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NFT先進国「フィリピン」におけるNFTゲーム事情を紹介

解説系記事

フィリピンでは、コロナウィルスの影響で、2020年頃より外出やスーパーマーケットなどでの入場人数が制限されたことなどもあり、2020年のGDPは9.6%縮小し、1946年にデータ収集が始まって以来最大の年間減少率を記録しました。2022年になってもこうしたロックダウンの影響で失業者が増えています。

そうした背景もあり、フィリピンでは2020年の春頃からNFTゲームが大流行し、パソコンやスマホ一台で遊んで稼ぐフィリピン人が急増しました。

この現象は、フィリピン国内はもとより、海外のマスコミにも大きく取り上げられました。そのためフィリピンはNFTゲームの先進国と言われています。

コロナのロックダウンでNFTゲームに火がついた

なぜ世界に先駆けて、フィリピンでNFTゲームが大ブームになったのでしょうか?

それにはいくつかの理由があります。国民の平均年齢がとても若いこと(約24歳)、コロナウィルスのロックダウンで失業者が急増したこと、比較的人口が多いこと(1億人超)、フィリピン国民のほとんどが英語に堪能なこと、などがあげられます。
App Annieのレポートによると、フィリピンは2020年にモバイルゲームのダウンロード数で最も成長した市場で、東南アジアの全ゲームダウンロード数の約16%を記録したとのことです。

しかしフィリピンの人々は、遊ぶためにゲームをダウンロードしているわけではありません。今では日本でもよく聞くようになった「Play to Earn(遊びながら稼ぐ)」というキーワードがフィリピンではもっと早くから流行しており、パンデミックで失われた仕事の代わりにNFTゲームをプレイしながら暗号資産で収入を得ていました。

NFTゲームは遊びじゃない  奨学金制度を導入

フィリピンのある若者は、NFTゲームで1日6,000ペソ(約15,000円)も稼いでいます。最低日給が首都圏(マニラ圏)で平均434.47ペソ、それ以外の地域では366.20ペソであるフィリピンではかなりの高額です。

もともとNFTゲームが大ブームになる前から、フィリピン人は1日平均11時間近くをインターネットに費やし、世界で最もアクティブなネットユーザーとして知られていました。以前から、フィリピン人の74%はモバイルでゲームをプレイしていたという統計データもあります。

しかしNFTゲームで稼ぐには、スマホやパソコン、ネット環境、キャラクター購入費用などが必要です。そこでYield Guild Games(YGG)という団体が、NFTゲームで稼ぐ環境を持てない人たちを対象にした「奨学金」制度を設け、コストの問題の解決とNFTゲームのさらなる普及を図っています。

YGGとは、ブロックチェーンゲームプレイヤーを集めたゲーム団体で、主にNFTゲームの普及を目的にしています。

YGGの奨学金制度では先行投資できない人にNFTを貸し出し、そのNFTを使って稼いだ利益をシェアすることになります。そのため、NFTゲーム提供者にとっても、ゲーム利用者が増えるという利点があります。

フィリピンの経済評論家は、「フィリピンでのNFTゲームは、長期的に国家のGDP成長を遂げるでしょう。そしてそれがさらにNFTゲームに拍車をかけると信じています」と述べています。

【具体名】稼ぎやすいNFTゲームを紹介

では実際、どのようなNFTゲームが人気で、どれくらいの収入を得ているのでしょうか?

