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NFTがペット産業の課題を解決する?保護活動への取り組み事例からNFT化サービスについて解説

解説系記事

人類の有史以前からペットを飼育する習慣はあり、現在も変わっていません。

日本でも犬や猫をはじめとしたペットを飼育している世帯は多く、ペット産業自体も年々大きな伸長をみせています。

しかし、生き物を扱うということもあり、業界が抱える問題は数多く存在しています。

長年殺処分や飼育放棄という問題を根本的に解決する手段はありませんでしたが、近年ブロックチェーン技術やNFTを利用した活動が進められています。

本記事では、ブロックチェーン技術とペット産業の組み合わせについて、その可能性から活用事例について解説していきます。

課題解決だけではなく、飼い主とペットの関係をより豊かにするサービスも存在しています。

ぜひ最後までご覧ください。

社会におけるペットの必要性は高まると予測

近年、ペット産業は伸長を続けており、その流れは今後も続くと予測されています。

こちらでは以下の項目に沿って、ペット産業を取り巻く状況を確認していきます。

  • コロナ禍でも堅調に販売額を伸ばす
  • 動物病院も上昇傾向で推移
  • 高まるペット関連サービスの活気

コロナ禍でも堅調に販売額を伸ばす

画像引用元:https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/hitokoto_kako/20220311hitokoto.html

上記の表は、2022年3月に経済産業省が調査したペットおよび関連商品の販売額推移です。

ホームセンターでの販売に限定したデータではありますが、年々上昇を続けていることが見て取れます。

特に、新型コロナウイルス感染症が拡大し始めた2020年は前年比108%と大きく推移。

食料品、小売業と同様にペット関連市場は、コロナ禍によって販売額を伸ばしてた業界の一つなのです。

厚生労働省の調査によれば、2020年時点での犬の登録頭数は約609万頭。

同年の日本の世帯数は約4,885万世帯ということから、単純計算で10%以上の世帯において犬をペットとして飼育していることになります。

犬の登録については狂犬病予防の観点から義務付けられていますが、猫については登録の必要がありません。

そのため、ペットを飼育している世帯はさらに多いことが考えられます。

動物病院も上昇傾向で推移

画像引用元:https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/hitokoto_kako/20220311hitokoto.html

