NFTという言葉がアートやゲームの世界を中心に広がっていますが、2021年頃からNFTファッションという言葉も聞かれるようになりました。この記事では、NFTファッションの定義と実例を見ていきます。
この記事の構成
NFTファッションとは
NFTはNon-Fungible Token(ノン-ファンジブル・トークン)の頭文字をとったもので、非代替性トークンを意味します。ブロックチェーン技術によって、NFTが紐づけされたデジタル作品は、唯一無二であることが証明され、その所有者が明確となります。
このNFTとデジタルファッションが結びついたのが、NFTファッションです。現在、デジタルファッションは、広義の意味ではゲームなどの仮想空間において、アバターなどが着用するファッションのことも含みますが、ファッション業界で本格的な取組みを行い、大きな影響を与えたのが、オランダに拠点を置く「The Fabricant (ザ・ファブリカント)」でした。
デジタルファッションの始まり
The Fabricantは、完全にデジタルで完結するファッションを目指し、創始者が得意としたビジュアルエフェクト技術を用いて、「洋服が存在するのに物質的である必要はないことを世界に示す」というビジョンのもとに、2018年1月に創業したデジタルファッションハウスです。
彼らは、ソーシャルネットワークがビジネスや生活に深く浸透していく現代社会において、「身体を守るために必要なのが洋服で、アイデンティティを表現するために必要なのがファッションである」という考え方をデジタルの世界にも適用しました。
そして、「デジタル完結型ファッションが、自由・ファンタジー・自己実現の場である」として「デジタル版オートクチュールであるデジタルクチュールと3Dファッション」を通した彼らの挑戦が、ブランドや個人の関心を強く引き寄せました。
NTFファッションの登場
(画像引用:The Fabricant)
2019年にニューヨークで実施された「イーサリアム サミット」内のオークションで、The Fabricantのデジタルファッションアイテムのひとつである「Iridescence Dress」が、9,500ドル(約100万円)で落札されました。
ブロックチェーン上で初めて販売されたNFTファッションとして大きな注目を集めましたが、ことの発端は、当時イーサリアムブロックチェーン上で大人気だったNFTゲーム「CryptoKitties(クリプトキティーズ)」が、The Fabricantにブロックチェーン上で販売できるドレスを依頼したことでした。
9,500ドルという落札価格は、現在のNFT商品の販売額から見たら、大したことのない金額に思えますが、当時としては画期的な出来事でした。それ以来、デジタルファッションは大きく成長してゆき、その流れの中でNFTファッションも浸透していきました。
また、新型コロナウィルスのパンデミックにより、ファッション・ショーなどのイベントの中止やショールームの閉鎖、外出自粛による衣類需要の低迷などで、ファッション産業も大きな打撃を受け、デジタル化への道を余儀なくされたのも事実です。
NFTファッションの特徴とブランド戦略
前述した経緯によってNFTファッションが誕生しましたが、デジタルファッションのすべてがNFTファッションである訳ではありません。
SNS(ソーシャルネットワーク)やオンライン・ゲームに使用されるデジタルファッションは、一般に幅広く利用されるために汎用性が求められることが多く、それに対してNFTファッションは、ハイブランドによって活用されるケースが増えていきました。
この様子は、現実世界のファッションにおける着る為だけの需要と、アイデンティティを表現するための需要との関係によく似ており、NFTファッションが高額で限定的なものが多いのは、必然的な結果と言えます。
NFT技術による唯一無二の本物であることの証明
すでに簡単に触れた通り、NFTファッションの大きな特徴の一つに、唯一無二の本物であることを保証できるという点があります。
デジタル商品全般に言えることですが、簡単にコピーされオリジナルであることの証明が非常に難しいという問題がNFTによって解決されたことは、デジタル商品が資産価値を持てるようになるという、とてつもなく大きな変革をもたらしました。
デジタルの世界は、物理的空間の制約を超えて、自己表現を存分に楽しめる場所です。NFTファッションは、創造性が勝負のファッション業界において新たなモチベーションを創出し、クリエーター達にこれまでにない大きな夢を与えたのではないでしょうか。
二次流通によるロイヤルティ収入の仕組み
