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dYdXとは?特徴や仕組み、使い方などを初心者にもわかりやすく解説

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近年、Uniswap(ユニスワップ)をはじめとした様々な分散型取引所(DEX)がリリースされていますが、中でも特徴的なサービスで注目を集めているのがdYdXです。

dYdXは、暗号資産の現物取引ではなくデリバティブ取引に特化しており、かつ分散型取引所の中ではめずらしくオーダーブックでの注文ができるなどの特徴を持っています。

この記事では、そんなdYdXの特徴や仕組み、実際にトレードを行う手順などをわかりやすく解説していきます。

また、dYdXを利用するまでに知っておきたい注意点などもご紹介していくので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事の構成

dYdXとはどんな分散型取引所?特徴や仕組みなどをわかりやすく解説

まずは、dYdXという分散型取引所の概要や特徴などを解説していきます。

今後、dYdXが計画しているCosmos(コスモス)チェーンへの移行のニュースなどもご紹介していくので、詳しく確認していきましょう。

イーサリアムのレイヤー2「StarkEX」で開発されているデリバティブ分散型取引所

dYdXは、元CoinbaseのエンジニアだったAntonio Juliano氏によって、2017年にリリースされた分散型取引所(DEX)です。

開発ブロックチェーンには、StarkWare社によって開発が行われたイーサリアムのレイヤー2ソリューション「StarkEX」が採用されており、トランザクションの処理速度を大きく向上させています。

また、冒頭でも少しご紹介したように、dYdXは信用取引などのデリバティブ取引に特化した分散型取引所であるという点も特徴として挙げられるでしょう。

中央集権取引所では一般的に行われているKYCの手続きも必要ないため、MetaMaskを接続するだけですぐに取引を開始できるというメリットもあります。

AMM(自動マーケットメーカー)型ではなく、オーダーブックで取引できる

dYdXの特徴として、多くの分散型取引所で採用されているAMM(自動マーケットメーカー)形式ではなく、オーダーブックでの取引ができることが挙げられます。

上記の画像は、AMM型の分散型取引所として最も有名なUniswap(ユニスワップ)の取引画面となっています。

非常にシンプルで使いやすいUIですが、オーダーブック取引のように詳細な取引設定をすることはできません。

反対に、上記の画像はdYdXの取引画面となっており、一般的な中央集権取引所と同じようなオーダーブック方式が採用されていることがわかります。

普段からオーダーブックでの取引に慣れている方には、dYdXは非常に使いやすい分散型取引所と言えるでしょう。

将来的に完全な分散化を目指している

dYdXでは、将来的に完全に分散化された組織・サービスの運営を目指しているという特徴があります。

現在、dYdXは「dYdX財団」と「dYdXトレーディング社」という2つの組織によって運営されており、特に後者はアメリカに拠点を置く一企業です。

そのため、今後はこれら組織の権限を非中央集権的なコミュニティへと移行する分散化計画を進めており、そのロードマップが2022年1月に公表されました。

このロードマップは「V4マイルストーン」と呼ばれており、2023年の第2四半期にすべての開発が完了する予定となっています。

開発の過程では組織の分散化だけでなく、暗号資産の現物取引への対応なども検討されるようなので、大きくユーザビリティが向上する可能性も考えられるでしょう。

Cosmos(コスモス)上の独自ブロックチェーンへの移行を計画している

2022年6月23日、dYdXは現在採用しているレイヤー2「StarkEX」から、Cosmos(コスモス)上の独自ブロックチェーンへの移行を計画していることを発表しました。

暗号資産(仮想通貨)デリバティブの分散型取引所dYdXは22日、コスモス(ATOM)の開発フレームワークを使用して、独自ブロックチェーンを新たに構築する計画を発表した。

〜中略〜

dYdXは現在、イーサリアムのレイヤー2ネットワークとしてStarkware社が開発した「StarkEx(ZKロールアップ)」上で稼働しており、毎秒約10件のトランザクションと1,000件の発注・取消を処理する。

リリースによると、Cosmos SDKを使用してdYdX V4専用のブロックチェーン(アプリチェーン)を作成することで、サービス構成の完全な分散化と現行の100倍の処理能力獲得を目指している。

引用元:デリバティブ分散型取引所dYdX、コスモス上で独自チェーン構築へ

これは上記で解説した、dYdXが目指す「完全分散化」を達成するために必要なプロセスとなっており、主にトランザクションの処理性能の向上や、一部中央集権的になっているシステムの分散化が目的とされているようです。

