世界最大手の暗号資産取引所であるバイナンスは、日々新しいニュースを発信しています。
今回は2022年9月に発表された2つのニュース「BABトークン」と「ZKロールアップ」について紹介していきます。
この記事の構成
BABトークンのローンチ
2022年9月8日、KYC(本人確認)を完了したバイナンスユーザーが、本人証明として使用できる史上初のSBT(Soul Bound Token)である、BABトークン(Binance Account Bound Token)発行のローンチを発表しました。
(引用元:https://twitter.com/Bab_binance/status/1567824586493812737?s=20&t=iSShu8RbQXL5TaGFPbjLBQ)
SBTについて
BABトークンの説明の前に、SBTについて簡単に説明しておきましょう。
SBTは本人認証などを目的とした譲渡不可能なNFTとして発行されるもので、市場価値(金銭価値)などはありません。したがって、売買が不可能なだけではなくウォレット間の移動もできません。
ユーザー本人を証明できるID情報が記録されたSBTは下記のような活用事例が想定されています。
- 学歴
- ヘルスケアの履歴
- イベントなどの参加証
など、多くの場面での使用が想定されています。
特にブロックチェーン上のDapps(分散型アプリ)を利用する際に、自らの本人証明として提示することが可能で、Web3での活用に期待されています。
BABトークンについて
BABトークンは、バイナンスに口座を持ち、KYCを完了しているユーザーのID資格情報を証明するトークンです。
BABトークンを取得すると、BNBチェーン上の様々なプロジェクトから、期間限定でオリジナルトークンの報酬を得ることができます。
現時点では14のプロジェクトについての特典が展開されていますので後ほど紹介します。
BABトークンの特徴
BABトークンはバイナンスの身元証明としてのみ発行され以下の特徴があります。
- 譲渡不可
- 取消可能
- ユーザー一人について発行されるトークンIDは一つのみ
また活用されるプロジェクトとして想定されるのが
- NFT
- DeFi
- GameFi
- Metaverse
など、幅広い分野で活用されることが想定されています
特典がもらえるプロジェクト
BABトークンを発表した同日、BAB保有者が特典を得られるプロジェクトについても公表しました。
以下の14プロジェクトになります。
尚、ApeSwaについてのみ対象ページのリンクを貼っておきましたが、それ以外のプロジェクトの詳細についてはバイナンスの公式ページをご参照ください。
- ApeSwap
- Apollox
- PearDAO
- Project Galaxy
- X World Games
- Summoner’s Arena
- Ultiverse
- Cyberconnect
- P12
- MathWallet
- Liveart
- OpenOcean
- TinyWorld
- The Harvest
KYCの方法
BABトークンを取得するにはバイナンスでKYCを完了する必要がありますので、最初にKYCの方法を紹介します。
今回はバイナンスの公式ページの画像を使用して紹介します。
画像は英語ですがバイナンスは日本語での表示が可能ですので実際の操作を行う場合、言語を日本語に設定することをお勧めします。
バイナンスのアップデートや実施する時期によっては、実際の画面が紹介する画面と相違している場合がありますのであらかじめご了承ください。
- ユーザーアイコンから身分証明をクリック
- 「今すぐ開始」をクリック
- 居住国を選択
- 国/地域の確認要件のリストが表示されるので確認して「続行」をクリック
- 個人情報を入力し、「続行」をクリック
身分証明書をアップロードしますが、下記の画面の通り「IDカード」「運転免許書」「パスポート」の中から選択できるようになっています。
- IDの種類を選択したら「続行」をクリック
- 画面の指示に従ってID写真をアップロード
- 顔写真のアップロード
- 「帽子、メガネ、フィルターは使用せず、十分な照明(明かり)を確保していること」の確認画面が出るので問題なければ「続行」をクリック
- 顔認証は画面右下にあるQRコードをスキャンして、スマートフォンのバイナンスアプリで認証することも可能
すべて成功すると下記の画面になり「完了」と表示されます。
BABトークン発行方法
KYCが完了したらBABトークンが取得できますのでその方法を説明します。
トークンの取得はスマートフォンアプリのみになりますのでインストールしていない方は事前にインストールをしてください。
また、手数料が1BUSD(約1ドル)かかりますので、あらかじめアプリ内に準備が必要です。
- バイナンスアプリをクリック
- 「もっとみる」をクリック
- 下にスクロールして「BABT」をクリック
- 「ウォレットを接続」をクリック
- ウォレット選択画面が表示されるので自分のウォレットを選択し接続させる
- ウォレットが接続できたら「署名メッセージ」をクリック
- ウォレットが起動するので「署名」をクリック
- 署名が実行されたらBABが取得できるようなるので「BABトークン獲得」をクリック
- 手数料で1BUSDがかかる旨の表示がされるので承諾する場合は「はい」をクリック
- PINの設定画面が表示されるが、後からでも設定可能なので今回は「キャンセル」をクリック
「トークン生成のリクエストは進行中です」をクリックすると別画面が表示され、ステータスに「処理中」と表記されます。
この後、ミントされるまで時間がかかるのでアプリは閉じても問題ありません。
改めて「BABT」をクリックすると下記のような画面になりミントされているのが確認できれば完了です。
BABトークンをウォレットに表示させる方法
