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【NFTは環境を破壊する?】NFTの環境に与える影響と対策を紹介

解説系記事

「NFTが環境を破壊するって話を聞いたけど、どういうこと?」
「仮想通貨と同じで、NFTも取引するのに膨大な電気を使用するの?」

NFTを取引している方、また今後始めようとしている方の中には、上記のような疑問をもつ方もいるでしょう。今回は、そんな疑問を解決する記事です。

絵画やキャラクター商品、ゲーム内のトークンとしてNFTが最近ブームです。暗号資産同様に投資商品として人気ですが、環境に与える影響に関しては、意外に知らない人が多いのではないでしょうか。

本記事では、そんなNFTの環境に与える影響に関して、対策と合わせて徹底解説します。カーボンフットプリント、PoW、およびPoSなどの用語と併せて紹介しますので、NFTの環境に与える影響に関して、基礎から理解したい人は必見です。

最後に、今流行のSDGsと絡めて解説しますので、ぜひ最後までお読みいただき、NFTの投資の側面だけでなく、環境面に関しても理解を深めてください。

NFTと環境破壊の概要【NFT取引には膨大な電気量が必要】

NFTの環境問題がクローズアップされたのは、国際的に活躍するメディアアーティスト、Memo Akten氏の発言からです。彼は自らのWebサイト上で、NFTと環境問題の関連性を問題提起しました。

Memo Akten氏は、NFT作品が制作・取引される際のカーボンフットプリントや電気代の価格の高さを指摘。NFTは環境面に与える影響が大きいと、警鐘を鳴らしました。この指摘に賛同しNFTアートへの参入を躊躇したアーティストもいます。

また、そもそもNFTの基盤となるブロックチェーン技術においても環境問題が指摘されています。具体的には、新たなブロックをつくるために必要な「マイニング」と呼ばれる承認作業があり、それに膨大なエネルギーがかかることです。

この章ではNFTの環境問題を語る上で必須となる、以下の3つのポイントを紹介します。

  • NFTのカーボンフットプリントとは何?
  • 1取引当たりに消費する電気量はどれぐらい?
  • マイニングには膨大なエネルギーが必要

それぞれ徹底解説しますので、ぜひ最後までお読みいただき、知見を深めてください。

【徹底解説】NFTのカーボンフットプリントとは何?

カーボンフットプリントとは、商品やサービスが制作・取引される際の、生産から消費のサイクルに伴う温室効果ガスの排出量推定値です。例えば製品の材料(原材料や再生材料)や製造工程で使用するエネルギー(火力や電気)、輸送方法(飛行機やトラック)など、それぞれ製造方法や取引ルートが異なるのでカーボンフットプリントは製品ごとに大きく異なります。

上記の通り、温室効果ガスの排出量は非常に多くの要因に左右されるので、正確なカーボンフットプリントの計算は非常に複雑です。しかし、推定値を利用すればそれぞれの商品やサービスが環境に与える影響を大枠で理解するのには非常に役立ちます。

先に登場したメディアアーティストのMemo Akten氏は、NFTのカーボンフットプリントに関する予測をした内の一人です。NFTが作成または売却されるたびに、イーサリアムブロックチェーンでトランザクションが作成されます。Memo Akten氏は「平均的なNFT 取引では約 48kg の二酸化炭素が排出される」と発言していますが、これは小型の軽自動車を約48km運転した際の排出量に匹敵します。

このように、NFT によって作成される二酸化炭素排出量は異常な多さです。「デジタルアートを作成するために二酸化炭素を排出し過ぎるのはよくない」と、Memo Akten氏やAkten氏に賛同するアーティストは警鐘を鳴らしています。

このような主張は、マイカー通勤をやめ自転車で通学・通勤したり、飛行機のフライトを避けたり、食事から牛肉を避けたりすることと同じで、これらの行為に価値があるのならば、NFT の作成または購入を避けるのも同じように価値があるとする主張も一理あるでしょう。

1取引当たりに消費する電気量はどれぐらい?

NFTの売買時の記録はブロックチェーン上で複数のコンピュータを使用して管理されます。つまり、NFTの取引が行われる度にコンピュータはとても複雑な計算を実施し、その際に多くの電気を消費します。

諸説ありますが、NFTの1取引あたりに消費する電気量は約8.7メガワット時と言われています。これはアメリカの一般家庭の約39年分の電気量に相当します。

火力発電はもちろん、自然エネルギーによる発電でも原料の採掘や発電所の建設など、電気を作る過程で多くの二酸化炭素が排出されます。二酸化炭素は「温室効果ガス」とも呼ばれ、環境問題の1つである、地球の温暖化とも密接に関連しているのをご存知でしょうか。

このようにNFTが大量の電気を消費することが結果的に二酸化炭素の排出に繋がり、環境に対する大きな懸念材料になっている事実を忘れてはいけないでしょう。

マイニングには膨大なエネルギーが必要

NFTの取引の中でも「マイニング(採掘)」と呼ばれる取引データの承認作業には膨大なエネルギーがかかると言われています。これはブロックチェーン特有の仕組みです。ブロックチェーンは、様々な処理(トランザクション)を承認する際に、どういった合意形成アルゴリズムを利用するかによって区別されます。

