シバイヌコイン(SHIB)は、ドージコインと並ぶ有名なミームコインです。ミームコインとは、インターネット上で面白おかしく扱われる話題性を狙った暗号資産で、ジョークコインとも呼ばれます。
従来のミームコインは話題性だけが先行し、機能面や実需が伴っていないものがほとんどでした。しかし、シバイヌコインはDEX、ステーキング、メタバースなどを提供しており、日々開発チームによるアップデート情報が発信されています。
本記事では、シバイヌコインが誕生してからの歴史や特徴、将来性や直近の値動きなどを解説していきます。
この記事の構成
シバイヌコイン(SHIB)とドージコイン(DOGE)の関係性
シバイヌコインは、ドージコインを真似て2020年7月に誕生しました。ドージコインは2013年に世界で初めて誕生したミームコインですが、当時は一部の人のみが知る存在でした。
シバイヌコインは「ミームコインを真似て作ったミームコイン」であり、何か目的があって作られたわけではありません。ネタとして作られた、数あるミームコインの中の一つに過ぎませんでした。
シバイヌコインが話題になったのは、2021年のイーロン・マスク氏のツイートに氏の飼い犬「フロキ」が登場したことがきっかけです。それを見た投資家による資金が集まり、有志によるコミュニティが形成されました。結果的に、シバイヌコインを中心としたエコシステム(経済圏)が作られ、現在では世界中に保有者がいます。
現在シバイヌコインのエコシステム「Shiba Inu Ecosystem」にある4種類のトークンの一つに「リーシュ(LEASH)」があります。これは、もともとドージコインを打ち負かすために作られたリベーストークン(供給量によってドージコインと価格が同じになるように制御される)です。
その後、開発チームの「ドージキラーの可能性を解き放つ」という方針が表明された後にリベーストークンとしての機能が削除され、現在はステーキングの報酬やNFT購入時の通貨として活用されています。
シバイヌコイン(SHIB)の誕生〜現在までの歴史
引用:https://www.shibatoken.com/
ここでは、シバイヌコインが誕生から現在まで、どのような道を歩んできたかを詳しく解説していきます。
創設者
創設者は「Ryoshi」と呼ばれる人物です。日本語の漁師が由来と考えられますが、本人が日本に住んでいるか、日本人であるかなどの個人情報については一切明らかにされていません。
Ryoshiはブログを運営していて、タイトル「I Am Ryoshi」という記事で、定期的に情報を更新しています。記事中では、開発の進捗を報告していることに加え「Shytoshi Kusama」の名前も登場します。
Shytoshi Kusamaは、現在でも積極的にSNSやブログを通じて情報発信を行っている、開発責任者とされている人物です。日本人のような名前ですが、この人物の素性も明らかにされていません。
運営チーム
運営チームはSHIB Doggy DAO財団が携わっています。Shytoshi Kusamaが責任者として、各DAppsの開発進捗、トラブルからの復旧などを報告していますが、メンバーや規模など具体的には不明な部分が多いです。
シバイヌエコシステムの公式サイトでは、Shytoshi Kusama含む複数名が投稿しており、新しく加わったメンバーの情報も定期的に発表されています。現在は、さまざまなDAppsの開発が進んでいることから、多くの人間が携わっていることでしょう。
出資者
シバイヌコインがベンチャーキャピタルや暗号資産関連企業から出資を受けたニュースは確認できませんでした。公に出資を募ったことはないと考えられます。
シバイヌコイン(SHIB)の目的
ミームコインを真似た暗号資産であるシバイヌコインには、社会的な問題の解決や何か達成したい目的があったわけではありません。誕生当時は、ドージコインやモナコインなどと同様に、インターネットで面白おかしく扱われるミームコインの一つでした。
現在NFTやメタバースなど数多くのDAppsの開発が進んでいますが、今でも明確な目的を掲げているわけではありません。今後シバイヌコインがどこへ向かうか注目していきましょう。
シバイヌコイン(SHIB)の技術的特徴
引用:https://www.shibatoken.com/#community
次にシバイヌコインの技術的な特徴を解説していきます。
柴犬をモチーフにして作られたミームコイン
シバイヌコインは、柴犬をモチーフにしたミームコインです。イーサリアムをベースとした暗号資産であり、ERC-20規格に準拠しています。
柴犬のルーツは日本にありますが、その愛らしさから現在では世界中にファンがいます。ツイッター(X)の公式アカウントのフォロワーは2023年9月28日時点で372万人おり、ソラナやカルダノ、イーサリアムも上回ります。
