時価総額の低い、いわゆる「草コイン」と呼ばれる銘柄は急騰、暴落することがあります。
「1日で100%の上昇」
「1週間で10倍になった銘柄」
「草コインで億り人に」
このように急騰した草コインにスポットが当たることは多い反面、暴落したものはあまり取り上げられることがありません。
今回の記事では1日、1週間といった短い期間で一気に暴落、また一時話題になったものの現在は回復する見込みが薄い草コインをまとめました。
過去の事例を参考にして、暴落する銘柄を掴まないようにしていきましょう。
この記事の構成
アルトコインと草コインの違い
まずはアルトコインと草コインの違いについておさらいしておきましょう。
アルトコインとは「ビットコイン以外の暗号資産(仮想通貨)」のことです。イーサリアムやリップル、ライトコインなどを始めとした銘柄のことをいいます。
存在するアルトコインの具体的な数は明らかになっていません。しかし「Coinmarketcap」では9,000種類以上のラインナップがあり、昨今は特別な知識がなくても暗号資産を作れるようになったことから、1万種類以上は存在すると考えられています。
草コインとは「時価総額の低いアルトコイン」のことです。時価総額で何位以下といった明確な定義はありませんが、Coinmarketcapのランキングで100位以下であれば草コインと見なしていいでしょう。
暴落し今後の回復が見込めない暗号資産(仮想通貨)
ここでは、今後上昇する材料が乏しい銘柄を11種類紹介していきます。
- タイタン
- スピンドル
- テラ
- セルシウス
- FTXトークン
- ノアコイン
- アクシー・インフィニティー
- ステップン
- エバードーム
- Fame トークン
- FCRコイン
それぞれ、どういったことが起こりどのように値下がりしたかを見ていきましょう。
タイタン(TITAN)
引用:https://www.titandao.finance/
引用:https://coinmarketcap.com/ja/currencies/iron-titanium-token/
タイタンは歴史的な大暴落をした暗号資産として知られています。
2021年6月中旬ころ「現代型の錬金術」の謳い文句で、インフルエンサーが推薦する暗号資産として話題となりました。
タイタンを語る上で「アイアン(IRON)」「USDコイン(USDC)」2つの関連性の理解が必要です。具体的な仕組みは以下のようになっています。
- アイアンは「USDコイン:75%」「タイタン:25%」を担保とする、ドルと価値が連動するステーブルコイン
- 0.75USDコインと0.25タイタンで1アイアンに交換できる
- アイアンに交換するとタイタンが利息としてもらえる
- 利息のタイタンを使って再び1アイアンに交換する
- 1アイアンはドルと同額なので25%引きでUSDコインを購入できることになる
この仕組みに気づいた投資家が最初一気に買い上げ、後から追従する参加者が価格を釣り上げていきます。そして上昇が限界に達し、価格が下がってきたところで一斉に売られ、最終的には一晩で「1日で42億分の1」まで暴落しました。
アイアンには、タイタンという価値が変動する暗号資産を担保としていたことに欠陥があります。現在は「1TITAN=0.000003375円」と、ほぼ無価値となっており、一部の分散型取引所(DEX)や海外取引所MEXCでのみ購入することができます。
今後上がる見込みも薄いので、手を出さない方が無難です。
スピンドル(SPD)
引用:https://coinmarketcap.com/ja/currencies/spindle/
※現在公式サイトは閲覧できません。
スピンドルは、投資をしたい個人投資家と資金を集めるヘッジファンドをつなぐプラットフォーム「ZETA」の開発を目的としたプロジェクトです。
芸能人を広告塔として大々的にPRを行い、2018年5月にはICOが行われ総額220億円ほどを集めています。その後海外取引所の「HitBTC」や「Yobit」など合計5つに上場し、順調な滑り出しをしたかのように見えました。
しかし、取引所でリリースされ2018年6月初旬に「1SPD=4円」の高値をつけたことを最後に、勢いをつけて暴落をしていきます。わずか1週間後に「1SPD=2円」となり、6月末には「1スピンドル=1円」にまで落ちました。
さらに、ほどなくして広告塔となっていた芸能人がプロジェクトを離れたことや、ZETAのα版の完成度があまりに低かったことで、投資家の熱が冷めていきます。
