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NFTアートはSNSアイコンに使えるか?

ハウツー系記事 解説系記事

今や日本での普及率が80%を超えたSNS。LINE、Youtube、Twitterなど多くの人が利用しています。

SNSを使うときに悩ましいのがアイコンの設定です。自分の「顔」となる部分ですが、自分の容貌を写真に撮った画像をそのまま使うことには抵抗があります。かといって、平凡で無難な画像を設定するのも悔しいところです。

2021年から爆発的人気となったNFTアートですが、作品を見て「これって自分のツイッターのアイコンに使えないかな?」と思った人も多いでしょう。いかにもアイコン向きの画像ばかりです。

結論から言うと、使うことは可能です。むしろ「アイコンとして使って拡散してほしい」というのがNFTアーティストの本音です。使い方には注意が必要ですが、アイコンへの利用はすでに始まっています。

この記事では、NFTアートのTwitterアイコン化の注意点とメリット、実際のやり方を解説します。

Twitter BlueでNFTアートのアイコン使用が可能に

「Twitter Blue」という月単位のサブスクリプションサービスがあります。Twitterの有料版という位置付けで、様々なサービスを受けられます。Twitter Blueを契約すると、アイコンをNFTアートに設定することができます。

アイコンをNFTに設定すると四角や丸ではなく六角形に変化し、「NFTをアイコン化した」ことをアピールできます。

引用元:Twitter Blue

Twitter Blue公式がすでに六角形のアイコンになっています。

ちなみに、2022年7月現在の日本ではTwitter Blueのサービスは始まっていません。アメリカ、カナダ、ニュージーランド、オーストラリアでのみ利用できます。日本からTwitter Blueを利用するにはちょっとした工夫が必要です。

Twitter社の利用規約の整備

NFTアートについて懐疑的な人も多くいます。「買ったNFTはいったい誰のものか」ということも分かりにくい点です。

一般的には売買するということは「所有権の売買」と同じとみなされます。ただし所有権は有体物にのみ認められているので、厳密な意味ではNFTに所有権は発生しません。

また、NFTで表されたデジタルアートの著作権は基本的に著作者が持っています。そのため、イラストや絵などの画像データに紐付けされたNFTを購入しても、著作者の許諾なしにSNSのアイコンにすることは、日本の法律を厳密に適用すると「禁止」です。これについての詳細は後述します

こういった事情があるため、NFTの取り扱い方については疑問視する声もあります。

しかし、TwitterなどのSNSのプラットフォームやNFTのマーケットプレイスが連携して「NFTアートはSNSのアイコンに設定できるものである」と利用規約を整備してるというなら、話は変わってきます。

2022年7月現在、Twitter Blueではアイコンに「NFTを選ぶ」と表示されるようになっています。接続するウォレットは以下の6種類です。

  • MetaMask
  • Coinbase Wallet
  • Rainbow
  • Argent
  • Trust
  • Ledger Live

また、イーサリアムのブロックチェーン上で発行されたNFTのみに対応しています。ポリゴンには対応していません。

Twitter社が利用規約を整えて「6種類のいずれかのウォレット」「イーサリアムチェーン」のみアイコン化を可能としたと考えられます。いずれ日本でもTwitter Blueが利用可能になり、そこでNFTアートをアイコンにするのが常識になる日が来るかもしれません。

所有権と著作権の関係に注意

NFTのアイコン化では、NFTに関する権利である「著作権」と「所有権」を分けて考えましょう。

著作権は知的財産の著作者が保持する権利で、一方所有権は作品そのものの所有権です。著作権を持っている人は、著作物を自由に改変できますし、複製することができます。所有権は、たとえばCDを買ったらそのCDの所有権を購入したことになります。英語では「Ownership」と呼ばれ、作品を所有している状態です。

注意したいのは、NFTを販売したからといって著作権を販売したわけではないという点です。購入者は作品を私的利用の範囲で楽しむ自由があります。買ったCDはどのプレーヤーを使って再生しても良いですし、好きな順番に曲順を変えて聴くこともできます。

ところが、著作権は購入者が持っているわけではないので、CDをコピーして販売したり、改変して頒布したりすると著作権違反になります。

NFT保有者がやってはならないこと

  • 著作物を商用利用する
  • 作者に無断で作品を変更する

購入したNFTに表現されたイラストを集めて本にしたり、楽曲データのメロディを変えたりすることはできません。

NFT保有者がやって良いこと

  • NFTを持っていることを公開すること
  • NFTを持っていると宣言すること

ここで、TwitterなどのSNSのアイコンに使用することについて考えると、「NFTを持っていることを公開・宣言する」にはあたりますが、かといって「商用利用」「改変」しているわけではありません。

