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【NFTの匿名性とは?】メリット・デメリットを徹底解説!

解説系記事

「NFTを始めたいけど、その匿名性についてよく知らない…」
「NFTの取引は本当に安全なのか?匿名性を高める技術やサービスはどんなものがあるの?」

本記事は、このような疑問や不安を持つあなたのための解説記事です。
NFTに関わりたい気持ちを持ちつつも、匿名性という領域についてどれだけの知識があるか、そしてそのメリットやデメリット、さらに関連する技術についてどのようなものがあるのか、そんな疑問を持つ方は多いでしょう。

本記事では、NFTの匿名性を中心に、その特性や、匿名性を高める様々な技術の詳細、そしてそれらの技術を利用したサービスの紹介を行います。また、最近話題のミキシングサービスの問題点や、NFTの匿名性に関する規制についてもしっかりと解説していきます。

最後には、NFTの匿名性を最大限に活用するためのヒントや、今後の動向についても紹介しますので、本記事を最後まで読めば、あなたもNFTの匿名性に関して理解を深め、理解した上でNFTを購入できるようになるでしょう。ぜひ、最後までお読みください。

NFTにおける匿名性とは?

暗号資産やNFTの取引において、通常ブロックチェーン上にはアドレスと取引の数量などの記録が保存されるだけで、氏名や住所、電話番号などの具体的な個人情報は記載されません。このことから暗号資産やNFTは匿名性にすぐれていると言われることがあります。

その一方で、ドルや円などの法定通貨で暗号資産・NFTを購入する際、取引所やNFTマーケットプレイスに個人情報を開示する必要があり、取引所やNFTマーケットプレイス内でアドレスと個人情報の紐づけが実施されています。また、パブリックブロックチェーンの場合、取引記録や売買記録は誰でも閲覧可能で、取引額や取引頻度、取引アイテムなどの情報から利用者が推定される恐れがあります。関連した取引記録は過去に遡って追跡できるため、保有する暗号資産やNFTが過去に犯罪などに使用されたことがあると判明した場合、受け取りや売買を拒否される可能性があります。

このように、ブロックチェーンの匿名性は完全なものとは言い切れないため、プライバシーや暗号資産・NFTの保護の観点から、匿名性の向上を目的とした技術の開発が進められています。

NFTの匿名性を高める技術の事例解説

暗号資産やNFTにおける匿名性の向上を目的とした技術を4つ紹介します。

ミキシング

暗号資産の送金時に中継地点として機能し、取引記録を非公開にするサービスです。ブロックチェーン上での取引は通常透明ですが、ミキシングサービスを使用することで送金先や金額を不明瞭にしてプライバシーを確保します。カンタンに説明すると、複数の利用者からの取引を集め、送付先に再分配します。このため、送金の最終的な受取人の特定を困難にできます。

サービスの種類としては下記の2つ。

  1. 中央集権型: 運営者が送金を取りまとめて分配。資金の流れは運営者によって把握され、運営者の不正行為のリスクがある。
  2. 分散型: 人間の仲介を必要とせず、プログラムのみで送金が行われる。「ゼロ知識証明」技術を利用して、取引の内容を完全に秘密に保ちながら処理を行います。

また、一部のミキシングサービスでは、一定時間が経過すると取引履歴が自動的に削除され、追跡が不可能となります。

通常、ミキシングサービスの運営組織は、暗号資産やNFTの開発者とは無関係です。しかし一方で、暗号資産の開発者がミキシングサービスの機能を組み込む場合もあります。このような匿名性の高い銘柄は「プライバシーコイン」と呼ばれます。

リング署名

自分自身の公開鍵をリングと呼ばれる複数の公開鍵グループに混ぜることで、どの秘密鍵が署名したのか分からなくする技術です。

ゼロ知識証明

命題(「自分があるアドレスに対応する秘密鍵をもっている」など)が”真”であることを、真であること以外の一切の知識を与えずに証明する手法です。

マルチパーティ計算

計算対象のデータを物理的に隔離されたサーバーへ断片化して送り、各断片に対して計算処理を行った後に集約・復元する技術の総称。ブロックチェーンでは秘密鍵の分散署名などに用いられます。

匿名性を高めた暗号資産サービスを紹介

暗号資産の世界には、匿名性を高めるための多くのサービスや技術が存在します。ミキシングサービスやプライバシーコインは、ユーザーの取引履歴や資産を秘匿することを目的として開発されました。

主なミキシングサービスやプライバシーコインは下記のとおりです。

  • Tornado Cash: 分散型自律組織(DAO)によって運営されるミキシングサービス。複数のブロックチェーンに対応。
  • Blender.io: 中央集権型のミキシングサービス。NFTゲームの資金洗浄に使用された経歴がある。
  • XMR(モネロ): プライバシーコインの一種で、取引の際に「ステルスアドレス」や「リング署名」を活用して匿名性を確保。
  • ZEC(ジーキャッシュ): ゼロ知識証明を用いた暗号化技術「zk-SNARKs」を特徴とするプライバシーコイン。
  • DASH: ビットコインのソースコードを基に、送金記録を秘匿化する「PrivateSend」技術を採用。

