現在、NFT(Non-Fungible Token)が大きく盛り上がりを見せていますが、その中でも24×24ピクセルで描かれたCryptoPunks(クリプトパンクス)というNFTコレクションを見たことがある方も多いのではないでしょうか?
CryptoPunksは数あるNFTの中でも、イーサリアムブロックチェーン上で作られた世界最古のNFTとも呼ばれており、非常に高額な価格帯で取引されていることで有名です。
この記事では、そんなCryptoPunksの概要や特徴、作られている仕組みなどをわかりやすく解説していきます。
また、CryptoPunksの背景色による販売ステータスの違いや、現在のCryptoPunksよりも古いと言われている「V1 CryptoPunks」についてもご紹介していくので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の構成
CryptoPunks(クリプトパンクス)とはどんなNFT?
まずは、CryptoPunksの概要や特徴について詳しく確認していきましょう。
2017年6月23日にLarva Labs社によって作られた10,000作品のコレクティブルNFT
CryptoPunksは、2017年6月にカナダのLarva Labs社によって作られたコレクティブルNFTに分類されるNFTアートです。
それぞれのCryptoPunksのキャラクターは、プログラミングによってパーツを組み合わせて自動生成されたものとなっており、合計で1万作品が発表されています。
画像引用元:CryptoPunks
また、CryptoPunksはイーサリアムブロックチェーン上で作られた世界でも最も古いNFTコレクションの一つとなっており、そういった歴史的な側面もCryptoPunksの価値を高めていると言えるでしょう。
2017年にCryptoPunksがリリースされた際は無料で配布されており、イーサリアムのガス代さえ支払えば誰でも手に入れることが可能となっていました。
しかし、現在では1体20億円を超える金額で取引されるCryptoPunksもあるなど、もはや一般の方では手が届かないほどに価値が高まっています。
24×24のピクセルアートとなっており、多くのNFTアートに影響を与えた
CryptoPunksの特徴として、24×24ピクセルのドット絵で描かれていることも挙げることができるでしょう。
先ほども少し解説したように、CryptoPunksではドット絵で描かれた髪型・目・アクセサリーなどの各パーツをアルゴリズムで組み合わせ、自動的に生成する仕組みが採用されています。
こうした作風に影響を受けているNFTコレクションが多いことからも、NFT市場におけるCryptoPunksの存在の大きさがわかるでしょう。
世界で最も人気のあるNFTの一つであり、著名人のSNSアイコンにも使用されている
CryptoPunksは一般人では購入できないほどの高額で取引されているなど、世界で最も人気のあるNFTコレクションの一つとなっています。
TwitterをはじめとしたSNSのプロフィールアイコンとしても使用されることが多く、世界的に有名な著名人もCryptoPunksをアイコンしていることで知られています。
また、企業からの注目度も高く、クレジットカードの決済ブランドとして有名なVISAも2021年8月に「CryptoPunk #7610」を49.5ETH(当時約1,700万円)で購入しており、当時は大きな話題となりました。
Over the last 60 years, Visa has built a collection of historic commerce artifacts – from early paper credit cards to the zip-zap machine. Today, as we enter a new era of NFT-commerce, Visa welcomes CryptoPunk #7610 to our collection. https://t.co/XoPFfwxUiu
— VisaNews (@VisaNews) August 23, 2021
このようにCryptoPunksは世界で最も人気が高いNFTコレクションと言われており、かつ新規発行はされないという希少性の面から、今後も継続的な人気を獲得していくと考えられるでしょう。
CryptoPunks(クリプトパンクス)の特徴や仕組みを徹底解説
ここでは、CryptoPunksが発行されている仕組みや特徴に焦点を当てて解説していきます。
「なぜただのドット絵の価格がここまで高騰しているの?」と気になっている方は、ぜひ参考にしてみてください。
イーサリアムブロックチェーンに全てのデータが記録されているフルオンチェーンNFT
CryptoPunksの仕組みを理解する上で欠かせないポイントが、イーサリアムブロックチェーン上にてフルオンチェーンで作られたNFTということです。
フルオンチェーンNFTとは、言葉の通りブロックチェーン上に画像などの全ての情報が記録されているNFTのことを指します。
あまり知られていませんが、現在販売されている多くのNFTは画像データまでがブロックチェーンに記録されているケースは非常に少なく、あくまで外部のストレージに保存した画像のファイル位置を示すURLのみをブロックチェーンに記録していることがほとんどです。
つまり、ほとんどのNFTはブロックチェーン上に画像データは記録されていないので、もし大元の画像を保存しているデータファイルが失われた場合、所有しているNFTそのものが失われる可能性もあります。
フルオンチェーンNFTであれば情報を記録しているブロックチェーンがなくならない限り消滅することはないので、「永続性」という観点では非常に優れていることがわかるでしょう。
特に、CryptoPunksは数あるブロックチェーンの中でも、分散性と永続性に優れているイーサリアム 上のフルオンチェーンNFTであることから、大きな価値が生まれているということも知っておく必要があります。