一般的に二次流通とは、一度市場に出た商品が購入された後、再び販売されること(いわゆる中古販売)をいいます。ファッションに限らず、二次流通で販売される場合、通常は最初の発売価格よりも低い値段をつけられることがほとんどです。
しかし、数量限定や発売時期、販売地域限定という条件が加わることによって希少価値が出ると、マニアの間で高値で売買されることも珍しくありません。
これまでは、そのような限定品の価格が二次流通において跳ね上がることがあっても、その商品の創作者側に入るのは発売時の利益のみで、それ以上の見返りはありませんでした。
それがNFTの登場により、唯一無二のものであることが証明されるだけでなく、ブロックチェーンの技術を通じて正確な取引履歴が公開されることにより、二次流通においても商品の創作者側にロイヤルティが還元される仕組みが可能となりました。
これにより、NFTファッションでも、二次流通で商品が転売される度に、企業やクリエイターにも転売額に対する一定率の収入が得られるようになり、業界の収益構造の改善につながるメリットや、若いクリエイター達の活動の支えにもつながっています。
デジタルアートとの融合
NFTファッションの主流は、デジタルファッションをNFT化することによる価値の創造ですが、一部のハイブランドでは、先行しているNFTアートにブランドイメージを融合した画像や動画を商品とすることもあります。
その一例として、2021年にグッチ(Gucci)が大手オークションハウスのクリスティーズ(Christie’s)主催のNFT専用オークションへ出品したNFT動画が 挙げられます。
これはグッチ創設100周年の「アリア・コレクション」をイメージした作品で、冬が去った後に花を咲かせるという再生願望を、青い扉、ドレスの女性、白馬を使って表現しています。
この作品は、その年の6月に2万5,000ドル(約280万円)で落札され、新型コロナワクチンへの取り組み「COVAX」を支援するため、収益のすべてがユニセフUSAに寄付されました。
メタバース空間でのアバターファッションのNFT化
(画僧引用: Decentrand公式)
NFTファッションは、ブロックチェーン上の仮想空間サービスとして注目を浴びているメタバースと親和性が高く、参入するハイブランドも増えてきました。
アメリカの総合情報サービス社のブルームバーグによると、メタバースの市場規模は2020年の4,787億ドル(約52兆円)から、2024年には7,833億ドル(約86兆円)に拡大すると予測されており、ファッション業界もNFTファッションの導入先として、熱い視線を送っています。
具体的には、メタバース内で活動するアバターの服や靴などに、NFTファッションを提供して、利用者のアイデンティティを高める商品の提供がされています。
メタバース内では、メンバー同士の交流も活発ですので、3D空間でお互いを認識する際に、外見や身につけるファッションに凝るのも楽しみの一つとなり、ハイブランドによるNFTファッションへの人気が高まっているようです。
そんなファッション業界の動きもあり、2022年3月にはメタバース大手のDecentlandにおいて、世界最大級のファッションイベントとなる「Metaverse Fashion Week(メタバース ファッションウィーク)」が4日間にわたり開催されています。
ドルチェ&ガッバーナ、トミー ヒルフィガー、フランク ミュラー、エトロなど、多くの有名ブランドが名を連ね、日本からもアンリアレイジが参加して、ランウェイショーやパーティなどのイベントと共に、NFTファッションの販売も行われました。
ブランディング化の為のコミュニティ戦略
(画像引用:ADIDAS公式)
NFTファッションを販売する方法は、数量限定などによるブランド愛好者への高額販売を狙うものだけでなく、限定商品をリーズナブルな価格で大量に販売し、それに与えた付加価値でファンの囲い込みをする戦略があります。
その一つの例が、アディダスが2021年12月に開始したBAYC(Bored Ape Yacht Club:ボアード・エイプ・ヨット・クラブ)とのコラボです。
BAYCお馴染みのサルのキャラクターにアディダスの服を着せ、立体的なNFTデジタルカードを共同で作成し、1個につき0.2ETH(イーサ)=約87,000円で3万個を販売して2,300万ドル(約26億円)の売上を上げました。
このNFTデジタルカードは全て同じものなので、一個一個にそれほど希少価値はありません。しかし、それを持つことによってアディダスの限定商品の購入特典があったり、メタバースへの限定アクセス権が得られるなど、様々なプロジェクトに参加できます。