BABトークンを取得できましたが、この状態ではまだウォレットに反映されていないので、ここからはウォレット(今回はMetaMask)に表示させる方法を紹介します。
- MetaMaskのチェーンをバイナンスに設定する
- NFTをクリックし、「NFTをインポートする」をクリック
- 右のような画面になるのでアドレスとトークンIDを入力していく
- バイナンスアプリでBABトークンを表示させ、「詳細表示」をクリック
- MetaMaskの「アドレス」には「コントラクトアドレス」をコピー&ペースト
- 同じく「ID」には「トークンID」を入力
- 入力が完了したら「インポート」をクリック
ウォレットに反映されました。
BABの取消方法
BABトークンは一人のユーザーに対して一つしか発行されません。
従って別のウォレットアドレスに転送したい場合は、BABトークンの取消を行い、再発行することが必要です。
また、万が一ウォレットの秘密鍵を紛失しBABトークンへアクセスすることができなくなった場合なども、取消を行い再発行することが可能です。
尚、取消を行った後の再発行は72時間経過後になりますので、その間BABトークンの使用はできません。
取消方法を紹介します。
- スマートフォンアプリからBABトークンを表示させる
- トークン画面の「よくある質問」の下までスクロールさせる
- 「トークン削除」をクリック
- 削除後、72時間は生成が無効になる旨が記載されているので実行する場合は「削除」をクリック
尚、「よくある質問」に注意事項などが記載されているので目を通しておくことをお勧めします。
zkロールアップ技術を採用したzkBNBを発表
2022年9月8日、バイナンスのネットワークであるBNBChainは新たなスケーリングソリューションとしてzkロールアップを採用した「zkBNB」のテストネットをローンチしたと発表しました。
zkロールアップとはどういうもので、今後のBNBチェーンにおいてどのような影響があるのか解説します。
(引用元:https://twitter.com/BNBCHAIN/status/1567561514881515520?s=20&t=ys3T-D4t0wTpLlDmQGvq1Q)
ロールアップとは
zkBNBの解説の前に、ロールアップ技術について簡単に紹介します。
ブロックチェーンにおける課題の一つに、スケーラビリティ問題があります。
これはメインネットで処理できるトランザクション量に限りがあることから、トランザクション数が増えると処理スピードが遅くなり、さらに手数料が高くなってしまう課題のことです。
この課題を解決する技術の一つが「ロールアップ」技術で、レイヤー1(メインネット))で行われるトランザクションの一部をレイヤー1の外側にあるレイヤー2で処理し、その結果だけをレイヤー1に記録させる方法のことを言います。
ロールアップの種類
ロールアップ技術には「zkロールアップ」と「Optimisticロールアップ」の2種類があります。
この技術はとても複雑で難しいので詳細は省きますが、簡単に説明すると「レイヤー2で行われたロールアップの処理が正しい処理であるかを証明する必要があり、その方法として2種類の技術がある」ということになります。
それぞれの違いについてBNB CHAINの公式サイトに掲載されている表の一部を紹介します。
zkロールアップ | Optimisticロールアップ | |
処理スピード | 3日から2週間 | とても高速 |
証明のメカニズム | 詐欺(不正)の証明 (Fraud Proof) |
正当性の証明(ゼロ知識証明) |
技術の複雑さ | 低い | とても高い |
ガスコスト | 高い | とても低い |
Optimisticロールアップが証明する方法は「Fraud Proof(フロードプルーフ)と呼ばれ、トランザクションについて詐欺や不正についての審査を行います。
その審査の期間として不正が疑われるような場合はトランザクションをキャンセルするなどの処置を行うため、審査期間として最大2週間程度かかります。
一方、zkロールアップは「ゼロ知識証明」という技術で証明されるため、検証時間はとても高速で完了することが可能です。
ゼロ知識証明はとても複雑な技術ですが、Optimisticロールアップのように人間による検証を行わないので処理スピードが早く、しかもガス代(手数料)も軽減され、レイヤー1と比較して最大100倍のガス代を削減できるとしています。
zkBNBによる利点
公式サイトによるとzkロールアップにより1億アドレスをサポートし、さらに1秒あたり5,000〜1万件のトランザクションを処理できると予測。現存するブロックチェーンネットワークで最大量の処理能力が実現できるとしています。
また、データとトランザクションはレイヤー1に存在するので、レイヤー1のセキュリティで補償されているため安全性も確保されています。
バイナンスチェーンに存在するDapps側の最大のメリットは、zkBNBはオープンソースであること。さらに、APIを活用し実装が容易にできることです。
現在はテストネットですが2022年の年末にメインネットのローンチができる予定で進められています。
バイナンスネットワーク内での数多くのDappsが存在していますが、zkBNBがローンチすることで処理が渋滞することなくスピーディに、そしてガス代も軽減され、さらにサービス利用者が満足の行くネットワークの提供が実現するでしょう。
まとめ
今回はバイナンスのBNBトークンとzkBNBを解説しました。
この二つはWeb3が進んでいく中で利用者の安全を確保する上でとても重要な技術であると注目されています。
他のブロックチェーンに先立ち、様々な提案と進化を続けるバイナンスブロックチェーン。
今後もDappsの数も増えるなかで安心して利用できる環境を整えていくと期待されています。