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メタバースって何がすごい?新たな経済活動が始まる空間!NFTとの関係性も解説

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地上波のテレビでも目にする機会が増えた「メタバース」ですが、ゲームで使うだけだと思っている方も多いようです。

Facebook社が「Meta」に社名変更したことで、一気に注目されるようになったメタバースは、ゲームジャンルだけではなく経済圏としての成長が期待されています。

本記事では、メタバースの歴史や注目される理由、関わりが深い技術などを網羅的にまとめました。

インターネットの見方や経済活動が変わるきっかけとなる「メタバース」、2022年時点の現在地を見ていきましょう。

メタバースとは

メタバースとは、インターネット上に作られた「仮想空間」を意味します。

2022年時点では、リモート会議やゲームに使うサービスが提供され、一部の人だけが利用している状況です。

これからもテクノロジーやデバイスが進化することで、さらにメタバースが身近な存在になると期待されています。

具体的な事例などは、記事後半で紹介しますので、まずはメタバースの名前の由来と歴史をみていきましょう。

名前の由来

メタバースという名前は、超越(Meta)と宇宙(Universe)を掛け合わせた造語です。

ニール・スティーブンスンによって、1992年に発表されたSF小説『スノウ・クラッシュ』内で登場する言葉が由来とされています。

『スノウ・クラッシュ』は、ピザ配達員と腕利きハッカーの2つの顔をもつ少年が主人公の小説です。仮想空間で新薬「スノウ・クラッシュ」を試してみないかと誘われ、それを断ったことで事件に巻き込まれていきます。

現代の「仮想空間」と呼ばれる概念と、小説内の仮想空間「メタバース」が重なることから、仮想空間=メタバースと認識されるようになりました。

歴史

名前自体は1990年代に認識されはじめましたが、3D映像や仮想現実の考案・開発は、もっと前から始まっています。

3D、VR、メタバースの歴史を、時系列で以下にまとめました。

年代 概要
1838年 科学者のチャールズ・ウィートストン卿が、両目で見たときの2つの画像を合成して、立体的に見せる「両眼視」という概念を提唱した。現代のVRにも使われている概念のひとつ。
1935年 SF作家スタンリー・ワインバウムが、五感を操るゴーグルを題材にした『ピグマリオンの眼鏡』を発表。
1956年 世界初のVR(仮想現実)機器ともいえる「センソラマシン」がモートン・ハイリグによって開発された。3D映像に音声と香り、振動を加え視聴者が没入体験できる機械。
1970年代 MIT社が、コロラド州アスペンの町をCGで再現した「アスペン・ムービーマップ」を作成。VRを使って、別の場所へ移動した体験ができるようになった最初の事例。
1992年 ニール・スティーブンスンによって、SF小説『スノウ・クラッシュ』が発表された。
1993年 ゲーム会社セガから「SEGA VR-1」が発表される。仮想空間を体感できる「VRアーケードマシン」として注目されたが、利用者の健康に与える影響が懸念され、市販には至らなかった。
1998年 スポーツビジョン社がNFLの試合で、生中継にヤードマーカー(グラウンドにマークを映し出す技術)を使用する。現実世界の映像にグラフィックを映し出すこのアイデアは、他のスポーツ中継にも急速に広まった。
2003年 Linden Lab社より「セカンドライフ」がリリースされる。メタバースの先駆けともいえるサービスで、仮想空間を楽しんだり、ゲーム内通貨を現実の通貨と交換できたりした。2007年前後にブームが起きるも、通信環境やデバイスが現代ほど普及していなかったため、1年あまりでユーザーが減少した。
2010年 当時18歳の発明家パルマー・ラッキーが、VRヘッドセット「Oculus Rift」の試作品を制作した。パルマー・ラッキーは、のちにFacebook社(現:Meta社)に買収される「Oculus社」の創設者でもある。
2011年 アーネスト・クラインが、仮想現実の世界観を表現した小説『レディ・プレイヤー・ワン』を発表。2018年にはスティーブン・スピルバーグにより映画化され大ヒットする。
2014年 当時のFacebook社が「Oculus VR」を約20億ドルで買収。また、ソニーとサムスンがそれぞれ独自のVRヘッドセットを、GoogleがARメガネの「Google Glass」を発表し、VR・AR業界に注目が集まる年となった。
2016年 Microsoft社が「HoloLensヘッドセット」を発表。HoloLensヘッドセットは、ARとVRを合わせた複合現実(MR)が可能になり注目を集める。また、世界中で大流行したAR対応ゲーム「Pokémon GO」がリリースされた年でもある。
2017年 購入した家具が、自宅やオフィスでどのように見えるのか表示できるアプリ「Place」を、北欧家具王手のIKEAが開発した。
2020年 Apple社が、iPhoneとiPadに深度スキャン機能を搭載したことにより、写真の奥行き感やAR機能が向上した。
2021年 Facebook社が「Meta」に社名を変更したことで、メタバース領域への注力を示唆。また、スマートグラスやVRヘッドセットも発売された。

