PIZZA DAYとは世界3大ウールの「尾州ウール」を使ったアパレルブランド、もしくは業界を取り巻く環境問題の解決を目的とするプロジェクト全体のことを意味します。ウールは、通気性が優れていて快適な着心地など機能面が優れている点に加え、100%土に還り高い割合で再生できるなど、環境に優しい点においても注目されている素材です。
本記事では、PIZZA DAYの概要や主な取り組みなどを詳しく紹介していきます。
この記事の構成
PIZZA DAYとは?
本記事で紹介するPIZZA DAYは尾州ウールを用いたアパレルブランドでありプロジェクトですが、暗号資産(仮想通貨)の業界では、一般的に「ビットコインが世界で初めて取引に用いられた日」を指します。2010年5月22日、アメリカ人のプログラマーの「Laszlo Hanyecz氏」が、30ドルほどのピザ2枚の取引で10,000BTCを用いた話を知っている人も多いことでしょう。
尾州ウールを用いたアパレルブランドであるPIZZA DAYのプロジェクトは、2023年5月22日から始まりました。Web3の歴史とプロジェクトの発足が始まった日が同一である点にちなんで、PIZZA DAYと名付けられたようです。
PIZZA DAYは、2023年10月14日にプロジェクトの第一歩として、尾州産ウールを用いたTシャツとNFTメンバーシップのセット発売が決まりました。今後はメンバー限定イベントの開催や、古くなった衣類回収を協力した人に対してデジタルスタンプを配布などに取り組んでいくようです。
PIZZA DAYの進捗は公式サイトのロードマップや、Twitter(X)やDiscordのSNSで確認できます。特にDiscordではウールの魅力や限定メンバーシップの発売、ポッドキャストなど積極的に情報が発信されています。気になる人はぜひチェックしてみてください。
アパレル業界の大量廃棄、環境汚染の問題とは?
PIZZA DAYではアパレル業界の問題解決に取り組んでいます。ここでは、大量廃棄、環境汚染問題の概要を説明していきます。
大量廃棄問題
日本のアパレル業界は「大量生産・大量消費」の時代が訪れているといわれており、毎年大量の衣服が作られ廃棄されています。
ここ数年、薄利多売で大量生産するファストファッションのビジネス形態が指摘されてきました。消費者庁が提供するデータでは、2020年に衣類の新規供給量が合計81.9万トンに対し78.7万トンが手放され、その内約65%にあたる51万トンが廃棄処理されたと指摘されています。残りの27.7万トンはリサイクル・リユースされましたが、それぞれ「15.6%」「19.6%」と割合は高くありません。
こうした問題を解決し持続可能な業界にするため、2020年に経済産業省は新しいビジネスモデルの提案を行いました。具体的には、リユース事業や注文が来た分だけ生産する受注生産の推進、リサイクル可能な素材を用いた衣類の作成が求められています。
環境汚染問題
アパレル業界は、石油に次ぐ世界で第2位の環境汚染産業といわれています。大量生産によってCO2を排出し膨大な量の水を消費していることに加え、廃棄時には年間約50万トンものマイクロファイバーを海に放出し、生態系に悪影響を及ぼしています。
近年は着なくなった古着をアフリカや中米などの貧しい地域に送る動きも活発になっていますが、現状は供給過多の状況です。先進国から輸入された古着が行き場を失い、街中に山積みにされていることも少なくありません。
世界的にSDGs(持続可能な開発目標)の動きが盛んになる中で、アパレル業界は生産から廃棄までのサイクルについて、根本的な見直しが求められています。
PIZZA DAYの特徴や取り組み
ここでは、PIZZA DAYの特徴や主な取り組みをまとめました。
ウール素材を用いたTシャツを受注生産
2023年10月14日にデジタルメンバーシップNFTを発売
ReFi(Regenerative Finance)によるサーキュラーエコノミーの実現
ロードマップを公開
ツイッター、Discordのコミュニティが発達
それぞれ詳しく解説していきます。
ウール素材を用いたTシャツを受注生産
PIZZA DAYは、尾州ウールを使ったアパレルブランドです。尾州は、イタリアのビエラ、イギリスのハダースフィールドと並ぶ世界3大ウール産地の一つであり、品質は有名ブランドからも高く評価されています。
ウールは肌触りに優れ着心地が良い特徴があることに加え、環境への負荷が少ないです。具体的には以下の特徴があります。
- 100%天然の素材で土に還る
- 海に放出されるマイクロプラスチックがゼロ
- 水の消費量が少ない
- 高い再利用率
- 温室効果ガスを排出しない
PIZZA DAYが提供するTシャツは、数ある種類の中でも繊維が細かく伸縮性に優れた素材であるメリノ種のウールを使用しています。機能性にも優れたTシャツを受注生産で必要な分だけ生産し、アパレル業界が抱える大量廃棄、環境汚染の問題解決を目指しています。
