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今話題のジェネラティブNFTとは?基本を分かりやすく解説!

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「ジェネラティブNFT」ってよく聞くけど一体なんだろう?という方向けに、基本を分かりやすく紹介します。ジェネラティブNFTの意味と簡単な仕組みを紹介したのち、代表的な作品を挙げてそれぞれの概要を解説していきます。加えて、人気のコレクションに共通する特徴から、ジェネラティブNFTの全体像をとらえていきます。

ジェネラティブNFTの基本

ジェネラティブNFTって何?

ジェネラティブNFTとは、特定の条件下で自動で生成・発行されるNFTのことを指します。ジェネラティブ(ジェネレーティブ/generative)とは、「生成的な」という意味の英単語です。

NFTは一般的に、NFTを新しく作成・発行するMint(ミント)と呼ばれる作業を行ったのちに販売されるため、ミントの時点でNFTをいくつ発行するのか、どのトークンIDにどのデジタルデータが紐づくかが決まります。

一方ジェネラティブNFTでは、コンピュータの計算能力を活用して、パーツをランダムに組み合わせるプログラムをスマートコントラクトに組み込みます。NFTはスマートコントラクトを経由して、発行する瞬間にランダムな画像として自動的に生成・発行されるのです。

(引用元:https://hedge.guide/feature/what-is-generative-nft-bc202109.html

例えば人型のアイコン画像であれば、体、顔のパーツ、服、髪などのパーツ分けされた画像データを大量に用意し、それらをプログラムを用いてランダムに組み合わせることにより、自動で大量のNFTを生成します。

「ジェネラティブアート」との違い

ジェネラティブNFTが登場する以前から、プログラミングにより自動で作品が生成されるアートが存在しています。それらは「ジェネラティブアート」と呼ばれ、アートの新しい制作方法の一つとして1990年代後半から音楽、ビジュアルアート、建築、文学などさまざまな領域で実験的な模索が続けられ、徐々に発展していきました。

「ジェネラティブNFT」は、アートの世界では元々使われていた制作方法におけるアート制作プログラムの実行をスマートコントラクトを通して行い、NFTとして発行する技術であると言うことができます。

スマートコントラクトとは?

ジェネラティブNFTを語る上で重要なのが、スマートコントラクトという技術です。

スマートコントラクトとは、ブロックチェーン上で人の手を介さず、自動で契約内容を実行する仕組みのことを指します。

(引用元:https://coincheck.com/ja/article/215

これは1994年にニック・スザボという法学者/暗号学者によって提唱され、イーサリアムの考案者であるヴィタリック・ブテリンが、ブロックチェーン技術を利用して開発・提供を始めたコンピュータプロトコルです。イーサリアムは、ビットコイン(BTC)と同じようにブロックチェーン技術を用いていますが、スマートコントラクトによる契約の自動化を主要なコンセプトに据えています。

スマートコントラクトでは、契約内容とその実行条件をあらかじめプログラミングしておくことができ、現在発行されているすべてのジェネラティブNFTはこの技術の上に成り立っています。

代表的なジェネラティブNFT

ジェネラティブNFTという言葉の意味と、それが発行される仕組みを簡単に解説しました。ここからは、NFT市場をたびたび賑わせている代表的なジェネラティブNFT作品を挙げ、それぞれの概要を紹介していきます。

 CryptoPunks

「CryptoPunks」は、24×24ピクセルのドットで作られたデジタルキャラクターで、ジョン・ワトキンソンとマット・ホールが設立したニューヨークの企業「Larva Labs」によって2017年に発表されました。

(引用元:https://www.larvalabs.com/cryptopunks

CryptoPunksは、プログラムによって自動でパーツを組み合わせて生成されるジェネラティブアートの代表格の一つとして知られ、限定10,000個がOpenSeaで販売されました。内訳は男性が6,039体、女性が3,840体、ゾンビが88体、猿が24体、エイリアンが9体となっており、特に数の少ないエイリアンは、#5822が2021年2月にシリーズ過去最高額の8,000ETH(約27億円)で取引されたことが大きな話題となりました。

肌の色や髪色、身につけているアイテムなどが一つひとつ異なっており、その名の通りパンクな見た目をしています。

Bored Ape Yacht Club。

Bored Ape Yacht Club」(BAYC)は2021年4月にYuga Labsによってリリースされ、現在も常に上位にランクインするNFTを代表するコレクションです。類人猿をモチーフとした作品で、OpenSeaで限定10,000個で販売されました。身につけているアイテム、表情、背景色にさまざまなバリエーションがあり、派手でコミカルな見た目が印象的ですが、「Bored」という単語からも分かるように、猿たちはみな退屈そうな顔をしています。

発売当初は0.08ETHで販売されていましたが、2022年6月現在では最低でも約95ETH(約2,200万円前後)が必要なほど価格が高騰しています。

ジャスティン・ビーバーやパリス・ヒルトンなどの大物有名人がBored Ape Yacht Clubを購入し、Twitterのアイコンに設定したことでさらに大きな話題となり、価格の高騰に拍車をかけました。

