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【SDGsなNFT】環境にやさしいNFTについて解説

解説系記事

「NFTって環境に悪いって聞くけど、本当?」
「NFTとSDGsってどのような関係があるの?」

今回は、NFTとSDGsとの関連性についての記事です。

昨今SDGsがブームとなっており、SDGsへの貢献度を投資や購入の判断基準とする投資家や購買者は年々増加しています。一方でNFTに関しては、マイニングで使用する電力消費や二酸化炭素の排出が問題視されています。本記事ではマイニングに再生可能エネルギーを使用することで、二酸化炭素排出量を削減できることや、電力消費を削減するコンセンサスアルゴリズム(Proof of Stake)の利用について解説します。

本記事を読むことで環境面に考慮したNFTについて知識を拡充でき、これまで環境面への負の影響を鑑みNFT購入に二の足を踏んでいた人も、安心してNFTを購入できるようになりますので、ぜひ最後までご覧ください。

【NFTも環境を考慮する必要あり】SDGs貢献度や環境への影響が判断材料に!

SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な目標)とは、2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されている,2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます。

世界ではSDGsに関する機運が高まりを見せており、投資家が企業に投資したり、購買者が商品を購入したりする際に、各企業の事業内容や商品の中身だけではなく、当該企業がSDGsに貢献しているかという点を考慮する人が増加しています。

投資においてはESG(環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取ったもの)の観点から企業を評価し、投資企業を選択するESG投資を行う投資家も増えており、企業のSDGs活動はますます注目を集めるようになっています。

【NFTは環境に悪影響!?」】NFTの地球環境への影響を解説

NFTの土台となるブロックチェーン技術は、マイニングと呼ばれる取引のデータを検証・承認し、ブロックチェーンと呼ばれる取引台帳にそのデータを追加する作業により成立しますが、このマイニングは多大な電力を消費、また大量の二酸化炭素を排出します。この多大な消費電力や二酸化炭素の排出が環境に悪影響をもたらしているという懸念があります。このことはSDGsの17の目標のうちの下記2点に大きく関係しています。

  • 目標7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに
  • 目標13:気候変動に具体的な対策を

たとえば、海外の有名アーティストがNFT事業への進出を公表した際に、一部のファンが「環境にやさしくない!」と反対の声をあげて不買運動に繋がった経緯があります。また、テスラのイーロン・マスクCEOが、2021年5月にマイニングで消費される化石燃料の膨大な使用量を懸念してビットコインを使った決済を一時停止すると発表しました。このようにNFTはブロックチェーン技術の土台となるマイニングの仕組み上、環境に悪影響であると考える人も少なくありません。

環境にやさしいSDGsなNFTの取り組みがむずかしい理由

昨今の環境保護やSDGs活動の流行から、NFTに関してもSDGsの取り組みと結びつけられることが期待されてきました。しかし、実際にはその取り組みは簡単ではありません。

NFTを使用すれば、デジタルアートやコンテンツの価値を高め、SDGsに関する認識を広げる可能性があり、NFTを通してSDGsの活動やプロジェクトをサポートする事例もいくつか見られますが、全てが順調とは言えません。

以下、NFTをSDGsに適用する際の下記の2つの主な課題について詳しく説明します。

NFTの取引がSDGsに逆行する可能性がある

ブロックチェーン技術は取引の際に多くの電力を消費します。例えば、ビットコインの消費電力は国家レベルにも匹敵すると言われています。
SDGsの目標としては環境問題の解決がありますが、NFTの取引で大量の電力を使ってしまうと、エネルギー目標や気候変動への対応と矛盾してしまいます。

あえてNFTにこだわる理由がない

NFTのトラブルや制約が発生するリスクが高まります。著作権問題や不正流出などのトラブルがすでに発生しています。NFTを使ってSDGsに貢献しようとすると、選択肢が狭まります。寄付を通じて直接支援する方が、寄付金控除などのメリットも享受できることから、より直接的にSDGsに貢献することが可能です。

NFTとSDGsを組み合わせるアイディアは魅力的ですが、その実現には様々なハードルが存在します。SDGsの取り組みを本気で進める際には、方法や手段に関して慎重な検討が必要です。

【SDGsなNFT】マイニングでの使用電力・二酸化炭素排出への対策を紹介

ここまで、マイニング時の多大な消費電力や二酸化炭素の排出が環境に悪影響をもたらしているということや、NFTとSDGsを組み合わせる活動のむずかしさを紹介しました。

ここでは、マイニング時に消費する膨大な電力や、二酸化炭素の排出への対策を2つ紹介します。

  • 【二酸化炭素の排出削減!】再生可能エネルギーで発電した電力を使用
  • 【PoWからPoSへ!】電力消費を削減するコンセンサスアルゴリズムの利用

順番に解説します。

【二酸化炭素の排出削減!】再生可能エネルギーで発電した電力を使用

NFTが環境によくないといわれるのは、マイニングで大量の電力を消費し、さらにこの発電に石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料が使用され二酸化炭素を排出するためです。この二酸化炭素の排出量を削減する方法の1つとして、再生可能エネルギーを使用した発電をすることがあげられます。たとえば、木質バイオマスなどを燃料に用いて発電した電力を使用してマイニングすれば、NFT発行や取引の際の二酸化炭素の排出を抑制することができます。テスラ社のイーロン・マスクCEOも、ビットコイン決済を一時停止した当時、決済再開の条件としてマイニングの再生可能エネルギー利用率向上を示唆しました。具体的には、2021年6月14日のツイートで『マスク氏はビットコインの価格操作を行なっている』という批判に対して『テスラ社のBTC売却は”市場に影響を与えずにBTCを精算できることを確認するためのもの”であり、ビットコイン決済に関しても”マイニングの50%程度がクリーンエネルギーで賄われていること”が確認できれば再開する予定だ』と反論しました。