そのため、TwitterでNFTアートをアイコン化することは認められていると考えることができます。

海外で加速化するNFTアートのアイコン化

すでに、アメリカではNFTアートをSNSのアイコンに設定するのがセレブを中心に流行しています。

実は、多くの人が考える「NFTのアイコン化」はNFTアーティストやプロジェクトが狙っているところでもあります。様々な理由はありますが、自分の作品をプロフィール画面に使ってもらえば宣伝になるというのが大きな要因です。

このような用途で使ってもらうNFTは「プロフィール画像(PFP:Profile Picture)」と呼ばれるジャンルを形成しています。Twitter Blueでは他のアイコンと区別して六角形のアイコンで表示できるようになっています。

NFTは「同じものは2つとない」ことが保証されています。そのため、高額取引されているNFTを持つことは「セレブ」をアピールできることもあり、エミネムやトラヴィス・パーカーなどの有名人が高額PFPとして知られる「BAYC(Bored Ape Yacht Club)」のNFTを購入しています。

引用元:Twitter

エミネムのアイコンは六角形になっていませんが、確かにBAYCの画像を使っています。

パリス・ヒルトンは、自分のイメージを画像にしたNFTアートを六角形のアイコンにしてTwitterのPFPに設定しています。こちらはしっかり六角形です。

引用元:Twitter

BAYCを購入していることが分かっているセレブはこの他、ジミー・ファロン、グウィネス・パルトローなどがいます。

ジェイ・Zやセリーナ・ウィリアムズは「Crypto Punk」のシリーズを購入しています。

引用元:theBlock

ジェイ・ZのTwitterアイコンは典型「Crypto Punk」の画像です。

海外、特にアメリカではTwitter Blueのサービスが提供されているので、著名人やセレブだけでなくNFTファンの間で、TwitterにNFTのPFP画像を使って六角形アイコンを使うことが半ば常識化しています。

日本でもアイコン利用は増えている

日本でもNFTアートをSNSのPFPとして使う事例は増えています。日本からTwitter Blueに契約して設定可能です。

六角形アイコンにしている人のほとんどはNFTに関連したツイートをしています。六角形のアイコンにすることで「NFTファン」をアピールできて、情報発信に向いていると考えられます。

日本でもNFTアートが注目を集めているという流れを受けて「SNSアイコンに設定できるNFT」を全面に打ち出したプロジェクトも増えています。

たとえば熱烈なファンの多いアイドルグループとして知られる「ももいろクローバーZ」はメンバーの写真をベースにしたNFTの販売を積極的に行っています。

引用元:OEN OFFICIAL WEBSITE

日本在住で日本のTwitterを利用している人もNFTをアイコンに設定できますが、その場合には通常の丸型になります。設定をアメリカにしてTwitter Blueを契約するという手順が必要になります。

日本在住と思われるアカウントでも六角形のアイコンになっている場合があります。こうした六角形アイコンにしている人のほとんどはNFTに関連したツイートをしています。このアイコンによってNFTファンをアピールできて、情報発信に向いているからだと考えられます。

日本人の事例として、たとえばNFT関連情報アカウントの「ishicoro(石ころ)」さんは「新星ギャルバース」をアイコンにしています。Twitter Blueを契約して設定していると考えられます。

引用元:Twitter

NFTアートのSNSアイコン使用で生まれる社会的価値

NFTアートをSNSアイコンにするのは、単に「面白いアイコンにした」「目立つアイコンを使っている」という以上の意味を持ちます。高額なNFTを使えばセレブアピールもできますが、それ以外にも大きな価値があると認められます。

NFTアートをプロフィール画像に使うと「この人はNFTファンなんだな」という認識を持ってもらえます。そのため、NFT関連のフォロワーも増えてますし、情報も入るようになります。実際に、先程の「ishicoro」さんのリプ欄には多くのNFT関連のやりとりが見られます。

こうした関係のことを「社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)」と呼びます。

この章では、NFTアイコンがもたらす価値について解説します。

フォロワーが増える

たとえ丸形であってもNFTアートをアイコンにしていると、「この人はNFT好きな人なんだな」と思ってもらえるため、NFT好きな人やアーティストなどのフォローが増えます。

実際に「今までフォロワーが1000人程度しかいなかったのに、NFTアイコンにした途端に3倍の3000人に伸びた」などの報告はネットで多数見かけられます。

たとえば、今までのアイコンを替えてNFTアートをアイコンに使い、NFTアートのプレゼント企画である「Giveaway」に参加したとしましょう。すると、同じ企画に参加している人から認知されてフォローしてもらえます。フォローバックするとNFT仲間として情報交換ができるようになります。