アディダスの仕掛けはそれだけに留まりません。NFTデジタルカード購入者をDiscord(ディスコード)というチャットアプリのアディダス専用サービスに招待することで購入者同士がお互いにコミュニケーションを取れるようにし、その中でNFTのプレゼントをしたり、新商品の先行購入権やイベントの情報を流すことで、アディダスを応援してくれる濃いファンを育てていく場としました。
このような販促方法は、ファッションブランドのNFT戦略の定石となりつつあり、日本でもAMBUSH(アンブッシュ)などが取り組んでいます。
ハイブランドのNFT活用事例
前述したように、NFTファッションはメタバースやSNSとの親和性が高く、今後の発展が大いに期待されている状況です。二次流通の際にも、ロイヤルティ収入が期待できる仕組みは、ファッション業界にとっても本腰を入れる大きな要因になっています。
そのようなNFTファッションの特徴と、ファッション業界の大まかな取り組みがわかったところで、ここからは、皆さんもご存じの主なハイブランドの取組みを個別に見ていきましょう。
グッチ(Gucci)
(画像引用:SUPERPLASTIC×GUCCI公式)
すでに触れたように2021年にブランド戦略の形でNFTアートのスタートをきったグッチは、2022年2月にアメリカのアート・トイブランドであるスーパープラスチック(SUPERPLASTIC)とコラボした初のNFTファッションである「スーパーグッチ(SUPERGUCCI)」を発売しました。
リリースされた作品は、グッチのクラシックデザインと、スーパープラスチックのキャラクターであるジャンキー・アンド・グギモンを組み合わせたものになります。250個の限定販売で、全てのNFTアイテムにはグッチ職人が制作した8インチのセラミック製スーパージャンキーのオブジェが付属しています。
グッチは同じ時期に、メタバースで展開されるNFTゲームのThe Sandbox(ザ・サンドボックス)において、仮想空間上の土地(LAND)の購入を行いました。
それにともなって、グッチから提供されるメタバースファッションのアイテムがThe Sandboxで購入できたり、それをメタバース内で利用できるという情報もあり、今後の展開が注目されます。
ルイ・ヴィトン(Louis Vutton)
(画像引用:Google Play アプリ)
2021年8月に、ルイ・ヴィトンは創業者ルイの生誕200年記念プロジェクトの一環として、NFTゲームアプリの「LOUIS THE GAME」をリリースしました。
創業者のルイは、14歳の時に故郷であるフランスのジュラ地方から、2年もの年月をかけて徒歩で旅をし、パリに辿り着きました。この壮大な冒険がルイ・ヴィトンの起源となっています。
「LOUIS THE GAME」はこの旅にインスパイアされたものであり、時空を超えた6つの架空の世界を舞台に30作品のNFTアートを収集することができる冒険アクションゲームです。
そのうち10作品は75億円で落札されたNFTアートを手がけたアーティスト「BEEPLE」によるものであり、大きな話題となりました。
ルイ・ヴィトンは、この無料ゲームアプリの展開によって、最大1,430億ドル(約18兆970億円)の推定購買力を持つと言われているZ世代の消費者を引き付けることを期待しているようです。
バーバリー(Burberry)
(画像引用:BURBERRY公式)
2021年8月にバーバリーは、ブロックチェーンゲームの「ブランコス・ブロックパーティー」を運営するミシカルゲームスと提携を行い、ゲーム内でNFTコレクション「Bシリーズ」を販売することを発表しました。
このゲームは、眺めているだけでも楽しいデジタルのビニール性人形・ブランコを操る多人数参加型のゲームです。ステージを簡単に自作できる機能や、カスタマイズしたアクセサリーなどをNFTマーケットプレイスで販売できるなど、ゲームで遊びながら稼げる、いわゆる「Play to Earn」型NFTゲームで、若者を中心に大きな人気を博しています。
バーバリーは、ポップなサメ型のブランコ「シャーク・B」を750個の限定数量で販売しました。
その他にも、「ジェットパック」「プールシューズ」「アームバンド」などのNFTアクセサリーを独自ブランドで販売し、プレイヤーはゲーム内で自分のブランコに装着することができます。
ハイブランドがこのゲームに参入するのは、初めての事例であり、バーバリーの新しい分野への意気込みが感じられます。
RTFKT(アートファクト)
(画像引用:RTFKT公式)
RTFKTと書いてアートファクトと読む新進気鋭のNFTブランドです。