Cosmosでの独自チェーンの開発にはまだしばらく時間がかかると思われますが、今後の動向にはしっかりと注視していく必要があるでしょう。

独自のガバナンストークンであるDYDXを発行している

dYdXでは、独自のガバナンストークンであるDYDXを2021年9月に発行しています。

ガバナンストークンは、組織の意思決定を行う際の投票に参加できる機能を持っており、こういった運営がされているコミュニティはDAO(自律分散型組織)と呼ばれています。

また、dYdXでトレードを行った方には、支払った手数料に応じてDYDXが配布されるなど、プラットフォームを利用するインセンティブの一つとしても活用されています。

dYdXで暗号資産のトレードを始めるための方法・手順

ここからは、dYdXで暗号資産のトレードを始めるための手順をご紹介していきます。

始め方はそこまで難しくありませんが、しっかり手順を把握しておきたい方はぜひ参考にしてみてください。

国内の暗号資産取引所でビットコインなどを購入する

dYdXを始めるためには、まず国内取引所にてビットコインなどの暗号資産を購入する必要があります。

基本的にどの国内取引所を利用しても問題ありませんが、後に購入した暗号資産を海外取引所へと送金する必要があります。

そのため、BITPOINT(ビットポイント)をはじめとした送金手数料が無料の国内取引所を利用するとよいでしょう。

BITPOINTなどの国内取引所に日本円を入金したら、暗号資産の購入手続きを進めてください。

購入したビットコインなどの暗号資産を海外取引所に送金する

国内取引所でビットコインなどの暗号資産を購入できたら、次に海外取引所へと送金していきます。

なお、dYdXではステーブルコインのUSDCを証拠金として受け入れているので、USDCを購入できる海外取引所に送金するようにしましょう。

今回は日本人に非常に人気が高く、世界でも屈指の規模を誇る海外取引所Bybit(バイビット)を利用する方法を例として解説していきます。

まずはBybitにログインし、「資産」→「現物」の順番にクリックします。

次に現物資産の画面が表示されるので、国内取引所から送金したい暗号資産の「入金」をクリックしてください。

今回は例として、BTC(ビットコイン)を選択します。

画面が切り替わり、ビットコインの送金アドレスが表示されるので、矢印で示したアイコンをクリックしてコピーしましょう。

再び国内取引所の管理画面に戻り、コピーしたアドレスを送金画面に貼り付けて手続きを完了させてください。

なお、送金時に貼り付けるアドレスに1文字でも間違いがあると正しく送金できず、送金した暗号資産を失ってしまう可能性があります。

送金手続きに慣れていない方は、まず少額での送金テストを行うことをおすすめします。

海外の暗号資産取引所でUSDCを購入する

国内取引所からビットコインを送金できたら、dYdXでの証拠金として使用するUSDCを購入していきます。

「現物」→「現物取引」→「BTC/USDC」の順番にクリックしましょう。

画面がBTC/USDCの取引画面に切り替わったら、数量や注文価格などを入力して取引を行っていきます。

また、取引方法には「指値」と「成行」という2つの種類がありますが、自分で注文価格を指定したい場合は「指値注文」で取引するようにしてください。

購入したUSDCをMetaMaskなどのウォレットに送金する

海外取引所でUSDCを購入できたら、MetaMaskなどの暗号資産ウォレットに送金していきましょう。

なおMetaMaskとは、自分の暗号資産を保管できるお財布のような機能を持っており、dYdXなどのDappsを利用するためには必要となるものです。

まだMetaMaskのアカウントを持っていない場合は、この機会にMetaMask公式サイトにアクセスして作成手続きを済ませておきましょう。

アカウントの作成ができたら、先ほど海外取引所で購入したUSDCをMetaMaskに送金していきます。

また、ここまでご紹介したように、dYdXはイーサリアムブロックチェーンのレイヤー2で開発されている分散型取引所なので、必ず「イーサリアムメインネット」のアドレスにUSDCを送金するようにしてください。

