NFTはかつての勢いがなくなり変革の時を迎えてきていると言われる中、新たなスタイルのNFTが登場しています。
今回は新しいコンセプトである「着せ替えができるNFTコレクション」と「書き換えができるNFTコレクション」を紹介して、その魅力と楽しさをお伝えしていきます。
この記事の構成
「KUMALEON」とは
KUMALEONは熊のキャラクターにカメレオンの特徴である変化する色をかけ合わせた、「着せ替えができる熊」をモチーフにしたNFTコレクションです。
とても愛らしいキャラクターを自分の好きなデザインに変更できる機能を備えた、今までにないNFTコレクションが誕生しました。その特徴と魅力について紹介していきます。
KUMALOEONの特徴
公式サイト:https://kumaleon.com/
ローンチ:2022年9月19日
NFTタイプ:ジェネラティブ
発行数:3,000点
販売通貨:ETH
フロアプライス:0.07ETH(2022年10月22日時点)
オーナー数:1,399人(2022年10月22日時点)
(データ参照:OpenSea)
KUMALEONはアーティストである「Okazz」が生み出したキャラクターで、誕生から少しづつ進化し、そして現在でも進化し続けています。
この進化し続けることをとても大事にしており、コンセプトとして「なんにだってなれる」を掲げています。
そして「進化を止める必要はありません、今この瞬間も自分の目標に向かって進化し続けることができるのです」というメッセージを発信しています。
KUMALEONの構成要素
KUMALEONは下記のような構成になっています。
(引用元:https://kumaleon.com/artist_story/)
KUMALOENのキャラクター単体とKUMALEON GEN ART(以下GEN ARTと表記)である模様や背景など(スキンNFT)を自由に組み合わせることができます。
また最大の特徴である着せ替えを可能にするため、トークン規格としてERC998を使用しています。
ERC998 はERC-721にコンポーザビリティ機能(他のトークンなどと接続できる機能)を持っている規格で、GEN ARTにそのERC-721規格を用いることにより接続を可能にし、さらにGEN ARTと接続したKUMALEONを分解することもできます。
なお、接続したKUMALEONを分解すると下記のようにトークン規格もそれぞれ分解され、別のコレクションとなります。
(引用元:https://docs.kumaleon.com/faq)
背景となるGEN ARTの作成にはOkazzの他、下記14名のアーティストが参加しています。
右のURLではアーティストの作品の一部を見ることができます。
- takawo(https://docs.kumaleon.com/gen-art-overview/generativemasks-kumaleon-edition)
- cocopon(https://docs.kumaleon.com/gen-art-overview/iceberg-theme-for-kumaleon)
- NIINOMI(https://docs.kumaleon.com/gen-art-overview/typed-pixels-kumaleon-ver)
- hasaqui(https://docs.kumaleon.com/gen-art-overview/kuma-flw-hasaquick-mix)
- Senbaku(https://docs.kumaleon.com/gen-art-overview/gradient-matter)
- Gin(https://docs.kumaleon.com/gen-art-overview/fantasic-garden)
- reona396(https://docs.kumaleon.com/gen-art-overview/gemstone)
- はぅ君(https://docs.kumaleon.com/gen-art-overview/kumaverse)
- ayato(https://docs.kumaleon.com/gen-art-overview/kurayon-blocks)
- Juhani Haikomaki(https://docs.kumaleon.com/gen-art-overview/elastic-tangle)
- Taito Otani(https://docs.kumaleon.com/gen-art-overview/kazaguruma)
- incre.ment(https://docs.kumaleon.com/gen-art-overview/untitled)
- E.C.H(https://docs.kumaleon.com/gen-art-overview/momentary)
- p4stoboy(https://docs.kumaleon.com/gen-art-overview/all-my-diamonds)
KUMALEONの歴史とアーティストの紹介
KUMALEONの生みの親であるOkazzを紹介します。
Okazzはバックグラウンドを何も持たない中、25歳からプログラミングの勉強を始めると共に、ポップアートにも興味を抱きこの二つを融合させる方法を構築しました。
下記はOkazzが独学でプログラミングを勉強しながら書いていたイラストの一部です。
(引用元:https://docs.kumaleon.com/history)
また、Okazzは日本の漫画やアニメの影響を強く受けており、今までのクリエイティブなコーティングシーンでは見られない下記のようにポップなスタイルが生み出されました。
そして、ジェネラティブアートとポップアートを融合した「KUMALEON」を誕生させるだけでなく、カメレオンのように外観を変化させる「着せ替え」のアートNFTにしたことにより、コミュニティに様々な楽しみを提供することに成功しました。
(引用元:https://docs.kumaleon.com/history)
コミュニティについて
KUMALEONコミュニティには着せ替えがテーマになっている「コーディングチャレンジ」と「ファンアートコンテスト」があり、Twitterに#KumaKreativeで共有されています。
KUMALEON コーディングチャレンジ
その名の通り、自分でクマをコーディングしてオリジナルのKOMALEONを作成することができます。
コーディングは「OpenProcessing」で作成することができ、完成したスケッチは同じOpenProcessingの共有ページに送信し、完成したKUMWLEONとコーディングも共有することができる他、Twitterでも共有されています。
(引用元:https://twitter.com/takawo/status/1542019598908014592?s=20&t=om0tY5PwYuBebkVH4qrjlA)