バーチャルスニーカーの先駆者で、2021年3月に、ブロックチェーン上のオークションにて600足をわずか7分で販売し約3億3,200万円もの売上を上げたことで、その名を世界へとどろかせました。
創業者のひとりであるスティーブン・ヴァジリー氏は、転売市場で多くの人が一度も履かずにスニーカーを流通させているのを見て、「フィジカルな靴は不要ではないか?デジタル上の取引でもいいのじゃないか?」という発想からブランドを立ち上げたと語ります。
彼らはゲーマーと熱狂的なスニーカーファンを融合させることに取り組み、ゲームやアニメに出てくるスニーカーを調べ上げてファンが渇望するアイテムを作り上げました。
日本のファッション業界の動向
ファッションと言えば、どうしてもパリ・コレで代表されるような海外のハイ・ブランドをイメージしてしまいがちです。日本でもIssey Miyakeのように世界に通じるブランドもありますが、一般的にはまだまだグローバルリーチに欠けるイメージは拭い去れません。
日本デザイナーと海外需要との関係性
2022年春夏のパリコレ(プレタポルテ)に参加したブランドデザイナーの国別人数を見ると、一番多いのはフランスの23人ですが、2位ベルギーの9人に続き、日本は8人と3番手につけています。
これを見る限りは、日本人デザイナーは海外で高い評価を得ていると言えるのですが、このデザイン力を海外需要を得る上で発揮できていないのが現状です。
具体的に2020年のアパレル製品の輸出額で見ると、トップのイタリアが約2兆6000億円、2位のドイツが約2兆3000億円、3位のフランスが約1兆3000億円の規模であるのに対して、日本はわずか500億円レベルに留まります。
高齢化と人口減少が進む日本において国内市場が縮小傾向にあるファッション産業は、今後グローバル展開に力を入れる必要があるのは明らかです。その流れの中で、ローカルに伝承される固有の文化や伝統の海外発信が注目されています。
その一例が、2021年7月にファッションブランドのトモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)が、世界遺産である京都・二条城で開催した、ブランド創立10周年コレクション。
京都に根付く文化や伝統的技能・素材産地を融合して、庭園をランウェイの舞台としたショー形式でコレクションを発表し、世界の注目を浴びました。
トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)のNFTファッションへの取組み
(画像引用:FASHION PRESS)
そのトモ コイズミが、2021年8月にコインチェックとデジタルファッションハウスのジョイファ(Joyfa)とタイアップして、日本初のNFTファッションに取り組みました。ジョイファの技術を元に、トモ コイズミのドレスをNFT化してコインチェックNFT(ベータ版)で販売しました。
また、2022年2月にも、トモ コイズミのNFTファッションとして、バーチャルドレス6作品が発売されました。「Rainbow Egg Ruffle Cape」1作品と、「Puffy Sleeve Ruffle Dress」5作品が出品され、「Puffy Sleeve Ruffle Dress」は2021年7月に二条城で発表したコレクションをNFT化したものです。
購入したバーチャルドレスは、ジョイファを通してデジタル上で取り込んだ人物と自動合成することで、実際に着ているかのように楽しむことができます。
経済産業省の動き
こうした動きに、日本のクリエイティブを世界へ広げていく一つの方法として、経済産業省もNFTやブロックチェーンの活用に目を向け始めています。
そして、NFTを活用したファッション産業における展示会の実証事業として、2022年3月にフィジカルとデジタルを合わせた展示会「SIZELESS TWIN(サイズレス・ツイン)」が東京のアートギャラリー「PARCEL(パーセル)」をメイン会場として開催されました。
作品を提供したのは、トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)やアンリアレイジ(ANREALAGE)などの日本を代表する5つのファッションブランドで、リアルな展示はもちろんのこと、バーチャル試着やメタバース展示なども行われ、大きな注目を集めていました。
NFTファッションは、こうした最終製品としてだけでなく、テキスタイルデザインなどにも活用が可能なので、そのデジタル上での使用に対する利用料収益を得るなど、収益の多元化が検討されています。そして、こうしたビジネスモデル構築のため、法規制・権利関係の確認が急がれています。
NFTファッション購入おススメのマーケットプレイス