NFTでは主に「イーサリアム(Ethereum)」がブロックチェーンとして採用されています。イーサリアムの合意形成アルゴリズムは現在のところ、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)と呼ばれるものを採用しています。ビットコインなどの暗号資産でも使用されている最も基本的なものです。
プルーフ・オブ・ワークではマイニングするための膨大な計算によるエネルギーの大量消費だけではなく、マイニング処理をするPCの熱冷却や、大量のグラフィックボードといったハードウェアの製造にもエネルギーを消費するので、環境への不可は多大なものになります。

NFTと環境の共存【環境問題への対策!】

NFT取引には膨大な電気量が必要なため結果的に大量の二酸化炭素を排出しており、環境破壊の一因となっている点を解説しました。それでは、NFTと環境の未来をどのように共存させていけばよいのでしょうか。ここでは、NFTの環境問題への対策を以下の2つの視点から確認します。

  • プルーフ・オブ・ワーク(PoW)からプルーフ・オブ・ステーク(PoS)へ
  • 環境を考慮したブロックチェーン

順番に解説します。

プルーフ・オブ・ワーク(PoW)からプルーフ・オブ・ステーク(PoS)へ

環境問題の解決に向けて推奨されている1つの手段が、現行の合意形成アルゴリズムである「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」を変更することです。今注目されているのは、よりエネルギー消費量の低い「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」です。

NFTで使用される代表的なブロックチェーンであるイーサリアムは、設立当初から、「PoW」から「PoS」への転換を検討していました。

PoWは、マイニングに参加した人の労力(Work)に対して報酬を与えています。一方で、PoSは暗号資産を預入(ステーキング)することで「検証者」としてブロックの検証を実施し、保有している暗号資産の量や期間に応じて報酬を得られる仕組みです。PoSではマイニングが必要なくなることから、消費電力の99.5%削減が期待されています。

2020年にはPoWからPoSへ移行する大型アップグレード「the Merge」を本格的に開始。2022年後半には移行が完了する見込みです。

環境を考慮したブロックチェーン

現行の合意形成アルゴリズムであるPoWをベースとしたイーサリアムに代わる選択肢として、環境負荷の軽減を打ち出したPoSによるブロックチェーンが次々登場しています。

ここでは以下の2つのブロックチェーンを紹介します。

Solana

Solanaは2020年に設立されてから、評価額は右肩上がりです。イーサリアムに対抗できる高い性能と高速・低コストが特徴です。2021年には二酸化炭素の排出量実質ゼロとなるカーボンニュートラルを達成。この報告によって、Solanaの暗号資産SOLの価格も上昇しました。

Tezos

TezosはbitFlyerに2020年に上場したブロックチェーンです。「#CleanNFT」というハッシュタグと共に、環境に配慮したNFTである自社の取り組みをアピールしています。先ほど紹介したアーティストMemo Aktenも、Tezosを利用したプラットフォームを利用してNFTを作成しています。

今後も、環境問題への取り組みを謳った、様々なブロックチェーンやNFTプラットフォームが生まれてくるでしょう。

まとめ【SDGsな世の中へ。利益と環境の共存しよう!】

本記事では、NFTが環境に与える影響やその対策に関して、カーボンフットプリント、PoW、およびPoSなどの用語と併せて紹介しました。

皆さんはSDGsを知っていますか。そもそもの読み方も分からない。そんな人もいらっしゃるかもしれません。答えはエス・ディー・ジーズです。英語で、”Sustainable(持続可能な)、Development(開発)、Goals(目標)” つまり、「持続可能な開発目標」を意味します。

最後に、NFTとSDGsを結び付けた取り組みとして下記の2つを紹介します。

Green NFTs

Green NFTsとはNFTのエネルギー効率を改善する取り組みに対して設けられた報奨金プログラムです。賞金は、例えば、現在のさまざまなプロジェクトやソリューションがNFTのエネルギー消費をどのように削減するかを説明する研究成果に贈られています。より効率的なNFTの開発に対する独立した報奨金を設けることによって、既成概念にとらわれない思考、新たなNFTの誕生を促しています。

CleanNFTS

CleanNFTsとは、世界中の3,000人以上のアーティストからなるコミュニティがPoSの暗号資産を提供するプラットフォームを説明するために使用しているフレーズです。彼らはエネルギー効率の高いPoSネットワーク上で動作するNFTアートプラットフォームがいまのところNFTを作成するための現在最善の解決策としています。

NFTは大量の電気を消費し結果的に二酸化炭素を多く排出することで、環境に対して悪影響を与えている点が懸念されています。NFTを活用した事業や取引も今後ますます広がっていくであろう状況において、環境やSDGsに関してもしっかりと理解を深めることが重要です。目先の利益だけを追い求めるだけでなく、もっと俯瞰的な目線で、環境や未来を考慮してNFTに向き合う必要があると言えます。

NFTを取り巻く環境問題とそれへの対策について理解することに加え、NFTに関する情報収集を日々積み重ね、NFTと環境が共存した、SDGsな世の中を構築しましょう。

Masa

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保険や投資などの金融分野、Web3.0、メタバース、暗号資産、NFT、DeFi、DAO、保険、投資などの分野に精通しています。株や暗号資産取引の豊富な経験に加え、保険業界でのITコンサルの勤務経験、AFP(ファイナンシャルプランナー2級)の資格も保有。知識や業務経験を元に信憑性のある記事を執筆する。
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