BAYCから派生して「Mutant Ape Yacht Club」(MAYC)、「Bored Ape Kennel Club」(BAKC)という2つのNFTコレクションが誕生し、こちらも高額で取引されています。
また、2022年3月にYuga Labsは「Apecoin」という通貨をリリースし、NFTゲームの開発を行うことを発表しました。

高額な取引で注目されるBAYCですが、所有者限定のDiscordを運営するなど、クローズドなコミュニティを提供したり、コレクションを横展開することで新しいエンターテインメントを提供し続けたりするなど、NFTおよび暗号資産の世界を牽引しているという点では、とても重要なコレクションであると言えます。

ArtBlocks

Art Blocks」は、Snowfro氏によって開発されたジェネラティブNFTを作成・販売できるプラットフォームです。

作品を販売したいクリエイターが自ら作品の簡易プログラムまたはアルゴリズムをArt Blocksにアップロードし、発行総数や販売価格などを設定すると、Art Blocksの作品販売ページに情報が掲載され、販売できるようになります。

Art Blocksの作品は、以下の3つのコレクションに分類されています。

  • curated=Art Blocksのビジョンをもっともよく表している選別された作品
  • playground=curatedに選ばれたクリエイターのその他の作品
  • factory=curatedに入る条件を満たしていない作品

厳しい審査基準を通過した「curated」の作品が高値で取引されるのに対して、比較的緩和された条件で発表できる「factory」の作品は安値で取引される傾向があります。

購入者は好みのアートスタイルを選択し、作品の代金をイーサリアムで支払います。するとブロックチェーンに記録された情報をもとに、アルゴリズムによってランダムにNFTアートが生成され、発行された作品が自動的に購入者のウォレットに送付されます。作品が購入されると、販売額の10%が自動的にArt Blocksに転送され、残りがクリエイターに支払われるという仕組みになっています。

実際に購入者の元にNFTが発行されるまで、購入者はもちろんクリエイターさえもどのような作品が生成されるのかがわからないという点がArt Blocksの興味深い点です。ただしランダム性をもって新たに生成されるのは、まだMint(発行)されていない作品のみで、現在は二次流通している作品も多数あります。

作品がランダムに生成されるので、たとえ同じ購入金額でも、希少性が異なる作品を手に入れられる可能性がある点、また多数のアーティストが参加していることから、高いクオリティの作品が豊富である点も人気の要因となっています。

Generativemasks

Generativemasksは、クリエイティブコーダー・takawo shunsuke氏による日本発のプロジェクトで、コードによって生成された10,000点のジェネラティブアート作品です。コードによって自動的に生み出されるマスクは、リロードするたびに配色の異なるマスクが自動的に生成される仕組みとなっており、さまざまな色と形、複雑な模様パターンが妖怪のようにおどろおどろしくも、可愛らしさも感じさせます。各マスクは2021年8月17日に0.1ETHの価格で初出品され、わずか2時間程で3億円超(当時のレート換算)の売上を記録しています。

takawo shunsuke氏は、アーティストとプログラマーの中間のような立ち位置の「クリエイティブコーダー」として活躍しており、何かしらの目標や結果に向かってコーディングするのではなく、日常の小さな冒険としてコーディングする独自のスタイルである「デイリーコーディング」を提唱しました。彼は短いコードによる「スケッチ(素描)」と呼ばれる作品を日々制作することでコードによる表現を探究し続けており、「Generativemasks」は、そのような彼のスタイルの延長線上に生み出された NFTアートと言えます。

また、彼はこのプロジェクトで得た収益の全額をジェネラティブアートに関わる団体に寄付することを明言しています。このようにジェネラティブアートへの貢献度が高い点も、国内外で注目されている理由の一つでしょう。

Crypto Ninja Partners

Crypto Ninja Partners(CNP)は、インフルエンサーのイケハヤ氏がプロデュースするNFTプロジェクトCrypto Nijnja(クリプトニンジャ)のサブプロジェクトです。Crypto NijnjaのコミュニティであるNinja DAOの中で発足したもので、「CryptoNinja」に登場するキャラクターのパートナーをメインビジュアルに据えたNFTコレクション。国内最大規模の試みとなる22,222点が2022年5月15日(日)に発売され、わずか2時間で完売しました。現在も二次流通で活発な取引が行われており、2022年6月時点での総取引量は967ETH(約1億7,000万円)を突破しています。

4体のメインキャラクターを軸として、それぞれの色、表情、身に付けているアイテム、背景がそれぞれ異なるジェネラティブNFTであり、キャラクターデザインはCrypto Nijnjaコレクションと同様のクリエイターのRii2氏が手がけています。

公式サイトでは以下のようなプロジェクトのビジョンがはっきりと示されています。

  • 発行量を多くすることでCNP経済圏を確立し、所有すること自体の価値を高める。
  • Ninja DAO内のさまざまなプロジェクトとCNPを接続し、所有によって得られる可能性を拡張する。
  • CNPを所有することで、NinjaDAOのプロジェクトやイベントに優先的に参加することが可能になる。
  • CNPを所有することで、CNPプロジェクトやNinjaDAOの活動に、より深くコミットすることができる。