ミームコインであるシバイヌコインには、他の主要なアルトコインにはない魅力があるといえるでしょう。
ブロックチェーン「Shiba Inu Ecosystem」
Ecosystemとは、ブロックチェーン上で発行された暗号資産を用いて成り立つ経済圏のことです。Shiba Inu Ecosystemでは4種類のトークンを用いて、ブロックチェーン上でさまざまなDAppsの開発が行われています。
具体的には以下の通りです。
・ShibaSwap:DEX(分散型取引所)
・SHIB – The Metaverse:メタバース
・Shiba Eternity:カードゲーム
・SHIBOSHIS:NFT作品
ブロックチェーンのスペックについては明らかにされていませんが、DEXやメタバースの開発が行われていることから、高い性能を持っていると予想できます。
レイヤー2ネットワーク「シバリウム」の開発
2023年8月、レイヤー2ネットワークのシバリウムの立ち上げが行われました。レイヤー2ネットワークとは基本となるレイヤー1と別で機能する技術のことで、主に取引処理速度の向上やガス代の削減を目的に用いられます。
Shiba Inu EcosystemのNFTは、イーサリアムのネットワークに依存しており、高いガス代が大きな負担となっていました。こうした課題を解決するためにシバリウムが生まれ、ユーザーにとってさらに使いやすいブロックチェーンとなることが期待されています。
シバリウムは2023年8月に本格稼働を始めましたが、直後に想定を超えるほどのユーザーが流入したため、一時的にシステムがダウンしました。現在は稼働を再開しており、復旧後は問題なく処理が行われているようです。
4種類のトークンがある
Shiba Inu Ecosystemでは、4種類のトークンが用いられています。具体的には以下の通りです。
- シバイヌコイン(SHIB)
- ボーン(BONE)
- リーシュ(LEASH)
- トリート(TREAT)
シバイヌコインはShiba Inu Ecosystemの主要なトークンであり、支払いで用いられます。国内取引所や海外取引所で購入可能です。
ボーンは、Shiba Inu Ecosystemのガバナンストークンです。ShibaSwapの方針を決める投票に参加できることに加え、シバリウムでのガス代としての利用、ステーキング報酬としても獲得できます。
リーシュは、かつてはドージキラーと呼ばれたトークンであり、ShibaSwapにステーキングした人に配当として支払われます。保有することで、NFT作品の先行購入権など独自の特典を受けられます。
トリートについては、まだ詳細は明らかにされていません。今後公式サイトやSNSを通じての発表に注目していきましょう。
ShibaSwapの提供
ShibaSwapとはShiba Inu Ecosystemが提供するDEX(分散型取引所)です。具体的には以下の機能があります。
- DIG:流動性の提供
- NFTS:NFT作品
- BURY:ステーキング
- SWAP:暗号資産の交換
- DOGGY DAO:方針を決める組織
- WOOF:追加報酬の受け取り
ShibaSwapを通じて、持っている暗号資産を預けての配当獲得や、NFT作品の閲覧や購入、他の暗号資産との交換などを行うことができます。また、ShibaSwapはCERTIK社の監査を受けているため、セキュリティ面に強いプラットフォームといえます。
シバイヌコイン(SHIB)の将来性
引用:https://shibaswap.com/#/
ここでは、シバイヌコインの将来性について解説していきます。
実績はまだ乏しい
シバイヌコインは2020年7月に誕生した比較的新しい暗号資産であり、今までの実績は多くはありません。
当初は一つのミームコインで目的なく誕生し、有志によるコミュニティが形成され、DAppsの開発が始まってから2年弱です。イーサリアムやソラナ、ポリゴンなど、すでに数々のDAppsがリリースされているブロックチェーンと比較すると、大きく見劣りします。
これからの拡張性という意味では期待できますが、現在開発を進めているDAppsのいずれの分野も多くの競合が存在します。今後実績を作ることは簡単ではないといえるでしょう。
2年近くで大きく価格が下落
シバイヌコインは、2021年11月に記録した最高値から大きく値を下げています。
ミームコインは流行に乗った時の爆発力は凄まじい反面、ブームが去ると暴落したまま価格が戻らない、という傾向があります。市場全体が盛り上がった2021年11月からは、シバイヌコインは大きく値を下げており、復活の兆しが見えてきていません。
今後はミームコインとしてだけでなく、実需面での強化も必要と考えられます。
ミームコインが多く生まれている
シバイヌコイン以外にも、ミームコインは多く存在します。具体的には以下が挙げられます。