ミキシングサービスやプライバシーコインのメリットは下記の2点。

  • 匿名性: ユーザーのプライバシーを保護し、取引の透明性を低減させる。
  • 多様性: 様々なサービスや技術が提供され、ユーザーは自らのニーズに合わせた選択が可能。

たとえば、Tornado CashはイーサリアムやBinanceスマートチェーンにも対応し、多くの投資家から選ばれてきました。また、XMRは取引の特定を困難にする技術を駆使しており、高い匿名性を持っています。

【匿名性に関する課題!】ミキシングサービスの問題点を解説

ミキシングサービスはブロックチェーン上の取引を行いつつ、ユーザーのプライバシーを確保する仕組みです。しかし、この匿名性が犯罪組織によるマネー・ロンダリングなどの手段として悪用されることが増えてきました。ミキシングサービスのデメリットは以下の3点が挙げられます。

  • マネーロンダリングの手口としての利用
  • 送金の正当性が検証不可
  • 資金の中抜きリスク

実際に、過去にDeFiへのハッキング攻撃で流出した資金の多くがミキシングサービスを介して送金され、追跡が困難になるケースが多発しています。

ミキシングサービスの問題点をまとめると、以下の3点。

  • マネーロンダリングの温床: ミキシングサービスが、テロや犯罪組織によるマネーロンダリングの手段として利用されるリスク。
  • 送金の正当性: 送金の正当性が確認できず、犯罪組織だけでなく、正当な利用者も自身の取引の正当性を証明できない状況が発生している。
  • 資金の凍結: 健全な利用者も、犯罪関連の取引が混ざることで、その資金が凍結されるリスクが高まっている。

このように、ミキシングサービスの匿名性が犯罪の手段として悪用される危険性も高まっています。利用者としては、このような問題点をしっかりと理解した上で、NFTや他の暗号資産を購入・取引することが大切です。

【NFT・暗号資産】匿名性に関する規制を紹介

ここまで紹介したように暗号資産やNFTの匿名性は、プライバシーや資産の保護、適切なトレーサビリティの観点で非常に重要です。しかしその一方で、この匿名性が犯罪組織によるマネー・ロンダリングなどの手段として悪用されている事実もあります。つまり暗号資産やNFTを購入するユーザーや、ブロックチェーンやNFTの開発者にとっては取引に匿名性を持たせたい一方で、各国の監督当局としてはアンチ・マネー・ロンダリング(AML)などのために取引所やNFTマーケットプレイスに、データと個人情報を紐づけて管理させる必要があり、規制が検討されているという相反する状況が存在するということです。

たとえば、国際的機関である「金融活動作業部会(FATF)」によって、取引所間で顧客(送付側と受け取り側)に関する個人情報を共有する「トラベルルール」が定められ、日本を含む各国の取引所で対応が検討されています。

さらに、米国財務省では一歩踏み込んで取引所から個人認証がされていないウォレットへの一定額以上の出金を禁止する検討も実施されました。

このように、近年は匿名性に対して規制が強化される傾向にあり、匿名性によるメリットとマネー・ロンダリングなどの犯罪防止とのバランスが模索されています。

【まとめ】NFTの特徴にあった匿名性のあり方を検討しよう

本記事では、ブロックチェーンの匿名性は完全ではなく、資産の保護やプライバシーの観点で、匿名性向上の技術開発が進んでいることや、一方で、最近の金融機関では匿名化に対して規制が強化される傾向にあることを解説しました。

また、匿名性を維持するための最新の技術やサービス事例、マネーロンダリングなどの犯罪事例やそれらに対する規制対策、さらには匿名性を高めた暗号資産サービスについても紹介したので、NFTの匿名性に関して理解が深まったのではないでしょうか。

現状、暗号資産については、プライバシーを高めたいユーザー・開発者側と、個人情報を紐づけて管理したい監査当局側との間で、匿名性の規制が順次検討されています。その一方で、NFTに関しては非金融分野で使用されている場合、監査当局は金融分野程の厳密な管理はこれまで求めてきてはいませんでした。しかしNFTに関しても今後ますます法整備が整い、規制の範疇に入ってくることが想定されています。したがって、今後はNFTの特徴に合わせた匿名性のあり方が検討されていくことになるでしょう。

本記事を読むことで暗号資産やNFTに関する匿名性に関して知識を拡充していただけたと思います。NFTの匿名性とNFTへの法整備・規制強化とは両立可能です。これまで匿名性について負の影響を鑑みNFT購入に二の足を踏んでいた人も、ぜひ試しにNFTを一度購入してみることをおすすめします。

Masa

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保険や投資などの金融分野、Web3.0、メタバース、暗号資産、NFT、DeFi、DAO、保険、投資などの分野に精通しています。株や暗号資産取引の豊富な経験に加え、保険業界でのITコンサルの勤務経験、AFP(ファイナンシャルプランナー2級)の資格も保有。知識や業務経験を元に信憑性のある記事を執筆する。
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