上記からも分かるように、CNPを保有することによるメリットを明確に打ち出しています。NFTやDAOといった新しい文化を広く普及させようとする目的を持った、国内では最大規模のジェネラティブNFTコレクションと言えるでしょう。

※ただし、当サイトではイケハヤ氏のプロジェクトは非推奨です。

人気のジェネラティブNFTの特徴

ここまで、現在のNFT市場を賑わせている代表的なジェネラティブNFTを挙げ、それぞれの概要を見てきました。アートとしての見た目や性質は異なりますが、人気があるジェネラティブNFTには共通する特徴を見出すことができます。この章ではその特徴を挙げて、ジェネラティブNFTの全体像を浮き彫りにしていきます。

最新の取引履歴・最低価格を開示しているのウェブサイトがある

ここで挙げてきた人気のジェネラティブNFTには全てコレクション専用のウェブサイトがあります。
ウェブサイトには下記のような情報がまとめられています。

  • コレクションのコンセプト
  • 発行数
  • 値段
  • 購入方法
  • ロードマップ
  • 派生プロジェクトの概要 など

例えばCrypto Punksは、Larva Labsのウェブサイト内に専用ページがあり、取引額のランキングや、最新の取引履歴、最低価格で購入できる作品一覧などの情報が常に更新されています。

ジェネラティブNFTはコーディングやマーケティング、イラストを描くクリエイターなどをそれぞれが請け負う会社などのチーム体制で運営されていることがほとんどです。このように運営される人気のジェネラティブNFTは、継続的に利益が生み出されるような体制、仕組み、ロードマップが整っているため、それらの情報が一覧で分かるような公式ウェブサイトが構築されています。

所有者専用のコミュニティがある

現在、ジェネラティブNFTコレクション所有者だけが参加できるコミュニティが注目を浴びています。コミュニティのコミュニケーションは、チャットサービスである「Discord」でクローズドに形成されています。

一例として、BAYCも、所有者のみが参加できるDiscordチャットが運営されています。BAYCは世界的な著名人も所有していることから、著名人と同じコミュニティに参加できるという点を魅力に感じている人も多いのかもしれません。また、所有しているBAYCをSNSのアイコンとしてだけでなく、いわばコミュニティへの参加権の証明として用いられます。

ディスコードでは参加者向けに優先的にNFTが配布されたり、最新情報がいち早く手に入れられるような情報交換もなされています。一方ではサーバーがハッキングされ、高額なNFTが流出したり、ウォレットから資金が盗まれるなどの詐欺の温床になっているという問題点もあります。

各NFTコレクションのディスコードはこちらです。
Larva Labs(Crypto Punks) : https://discord.com/invite/tQp4pSE
BAYC:http://discord.gg/bayc
Art Blocks : http://discord.gg/artblocks
Generativemasks: http://discord.gg/gR3mgVdjfd
CNP : https://discord.com/invite/GDNcENCrpt

コレクティブNFTである

またジェネラティブNFTは、コレクターの収集欲をくすぐるNFTであるという点は重要なポイントです。こうしたコレクションは「コレクティブNFT」とも呼ばれますが、その明確な定義は定まっていません。しかし、およそ次のような特徴があると言えます。

  • コミュニティが形成されている
  • 発行数が限られている
  • コレクションしたくなるようなデザインである

NFTを購入する人は単にそのアートが好きだからという理由以外に、コミュニティの参加権や、社会的ステータス、転売による利益などを求めていることがほとんどです。高額で取引されたり、発売後すぐに完売するほど人気のNFTは、上記で挙げたような特徴を全て備えているために、このような購入者のニーズを満たす存在となりうるのです。

また、ジェネラティブNFTはその仕組み上、大量に作品を生成することができますが、多くは限定10,000個など、数を制限して販売されています。ただでさえ数が限られている中で、レア度の高い絵柄が高騰するのは明らかです。こうした希少性の高さを魅力として打ち出すことができるのも、ジェネラティブNFTの特徴です。

くわえて、人気のジェネラティブNFTは、キャッチーで、デザイン性の高い見た目をしていることも特徴として挙げられます。本記事で挙げた代表的なジェネラティブNFTは、Art Blocks以外はpfp(プロフィールフォト)向けのアイコンです。SNSのプロフィールとして設定しやすいアイコンであり、見る人に強い印象を与えるキャラクター性があることも重要なポイントと言えるでしょう。

まとめ

ジェネラティブNFTの基本的仕組みと特徴を解説したのち、世界中で人気を博しているジェネラティブNFTコレクションの概要を紹介し、その特徴を挙げてポイントを整理しました。最近では個人でもジェネラティブNFTを作成できるサービスが登場し始めており、今後ますます一般的になっていくと予想されているため、今後の動向にも注目です。

春眠

shunmin

アート関連の仕事をしながら副業ウェブライターとして活動。NFTコレクション運営においては、企画、マーケティング、コピーライティング、情報発信などを担当。NFTによってアートの世界がどのように変化していくかに興味があり、日々情報を収集している。毎日の読書によるインプットを欠かさず、読みやすい文章で丁寧に執筆することを心がけている。
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