2022年1月、OpenSeaが「共有コントラクトについて50アイテムしかmintできないようにルールを改訂する」と発表しました。
この発表がされると共有コントラクトを使用しているクリエイターの間で騒然となり、批判も相次いだためこの改訂はすぐに撤回されましたが、このことにより独自コントラクトへの注目度が一気に高まりました。
(引用元:https://twitter.com/opensea/status/1486843201352716289?s=20&t=PpGRPqgodNrgWQgJnmgiIQ)
今回はNFTの発行者を明確にする「コントラクト」について説明しながら、独自コントラクトの重要性などを解説していきます。
この記事の構成
独自コントラクトを知るうえで覚えるべき3つのワード
NFTを発行する際、「コントラクトアドレス」というものが必ず付与されます。
これは、NFTの発行者情報を追跡できるとても重要なもので、無論ブロックチェーンに記録されます。
例えば、クリエイターであるAさんが発行したNFTは、発行者もAさんである場合は「NFT作成者=NFT発行者」です。
一方で発行者がクリエイターではなく、マーケットプレイスの場合は「NFT作成者≠NFT発行者」となります。
現在マーケットプレイスで販売されているNFTは、マーケットプレイスが発行している後者のタイプ(NFT作成者とNFT発行者が異なる)が圧倒的に多いのです。
なぜ、このようなタイプが主流なのでしょうか?
その理由や背景を知るうえで、重要な3つのキーワードがありますので一つずつ紹介していきながら、メリット・デメリットなども含めて解説していきます。
スマートコントラクトとは
スマートコントラクトとは、ブロックチェーンをある程度ご存知の方であれば一度は聞いたことがあると思います。ブロックチェーン上で契約に必要な一連の機能を実装している、いわゆる「自動契約システムのこと」で自動販売機を例にあげられることが多くあります。
では、NFTにおけるスマートコントラクトはどのように動いているのか説明します。
- NFT自動売買
- 所有者の変更
- 二次流通時における発行者へのロイヤリティ
上記のような機能を、スマートコントラクトが全て自動で処理してくれています。
共有コントラクトとは
実際にNFTを発行する(Mintといいます)際には、たくさんのプロセスと必要な情報があります。おもな情報の一部を紹介すると
- 作品の添付
- タイトル
- 名前
- Discription(概要)
などです。
この一連の作業(Mint)をOpeanSeaなどのプラットフォーム上で行うと、「共有コントラクト」となります。そのため、この場合は発行者がプラットフォームになり「NFT作成≠NFT発行者」の状態です。
イメージとしては、会社に属しているクリエイターが自分の名前ではなく、所属している会社名で出品したイメージです。
では、共有コントラクトを使用したNFTのコントラクトアドレスがどのようになっているか、実際にOpeanSea上の「ohiostatedraftboyz」という作品を例に確認してみます。
(引用元:https://opensea.io/collection/ohiostatedraftboyz)
アーティストTOPページの「Contact Address」をクリックします。
表示されたEtherscanを見ると赤枠で囲んだ項目が「OpenSea」になっています。
履歴も全て「OpenSea」になっているのが確認できます。
メリット
- MetaMaskなどのウォレットを繋げるだけで出品までの作業が簡単にできる。
- 問題やトラブルが発生しても、マーケットプレイス側で対応してくれる。
デメリット
- ブロックチェーン上では、NFTの発行元がマーケットプレイスになっており、クリエイターの情報が一切表示されない。
- マーケットプレイスが倒産したりサービスを終了した場合、発行元が残らなくなる可能性があり、作品自体が消滅してしまう可能性もある。
- 契約内容がマーケットプレイス側で変更されてしまう可能性がある。
独自コントラクトとは
NFTの発行作業を全て自分で行うことを独自コントラクトと言います。
共有コントラクトの場合、基本的な情報のみを自分で記載して他の部分は、マーケットプレイスが代理で作業をしていました。
これとは異なり、「作品における作成も発行も、全て自分である」というデータを残す為の作業です。
では、独自コントラクトがOpeaSea上でどのように表示されているか、「Dream Women」の作品を例に確認してみます。
(引用元:https://opensea.io/collection/dream-women)
アーティストTOPページの「Contact Address」をクリックします。
表示されたEtherscanを見ると「Contact Overview」がブランク、「Token Tracker」が「DreamWomen」になっています。
履歴も全て「DreamWomen」のアドレスになっているのが確認できます。
これが「NFT作成者=NFT発行者」となっているコントラクトアドレスです。
メリット
- 自らが発行元として明確に残る。
- 二次流通移行の売買履歴が明確になり、発行元と制作者が同じであることを確認することができる。
- マーケットプレイスがサービスを終了しても作品が残る。
- OpeaSeaなどのマーケットプレイスに関係なく、どのマーケットプレイスにも紐づけることが可能。
デメリット
- 技術的に難しく、プログラミングの知識が必要。
- イーサリアムで発行する場合、ガス代が高い。
独自コントラクトの作成サービスを紹介
ここまで説明してきて、NFTを発行する場合、
- 共有コントラクトでの発行は簡単に発行できる。
- 独自コントラクトでの発行は技術的にハードルが高い。
これらの理由により、独自コントラクトの方がメリットはあるものの、共有コントラクトで発行するクリエイターやアーティストが多いと考えられています。
しかし、最近では独自コントラクトが作成できるサービスが出てきました。
今回紹介するのは日本発のサービスなので、日本のクリエイターの皆さんにとってはとても使いやすいと思いますので是非参考にしていただければと思います。
Chocfactory
公式サイト:https://factory.chocomint.app/
日本発の独自コントラクト作成プラットフォームで、ウォレットの作成だけで独自コントラクトを作成できるとても便利なプラットフォームです。
対応しているチェーンは以下の通りです。
- Rinkeby
- BSC
- Matic(Polygon)
- Etherium
V1とV2があり、V1は一つの作品が対象で複数の作品の場合はV2を使用するようになっています。
直観的に作業ができるので初心者でも簡単に作成することができます。
作成までの大まかな流れは以下の通りです。
- コントラクトの保存
- ウォレットの接続
- 使用チェーンの選択
- 名前などの入力
- コントラクトをトランザクションに展開
- トークンを保存
- 下記の項目に記入する
- トークンIDは自動発行
トークンを発行したら、販売したいマーケットプレイスに作成したコントラクトを貼り付けて販売開始になります。
また、ロイヤリティの設定方法なども公式サイトに記載されているので、このサイトのみで全て完結できます。
なお、Etheriumの場合は、共有コントラクトよりガス代がかかりますので予め余分にETHの準備が必要になります。
ガス代をかけたくない場合はMaticを使用することをお勧めします。
LEAD EDGE
公式サイト:https://leadedge-c.com/
Matic(Polygon)専用の独自コントラクト作成プラットフォームですが、アートだけでなくスポーツや音楽など、多くのジャンルを扱っている日本国内のマーケットプレイスでもあります。
LEAD EDGEでは、LEAD EDGEでの共有コントラクトとどこのプラットフォームにも発行できる独自コントラクトの2種から選ぶことができます。
独自コントラクトの作成画面は以下の通りです。
各項目に入力するだけでとても簡単に作業をすることができるので、プログラミングなどの知識不要で独自コントラクトで発行することができます。
まとめ
NFTのコントラクトについて説明してきました。
現状はまだ共有コントラクトの作品が多いですが、今後は独自コントラクトNFTが増えて来ることが予想されます。
クリエイターだけでなく、購入する側にとってもメリットが多い独自コントラクトNFTに注目をしていきたいと思います。