公式SNSでは2019年の業務提携の発表以降情報が更新されておらず、ZETAに関する新たな発表もないため、すでに開発が止まったとみなしていいでしょう。
ノアコイン(NOAH)
引用:https://coinmarketcap.com/ja/currencies/noah-coin/
※現在公式サイトは存在しません。
ノアコインは2017年末ころにICOが行われた暗号資産です。フィリピン政府公認のプロジェクトで、送金問題を解決しフィリピンにノアシティを設立するなどの触れ込みで、大々的にPRが行われました。
当時はICOが盛り上がりを見せる中多くの日本人によって投資が行われ、合計40億円以上の資金が集まったとされています。
走り出しは好調でしたが、フィリピン政府がプロジェクトへの関与を否定し、誇大広告を指摘する声が上がるなど、ネガティブなニュースが多く出てくるようになりました。結果的に運営側は誤りがあったことを認め、希望者に対して返金対応が行われます。
そうした中でもノアコインは海外取引所「HitBTC」へ上場し、一時期はICO価格の「1NOAH=0.7円」の約10倍「1NOAH=7円」ほどまで上昇し、順調な滑り出しをしたように見えました。
しかし、徐々にプロジェクトの進捗は発表が少なくなり、途中で運営元や「ノアシティ→バーチャルシティ」構想への方針転換も行われています。現在取引できる取引所は確認できておらず、今後も復活する見込みはほぼないと言えるでしょう。
テラ(LUNA)
引用:https://coinmarketcap.com/ja/currencies/terra-luna/
テラはステーブルコインのプラットフォームで、「UST(アメリカドル)」や「EUT(ユーロ)」「CAT(カナダドル)」など各国の通貨と価格が連動する通貨を発行しています。
暗号資産の時価総額ランキングでは常に上位に位置し、発行元のある韓国を中心に多くの個人投資家によって支持されていました。
テラを発行、バーン(焼却)することで価格を調整する仕組みでしたが、2022年5月にステーブルコインに対する不信感から大きく売られ、大暴落が発生しています。5月5日の「1LUNA=11,200円」から約1週間後の13日には「1LUNA=0.7円」まで落ち込みました。
その後はテラを「テラ クラシック(Terra Classic)」に名前を変更、新たなブロックチェーンを立ち上げるなどして対応を行っていますが、一度犯した失敗を取り戻すのはかなり難しいと考えられます。
FTXトークン(FTT)
引用:https://coinmarketcap.com/ja/currencies/ftx-token/
※現在公式サイトは閲覧できません。
FTXトークンは取引所「FTX」で利用されていた暗号資産です。FTXトークンを持つことで取引手数料が割引される、トークンが付与されるなどのメリットがありました。
2022年11月、取引所FTXは顧客の資産を不適切に運用していたことが判明し、FTXトークンも大きく売られました。最終的にはFTXの破産を招くとともに、FTXトークン自体も「1FTT =4,000円」から「1FTT=200円」と、20分の1ほどの金額になっています。
FTXトークンはFTT専用の暗号資産であり、破綻してしまった現在、利用価値はありません。今後FTXが復活することになれば再びの上昇が期待できますが、状況が大きく変わらない限りは、いずれ価値がなくなるものと考えられます。
アクシー・インフィニティー(AXS)
引用:https://coinmarketcap.com/ja/currencies/axie-infinity/
アクシー・インフィニティーは、遊びながら稼げる「Play to Earn」ブームの火付け役となったゲームです。新型コロナの影響で働きに出られない人が、家でゲームをしながら生活費を稼いでいるとして、全世界で話題になりました。
ゲームでの暗号資産は、上位30万位に入るプレイヤーだけが稼げる「アクシー・インフィニティー(AXS)」と「スムースラブリーポーション(SLP)」の2つがあります。しかし、ブームが去ったことや競合ゲームが出てきたことで、いずれも厳しい状況を迎えています。
アクシー・インフィニティー(AXS)は2021年11月に「1AXS=11,800円」に到達しましたが現在は大きく価格を下げ、2022年12月現在は「1AXS=1,000円前後」で推移しています。
2022年には数回のアップデートが行われているものの、話題を生むには至っていません。元祖Play to Earnの意地を見せられるかに注目していきましょう。
