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集客ツールとして活用できる!NFTを現実世界に設置できる「サイバートロフィー」について解説

解説系記事

スマホ画面を通じて、現実世界と仮想空間をリンクさせる技術は以前から存在していました。

最も有名な事例では「ポケモンGO」があげられるでしょう。

スマホのGPS機能を利用しながら物理的に移動することで、仮想空間においてポケモンの発見から捕獲など、様々なアクションが可能になります。

人気のポケモンが現れるエリアには多くの人が集まるなど、物理的な移動を伴ったプレイスタイルは大きな注目を集めました。

2021年11月にカナダで設立された「Continuum.Social」は、「ポケモンGO」同様にスマホGPSを活用した「サイバートロフィー」というサービスを行っております。

そして2023年2月より、慶應義塾大学総合政策学部教授・デジタル庁Web3.0研究会座長の国領二郎氏をアドバイザーに迎え、日本における活動をスタートさせました。

現実世界で人流が活発になることは、地域創生や経済の活性化に大きく繋がります。

本記事では、「Continuum.Social」が提供する「サイバートロフィー」について、その概要から実際の事例、そして今後の可能性について解説していきます。

「Continuum.Social」が提供する「サイバートロフィー」とは?

「サイバートロフィー」に関する概要として、以下の項目に沿ってそれぞれ解説していきます。

  • 現実世界と3Dオブジェクトをリンクさせる
  • 3Dモデルのクリエイターにも恩恵
  • コロナ後の世界で外出する機会を促す

現実世界と3Dオブジェクトをリンクさせる

「Continuum.Social」が提供するアプリ、「CyberTrophy」をダウンロードすることで誰でも簡単に利用可能です。

本アプリでは、現実世界を実際に探索し、各地に配置された「サイバートロフィー」を獲得することを目的としています。

「サイバートロフィー」は有名な観光地、公園、地域の魅力的なスポットから知られざる部分、イベント会場、といったあらゆる箇所に設置可能。

スマホ画面を通じた拡張現実によって、配置されたトロフィーをユーザーは獲得していきます。

獲得したトロフィーは将来的にNFTアートに変換され、限定品であった場合などには一定の価値が発生する可能性もあります。

また、集めたトロフィーはショールームで鑑賞できるなど、コレクション的な要素も強くなっています。

トロフィーに対する感動をアプリ内で共有できるなど、様々な楽しみ方が出来るサービスといえるでしょう。

コロナ後の世界で外出する機会を促す

ユーザーはアプリ上のマップを確認しながらトロフィーを獲得する必要があります。

事前にマップでトロフィーをチェックしておき、後日集めることや、見つけた瞬間に獲得しにいくなどはユーザーの自由。

いずれにしても現実世界において、トロフィーが設置されている場所に移動しなければいけません。

また、トロフィーの獲得状況は友人同士でシェアできます。

そして、友人と一緒にトロフィーを集めると、プラスでボーナスが提供されます。

一人ではなく複数人によるプレイのメリットが大きいという工夫がなされているのです。

「Continuum.Social」グローバルファウンダーCEOであるセルゲイ・べリアブ氏は、「コロナ禍が収束した今、人々に世界を探検するように促すことを主なコンセプトとして設立しました」と語っています。