このようにNFTファッションもNFTアートの後を追うように、世界へ広がりつつあります。ここでは、NFTファッションに興味を持ち、購入を検討している方の為に、おススメのマーケットプレイスを紹介したいと思います。
OpenSea(オープンシー)
OpenSeaは2017年12月にニューヨークを拠点にサービスを開始した、世界最大規模のNFTマーケットプレイスです。取扱商品もNFTアート、ファッション、ミュージック、デジタルカードなど、豊富な種類が揃っており、毎日活発な取引が行われています。
NFTの出品数は日々変化しますが約8,000万以上だと言われており、数だけでなくCrypto PunksやBAYCといった、超有名NFTアイテムが取引されています。
アクティブユーザー数は月間20万人を超えており、2022年1月9日には、1日あたりの過去最高となる2億6,100万ドル(約170億円)の取引高を記録し、今も成長を続けている人気マーケットプレイスのひとつです。
SuperRare(スーパーレア)
SuperRareは2018年にサービスを開始した、NFTアートを中心に取り扱っているマーケットプレイスです。出品数としては2022年1月時点で約2万8,000件と、OpenSeaに比べると見劣りしますが、クリエイターの出品に対して厳しい審査があるため、非常に質の高い商品が揃っています。
大きな特徴として、VRギャラリーという購入品を展示するスペースがあり、他の人に観てもらうことが可能です。また、そこではVRアートショーが開催され、VRのヘッドセットを装着することによってVRツアーに参加できます。このような仕組みによって、取引が生まれやすくなっています。
Coincheck NFT(ベータ版)
Choincheck NFT(ベータ版)は、2021年3月にサービスを開始した、日本の大手暗号資産取引所であるコインチェックが運営するNFTマーケットプレイスです。
オフチェーン取引に対応しているのが大きな特徴で、NFTの出品や購入時にガス代がかかりません。また、コインチェック内で購入可能な17種類の仮想通貨でNFT取引ができるのも特徴のひとつです。
ただ、現在はベータ版であるため、対応しているのはコインチェックWeb版とコインチェックアプリAndroid版のみで、IOS版には対応していません。IOSユーザーの方は、コインチェックWeb版で取引が可能です。
NFTファッションの買い方
世界や日本の各ブランド事例を見て、興味を持たれた方も多いのではないでしょうか。中には早速内容を観て、良いものがあれば購入してみたいと考えている人もいらっしゃると思います。
購入方法は取引を行うマーケットプレイスによって異なるので、ここでは、一般的な買い方を説明していきます。実際の購入の際はこの流れを理解した上で、それぞれのマーケットプレイスのルールに従って下さい。
暗号資産取引所での暗号資産の準備
NFTファッションに限らず、NFT化された商品を購入する場合、基本的にビットコインやイーサに代表されるような暗号資産を利用します。暗号資産をお持ちでない方は、まず暗号資産取引所に口座開設をしましょう。
暗号資産取引所もいろいろありますが、コインチェックやビットフライヤーといった日本の大手取引所で始めるのが良いでしょう。
口座開設が済んだら、日本円を入金して暗号資産を購入します。NFT商品は、日本円やドル、クレジットカードなどでは取引できず、暗号資産が必要になります。
また、取引を行うマーケットプレイスや購入するNFT商品によって利用できる暗号資産が異なるので、事前に確認しておくことが必要です。
ウォレットを利用して送金する
初めて暗号資産で取引をする方は、ウォレットと聞いて「いったい何だろう?」と思うかも知れませんが、日本語にすると「財布」という意味で、その名の通り取引で利用するバーチャル財布というイメージで問題ありません。
ウォレットを使うことによって、暗号資産を送ったり受け取ったり、保管したりできるようになります。暗号資産取引所で購入した暗号資産を、ウォレットへ送金(入金)し、購入したいNFTファッションの取引先であるマーケットプレイスでの支払いに利用します。
ウォレットもいろいろありますが、世界で最も利用度が高いMetaMaskがおススメです。PCの場合はGoogle Chromeのプラグインが、スマートフォンの場合はアプリが提供されているため、取り扱いに困ることがありません。
マーケットプレイスでの取引
マーケットプレイスでの購入は、事前にウォレットをそのマーケットプレイスに登録(紐づけ)しておくことにより、商品を選択して購入へ進むとウォレットが開き支払いを行う仕組みです。これでお目当てのNFTファッションの購入準備が整いました。