2023年10月14日にデジタルメンバーシップNFTを発売
2023年10月14日、PIZZA DAYではTシャツとセットでデジタルメンバーシップNFTの発売を発表しました。発売時期や価格など、具体的な情報は以下の通りです。
※プレセール
期間:10/14(土)11:00〜10/15(日)23:00
価格:225MATIC(約17,300円)
送料・消費税込み
※パブリックセール
期間:10/16(月)11:00〜
価格:240MATIC(約18,480円)
送料・消費税込み
暗号資産のポリゴン(MATIC)、もしくはクレジットカードの支払いとなります。
デジタルメンバーシップNFTを入手することで、以下の特典があります。
①ブランド共創体験:ブランド運営や方針を決める投票へ参画
②イベント参加権:新製品発表、ヒツジ狩り体験、ワイン作り体験など
③クローズドコミュニティ参加権:Discord内の限定チャンネルへの案内
④新製品へのアーリーアクセス:新製品への優先アクセス権
⑤不定期のギフトやイベントへの参加権:コラボしたメーカーやブランドからのギフトに抽選
デジタルメンバーシップNFT保有者に向けて、さまざまなイベントの開催や特典の配布が予定されています。
ReFi(Regenerative Finance)によるサーキュラーエコノミーの実現
ReFiとは「ブロックチェーン技術を用いたインセンティブ設計で環境、社会問題の解決を目指す取り組み」です。サーキュラーエコノミーとは「廃棄物や汚染など環境に悪影響を与える素材を排除して負荷を低減し、再生するための経済システム」を意味します。
PIZZA DAYでは、着古した衣類を返却した人に対するインセンティブとして、デジタルスタンプNFTを配布する予定です。返却された衣類を始め、余分な生地や裁断くずは土に還り、環境へ悪影響を与えません。
インセンティブの設計は、サーキュラーエコノミーの構築を目指す上で重要なポイントになると考えられます。
ロードマップを公開
PIZZA DAYの公式サイトでは、予定を示したロードマップを公開しています。具体的には以下の通りです。
- 2023年8月:デジタルメンバーシップNFT発売
- 2023年11月:Tシャツ発送開始予定
- 2024年夏:廃棄服の回収プログラム開始
このように当初はデジタルメンバーシップNFTの発売を2023年8月に予定していましたが、約2ヶ月ほど遅れた形になりました。2023年11月にはデジタルメンバーシップNFT購入者に対して、Tシャツが発送される予定です。
ツイッター、Discordのコミュニティが発達
PIZZA DAYでは、ツイッターとDiscordのSNSを運営しています。Discordにはすでに200名近いメンバーがおり、セールの参加からウールの取り扱い方法、最新のアップデートまでさまざまな情報が発信されています。
Discordのチャンネル内では、プレセール、パブリックセールへ参加する人の声も多く確認できます。今後も大きな盛り上がりが期待できるでしょう。
PIZZA DAYはWeb3といえるのか
PIZZA DAYはアパレル業界が抱える問題の解決を目指した、大いに社会的意義のあるプロジェクトです。しかし、現時点でWeb3(Web3.0)要素はNFTや暗号資産以外に確認できません。
Web3とは「分散型のインターネット」です。分散型とはプラットフォーム運営者が存在せず、ブロックチェーンなどを活用してユーザー同士が直接通信できる仕組みのことをいいます。
PIZZA DAYではインセンティブとして配布するNFTや、決済に暗号資産を採用しているため広義ではWeb3要素を含みますが、仕組み全体としてはまだ十分に分散化されていないと考えられます。
PIZZA DAYの今後
PIZZA DAYでは、2023年11月にTシャツ発送開始、2024年夏の廃棄服の回収プログラムの開始予定です。今後はブロックチェーン技術を活用し、大量廃棄、環境汚染問題の解決に向け、サーキュラーエコノミーの構築を目指していきます。
近年はアパレルを含む幅広い業界で、ブロックチェーンなどの最新技術を取り入れるケースが増えています。PIZZA DAYの取り組みが一つの成功事例となれば、アパレル業界全体に普及し、また新たな活用方法が生まれてくるかもしれません。
まとめ
PIZZA DAYは、アパレル業界の大量廃棄、環境汚染問題の解決という目的達成のために、ブロックチェーン技術を活用した取り組みを行っています。Discordには目的や理念、世界観に賛同した多くのメンバーがおり、日々活発な情報発信が行われています。
今後はサーキュラーエコノミーを実現し長く続くプロジェクトとなるために、コミュニティの連携強化やインセンティブの仕組みが整備されていく予定です。気になった方はぜひ公式サイトや各SNSをチェックしてみてください。