日本ではNFT市場はまだまだ新規産業であって、これから盛り上がるところです。そういう状況では「色々な人とつながっておきたい」と思うのは自然なことでしょう。

NFT好きな人からすると「NFTだと分かるアイコン」と「それ以外のアイコン」なら当然NFTアイコンをフォローします。

さらに同じコレクションのNFTアートをアイコンにしている人や、そのNFTを作ったアーティスト本人からもフォローされます。同じアイコンを持っている仲間として、NFT関係者以外の人とは違うつながりを感じてもらえます。

さらに、NFTアートをアイコンにしていると「この人はNFTのコレクターだ」とみなされてクリエイターからフォローもされやすくなります。

NFTを制作しているクリエイターからすると、「NFTをアイコンにしている人なら、自分の作品を見て買ってくれるかもしれない」と思うのは当然でしょう。そのため、様々なNFTアーティストから情報をもらえます。「買ってくれるかもしれない人」にアピールしておきたいのはクリエイターとして自然な行動です。

クリエイターから「WL(ホワイトリスト=有利にNFTを購入できるリスト)やります!」と持ちかけられるかもしれません。

「NFT仲間の増大」=「社会関係資本」の発生

NFTがもたらす価値には色々なものが考えられます。投資としても有効ですし、アートコレクションとしても楽しいものです。

ここで、「NFTのもたらす最大の価値は社会関係資本である」という意見を紹介します。

社会関係資本とは「ある集団における人々の信頼関係」のことです。この言葉の背景には「信頼や規範、ネットワークといったコミュニティにおける人々の相互関係や結びつきを支える仕組みが重要であるとする考え方」があります。こういった信頼が重要視される仕組みのなかでは、人々は活発に「協調行動」をするようになり、効率性が高まります。

身近な事例でいうと、学校のクラスの仲良しグループや地域の草野球チーム、カードゲームファンの交換サイトなどです。こういったコミュニティ内では信頼や規範が必要で、信頼をお互いに持つことで効率よくチーム運営や活動が可能になります。

PFP(プロフィール画像)型のNFTコレクションは、Twitterなどのアイコンとして使うことができます。そのため、ユーザーは保有しているNFTアートをアイコンとして使うことで「帰属意識」「仲間意識」をアピールできます。

NFTコレクションでは、ホルダーの数は5000から1万程度に限定されます。限定された人数であるために価値がコミュニティ内に集約されていきます。NFTではホルダー全員がオーナーであるため、コミュニティの価値をおとしめる人が生まれにくい性質を持つようになります。

そのため、コミュニティで問題が発生してもコミュニティに対して攻撃的になる心理が働きにくくなります。

こうしてNFTがもたらす社会関係資本はコミュニティ維持に貢献し、結果的にNFTコレクションは健全性を維持できます。NFTは社会関係資本を生み出し、それが価値を生みます。

問題が起きてもすぐに対処できる草野球チームがあって、仲良く楽しい関係を保っていれば新規に加入したいという人が出てきます。「参加する価値」が生まれるわけです。それと同じことがNFTコミュニティで起きます。NFTコミュニティは「新しい仲良しグループ」という価値を持つようになります。

引用元:Twitter

これからNFTを始めたいという人は、トライしてみる価値はあるでしょう。六角形アイコンのイメージは強いイメージを喚起します。

NFTが作り出すコミュニティの可能性

人間は会社や学校、趣味のサークル、近所づきあいなど様々なコミュニティに所属して生きています。そこには法律以外にもルールが存在します。

会社なら社則や内規があり、学校なら校則があります。サークルにも会員規約があります。地域のコミュニティは明文化されていなくても、慣習や暗黙の約束があり、コミュニティのメンバーはそのルールを共有して遵守することで相互の信頼が生まれていきます。

こういった信頼関係で支えられたものがソーシャル・キャピタルです。ソーシャル・キャピタルの蓄積が高いほど、結びつきは強く安定しており、健全な組織が形成されます。健全な組織は活動を継続することで、ますますソーシャル・キャピタルを蓄積していきます。

こういったコミュニティはインターネットでも形成されます。現状でのネットコミュニティというとSNSとなりますが、ここに信頼が醸成されることによって、さらに安心できるコミュニティが生まれていきます。

NFTはみんながコレクションを支えています。同じコレクションを持っているコミュニティがルールを守ることによって、ソーシャル・キャピタルが蓄積されます。

特定のNFTコレクションをしているので、その価値を落とさないための「相互監視」が働きます。参加者がルールを守っているかどうかを互いに見守って「コレクションの維持」という共通の方向性が生まれ、結果的にソーシャル・キャピタルが生まれるという構造が出来上がります。

