Menu

【NFTで損をしたくない人必見!】NFT取引にまつわる法律と著作権について徹底解説

ハウツー系記事 解説系記事

「NFTってデジタルデータだけど、著作権ってどうなっているの?」
「NFTは最近ブームになっているけど、法律は整備されているの?」

NFTがブームになる中、NFTのアートやゲーム、ファッションなどの分野で著作権上の問題が懸念されるようになってきました。具体的には、今後NFTの所有権の問題が発生したり、著作権侵害が増加することが予測されています。プラットフォームにおけるDMCA(デジタルミレニアム著作権法)対策など、NFTのビジネスチャンスと共に問題も大きくなっています。

法律問題が懸念で、NFTの世界に足を踏み入れることに二の足を踏んでいる人も多いのではないでしょうか。

本記事では、NFTと所有権や著作権との関連性(例えば、アートに関連するNFTの所有とオリジナルのアートの著作権は別々であること)について徹底解説します。NFTに興味があって購入したり、NFTで儲けたいけど、損はしたくない!という人にとって、事前に知識を拡充できる内容になっています。勝手にNFTを複製・販売・シェアしたために訴えられたり、トラブルに巻き込まれることを事前に防止することができますので、理解を深めて下さい。

【まずは法律を知ろう!】NFTの発行や販売にまつわる法律

まずは、NFTの発行や販売、他人とのシェアに関する法律関係を整理します。販売に関して、NFT作成者とNFT購入者間の直接取引も可能です。しかし、実際ほとんどのケースでは、OpenSeaなどのNFTマーケットプレイスのプラットフォーム業者が仲介することが多いでしょう。

アートの分野においては、サザビーズクリスティーズなどの伝統的な長い歴史を誇るオークションハウスがNFTオークション事業に参加しています。しかし、これらの会社もOpenSeaやCoincheckNFT、SBINFT MarketなどのNFTマーケットプレイス上でオークションを開催しています。

このようなNFTマーケットプレイスを介在してのNFT発行・販売にはどのようなステークホルダーが関与しているでしょうか。発行・販売のプロセスを大きく分類すると、下記の5つになります。

  1. NFTの発行
  2. 購入希望者の募集と決定
  3. 販売契約の成立
  4. 販売契約の履行
  5. 作者・アーティストとNFT購入者間の法的関係成立

それぞれ順番に分かり易く解説します。

1. NFTの発行

NFTプラットフォームの利用規約に則って、アートやゲームなどのコンテンツをアップロードすると、それが所定の手順に従って作品に紐づくNFTが発行されます。NFTがどこに発行されるかは作品がアップロードされるNFTプラットフォームの利用規約に従います。

2.購入希望者の募集と決定

NFT購入希望者はNFTプラットフォームの利用規約に従って所定の手続きを踏まえて、購入の意思表示をします。オークションの場合では、通常一番高い金額を提示した希望者が購入することができます。

3.販売契約の成立

アーティストやクリエーターなどのNFTの作成者と、NFT購入者との間で販売契約が成立します。対価としては主にビットコインやイーサリアムなどの暗号資産が指定されます。この場合、NFTと暗号資産の交換契約として評価されるのが一般的です。

4.販売契約の履行

3のNFT販売契約に基づき、NFT購入者は売り手であるNFTの作者に移転対価を支払うことで、売り手から買い手へブロックチェーン上にて、NFTの移転が実施されます。契約が成立すると、NFTプラットフォームの利用規約に従って、プラットフォーム事業者に手数料が支払われます。また、プラットフォーム上で売買が成立すると、プラットフォームが利用するブロックチェーンの種類によっては、ガス代と呼ばれるプラットフォーム事業者への必要経費がさらに差し引かれることも覚えておきましょう。

5.作者・アーティストとNFT購入者間の法的関係成立

アートやカードゲームなどのNFTコンテンツに対する何らかの利用券を含む販売である場合において、販売契約や利用規約や基づいて、著作権等に基づくライセンス権が設定されます。

上記5つのすべてのプロセスを通じて、NFTの作者・アーティストとNFT購入希望者とのやりとり、またNFTの購入者と販売するNFTマーケットプレイスとのやりとりなどは、全て利用規約に準じて実施されます。NFTの作者・アーティストとNFT購入者とのやりとりは、販売契約に基づき実施されます。さらに著作権などの権利関係は利用規約と販売契約の両方に基づいて設定されています。