ペット市場の推移と比例する形で、動物病院に関する指数も上昇しています。

コロナ前の2019年がピークの数値となっていますが、2020年の落ち込みも少なく、コロナ禍による受診控えといった影響は少なかったことが推察できます。

動物病院への受診は不要不急ではありません。

言葉を発しない動物相手だからこそ、定期検診といったケアを通常通り進める飼い主がほとんどだったということになるでしょう。

高まるペット周辺サービスの活気

ペット市場の推移はコロナ禍による一過性のものではなく、今後も伸長を続けると考えられます。

ペットは家族であるという考えが浸透しており、ペットと一緒に食事を楽しめるレストランや宿泊施設も普及し始めました。

また、傷害等のペット保険、葬儀、ペットの一時預かり施設といった多様なサービスを各社が展開しています。

ペット保険の代表であるアニコムホールディングスは業績、株価の拡大を続けています。

今後も単身世帯の増加、世帯全体の人数減少によってペットの存在が重要になっていくことが考えられます。

ペット産業が抱える問題も大きい

拡大を続けるペット産業ですが、抱える問題も大きくなっています。

まず、現在のペットショップの構造は「過剰在庫」となってしまったペットたちが、殺処分されてしまいやすい構造です。

一般的に人気のある時期は生後3ヶ月までといわれています。

しかし、この売れ時を逃したペットを保健所に持ち込むことは法律で禁じられています。

そのため、売れ残ったペット達の扱いについては不透明な部分が多くなっているのです。

また、衝動買いによって飼育困難になったペットの行き先として存在する保護団体も、多くの場合で人手不足や資金不足に悩んでいます。

飼育環境が劣悪になってしまうと、感染症や異臭といった地域問題にも発展します。

ペット産業拡大の裏には生命の尊厳、地域環境の維持といった問題も潜んでいることは知っていなければいけません。

NFTを活用することでペット産業にイノベーションを起こせる可能性

「売れ残ってしまったペット」の行方、飼育放棄による野良犬、野良猫の増加といった問題は、これまで完全には把握しきれない問題でした。

しかし、ブロックチェーン技術を活用したNFTであれば解決に繋げられるかもしれません。

ペットそれぞれに関する情報をNFTとして登録することで、個体識別が容易になります。

結果として、ペットショップの販売体制や飼育状況を明らかにし、殺処分されている可能性を無くせます。

購入後、飼い主の手に渡った場合にも遺棄といった状況を改善できます。

また、マイクロチップを埋め込むことで盗難被害を防ぐことも可能です。

NFTとペット市場の組み合わせは、現在抱える問題解決だけではなく、健全な飼い主とペットの関係性にもこれまで以上に豊かな体験、想い出を残せるようになります。

ペット産業とNFTを掛け合わせた事業

ペット産業とNFTを掛け合わせた事業はすでに存在しています。

こちらではその中から、以下の事業を解説していきます。

  • ペットNFT
  • PETBO
  • LOOTaDOG
  • CogniPet
  • クリプトニャンコ 動物保護プロジェクト

ペットNFT

画像引用元:https://heartlog.net/pets-nft/

Atomos-Seed合同会社が提供するペットNFTは、ペットの写真、動画をブロックチェーン上に記録、NFT化させるサービスです。

SNS上には愛犬、愛猫といったペットを撮影した作品が日常的に投稿されています。

スマホに保存された画像や動画ファイルは、確実に残り続ける保証はありません。

日頃のペットの姿やお気に入りの画像、記念的な動画をブロックチェーンと連動させることで、永遠にその情報を記録し続けられます。

NFT化したデータについては閲覧、視聴するための専用ページでいつでも確認可能。

料金は容量0.5MB、13,290円からの設定であり、NFT技術に関わりのなかった層が今後利用することが考えられます。

PETBO

画像引用元:https://nftlife.jp/petbo/

スマートシニア株式会社が提供するPETBOは、新しいペット供養の形としてデジタル化した想い出を写真立てに保存します。

ペットの寿命は基本的に人間よりも短く、飼い主の多くは「ペットロス」を乗り越えなければいけません。

NFT化されたペットの写真、動画を収めたデジタルフォトフレームの存在は、悲しみを乗り越える手助けになります。

ペット霊園に足を運ばなくても、自宅でペットの存在を感じられることは多くの飼い主にとってありがたいものとなるはず。

遺骨や毛といったものも収納可能であり、「お墓」と「納骨」といった供養も同時に行えます。

LOOTaDOG

画像引用元:https://lootadog.com/

オーストラリア企業であるLehmanSoftが提供するLOOTaDOGは、Web3ペット育成アプリです。

愛犬の散歩を「Walk-To-Own」という形でゲーム化することでトークンを獲得します。

利用は無料であり、すでに世界中の愛犬家が参加しています。

獲得したトークンは現実世界のペット用品と交換可能。

さらに、一部のトークンはペット保護活動へ自動的に寄付されます。

2023年7月には1,000体限定のオリジナルDOG NFT「GENESIS DOG NFT」を販売し、わずか3日で完売しました。

この売上の一部は日本国内の保護犬、猫支援活動に寄付されます。

今後もNFTコレクションは販売予定とのことで、これからの動向に注目が集まるサービスです。

CogniPet

画像引用元:https://twitter.com/CogniPet/status/1200154957321850880

スイスのスタートアップ企業である「CogniPet」は、ペットの殺処分や飼育放棄、虐待といった問題解決を目指しています。

マイクロチップをペットに埋め込み、情報をブロックチェーン上で管理します。

従来辿ることが難しかったペットの親、兄弟に関する情報もオンラインで共有可能となるため、飼い主同士でのコミュニティも生まれるかもしれません。

また、万が一ペットが迷子、盗難にあった場合でも位置情報やペットの特徴を即座に確認可能となり、速やかな捜索活動が実現します。

所有権の明確化なども実現できるため、悪質な業者による殺処分や虐待などを防げます。

マイクロチップに記録できる情報量、安全性については課題が残っていますが、ブロックチェーン技術が解決の糸口になるかもしれません。

クリプトニャンコ 動物保護プロジェクト

画像引用元:https://www.nekonos.tokyo/projects-8

クリプトニャンコは、千葉県の動物保護施設が制作したNFTアートです。

2021年10月から保護猫を始めとした動物の生きた証を残すため、NFTアートとして多くの作品を生み出してきました。

日本はペットの殺処分数が世界でワースト1位。

このような状況を覆すために、施設を通じて保護動物を多くの里親へ引き取ってもらっています。

NFTコレクションによる収益の一部は活動費用、保護施設の運営に還元されています。

事情により飼育が困難になったペットの引取も行っており、飼い主とペットを繋げる施設として重要な立ち位置を担っています。

まとめ

ペット産業は今後もその市場を拡大していくことが想定されます。

その一方で、悪質なペットショップやブリーダー、そして飼い主による不当な扱いを受けるペットが増加する恐れがあります。

ブロックチェーン技術やNFTをペット産業とかけ合わせることで、正確な個体の識別が可能となり、殺処分や遺棄が簡単にできない状況を生み出せるかもしれません。

また、人手不足や資金不足に悩む保護施設の運営費用として、NFTコレクションの販売は効果の高い手法となるはずです。

なNFTとペットの組み合わせは市場が抱える問題解決だけではなく、飼い主とペットの関係性をより豊かにします。

まだまだ発展途上ではありますが、ペット産業の伸長と共にNFTサービスと掛け合わせる事例は数多く現れることが考えられます。

人間と動物が上手く共存できる社会を実現するために、最新技術であるブロックチェーンの活躍は欠かせないものとなるかもしれません。

May

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ブロックチェーンを筆頭とする様々な技術が、今後世の中の仕組みを大きく変えるかもしれないという点に対し興味を持っているWebライター。 自身の経験を元にだれにでも分かりやすく、興味をもってもらえるような記事を執筆するように心がけて参ります。
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