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NFTの登場で激変!? 知っておきたいアート投資の世界

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リアルなアート作品はこれまでも海外を中心に富裕層の投資対象となっていました。
一方デジタルアートは若いアーティストを中心に制作されていましたが、コピーの問題があり投資対象とはなり得ませんでした。
しかしNFTの登場で状況は一変。
現時点ではアート投資全体に占めるNFTの割合は数%ですが、今後急激にNFTがアート投資の主流になる可能性があります。
今回は日本ではあまり馴染みのない、アート投資の世界について解説します。

アート投資とは?

アート投資とは、株式や債券の代わりに絵画や彫刻といったアート作品を所有して利益を得ようとする投資です。
値上がりしたところで売却してキャピタルゲイン(売却益)を得る方法の他に、展覧会などに貸し出してインカムゲイン(運用益)を得る方法もあります。
アート作品を楽しみながら投資もできる方法として、特に海外では人気の高い投資方法です。

海外の富裕層のポートフォリオには以前から組み込まれていた

海外の富裕層にとって、アートは歴史のある投資対象です。
実際スイスを中心とした金融機関が富裕層に対して提供するプライベート・バンク・サービスでは、以前から投資ポートフォリオにアートが組み込まれていました。

日本でもコロナ禍以降注目が集まっている

一方日本では海外に比べ、アートに投資するという発想がなかったのですが、ここ数年のコロナウイルスの流行でその傾向に変化が現れました。
これまで外出をしてショッピングをしたり、海外に旅行に行ったりして散財していた日本の富裕層が、在宅する時間が長くなり、時間とお金を持て余すようになってきたのです。
そしてその余った時間とお金の行き先として、自宅などでアートを楽しみながら、しかも投資もできるというアート投資が注目を集めることになったというわけです。

なぜ今NFTアート投資に注目が集まっているのか?

ではなぜ今、アート投資の中でも「NFTアート投資」に注目が集まっているのでしょうか。

金融緩和策による「金余り」資金がアート投資に流入

まず富裕層が投資のポートフォリオに「アート」を組み入れる割合が増え、リアルアートも含めたアート投資市場自体が活性化しているという前提があります。
これまで世界中で長期に渡る金融緩和政策が続いてきて、各国の中央銀行が通貨の供給量を増やしたり、国債などの発行量を増やすなどした影響により、世界の金融市場は「金余り」状態が続いています。
この余剰資金は株や債券、不動産、金、そして一部は暗号資産(仮想通貨)などにも流れたのですが、それも一巡してしまい、富裕層は新たな投資先を探している状況でした。
その投資先がアートに振り分けられ、アート市場に一気に資金が流入したというわけです。

NFTによってデジタルアートの価値が上昇した

これまでデジタルアートには高い価値をつけるのが難しい状況でした。
近年では若い作家を中心にペンタブレットやiPadで作品を制作することが増えており、デジタルアート自体は元々多く存在していたのですが、デジタルアートは贋作どころか「コピーし放題」であり、とても投資対象にはなりませんでした。
しかしブロックチェーン技術をベースにしたNFTが登場すると状況は一変。
デジタルアートであっても「一点物」ということが証明可能となり、リアルアートと同様に投資対象にできるようになりました。
ビーブルのNFT作品に75億円もの価格がつくのは明らかなバブル状態と言えますが、今後もアート界、そしてアート投資の世界でもNFTが占める割合は増えていく傾向にあると予想されます。
そしてNFTの登場により、アートが投資の対象として大きな注目を浴びることになりました。

イーサリアム「億り人」による投資

現在のところ、NFTの取引の多くはイーサリアムプロックチェーン上で行われています。
そのため暗号資産としてのイーサリアム(イーサ)と非常に親和性が高いのが特徴です。
このことから暗号資産で財を築いた、いわゆる「億り人」、中でもイーサリアムで利益を得た人がNFTに投資をおこなうケースが増えました。
NFTバブルの背景には、このような億り人の存在があったのも事実です。

NFTアートに投資するメリット

ではアート投資、中でもNFTアートに投資するメリットはどのような点にあるのでしょうか。

作品を楽しみながら投資もできる

他の投資対象である株式や投資信託は「データ」であり、株主優待などのメリットはあるものの、それ自体を楽しむことはできません。
一方でアートの場合は芸術的・文化的価値があり、投資対象を作品として楽しむことができます。
アート投資には鑑賞と投資を同時に楽しむことができるというメリットがあります。

アーティストを応援し、パトロン気分を味わうことができる

アート投資は実は作家という「人」に対しての投資です。
ベンチャー企業に対する投資がその会社の「株式」ではなく、起業家という「人」に対する投資であることに似ているかもしれません。
投資する側は作品を購入し、応援することで作家を支える。作家は作品が売れることによって活動資金を得、さらなる創作活動に励み、作家としての知名度を上げる。
作家としての知名度が上がれば作品の価格も上昇していくことが期待できますから、作品を保有する投資家は利益を得ることが可能です。
つまり投資家としてはある作家の作品を多数購入し続けることで作家を応援するだけではなく、自分の利益にもすることができます。
そしてこのように作品を購入し続けていると、ルネッサンスを支えたメディチ家のように、作家とパトロンの間で個人的なつながりが生まれてくることがあります。
投資をしながらパトロン気分を味わうことができるのも、アート投資の醍醐味です。