纏めると、NFTの発行や販売、著作権の設定などは、一般の商品・サービスと同様に、利用規約や販売契約に基づき実施されている、ということです。急速に発展してきた技術であるため、法整備が追い付いてない面はありますが、現状の法律体系に関しては、しっかりと理解するべきでしょう。

【利用権とは?】NFT取引による契約で発生・移転する法的権利を解説

NFTを売買したり、利用して商売する場合、どういった点に気を付ければよいでしょうか?
基本的なポイントとして、下記2点をしっかりと押さえることが重要です。

  • NFTコンテンツの著作権などの知的財産権(IP:Intellectual Property)
  • NFTコンテンツの利用権

NFTマーケットプレイスを利用したNFTの取引において、知的財産権(IP)が譲渡されるケースは極めて稀です。NFTコンテンツの利用権のみが譲渡されることがほとんどでしょう。

NFTコンテンツの利用権は下記の表の通り5つに分類されます。下記の5つの権利が全て自動に付与される訳ではありません。NFTマーケットプレイスの利用規約や販売契約、または、NFTの作者・アーティストや販売元との契約内容に伴い付与されるものです。自身の所有するNFTにどのような利用権が付与されているか確認・意識するようにしましょう。

販売 NFTコンテンツを販売(転売)する権利→販売権
展示(マーケットプレイス) NFTコンテンツを販売するためにNFTマーケットプレイスに

出品して、そこに展示する権利

展示(メタバース) NFTコンテンツをメタバースなどの仮想空間のギャラリーに展示・販売する権利
グッズ販売 NFTコンテンツをグッズにして販売する権利
複製転売 NFTコンテンツを複製し、それを販売する権利

さらに、NFTコンテンツの利用権や知的財産権は、NFTコンテンツのデータそのものには存在しないことを理解しましょう。NFTのデータはデジタルな世界で管理されています。一方で、利用権や知的財産権は現実世界に存在する「概念」です。現状、この「概念」の部分はブロックチェーン上で充分に記録されている訳ではありません。NFTのコンテンツ自体と法的権利は紐づいてはいますが、しっかりと区別し、検証する必要があるのです。

つまりNFTコンテンツが譲渡されても、利用権や知的財産権が丸々譲渡されているか否かは、別の話であると認識する必要があります。

【3つの取引パターンを解説】NFTを保有・移転することの法的性質

NFT関連の法律や著作権について理解を深める上で、NFTの取引パターンにはどのようなものがあるか理解しておくことは大切です。NFTの取引パターンには大きく3つあります。

  • NFT売買当事者間の個別交渉
  • 権利者(NFTの作者・アーティスト)の利用条件設定
  • NFTマーケットプレイスでの取引

順番に徹底解説します。

NFT売買当事者間の個別交渉

取引エージェントが仲介する場合もありますが、主に個別で販売・権利交渉するケースで、NFTコンテンツの利用権や知的財産権(IP)に関しても、当事者間で契約内容を相談・決定します。技術的にはブロックチェーン技術を用いて自動的に契約を実行してくれる「スマートコントラクト」という仕組みを使用することが多いでしょう。

権利者(NFTの作者・アーティスト)の利用条件設定

権利者(NFTの作者・アーティスト)があらかじめ特定の利用権を設定してNFTを発行。その内容を承諾した人が購入するといった場合です。法的権利は定められた利用権のみで、知的財産権は譲渡されないことが多いでしょう。また、NFTのメタデータ(*1)内に利用権を記載するケースもあります。

*メタデータとは:
トランザクションの量を減らすため、ブロックチェーン上ではNFTのURLのみを管理し、NFTのタイトルや画像、動画などのコンテンツはブロックチェーンの外側のデータ領域で管理することが一般的です。このような外部データ領域のことをメタデータといいます。

NFTマーケットプレイスでの取引

NFTマーケットプレイスを利用して取引するケースでは、取引関係者全員がNFTマーケットプレイスの利用規約に従う必要があります。従って法的権利もマーケットプレイスの利用規約に準じます。