SNSアイコンをNFTアートに変更する方法

日本在住でもTwitterアイコンをNFTアートに変更することができます。注意したいのは、NFTを設定するとNFTの詳細情報が誰にでも閲覧できるようになってしまうという点です。個人情報は含まれませんが、「ウォレットアドレス」が知られてしまいます。

不正利用の可能性は低いですが、ウォレットアドレスを公開したくない場合には設定は控えたほうが良いでしょう。

SNSアイコンをNFTアートに変更する方法

日本在住でもTwitterアイコンをNFTアートに変更することができます。注意したいのは、NFTを設定するとNFTの詳細情報が誰にでも閲覧できるようになってしまうという点です。個人情報は含まれませんが、「ウォレットアドレス」が知られてしまいます。

不正利用の可能性は低いですが、ウォレットアドレスを公開したくない場合には設定は控えたほうが良いでしょう。

AppStoreの国設定をアメリカに変更

まずは国設定をアメリカに変更します。

  1. App Store右上のアイコンをタップしてアカウント名をタップ
  2. アカウントにログイン
  3. 国または地域名をタップ
  4. 「国または地域名を変更」をタップ
  5. アメリカ合衆国を選択して「戻る」をタップ
    「国または地域」を変更すると、自動更新を設定しているサブスクリプションサービスがいったんキャンセルされるので注意しましょう。
  6. 国設定が「United States」になったら、「Back」をタップ

Twitter Blueに登録

次にTwitter Blueに登録します。スマホの設定が「アメリカ」になっているので、Twitterのプロフィール編集のアイコンの設定のところで「NFTを選択」を選べるようになっています。

「NFTを選択」を選ぶと、「ウォレットを接続」が表示されるので「$2.99/月で登録」をタップします。

ここで「Account Not in This Store」という表示が出たらApp Storeに戻ってApp Storeを閉じます。

Twitterに戻って登録を選んでサブスクリプションに登録します。Apple IDのパスワードを入力して「サインイン」するとTwitter Blueへの登録が完了します。

Twitterとウォレットを連携

アイコンの設定の「NFTを選択」に戻るので、そこでMetaMaskなどのウォレットを選択して「接続」をタップします。

「署名」をタップしてウォレットに紐付いたETHのNFTアイテムのなかから好きなものを選択しましょう。

OpenSeaではPolygonアイテムも購入できますが、Twitter BlueではPolygonのNFTはアイコン設定できないので注意しましょう。あくまでETH限定です。

TwitterアイコンをNFTに設定

「完了」をタップするとアイコンが六角形のNFTアートに変更されます。

日本ではまったくの少数派なので、かなり目立てます。

引用元:Twitter

引用元:Twitter

AppStoreの国設定を日本に戻す

忘れてはならないのは、App Storeで設定した「アメリカ」を「日本」に戻しておくことです。

App Storeの国設定から「Coutry/ Region」で「日本」を選んで元に戻しましょう。

App Storeのトップページが日本仕様になっていれば成功です。

LINE NFTでは体験版が利用できる

LINE NFTは、簡単な操作と決済方法でNFTを購入できるマーケットプレイスです。2022年4月からサービス開始し、幅広いジャンルのNFTを販売してきました。

好評を受けて、LINE NFTでは「体験版プロフィールNFT」機能を提供することになりました。7月から実施されています。

プロフィールアイコンとしてNFTを利用できるもので、アイコンとマイページでの設定が可能です。

プロフィールNFTのコンテンツを充実させる予定で、体験版サービスによって得られたノウハウをサービス向上に活かしていくとLINE NFTは語っています。

まとめ

今回の記事では、アメリカ「Twitter Blue」でTwitterのプロフィール画像にNFTアートが使用できることになったことにより、本格的にアイコン利用が進むことを紹介しました。

以下のような内容を記事としました。

  • Twitter Blueでは、MetaMaskなどのウォレットに接続してイーサリアムのブロックチェーン上で発行されたNFTをアイコンにできる。
  • 著作権を譲渡されたわけではないので、勝手に改変することはできない。
  • NFTをアイコンとして利用することでNFT仲間が増えて、ソーシャル・キャピタルが生まれる。
  • 日本からでもTwitter Blueを契約できるので、TwitterのアイコンにNFTを利用できる。

また、Twitter BlueからNFTをアイコンにする方法も紹介しました。

日本でもいずれTwitter Blueは導入されることが推測されており、今後大きな盛り上がりを見せるでしょう。

Spritz

Spritz

Web3領域を専門とするライター。DeFiやNFT分野への投資経験をもとに、クリプトに関する記事を発信しています。これまでに執筆した暗号資産に関する記事は70本以上。特に関心の強い分野は、セキュリティトークンです。ブロックチェーンによってもたらされる社会変革に焦点を当て、初心者にもわかりやすい記事を心がけています。
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