CryptoPunks(クリプトパンクス)はNFTの標準規格であるERC-721トークンではない
CryptoPunksの特徴・仕組みとして、現在のNFTの標準規格である「ERC-721トークン」に準拠していないことも挙げられるでしょう。
現在、イーサリアムブロックチェーンで発行されているほとんどのNFTは「ERC-721トークン」という規格で発行されていますが、CryptoPunksが作られた当時は、そもそも「ERC-721トークン」という規格自体が存在していませんでした。
そのため、CryptoPunksは通常のトークン規格である「ERC-20」に少し改良を加えて非代替性を付与しているという、ほぼ「ERC-20」の規格に準拠しているNFTとなっています。
このように、CryptoPunksは現在流通している多くのNFTとは根本的に異なる特徴を持っており、現在の「ERC-721トークン」規格を生み出すきっかけとなったNFTであることは把握しておきましょう。
CryptoPunks(クリプトパンクス)の購入方法や背景色によるステータスの違いについて
次に、CryptoPunksを購入する方法についてわかりやすくご紹介していきます。
また、各CryptoPunksの背景色による販売ステータスの違いも解説していくので、詳しく確認していきましょう。
CryptoPunks(クリプトパンクス)は公式サイトのマーケットプレイスで購入できる
ここまでご紹介してきたCryptoPunksですが、公式サイトのマーケットプレイスで購入することができます。
まずは、CryptoPunksの公式サイトにアクセスし、購入したいNFTのページに移動したら、上記で示した「Allow access to MetaMask」をクリックしましょう。
まだMetaMaskのアカウントを作成していない方は、事前にMetaMaskのウォレットを作成しておくようにしてください。
クリックするとMetaMaskが立ち上がるので、接続を許可すれば公式サイトでCryptoPunksを購入することができます。
公式のマーケットプレイスでは色によって販売ステータスが異なる
上記の方法で購入できるCryptoPunksですが、画像の背景色によって販売ステータスが異なることも知っておく必要があります。
- 青色:NFT保有者によって販売されておらず、入札もない状況
- 赤色:NFT保有者によって販売されている状況
- 紫色:入札がある状況
上記のように、色によって販売ステータスがわかりやすく表示されているので、自分が購入を検討しているCryptoPunksがどういった状況なのかを把握できるようになっています。
ERC-721に対応したWrapped PunksはOpenSeaなどでも取引できる
先ほども触れたように、CryptoPunksはNFTの標準規格である「ERC-721」に準拠していないという特徴があることを解説してきました。
そのため、多くのCryptoPunksはOpenSeaなどのNFTマーケットプレイスで取引されておらず、購入・販売する際は公式サイトを利用するのが一般的となっています。
しかし、一部のCryptoPunksは「Wrapped PUNKS」というサイトを通して「ERC-721」に対応するようにラッピングされており、Wrapped Punksとして外部のマーケットプレイスでも取り扱いされています。
流動性としては公式マーケットプレイスの方が圧倒的に多いですが、どうしてもOpenSeaなどの外部のマーケットプレイスで取引したいという方は、Wrapped Punksの取引を検討してみてはいかがでしょうか?
2017年6月9日に発行されたオリジナルのV1 CryptoPunksについて解説
CryptoPunksをより深く理解するためには、2017年6月9日に発行された「V1 CryptoPunks」についても知っておく必要があるでしょう。
「V1 CryptoPunks」とは、現在流通しているCryptoPunksよりも以前に発行されたNFTとなっており、2017年6月23日に発行された現在のCryptoPunksを「V2 CryptoPunks」と呼ぶケースもあります。
そもそも「V1」と「V2」の2種類のCryptoPunksが存在している原因としては、当初「V1 CryptoPunks」が発行された際のエラーコードが理由にあります。
「V1 CryptoPunks」が発行された際には、通常であれば販売者が出金できるNFTの販売代金を購入者しか出金できないという致命的なエラーが存在していました。
つまり、「V1 CryptoPunks」の購入者は、NFTを購入した後に自分が支払った代金も取り戻すことができるという状態になっていました。
このエラーコードが存在したため、Larva Labs社は「V1」を破棄して「V2」をリリースしたものの、ブロックチェーン上に残っていた「V1」をLarva Labs社共同創業者のJohn Watkinson氏が再販していたため、大きな避難を浴びることになります。
CryptoPunks(クリプトパンクス)の特徴や人気の理由まとめ
今回の記事では、数あるNFTコレクションの中でも最も人気が高いと言われているCryptoPunks(クリプトパンクス)の概要や特徴などをご紹介してきました。
CryptoPunksを初めて見た方は、「なぜドット絵にこれだけの価値がつくのか?」と疑問に感じることが多いと思いますが、イーサリアムブロックチェーン上で作られた最古のフルオンチェーンNFTであることを理解すれば、その高値で取引される理由もわかるのではないでしょうか。
また、CryptoPunksは数多くのNFTとは異なり、ほぼ「ERC-20トークン」の規格で作られていることもその価値を高めている要因の一つと言えるでしょう。
今後、さらにNFT市場が盛り上がりを見せることでCryptoPunksの価値が上昇することも十分に考えられるので、これからの動向にも注目しておく必要があります。