dYdX公式サイトにアクセスし

、MetaMaskと接続する

最後に、dYdX公式サイトにアクセスし、MetaMaskと接続していきます。

アクセスできたら、画面右上にある「取引」をクリックしてください。

トレード専用のページが別画面で開くので、赤枠で示した「ウォレットへ接続」をクリックします。

自動的に立ち上がったMetaMaskの画面に沿って接続を許可すれば、dYdXで暗号資産のトレードを行う準備は完了です。

dYdXで暗号資産の信用(先物)取引をする方法・手順

次に、実際にdYdXで暗号資産の信用(先物)取引をする方法・手順を解説していきます。

現物取引とは少し手順が異なるので、信用取引が初めての方はしっかり確認していきましょう。

保有しているUSDCを証拠金として入金する

dYdXでトレードを行うためには、証拠金となるUSDCを入金する必要があります。

まずは、上記画像で示している「入金」をクリックしてください。

次に、入金するUSDCの数量を入力します。

入力が完了したら、「入金確認」と表示されるボタンをクリックしましょう。

クリックするとMetaMaskが自動的に立ち上がるので、支払うガス代を確認して「確認」を選択します。

信用取引する暗号資産の銘柄を選択する

USDCの入金ができたら、画面上部にある「取引」をクリックしましょう。

「すべてのマーケット」と書かれた箇所をクリックすると取引できる暗号資産銘柄が一覧で表示されるので、どれか一つを選択してください。

今回は例として、Ethereum(ETH)を選択していきます。

USDCを証拠金にしてロングポジションを取る

ETHのトレード画面に移動したら、取引の注文を出すことができます。

まずはUSDCを証拠金にして、ロングポジションの注文を出す方法を確認していきましょう。

ロングポジションを取る場合は、まず「買い」をクリックしてください。

「指値」や「成行」などの注文方法を選択し、トレードを行う「金額」を入力していきます。

また、dYdXでは口座に預けている証拠金以上の取引ができる「レバレッジ」を最大20倍まで設定することが可能です。

すべての入力が完了したら、画面を下にスクロールして「注文」をクリックしてください。

USDCを証拠金にしてショートポジションを取る

次に、USDCを証拠金にしたショートポジションを取る方法も確認していきましょう。

ショートポジションの注文を出す場合は、先ほどのロングとは反対に「売り」をクリックします。その後は、先ほどと同様に「金額」「レバレッジ倍率」などを入力すれば、ショートを注文をすることできます。

以上で、dYdXで信用取引を行う手順は完了です。

事前に知っておきたいdYdXの注意点や気をつけたいこと

記事の最後に、dYdXを利用する前に知っておきたい注意点や気をつけたいことを解説していきます。

後から後悔しないためにも、ご紹介する注意点をよく確認しておくことをおすすめします。

レバレッジは最大でも20倍までしか設定することができない

dYdXの注意点としてまず挙げられるのが、レバレッジは最大でも20倍までしか設定できないことです。

実際、Bybit(バイビット)などの海外取引所では、レバレッジ倍率を最大100倍まで設定できるケースもめずらしくないので、積極的にリスクをとっていきたい方には物足りない倍率と言えるかもしれません。

あくまでレバレッジ取引だけを目的にdYdXを使うことを考えている方は、他のデリバティブ取引所の利用を検討してみてもよいでしょう。

暗号資産のスポット(現物)取引はできない

dYdXのデメリットとして、暗号資産のスポット(現物)取引ができないことも挙げられます。

デリバティブ取引の専用口座として利用するのであれば問題ありませんが、現物取引なども含めた総合的な取引所を利用したい方には適していません。

しかし、先ほどご紹介した「V4マイルストーン」の過程で現物取引に対応する可能性もあるので、今後の開発状況には注目していきましょう。

取引の流動性はそこまで多くない

dYdXの最後の注意点として、取引の流動性はそこまで多くないことは知っておくべきです。

上記の画像はCoinMarketCapから引用した、2022年10月4日時点の分散型取引所(DEX)の取引高ランキングを示したものですが、dYdXはすべてのDEXの中でも2位に位置しています。

 

しかし、中央集権取引所(CEX)の取引高ランキングで考えると、dYdXは26位あたりの位置づけとなります。

今後、分散型取引所(DEX)の利用が今よりも一般化すれば取引高も増加すると思いますが、現状ではそこまで流動性が高いわけではないことは知っておいてください。

dYdXの特徴や仕組み、使い方などまとめ

今回の記事では、暗号資産のデリバティブ取引に特化した分散型取引所、dYdXの特徴や仕組み、トレードの手順などをご紹介してきました。

dYdXは分散型取引所の中ではめずらしく、オーダーブック形式の取引方法を採用しているので、一般的な中央集権取引所と同じように利用できるでしょう。

また、MetaMaskを接続するだけでアカウントの登録手続きなしにトレードができる点も、メリットの一つとなっています。

現在はCosmos(コスモス)で開発を進めている独自ブロックチェーンへの移行を計画しているなど、今後のdYdXの動向にも目を光らせておく必要がありそうです。

GM

gm

2017年から仮想通貨投資を開始し、2020年から本格的にweb3.0の世界に参入。現在はフリーランスとして暗号資産やブロックチェーン、NFT、DAOなどweb3.0に関する記事を執筆。NFT HACKでは「初心者にもわかりやすく」をモットーに、読者の方々に有益となる記事の作成を行なっている。
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