- ドージコイン
- ベイビードージコイン
- モナコイン
- ペペコイン
- ウォールストリートミームス
ミームコインの数が少なかった時と比較して競合が増えており、数年前より資金が分散しやすい状況にあります。かつてのように数百倍、数万倍の上昇が起こる確率は低いといえるでしょう。
メタバース「SHIB: The Metaverse」、DEX「ShibaSwap」、NFT「Shiba NFT」への期待
Shiba Inu Ecosystemでは、メタバースやDEX、NFTのサービスを提供しています。いずれも多くの競合がいますが、優位性を発揮しユーザーを獲得できれば、拡大、発展していく余地はあるでしょう。
2023年8月にはレイヤー2ネットワークのシバリウムが立ち上がり、ユーザーにとってより使いやすいプラットフォームになりました。Shiba Inu Ecosystemで提供するサービスが普及することで、シバイヌコインやリーシュ、ボーンなどの価格上昇にもつながることでしょう。
シバイヌコイン(SHIB)の時価総額推移
ここでは、Coinmarketcapのチャートを用いて、トロンの流通量や時価総額の推移を解説していきます。
流通量と発行上限数
引用:https://coinmarketcap.com/ja/currencies/shiba-inu/
シバイヌコインの総発行枚数は1,000兆枚で、すべてが発行済みです。Coinmarketcapの総供給量には「589.59TSHIB(589兆5,900億枚)」とあり総発行枚数より少ないですが、これは過去に何度かバーン(焼却)されているためと考えられます。
リアルタイムチャート
引用:https://coinmarketcap.com/ja/currencies/shiba-inu/
現在のシバイヌコインの価格は「1SHIB=0.001089円」です。総発行枚数が多いため、1SHIB辺りの価格が安くなっています。
シバイヌコインはミームコインであり、ビットコインなど他の暗号資産とは違う値動きをすることが多いです。2023年に入ってからは多くの暗号資産が上昇していますが、シバイヌコインは反対に下落しています。
ここ数週間の間でも右肩下がりで推移しているため、今は買いにくい形をしているといえるでしょう。
単体時価総額推移グラフ
引用:https://coinmarketcap.com/ja/currencies/shiba-inu/
「発行済み枚数 × 価格」で求められる時価総額は、価格とほぼ同じ値動きをしています。直近では大規模なバーンは行われていないと考えられます。
他の上位銘柄との時価総額比較
シバイヌコインは2020年7月に誕生した比較的歴史の浅い暗号資産であり、過去10年の間に時価総額TOP10に入ったことはありません。2022年には8位にドージコインがランクインしましたが、2023年はミームコイン全体が低迷しているため、ランクインするのは厳しいと考えられます。
シバイヌコイン(SHIB)を取り扱っている暗号資産取引所
最後に、シバイヌコインを取り扱っている暗号資産取引所や、保管方法をまとめていきます。
シバイヌコイン(SHIB)の取扱いがある国内取引所の例
取り扱いがある主な国内取引所は、以下の通りです。
- ビットポイント
- ビットフライヤー
- SBI VCトレード
- オーケーコインジャパン
2023年から取り扱いを始める取引所が増えてきていますが、現時点では限られます。
シバイヌコイン(SHIB)の取扱いがある海外取引所の例
暗号資産トロンの取り扱いがある海外取引所は、以下が挙げられます。
- バイナンス
- コインベース
- ビットフィネックス
- クラーケン
- クーコイン
- バイビット
- オーケーエックス
取引高上位の海外取引所では、基本的には取り扱いがあります。
シバイヌコイン(SHIB)の取得・購入および保管方法
シバイヌコインの取得方法は以下の通りです。
- 取引所で購入する
- 他の暗号資産と交換する
保管方法は以下が挙げられます。
- 取引所で保管する
- メタマスクやシバリウムのなどのソフトウェアウォレットで保管する
- トレザーなどのハードウェアウォレットで保管する
シバイヌコインはERC-20規格で作られています。保管する際は、ERC-20規格に対応したウォレットを利用するようにしてください。
シバイヌコイン(SHIB)の今後の展望まとめ
シバイヌコインは、イーロン・マスクのツイートを起点に人気に火がついたミームコインです。価格が大きく上昇してから多くのファンを獲得し、ブロックチェーン上では数々のDAppsの開発が行われています。
シバイヌコインの価格は、2023年に入ってからも低迷している状況です。今後はただのミームコインとしてでなく、実需を備えた暗号資産へと進化することが、次なるステージに進むための条件と考えられます。