ステップン(GMT)
引用:https://coinmarketcap.com/ja/currencies/green-metaverse-token/
ステップンは、運動しながら稼げる「Move to Earn」を世界に広めたアプリです。専用のNFTスニーカーを購入して歩くことで健康になりつつ、暗号資産「ステップン(GMT)」や「グリーンサトシトークン(GST)」を稼ぐことができます。
最初の話題になった2022年3月〜4月ころには、新規ユーザーが続々と参入する形で価格が上がっていき、最高値「1GMT=500円」を記録しました。その後ブームが去ったことと、暗号資産市場全体の落ち込みもあり、2022年12月現在は「1GMT=55円」ほどとなっています。
もう一度Move to Earnの波が来れば価格上昇を見込めるものの、現時点では最高値の10分の1近くまで落ち込んでいます。再び最高値を超えるには、多くの資金が戻ってくる必要があるでしょう。
エバードーム(DOME)
引用:https://coinmarketcap.com/ja/currencies/everdome/
エバードームは現実世界さながらのグラフィックが特徴のメタバースです。エバードーム(DOME)はメタバース内のアイテムや土地の売買で使われる暗号資産です。
2022年2月、OKXに最初に上場した際には、1週間で「1DOME=0.1円」から「1DOME=10円」と100倍の上昇をしたとして話題になりました。しかし、その後メタバースへの熱が冷めたことや暗号資産市場の不況により大きく下落しています。2022年12月現在は「1DOME=0.4円」であり、上昇のきっかけが見えない状況です。
ただ、公式サイトでも確認できるように開発は順調に進んでいるようです。現在はテスト版のみリリースされており、今後正規版がプレイできるようになった際には、価格の上昇が期待できるかもしれません。
Fameトークン(FAME)
引用:https://coinmarketcap.com/ja/currencies/fame-mma/
Fameトークンは、ポーランドの総合格闘技団体「Fame MMA」が発行する暗号資産です。Fame MMAは略してMMAと呼ばれることもあり、格闘技好きな人は聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
Fameトークンは、MMAの試合のチケットの購入やオリジナルNFTに使うことができます。日本ではインフルエンサーを起用し積極的なPRを行ってきましたが、価格は大きく下落しています。
2022年5月にリリースされた当初は「1FAME=52円」ほどでしたが、現在は「1FAME=0.35円」です。リリースから一直線に下げているように、最初の話題だけで終わりそうな状況に陥っています。
今から高値を超えるには100倍以上の値上がりをしなければなりません。最近は目立ったアップデートも行われておらず、かなり期待感は薄いです。
FCRコイン(FCR)
引用:https://coin.z.com/jp/corp/information/fcr-market/
FCRコインとはプロサッカーチームの「FC琉球」が発行するファントークンです。保有することで、チーム運営に関することを決める投票やNFTなどの購入、チームや選手に対して投げ銭を行うことができるなど、さまざまな特典があります。
FCRコインは、国内取引所で初めて「IEO(Initial Exchange Offering)」を実施し話題になった銘柄です。上場前に先行販売し上場後の値動きに関心が集まりましたが、結果は決して良いものではありませんでした。
2022年5月に上場した当初は「1FCR=2円」でしたが、たった1日で「1FCR=0.8円」まで下げ、その後は上昇することなく現在は「1FCR=0.3円」となっています。
2022年にはワールドカップも実施されましたが、恩恵を受けることはできず、現在も上昇材料に乏しい状況にあります。
まとめ
2022年はほぼすべての暗号資産にとって逆風が吹く年となりました。ビットコインは年初から60%以上下落しましたが、それ以上に厳しい状況を迎えている銘柄も少なくありません。
時価総額の小さい「草コイン」と呼ばれる銘柄は突如暴騰することがある一方で、一瞬にして無価値になってしまうこともあります。
暗号資産市場では、魅力的に見える銘柄が今後も出てくると考えられます。過去の失敗例を参考に、将来性が高く値上がりを期待できる銘柄を選ぶようにしていきましょう。