Bitcoin
- Coinbase
- Ethereum
- Ledger
- MakerDAO
- Tezos
Fenbushi Capital(フェンブシ・キャピタル)
Fenbushi Capital(フェンブシ・キャピタル)は、アジア初の暗号資産やブロックチェーンに特化したベンチャーキャピタルです。
過去には、アメリカの大手リサーチ機関であるCB Insightsから中国でNo.1のベンチャーキャピタルとして評価を受けた実績を持っています。
また、同社のアドバイザーには、イーサリアムブロックチェーンの共同創設者として有名なヴィタリック・ブテリン氏も参加しています。
Fenbushi Capitalのポートフォリオ一例
- Alchemy
- Astar Network
- Dapper Labs
- DFINITY
- MetaMask
- Messari
暗号資産業界で有名なVC(ベンチャーキャピタル)15選まとめ
今回の記事では、暗号資産業界で有名なVC(ベンチャーキャピタル)15選をご紹介してきました。
ベンチャーキャピタルとは、創業から間もないスタートアップ企業に資金提供をする投資会社であり、ブロックチェーン業界においても大きな存在感を示しています。
記事の最初でご紹介した「投資ラウンド」についても把握しておくことで、よりベンチャーキャピタルへの理解も深まるでしょう。
また、投資しているベンチャーキャピタルによってプロジェクトの将来性を測れるケースもあるため、暗号資産への投資をしている方は、主要なベンチャーキャピタルだけでも抑えておくことをおすすめします。