非公式ながら公式サイトでも紹介されていますが、「deconbatch」さんによる「KUMAMONコーディング チャレンジガイド」がとても参考になります。
このガイドはとてもわかりやすく書かれてあり、コーディングができない初心者でも簡単に作成することができ、楽しむことができます。
ファンアートコンテスト
元となるクマの画像をGoogle Driveで共有しており、コーディングではなく、PhotoshopなどオリジナルのKUMALEONを作成できるサービスです。
画像の形式は「PNG」と「SVG」ファイルで用意されており、誰でも自由に使用することができます。
下記はPNGの画像です。
作成したものがTwitterで共有されています。
(引用元:https://twitter.com/0xhaiku/status/1540265748399923200?s=20&t=om0tY5PwYuBebkVH4qrjlA)
「Matter is Void」とは
(引用元:https://www.teamlab.art/jp/art/)
アートコレクティブの集団である「チームラボ」が2022年2月に「Matter is VOid」と書かれたNFT作品を発表しました。
チームラボはこのNFTに「所有」という概念についてメッセージを込めています。
どのようなメッセージを込めたのか解説していきます。
チームラボの紹介
2001年から活動している国際的な学術的集団で、そのメンバーはアーティスト、プログラマ、エンジニアなどの他、数学者や建築家なども含めた多岐に渡る分野のスペシャリストが参加しています。
チームにより作成された多くの独創的な作品は世界中の美術館に出展しており、その作品は日本でも見ることができます。
現在日本で開催中の展示は以下の通りです。
・チームラボプラネッツ
開催期間:2018年7月7日~2023年末
場所:豊洲 チームラボミュージアム
公式サイト:https://planets.teamlab.art/tokyo/jp/
・かみさまがすまう森
開催期間:2022年7月15日~2022年11月6日
場所:九州 武雄温泉 御船山楽園
公式サイト:https://www.teamlab.art/jp/e/mifuneyamarakuen/
・チームラボボタニカル(常設展示)
開催期間:2022年7月29日~常設
場所:大阪 長居植物園
公式サイト:https://www.teamlab.art/jp/e/botanicalgarden/
・チームラボフォレスト(常設展示)
開催期間:2020年7月21日~常設
場所:福岡PayPayドーム隣
公式サイト:https://www.teamlab.art/jp/e/forest/
今後の出展予定もたくさんありますので興味のある方は公式サイトでご確認ください。
Matter is Voidの特徴
この作品の特徴は以下の2点です。
- 誰でもダウンロードすることができる
ダウンロードサイト:https://www.teamlab.art/matter-is-void-owner/download/?a=matterisvoid_blackinwhite - NFT所有者は作品の言葉を書き換えることができる
書き換えサイト:https://www.teamlab.art/matter-is-void-owner/
ダウンロードサイトでは以下の7種類から好きなデザインを選択することができます。
(引用元:https://www.teamlab.art/matter-is-void-owner/download/?a=matterisvoid_blackinwhite)
ダウンロードが完了すると書き換えサイトで書き換えることが可能になります。
書き換えにおける最大の特徴は「書き換えた言葉は、世界中で所有している全ての作品もその言葉に書き変わる」ことです。
例えば、筆者がブラック・イン・ホワイトをダウンロードして何かの文字に書き換えたとします。
その瞬間、世界中でダウンロードされたブラック・イン・ホワイトの作品が全て筆者が書き換えた文字に変化していくのです。
公式サイトでは元の作品から最新の作品までの変化の様子が、動画として確認することができます。
なお、2022年10月20日より、この7つの作品が「PACE VERSO」にて、1作品20万ドルで販売開始されています。
Matter is Voidに込められたメッセージ
先述したように、書き換えられた文字は世界中の作品の文字を一斉に変えてしまいます。
ここに込められたチームラボのメッセージを解説していきます。
チームラボは公式サイトにて”「Matter is Void」を通して「所有」とはなにかを模索する”と書かれています。
この作品のNFTは1つだけですが、NFTによる作品の唯一性は付与されません。
つまり、世界中でダウンロードされた作品は全て本物で、作品数に関わらず誰でも自由にダウンロードができ、ダウンロードした全てのユーザーが所有者になることを可能にしています。
チームラボは、NFTの価値観を所有ではなく「書き換える」ことに意義を持たせています。
この作品はチームラボにより「Matter is Void」と書かれてスタートしていますが、先述したようにダウンロードした所有者の一人が言葉を書き換えると、世界中で所有している作品も全て変更されます。
また、一度言葉が変更された後、以前と同じ言葉に戻しても異なる表現の文字になります。
例えば、最初の「Matter is Void」が別の言葉に書き換えられた後に、再び「Matter is Void」に戻しても最初の「Matter is Void」になることはありえないのです。
つまり同じ言葉でも一度変更されると、以前と同じ言葉はその時の同じ状態として見ることできなくなります。
この作品はNFT所有者が書き換えた言葉により作品の価値が変化します。
そして、その言葉の価値に共感できると所有者は増え、反対の場合は減るかもしれません。
すなわち、所有者の言葉によって作品の価値が変化していく様子に「所有」の意味を見出すようなコンセプトになっています。
哲学的な言葉ですが、公式サイトの最後に次のように書かれているので紹介します。
「NFTに書かれた言葉の文字は、公転と自転を続ける。回転し続ける文字は角度によっては認識でき、全体として意味を認識できる瞬間も訪れるが、再び文字として認識できない意味のないものとなる。文字の公転は、視覚的には左回転も右回転も同等であり、どちらかの方向の回転を意識するかによって、左回りにも右回りにもなる。」
まとめ
今回は「KUMALEON」と「Matter is Void」を紹介してきました。
「Matter is Void」はチームラボが出品しているだけあってかなり哲学的な意味合いが込められていますが、とても興味深い作品です。
今回の2つの作品はホルダーに対して新しい価値観を提供することになるだけでなく、NFT全体にとっても変化をもたらす可能性があるかもしれません。
今後も新しいスタイルのNFTに注目をしていきたいと思います。