【PoWからPoSへ!】電力消費を削減するコンセンサスアルゴリズムの利用

マイニングにおいて大量の電力を消費するのは、PoW(Proof of Work)という計算量に依存したコンセンサスアルゴリズムを使用しているためといわれています。このアルゴリズムをPoS(Proof of Stake)という保有通貨量や保有期間に関連したコンセンサスアルゴリズムに変更することで必要電力を削減できるといわれています。

PoW(Proof of Work)とPoS(Proof of Stake)の特徴は下記のとおりです。

  • PoW (Proof-of-Work): 膨大な計算を行うことで新しいブロックをブロックチェーンに追加する仕組み。ビットコインやイーサリアムクラシックが採用しているが、高い電力消費が課題となっている。
    *採用通貨:ビットコイン (BTC), ビットコインキャッシュ (BCH), ライトコイン (LTC), イーサリアムクラシック (ETC), モナコイン (MONA)
  • PoS (Proof-of-Stake): 通貨の保有量と期間に基づいて新しいブロックの追加者を決定する仕組み。イーサリアムでは2022年9月に導入された。
    *採用通貨:イーサリアム (ETH)、Algorand、Tezos、Polkadot、Hedera Hashgraph

PoSの導入による主な利点は以下の通りです。

  • エネルギー消費の削減: イーサリアム財団によれば、PoSシステムに移行することでエネルギー消費が99%以上削減されるとのこと。
  • 環境保護: SDGsの取り組みとして、電力消費の削減は環境保護にも寄与します。

一方で注意点として、新しいプラットフォームの導入にはハッキングのリスクや、作品の消失・悪用の懸念など、新たな課題も伴います。これらのリスクを理解し、慎重に選択する必要があります。

NFTの取引におけるエネルギー問題を解決するためのPoSの導入は、環境にやさしい未来を築くための大きな一歩です。SDGsの取り組みを支える技術として、PoSの普及と環境に配慮したNFTの利用は、アーティストやユーザーにとって大きな意義があります。

環境にやさしいNFTへの挑戦!

SDGsとNFTの組み合わせは、環境や社会へのポジティブな影響をもたらす可能性を秘めています。多くの企業や団体がこの新しい動きに取り組んでおり、持続可能な未来を築くための新しいアプローチとして注目を集めています。

SDGsを実現するための取り組みは多岐にわたりますが、その中でも、NFT技術を用いて具体的な成果や取り組みを可視化・証明するという方法が注目されています。

SDGsとNFTの組み合わせの大きなメリットは以下の2点です。

  • 透明性の向上: NFTを使用することで、SDGsへの取り組みの成果や進捗を正確に把握し、外部に公開することが容易になること
  • 継続的なサポート: NFTの売上の一部を環境保護や社会支援などの活動に寄付することで、持続的なサポートが可能になること

SDGsとNFTの組み合わせの具体的事例として以下の3例を紹介します。

  • mySDG:  株式会社bajjiが開発したメディアプラットフォーム。SDGsの進捗を可視化し、企業や個人がブログ形式で活動を情報発信できる他、NFTによる証明書の発行も行っています。
  • NFT LaFan:  マーチャント・バンカーズ株式会社のNFTマーケットプレイス。障がい者アーティストの作品をNFTとして販売し、収益金の一部を障がい者支援に使用しています。
  • ソーシャルコンパス:  途上国のアーティストが手がけるデジタルアート作品をNFTとして販売。売上の一部はアーティストや持続的な支援活動に使用されます。

一方で、前述のとおりNFTの製造・取引にはエネルギーを多く消費するブロックチェーン技術が使われることが多いため、環境への影響を最小限に抑えるための取り組みが求められるので注意が必要です。

SDGsとNFTの組み合わせは、持続可能な未来の実現に向けた新しいアプローチとして、多くの可能性を秘めています。環境や社会へのポジティブな影響を追求しながら、この新しい動きを活用していくことで、より良い未来を築いていくことが期待されます。

【まとめ】SDGs(環境)とNFTは両立可能!

本記事では、NFTと環境・SDGsとの関連性について解説しました。ブロックチェーン技術を利用するNFTは、マイニングで使用する電力消費や二酸化炭素の排出が問題視されていますが、マイニングに再生可能エネルギーを使用することで、二酸化炭素排出量を削減できることや、電力消費を削減するコンセンサスアルゴリズム(Proof of Stake)の利用について解説しました。また、SDGsとNFTの組み合わせの具体的事例も紹介しましたのでよりイメージできたのではないでしょうか。

本記事を読むことで環境面に考慮したNFTについて知識を拡充していただければ幸いです。これまで環境面への負の影響を鑑みNFT購入に二の足を踏んでいた人も、ぜひ試しにNFTを一度購入してみることをおすすめします。

Masa

masa

保険や投資などの金融分野、Web3.0、メタバース、暗号資産、NFT、DeFi、DAO、保険、投資などの分野に精通しています。株や暗号資産取引の豊富な経験に加え、保険業界でのITコンサルの勤務経験、AFP(ファイナンシャルプランナー2級)の資格も保有。知識や業務経験を元に信憑性のある記事を執筆する。
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