ここまで来たらあとは簡単です。ほとんどのマーケットプレイスでは、欲しい商品を選択し、購入ボタンを押すことによってそれを手に入れることができるので、利用するサイトのルールをよく確認の上、購入しましょう。
NFTファッションの課題
以上見てきたように、NFTファッションにおける各ブランドのアイテムへの注目はまだ始まったばかりですが、その需要の大きさから今後の成長が期待できる分野です。
しかし課題がいろいろとあるのも事実なので、その主なポイントを見ていきましょう。
ハイブランド商品の購入詐欺に注意
フィジカルなハイブランド商品では、偽ブランドなどの詐欺事件がニュースになることがありますが、残念ながらNFT取引でも同様のことが起こります。ネット詐欺は手口が功名なので、特に高額なハイブランド商品を購入する際は注意が必要です。
よくありがちなのが偽サイトです。よくある手口としては、広告サイトから偽サイトへと誘導するもの。内容や作りが本物サイトと酷似していて見分けがつきにくいので気をつけましょう。そっくりなサイトでも、よく見るとブランド名のアルファベットが一文字だけ違う、ある個所だけ順番が違う、などで見分けられることがあります。
また、購入や予約用として誘導されたサイトのつくりが不自然で本物のサイトかどうか疑ってしまうものは、まず間違いなく偽サイトと思った方がよいでしょう。
騙されて偽サイトで購入してしまうと、その暗号資産は2度と戻ってくることはありません。公式ツイッターからアクセスする、認証マークのあるものからアクセスするなど、必ず信頼できるサイトを利用しましょう。
購入目的は資産価値が8割
NFTの取引に関して、何千万円、何億円単位の話が注目を浴びます。とても一般人が手をだせるような価格ではありませんが、最近では、ちょっと頑張れば購入できるものが転売で何倍もの価格になるケースもだいぶ増えているようです。
例えばRTFKTのバーチャルスニーカーは、最初から転売を前提に創出されたNFTファッションです。NFTファッションも持っていれば次第に値段が上がるという考えから、資産価値を目的に取引しているケースも少なくありません。
NFTの画期的な特徴の一つに、二次流通においても、クリエーターにロイヤルティ収入が入る仕組みがあり、この資産価値を追うための市場が築かれているのが現状です。
NFTアートの分野で2021年に約75億円で落札され話題となった、「The First 5000 Days」のアーティストであるBeepleも、「NFTアート市場は、バブルになっているようだ」と発言していました。
NFTファッションもアート的な要素の強い作品が多いので、今後一般への認知が広がり市場が活性化していく中でバブル化する可能性は十分にあります。
購入までのハードルが高い
NFTファッションに関するニュースや情報が増えてきてはいるものの、まだ一般に浸透しているとは言えない状態です。そのため、何も知らない状態から購入するとなると取引手続きに予想以上の手間がかかります。
「ガス代」や「ウォレット」など、日常生活にない概念も理解しなければならないので、手を出すまでのハードルが高いのが現状です。
前述したように、今、NFT取引を積極的に行っている人はNFTの資産価値と新しいデジタルファッションへの関心が高い人達が殆どですので、一般への浸透はまだ時間がかかるものと思われます。
NFTファッション・まとめ
NFTファッションはNFTとデジタルファッションが結びついたものです。ハイブランドによる高額作品も多いですが、メタバースやSNS内でアバターが装着する目的や、ブランドのコミュニティ活性化としても利用されるものもあり、デジタル社会での用途は多様化しています。
そんな中、今後特に大きな発展が見込まれているのがメタバース市場です。そのため、NFTゲームへ参入するブランドも増え、Z世代などの若い消費者へターゲットを向けた戦略が活発になってきています。
こうした背景に加えて、日本のファッション業界では、人口減少という国内市場の縮小への対策としてのグローバル展開やNFT、ブロックチェーンの活用へも真剣な目を向けています。
その一方でNFTファッションには、高額なハイブランド商品購入の際の詐欺被害、資産目的のための取引加熱によるバブル化現象、複雑な購入手続きによる一般への浸透遅れへの対応などといった課題もあるので注意が必要です。
NFTの登場によりファッション業界もハイブランドを中心に、様々な取り組みが顕著になっています。その動きは業界の枠を超えて、メタバースゲームやアートの世界との融合による広がりを見せていますので、今後も大きく発展していくことに期待しましょう。