NFTは、製品に使用する音楽を生成するために扱いにくい契約に頼るのではなく、GameFi開発者がアーティストとより迅速に（そしてより公平に）契約を結ぶ方法を提供します。
GameFi業界は2020年以降に急成長し、2022年2月時点の時価総額を554億ドルと推定する試算があります。もっと低い30億ドルに近い試算もありますが、ひとつだけ確かなことは、この業界はゼロから急成長し、今後も成長を続けるということ。重要なのは、日次や月次の時価総額ではなく、価値を感じているユーザーが増え続けていることです。
ゲームは、人が楽しむために作られるものです。しかし、「ゲーミフィケーション」は、ゲームの原理を、通常は、退屈ではあるものの価値を高める活動に応用することを指します。例えば、多くの教育活動は、ゲーミフィケーションされるまでは退屈なもの。数学や科学などのより複雑な授業に適用することもできますが、広い大学構内の教室の移動方法を学ぶのにも活用できます。たとえば、アリゾナ州立大学のあるスカベンジャーハントは、「ASUのテンペ・キャンパス周辺のランドマークを案内して、完全にバーチャルな体験をしたり、現実の世界で訪れたりできる」もので、学生がキャンパスについて学ぶ方法をゲーム化しているのです。
しかし、バーチャルやオーグメンテッド（拡張）レジャーなど、ゲーム化された体験の構築で忘れられがちなのが、音楽の役割です。
ゲーム内の音楽
ゲームで最も評価されていない側面の1つが、音楽です。誰もがイメージやストーリー、技術的なパフォーマンスについて常に考えていますが、音楽については忘れていることがあります。確かに、前述の要素はすべて極めて重要ですが、音楽もまた、ゲーム内の体験を盛り上げ、よりリアルで印象深いものにするものなのです。
「音楽は、ゲームにおいて最も過小評価され、かつ大きな影響を与える部分のひとつでしょう。正しくできていれば、音楽の影響を受けていることに気づかないのですが、間違っていると、それがとても顕著になります。」Mirai Labsの共同設立者であるCorey Wiltonは、「私たちがゲームで重視しているのは、ユーザーに体験してもらいたい感情です。これは簡単なようで、実際には適切な配列とオプションを見つけるのは非常に時間のかかる作業です」と述べています。
スタジオでは、サンプルパックにアクセスするか、ウェブサイトからオーディオファイルを購入し、自分たちの思うように修正することがよくあります。例えば、特定のジャンルのオーディオパックは、5～10種類のオプションを提供し、ゲームのトーンに合うようにすることがよくあります。多くのタイトルを出荷するカジュアルスタジオや中規模スタジオであれば、ほとんどの開発者は、時間をかけて何百ものこれらのパックを積み重ねることになるでしょう。しかし、この方法の限界は、各曲の背後にいるアーティストが、契約規模のほんの一部しか受け取れないということです。
その理由は経済的なものです。スタジオは、個々の曲を購入する場合よりもはるかに安い価格でオーディオを一括購入します。彼らにとっての利点はコストが低いことですが、欠点は、彼らの検索があまり上位表示されないことが多いこと。同様に、楽曲を制作するアーティストにとっては、自分のオーディオの需要を見つけられるという利点がありますが、欠点は、個々の貢献に対して報酬が支払われないということです。
音楽の調達に革命を起こす
非代替性トークン（NFT）は、ゲーム音楽のキュレーションや、制作の方法を変える可能性があります。GameFiのリーダーは、承認に時間がかかる大規模な契約に頼るのではなく、個々の音楽のNFTを買い取ったり、収益の公平な分配に合意したアーティストグループに委託して、まとめてNFTをMintしたりすることができます。そうすれば、NFTは即座にゲームに組み込まれ、アーティストは音楽の人気度に応じて、作成したコンテンツに対する報酬を受け取ることが可能に。これは、レーティングやその他のフィードバック・メカニズムを通じて実施することができます。
クラシック音楽のNFTは特別な役割を担っています。ワーグナーの「ワルキューレの騎行」からカール・オルフの「カルミナ・ブラーナ」まで、クラシック音楽の叙事詩的な性質に代わるオーディオは存在しません。
幸いなことに、ゲームに音楽NFTを追加することは、それほど難しいことではありません。デジタルアセットはすでにゲーム内で取引されているからです。House of Blueberryというプロジェクトでは、1万以上のアセットを作成し、人々が自分らしさを表現するために購入。ゲームやオンラインコミュニティで使用できるようにしています。
また、音楽NFTは純粋なブロックチェーンベースではないゲームにも価値を生み出すことができます。唯一の違いは、クリエイターがブロックチェーン上でNFTを購入し、アーティストに報酬を支払う方法を見つけるということです。
「私は、エンドユーザーが求めているのは、アクセスのしやすさ（ダウンロードやアカウント作成など）、すぐに始められて学ぶことができ、マスターするのは難しいゲーム、ゲーム内でお金を使いたい場合はすぐに購入できること、そして、非常に魅力的で何度も繰り返し遊んでくれるゲームであることを、彼らに思い出させるように努力しています。ブロックチェーンでこれらの基本的なゲームデザイン要素を実行できない場合、彼らは自ら負けの方程式を作り出しているのです」とWilton氏は付け加えました。
クリストス・A・マクリディスは、起業家、経済学者、教授である。Web3マルチメディアの新興企業であるLiving OperaのCOO/CTOを務めるほか、コロンビアビジネススクールやスタンフォード大学で教鞭をとっています。また、スタンフォード大学で経済学と経営学の博士号も取得済みです。