ここで利用権の権利主体がNFTマーケットプレイス上で無い場合には、利用権が移転し、転売される度に購入者に移転することになります。一方で権利主題がNFTマーケットプレイスである場合には、マーケットプレイスがサブライセンス権を設定します。つまり転売の度にサブライセンス権が譲渡されることになるのです。

【NFTにも著作権はあるの?】NFTと著作権の関連性を紹介

これまでNFTに関する利用権や知的財産権(IP)を中心に説明してきましたが、それらを包括する著作権に関して詳しく整理します。例えば、複製する権利は著作権者が持っているので、NFT所有者が関連するアートの画像を複製して共有したり、Instagramなどのプラットフォームで共有した場合、著作権上の問題を起こす可能性があります。このような問題を事前に回避する上でも著作権について理解を深めておくことは重要です。

まずはNFTでは無く、従来のコンテンツに関する著作権のおさらいをします。
著作権法では、著作物を「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と定義しています。

著作者とは著作物を創作した人であり、著作物に対して、著作権および著作者人格権という権利を自然に有します。「自然に有する」とは出願や登録は不要ということです。

このうち著作者人格権は、著作者の人格を保護する権利なので譲渡できませんが、著作権は譲渡できるのがポイントです。

NFTコンテンツの場合も同様に、著作権および著作者人格権があり、著作権は譲渡できるのですが、ここで1つ注意が必要です。

従来のリアルなコンテンツでは、実際に物がありそれには所有権(「有体物を直接排他的に支配する権利」と定義されている)があり著作権と所有権を分けて考える必要があります。ですが、現状の法律上、データが「無体物」と定義されているのと同様に、NFTも無体物と解釈することが一般的です。したがって、NFTは所有権の対象とならないとされています。

整理すると、NFTコンテンツを譲渡するケースでは、所有権はそもそも存在しないので移転もあり得ないが、著作権は合意があれば譲渡されることになります。一方で取り立てて取り決めが無いようであれば、著作権は著作権者に留め置かれます。

リアルコンテンツでは、著作権と所有権を調整する法律が存在しますが、NFTコンテンツには所有権が存在しないので、NFT保有者と著作権者の利害調整をしっかりと行い、売買契約などに盛り込むことが重要であると言えるでしょう。

この部分は現状の法律では少し曖昧で事例ごとに解釈が異なる事例もあるようです。将来的にはNFTに関しても従来のリアルコンテンツ同様、所有権をいう概念が誕生するかもしれません。

【まとめ】メタバース空間でのNFTファッションの重要性はますます向上!

本記事では、NFTコンテンツの発行や販売にまつわる法律、利用権や著作権などの知的財産権(IP:Intellectual Property)について解説しました。ブロックチェーンやWeb3.0の技術革新に伴い、NFTコンテンツは空前のブームとなっています。マンガやアニメ、ファッション、スポーツなど様々な分野に広がっています。

しかしその反面、急速に発展してきた技術であるが故に、法律など法整備が整っていないのも事実。NFTの発行や販売、著作権の設定などは、一般の商品・サービスと同様に、利用規約や販売契約に基づき実施されていますが、まだまだ道半ばです。

このような現状で、NFTに興味はあるが「損はしたくない!」という思いから、NFTの購入に二の足を踏んでいた人も、本記事を通じて、NFTコンテンツの発行や販売にまつわる法律を理解でき、NFTの世界に一歩踏み出せる勇気を得たのではないでしょうか。

これでもう、勝手にNFTを複製・販売・シェアしたために訴えられたり、トラブルに巻き込まれることはないでしょう!

本記事を通じて、NFTコンテンツに興味を持っている人が一人でも多く、新たにNFTの世界に一歩足を踏み入れて頂ければと思います。NFT関連の基礎的な法律関連の情報は、まずは本記事に記載の内容を理解しておけば問題ありません。気になるNFTコンテンツを発見した人は、早速、購入を検討してみてはいかがでしょうか。

Masa

masa

保険や投資などの金融分野、Web3.0、メタバース、暗号資産、NFT、DeFi、DAO、保険、投資などの分野に精通しています。株や暗号資産取引の豊富な経験に加え、保険業界でのITコンサルの勤務経験、AFP(ファイナンシャルプランナー2級)の資格も保有。知識や業務経験を元に信憑性のある記事を執筆する。
Author