メタバースが注目されている理由

メタバースは、これまでSF小説やゲームの世界観を楽しむためのものでした。近年のコンピュータ・テクノロジーの目覚ましい発展とインターネットの普及が、「メタバース内で経済活動を可能にした」ため、世界中の注目を集めるようになりました。

ゆえに、これまでメタバースとは無縁だった企業や投資家も、期待し資金を投入しています。

そこで次は、メタバースに関する市場規模やニュースを見ていきましょう。

メタバースの市場規模

Fortune Business Insightsのレポートによると、メタバース関連の市場規模は2021年に約638億ドルに達したといわれています。

さらに、2022年には約1,002億ドル、2029年には約1兆5,275億ドルに達するという予測です。

比較として、ゲーム(メタバース以外も含む)の市場規模に関する同社のレポートでは、2028年に約5,460億ドルと予測されています。

メタバース関連市場には、JPモルガンやHSBCといった大手の投資銀行、MetaやMicrosoftといった世界的な企業が出資・参入を公表しています。

メタバースに関するニュース

2022年時点で、メタバースに関する直近の大きなニュースは、「Facebook社の社名変更」です。

2021年10月28日に、Facebook社CEOのマーク・ザッカーバーグ氏は、メタバースを事業の柱とすることを念頭に社名を「Meta」にすると発表しました。

社名変更に関して一部では「個人情報の流出問題」や「事業基盤の脆弱性」に対する批判から逃れるためとも言われていますが、同社はVRヘッドセットやVR会議システムを開発・提供していることから、メタバースへの取り組みは本気のようです。

Meta社の事業ドメインの転換と社名変更のようなニュースは、分かりやすい事例ですが、メタバース関連のニュースは次々に新しい話題が出てきます。

なぜならメタバースが、以下のような多様な分野と、それぞれ深く関わっているからです。

  • 5G
  • NFT
  • デバイスの進化
  • リモートワーク
  • ブロックチェーン
  • 仮想通貨(暗号資産)
  • クリエイターエコノミー

上記に関するニュースは、ユーザーの利用体験の向上や、仮想空間での経済活動を可能にする技術としてメタバースに繋がってきます。

なかでも、VR・ARといったデバイスや、デジタルデータに価値を生み出すNFTは要注目です。

メタバースとVR・AR・MR・XR

ここでは、メタバースと関わりの深い技術として、VR・AR・MR・XRを解説します。

メタバースはインターネット上の仮想空間なので、パソコンやスマホのディスプレイでも楽しむことは可能です。

より没入感を味わうためにVRやARといった技術が、メタバースと相性がいいので用いられています。

VR・AR・MR・XRとは?バーチャルとリアルの融合

略称 名称 日本語訳
VR Virtual Reality 仮想現実
AR Augmented Reality 拡張現実
MR Mixed Reality 複合現実
XR Extended Reality
(または、Cross Reality)
上記の総称

はじめに、XRとは上記3つを指す総称です。ビジネスシーンなどで、「XRテクノロジーを利用して……」といった使われ方をします。

VRとは、現実のような仮想空間への没入体験ができる技術です。利用者はVRを体験するために、外部の見えないヘッドセットを装着します。

じっとして映像を見るだけでなく、体の動きに合わせて映像も変わるなど、よりリアルな仮想空間を体験できます。

ARとは、ディスプレイやレンズ越しに、現実の景色に付加情報を映し出す技術です。

前述のVRは、コンピュータ上に作られたデジタル空間を見るものですが、ARでは現実の空間にデジタルグラフィックが追加され、現実とデジタルが融合したような体験ができます。

MRとは、VRとARを組み合わせた技術です。MRはディスプレイやレンズだけでなく、ユーザーの動きや外部情報を反映させるために、カメラやセンサーも連動させるのが特徴です。

たとえば、家電量販店での買い物をイメージしてみましょう。VRの場合は、3D空間に作られた家電量販店を視聴することで、自宅にいながら店舗に入ったような体験ができます。