作品の価値が下がりにくい

株式や債券などは一気に価格が上がることもありますが、価格が暴落することもあります。
ところがアート作品の場合、価格が一気に暴落することはめったにありません。
ゴッホやピカソといった超有名作家を考えてみてください。
作家の評価というものは一度高くなれば簡単には落ちません。
またこれは前項で解説した、投資家が作家を支えるという関係性からも導かれます。
投資家としては自分が保有している作品の価値が下がってしまっては困ります。
そこでアート作品の場合に生じるのが、価格が下がりそうになると、その作家の作品を多く保有している投資家や画廊などが価格が下落しないように買い支えてくれるという現象です。
そのためアート投資は比較的安定した投資方法ということができます。

経年劣化がない

アート投資以外では、ワインや最近ではウイスキーなども投資の対象となることがあります。
ただワインやウイスキーの場合、いくら保存状態が良くても、品質を保てるのはせいぜい数十年。数百年単位で品質を保つことは極めて困難です。
一方アート作品の場合、そもそもが保存することを前提として作られています。
そのため正しく保管さえしていれば、経年劣化を心配する必要はありません。
またNFTなどのデジタルアートであれば、そもそも経年劣化をすることがありえないため、安心して保有することが可能です。

NFT作品であれば贋作の心配がない

リアルなアート作品の場合、どうしてもついて回るのが贋作の問題です。
現在生きている作家の作品であれば本人が証明してくれますが、無くなった作家の作品の場合、プロでも真贋を見分けるのが難しい場合もあります。
またオークションなどでも鑑定をしてから出品をしてくれはしますが、「確実に本物です」といった保証はしてくれません。
その点NFTであれば仕組み的に贋作が作れないようになっているため、安心して購入し、投資対象とすることができます。

NFTアートに投資するデメリット

流動性が低い

株式の場合、ストップ安などで一時的に買い手がつかないこともありますが、基本的には売りたいときに売ることができ、換金することができます。
しかしアート作品の場合、人気のある作品の場合はすぐに買い手がつくでしょうが、現時点であまり知られていない作品の場合は買い手がつかない場合があります。
つまり換金したいときにすることができないため、流動性は低いです。

NFTアートの場合展示することが難しい

アート作品の場合、展覧会などに出品して多くの人に見てもらい、それで価値を上げていくことが基本となります。
しかしNFTアート作品の場合、作品自体はサーバー上にあるデータなので、そのままでは見ることができません。
モニターで見ることが中心となりますが、スマートフォンやPCのディスプレイでは大きく表示することは難しく、迫力にかけてしまいます。
また彫刻など立体的なものの場合、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)といった技術を使わないと展示することができません。
この「展示が難しい」という点は、NFTアートに投資する際、デメリットとなってきます。

NFTアート投資の始め方

ここではNFTアート投資の簡単な始め方を紹介します。

暗号資産取引所に暗号資産(イーサリアム)を準備する

NFTはイーサリアム上で取引されるのが一般的なため、コインチェックなどの取引所でアカウントを作成する必要があります。
次にウォレットを作り、イーサリアムを購入してその中に入れておきます。
ここまでが下準備の段階です。
次にNFTアートを所有する段階に進むのですが、これには「購入」する方法と自分で「制作」する方法があります。

NFTマーケットプレイスで購入する

購入方法は比較的簡単です。
代表的なプラットフォームであるOpenSeaにアカウントを登録してログインすれば準備は完了。
あとは自分の気に入った作品を選び、購入するだけです。
OpenSea以外にはコインチェックが運営する「Coincheck NFT(β版)」やOpenSeaとならんで海外で人気の高い「Rarible(ラリブル)」などもチェックしてみてください。

NFTを自分で制作する

NFTアートの場合、どんなものに価値が付くのかわかりません。
小学生の夏休みの自由研究に380万円もの値段がつくこともあります。
ぜひ自分でもNFTアートを作成してみましょう。
簡単なドット絵などを作成するだけならスマートフォンでもできますし、PCでフォトショップやイラストレーターなどのアプリケーションを使えば、本格的な作品を作ることも可能です。

SNSなどで作品を拡散する

はじめから有名なNFT作品であれば話は別ですが、そうでない場合や自分が作成したNFT作品の場合、まずは多くの人に作品を知ってもらい、作品の価値を上げていく必要があります。
一番手軽で有効なのはインスタグラムを始めとしたSNSで拡散することです。
うまくバズることができれば数百万人に作品を知ってもらうことができます。

NFTマーケットプレイスで売却する

作品の価格が十分に上昇し、売りどきになったと判断したら、購入時に利用したOpenSea、Coincheck NFT(β版)、Raribleなどに出品して作品を売却します。
売却する際は自分で価格をあらかじめ決めておく指値形式にするか、価格が変動していくオークション形式にするかを選択できます。

まとめ 好きな作品を長期保有するのがポイント

NFTアートに限らず、アート投資のメリットは一度上がった価格はなかなか下落しない点にあります。
ただダ・ビンチやゴッホであっても死後にようやく作品の価値が上がっていったように、作品の価値が上がるまでには長い時間がかかることもあります。
そのためアート投資をするのであれば長い期間保有し続けることが必要なのですが、好きな作品、好きな作家でなければなかなか長期保有することができず、「価格が上がらないから売ってしまおう」となりがちです。
NFTアートに興味のある方はぜひとも好きな作家、好きな作品を見つけて長期保有してみてください。
いつか思わぬ価値が付き、大きな利益を得ることができるかもしれません。

AMEHARE

AMEHARE

ITの最新トレンドを発信しはじめて十余年。Web2から3の時代の変革もいち早く察知し、2012年ごろから仮想通貨に注目をし始める。次世代の文化やテクノロジーを情報を掴みつつ、NFT・メタバース・DAOなどの領域であらゆる情報を発信中。
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