フィリピンでプレイされているNFTゲームとその稼ぎ方を知ることは、日本人としても参考になります。

具体的なゲーム名と、稼ぎ方の要点をご紹介しましょう。

フィリピンで人気のタイトルを2本紹介

NFTゲームには、さまざまな種類があります。
あなたが初めてNFTゲームで稼ごうとするとき、どのゲームを選べばいいのか迷うはずです。また、あなたに最適なNFTゲームを選べたとしても、その稼ぎ方がわからなければ、効率的に収入を得られません。

どのゲームを選ぶかで、稼ぎやすさが変わります。そこで、まずは、実際にフィリピンで人気のNFTゲームを2本紹介しましょう。

「Axie Infinity(アクシー・インフィニティ)」

ベトナムのゲームスタジオSky Mavisが制作した「Axie Infinity」は、世界で最初にできたNFTゲームであり、現在最も普及しているNFTゲームで、プレイヤーがデジタル生物を繁殖、戦闘、取引するデジタルペットの世界です。

コンセプトは、ポケモンとたまごっちの中間に位置しますが、決定的な違いがあります。「アクシー・インフィニティ」はイーサリアム(ETH)ブロックチェーン上の分散型アプリケーションで、複製が不可能です。事実上デジタルコピーができないので、ゲームのキャラクターやアイテムなどを、安全に取引できます。

Axie Infinityでお金を稼ぐ最も一般的な方法は、3体のアクシー(ゲーム内のキャラクター)でチームを組み、アリーナで他のプレイヤーと戦い、勝利することです。

チーム編成や戦い方などのコツがわかると勝ちやすくなります。また、はじめから強いアクシーをそろえることでも勝ちやすくなりますが、強いアクシーの購入費用は高騰しています。

一般的には、まず中程度に強いアクシーを3体そろえます。その後ゲームに慣れてきたら、高額のアクシー購入を検討するといいでしょう。

Axie Infinityとフィリピン

失業率が向上し続けているフィリピンでは、Axie Infinityが人気を博しており、開発社のSky Mavisの発表では総ダウンロード数の約40%がフィリピンとのことです。

フィリピンの若者によると、2020年4月に初めてAxie Infinityに挑戦したとき、15日間プレイした後の最初の収入は、わずか1,000ペソ(約2,500円)でしたが、ゲームに慣れて勝てるようになると、収入は14,000ペソ(約33,000円)以上の大台に乗りました。
ここから「NFTゲームで稼げる」という噂は市内の口コミで急速に広まり、NFTゲーム人口が一気に増加しました。
(引用元:https://www.bworldonline.com/arts-and-leisure/2021/06/29/378657/play-to-earn-the-rise-of-nft-gaming-in-the-philippines/

現在ではAxie Infinityがかなり広まっているため、ゲームを始めるための初期費用が高騰しています。以前は数十ドルで始められましたが、現在は価格が暴落しており100ドルからでも始められます。 「(引用元:https://www.cnbc.com/2021/05/14/people-in-philippines-earn-cryptocurrency-playing-nft-video-game-axie-infinity.html)」

Axie Infinityをプレイして得られるリターンは、暗号投資家にとってはあまり意味がないかもしれません。しかし前述のように、フィリピンでの最低日給で見た場合大きな収入源となっており、理論上は、Axie Infinityを4時間遊べばほとんどの地域での最低賃金よりも高い収入を得られる可能性があります。

「理論上」という言葉を強調したのは、暗号資産の価値は変動するからです。しかし、明らかに大金を稼ぐチャンスがあり、そのチャンスがフィリピン人を駆り立てています。

「Sorare(ソラーレ)」

Sorare(ソラーレ)は、サッカーを題材にしたNFTゲームです。実在するサッカー選手カードを使って、仮想のチームを売買・管理するサッカーファンタジーゲームとして注目されています。

サッカー競技は、世界で最も人気のあるスポーツといわれています。フィリピンをはじめとした世界中のサッカーファンを魅了しているNFTゲームが、Sorareです。

Sorareでは、まず自分のサッカーチームを作ります。そして、実際の試合結果や各選手のパフォーマンスに応じたポイントを得られます。シーズンを通して好成績、高スコアを獲得すれば、レアカードやイーサリアム(ETH)などと交換することで報酬を得られます。