自宅にいながらオンラインで完結することが多い時代において、「CyberTrophy」のようなサービスは多くの人たち、特に若年層に響くことが考えられます。

3Dモデルのクリエイターにも恩恵

現実世界にARとして配置されるトロフィーデザインは、3Dクリエイターによって作成されます。

そして、提供者は主に2つの恩恵を受けられます。

まずはクリエイターとしての「宣伝効果」です。

トロフィー用の3Dモデルを作成すれば、アプリを利用する全てのユーザーに認知されます。

トロフィーの情報にはクリエイター名、任意のメモなどが記載されます。

ユーザーがトロフィーを獲得した後は、それらの情報も同時に保存されるのです。

世界中のユーザーが自身の作品を手にすることで、クリエイターとしての認知度が向上、将来的な活動に繋がる可能性が広がるはずです。

また、トロフィーを公開するごとに支払われる「報酬」も存在しています。

1作品ごとに10,000ポイントを受け取ることができ、ユーザーがそのトロフィーを獲得するごとに1ポイントが支払われます。

このポイントは将来的に「Continuum.Social」プラットフォーム内でのトークンに変換される予定です。

日本国内における事例

2023年2月に日本国内におけるサービスを開始した「CyberTrophy」ですが、すでにいくつかの実施事例が存在しています。

地域活性化を目的としたもの、イベントとの連動などがあげられますので、それぞれ確認していきます。

東京・三軒茶屋栄通りエリア

2023年4月29日〜5月15日までの期間、東京都世田谷区三軒茶屋の栄通りエリアにおいて実施された事例です。

こちらでは同エリア内に6点の「サイバートロフィー」を設置。

ユーザーが獲得したトロフィーは将来的に、NFTアートに変換されます。

国内アーティスト集団の「SHUTTERR」初のプロジェクトになり、アーティストとしては彫刻家の片桐仁氏が担当しました。

粘土作品から厳選した5点を、新たに3Dオブジェクトとして再構築。

ユーザーが獲得したトロフィーは獲得時にナンバリングされ、世界にただ1つのコンテンツとなります。

町の通りをギャラリーとして活用するような展示方法は難しいですが、「CyberTrophy」を組み合わせたARであれば容易に可能でしょう。

今後も類似の事例は増えていくことが想定されます。

京都・宇治橋通り

2023年6月2日〜25日の期間中、京都市宇治市の宇治橋通り商店街、またその周辺エリアに9点の「サイバートロフィー」が配置されました。

3Dオブジェクトは京都府宇治市公認のゆるキャラである「チャチャ王国のおうじちゃま」や「ちはや姫」、「星乃パン太郎」といったキャラクター達。

加えて、商店街の注目アイテムや商品を3Dデータ化したものが採用されました。

商店街の各所に設置されており、将来的にはNFTアートへの変換が予定されています。

町おこし、地域創生の一環として取り組まれている本プロジェクトでは、アプリのダウンロードから操作方法、トロフィーの取得方法までを説明した紙面も配布されています。

デジタルアート実験イベントとして行われており、「デジタルアートを、旅先の思い出に。」というスローガンが掲げられています。

まだまだ一般的な認知度が低いNFTアートが普及するきっかけとして、どのような効果を発揮するのか注目といえます。

京都・二条城

2023年4月5日〜15日の期間中、ネイキッドが企画運営する華の体験型アート展「NAKED FLOWERS 2023 桜 世界遺産・二条城」において、サイバートロフィーが設置されました。

本展示に入場したユーザーは、庭園内に浮かぶアートゆかりの限定トロフィーを獲得できます。

各トロフィーはイベント開催期間限定の配布となり、それぞれに識別番号が付与されます。

唯一無二のNFTアートとして所有できる感覚は、イベントの価値を高めるものとして効果的であると考えられます。

従来のイベントにおける限定グッズは、現実世界における物理的なものが主流でした。

しかし、「CyberTrophy」の普及に伴って、デジタルデータもそれらの一部として認識される可能性は高いでしょう。

今後もイベントと連動したキャンペーンは行われるはずですので、動向に注目すべきといえます。

集客やPRといった幅広い分野に利用できる

「Continuum.Social」は将来的に、ユーザーが保有するウォレット内に蓄積したデータを利用できるようアプリ開発を進めています。

ユーザーの個人情報は特定されない範囲内において、統計的データのみを抜き出して利用する形です。

それらの情報を参考に、実際のユーザーの行動を分析することで、観光地やイベントでの行動把握など、様々な改善点が見つかるはずです。

そして、「サイバートロフィー」の設置は現実世界のあらゆる範囲に対応しています。

そのため、飲食店などの実店舗内に設置することで、直接的な集客システムとして作用することも十分に可能です。

店舗側は集客ツールとして設置したサイバートロフィーをユーザーが獲得した場合に利用料を「Continuum.Social」へと支払います。

アフィリエイト型広告のように成果報酬ですので、広告費用としても費用対効果が高いといえるはずです。

加えて、ユーザーが特定のサイバートロフィーの近くに来た時、関連する施設や店舗の広告をリアルタイムで表示、誘導させることも可能です。

こちらの場合はクリック率に応じた利用料金が発生します。

このように、スマホ画面と現実世界を高いレベルでリンクさせた施策が容易に実現可能となります。

NFTアートを始めとしたデジタル資産は、まだ一般的に普及したとは言えない状況です。

しかし、「ポケモンGO」が幅広い範囲に広がったことを考慮すれば、「CyberTrophy」のサービスも普及しやすいと考えられるはずです。

まだ発展途上の分野ではありますが、集客やPRといった分野を大きく変える可能性を秘めているといえるでしょう。

まとめ

2021年11月にカナダで設立された「Continuum.Social」が提供するスマホアプリ、「CyberTrophy」についてその概要から可能性について解説しました。

2023年2月から日本国内でのサービスが開始されましたが、前述したようにすでにいくつかの実施事例が存在しています。

現実世界と仮想空間をリンクさせるアプリとしては、すでに「ポケモンGO」が大きな成功を収めたといえます。

そのため、現実世界を移動してデジタルコンテンツを収集するという行動は、多くのユーザーに違和感なく受け入れられるでしょう。

今後は魅力的な3Dコンテンツの作成、獲得による魅力を訴求するなどすれば、集客に悩む地方や店舗の活性化に大きく繋がるはずです。

将来的に資産価値として高まる可能性も、NFTアートの大きな強みとなります。

時間を限定したイベントの開催など、現地に行かなければ獲得できないコンテンツは大きなプレミアを生み出すでしょう。

まだ国内におけるサービスが始まったばかりですが、今後の動向に期待が集まるはずです。

May

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ブロックチェーンを筆頭とする様々な技術が、今後世の中の仕組みを大きく変えるかもしれないという点に対し興味を持っているWebライター。 自身の経験を元にだれにでも分かりやすく、興味をもってもらえるような記事を執筆するように心がけて参ります。
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