また、獲得したレアカードでより強いチームを作ったり、移籍市場で他の選手と交換したりできます。Sorareは、カードの供給数が限定されています。そのためレアカードを所有して強いチームを作れば、ランキング上位となって賞金を獲得できる可能性が高まります。さらに、レアカードをトレードすることで報酬を得られるのです。

暗号資産だけでなく、自分のサッカーに関する知識や情報を使ってお金を稼ぐことができます。サッカーファンであれば、とても楽しめるNFTゲームです。

NFTゲームはコツコツとプレイを続ける必要があるので、自分に合ったゲームかどうかも重要なポイントです。フィリピンでは、サッカーは人気スポーツです。あなたがサッカーファンなら、Sorareは楽しみながら稼げるゲームとなるでしょう。

NFTゲームで稼いでいるのは若者だけではない

フィリピンでは若者だけではなく年配者もNFTゲームで稼いでいます。

NFTゲームに国境はありません。そして、年齢の壁もありません。パソコンまたはスマホがあれば、いつでも、どこにいても稼げます。

「NFTゲームで稼げるのは、若者だけだ」という先入観をなくすためにも、フィリピンの年配者が稼いでいる現状をご紹介しましょう。

老夫婦も仕事をしながらNFTゲームで稼ぐ

フィリピンの田舎で食品店を営む老夫婦も、仕事をしながらNFTゲームをプレイして稼いでいます。「店にいる間は遊んでいるんだ」と夫のロロさん(75歳)は言います。「負けてても、ひたすらゲームするんだ」。

「最初はAxie Infinityを実際にプレイして稼ぐということに納得がいきませんでしたが、試してみました」と、彼はいいます。プレイのきっかけについては「コロナウィルスのパンデミックのため、私たちはお金を稼ぐ手段がなくなった。だから、ここカバナトゥアン市でNFTゲームが広まったんだ 」とのことです。

カバナトゥアン市では、60代のおばあさんを含め、100人以上がNFTゲームのコミュニティに参加しています。現在もカバナトゥアン市では、さらに多くのプレイヤーが新規参入し、NFTゲームで生活費を稼いでいるそうです。

その中には、小さな飲食店の経営者、三輪車の運転手など、このパンデミック時代に急速に雇用機会が失われつつある年配者も含まれています。彼ら全員がNFTゲームで稼いでいます。
(引用元:https://www.cnbc.com/2021/05/14/people-in-philippines-earn-cryptocurrency-playing-nft-video-game-axie-infinity.html

まとめ

コロナウイルスの大流行によって、フィリピンでは数百万人が失業しました。しかしNFTゲームの大流行と暗号資産の高騰により、NFTゲームを通してお金を稼ぐチャンスをつかみました。

日本と比較して、フィリピンのネット環境はそれほど整っているわけではなく、回線は低速かつ不安定で、さらに停電も起こります。それでもフィリピンの人たちは、貪欲にNFTゲームで生活費を稼ぐことに成功しています。

フィリピンを始め、東南アジアでは、かつてないほど多くの人がNFTゲームで稼ぐようになりました。この大ブームは、国内のGDPを大きく拡大させ、それがさらにNFTゲームのブームに拍車をかけると予想されています。

NFTゲームは独自の経済圏を構築します。NFTゲームや仮想世界は、ブロックチェーン技術によって大規模に実現・加速され、現実の経済活動を拡大させます。

日本は、高速ネット環境も整備され、停電も起こりません。しかしNFTゲームに関しては、「後進国」と言っていいでしょう。あなたがNFTゲームの大ブームに乗りたいなら、フィリピンの成功事例を参考にしてみてはいかがでしょうか。

AMEHARE

AMEHARE

ITの最新トレンドを発信しはじめて十余年。Web2から3の時代の変革もいち早く察知し、2012年ごろから仮想通貨に注目をし始める。次世代の文化やテクノロジーを情報を掴みつつ、NFT・メタバース・DAOなどの領域であらゆる情報を発信中。
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