ARの場合は、実際に店舗へ訪れたときに、商品ごとの詳細情報や紹介動画がレンズ越しに映し出されるようなイメージです。

その両方を組み合わせたMRの場合は、店舗に置かれている商品を仮想リビングに置いてみたり、自宅を映し出した空間でお試し利用できたりするイメージです。また、配色やサイズを変えてみたいときも、アバターの着せ替え感覚で操作できます。

ゲームだけじゃない拡張現実の活用法

XRは、とりわけゲームの分野で先行しているのは事実です。他方、ここでは実生活に関わる活用事例を紹介します。

たとえば、自動車メーカーやファッションブランドが、仮想空間でショールームを展開する事例があります。

大規模な会場費が不要で、参加者もインターネット環境とデバイスさえあれば参加できるため、双方にとって有効な活用事例です。

製造業などでは、工場の新設や改良の際に、デジタル空間でのシミュレーションにXRが活用されている事例もあります。また、実際の土地に映し出して、光の動きや稼働状況を確認することも可能です。

医療の現場では、XRを活用した手術のトレーニングや遠隔支援なども行われています。

メタバースで実現できることは、これからさらに増えていくでしょう。

メタバースとNFT

メタバースの注目度を上げた要因でもある「NFT」について解説します。

これまでのメタバースは、VR機器を装着して遊ぶゲームという印象が先行していました。

NFT技術の登場で、メタバース内の「物」に対してNFTで価値を付けられるようになり、「物」を取引できることで、メタバースがひとつの経済圏として成長しています。

いまやメタバースに欠かせないNFTについて見ていきましょう。

NFTとは?デジタルデータの唯一性を証明

NFTとは、Non-Fungible Token(ノンファンジブルトークン)の頭文字で、非代替性トークンと訳されます。非代替性は「唯一無二の、替えが効かない」、トークンは「印、象徴」という意味です。

NFTは、デジタルデータの唯一性を証明できる技術として、デジタル仮想空間のメタバースでも活用されています。

今まではデジタルデータのコピーは簡単で、コピーや改ざんされた場合に原本や所有権を証明することが難しいという問題がありました。NFTがない場合に、デジタルデータがインターネット上に拡散されれば、それらの唯一性を証明するのは非常に困難です。

NFTは、ブロックチェーンを活用した技術によって、デジタルデータに唯一性を付与します。与えられたアドレスはブロックチェーンに記録されるため、誰でも確認できて、改ざんされにくいのが特徴です。

メタバース空間のすべてをNFTにできる

メタバース内のあらゆるものをNFTにすることで、現実世界と同じように経済活動が始まります。

たとえば以下のようなものです。

  • メタバースの土地を売買
  • 土地を貸して収入を得る
  • アバターを制作して販売
  • ゲームアイテムを制作して販売
  • ゲームで獲得したアイテムを転売

メタバース内の通貨およびNFTの取引には、暗号資産が使われるため、対応した暗号資産取引所で換金することもできます。

メタバースアプリの現在地(2022年)

2022年時点での、メタバースの現在地を解説していきます。

メタバースのアプリケーションやソフトウェアは、国内外さまざまな種類がありますが、本記事では以下の3つを取り上げました。

  1. The Sandbox
  2. Decentraland
  3. Horizon Workrooms

1と2はゲームや土地開発といった仕様で、3はビジネスツールとしてのメタバースアプリです。

The Sandbox

The Sandbox(ザ・サンドボックス)は、LANDという仮想の土地を使って遊ぶゲームです。

ユーザーは、LANDの上に建物を作ったり、キャラクターやアイテムを作成したりすることができます。さらに、オリジナルのゲームを作って、他のプレイヤーに遊んでもらうことも。

LANDはNFTになっており、誰かに土地を売却したり貸したりして収入を得ることもできます。

The Sandbox内で使える通貨「SAND」は、暗号資産なのでプレイして稼いだSANDを換金することで収益化も可能です。

LANDは1区画が数百万円で取引されるなど、実際の土地価格に相当する価値になっている土地もあります。資本力がある、アディダスやエイベックス、スクウェア・エニックス、ソフトバンクなどの有名企業もLANDを所有しています。

2022年5月時点では、アルファ版のため正式版がリリースされると、さらに注目を集めるでしょう。

Decentraland

Decentraland(ディセントラランド)は、LANDという仮想の土地を使って遊ぶゲームです。

The Sandboxはボクセルチックな見た目ですが、Decentralandはポリゴンチックな滑らかな見た目が特徴です。また、Decentralandでは「MANA」という暗号資産が、標準通貨として使われています。

コカ・コーラ社がNFTを販売した際に、Decentralandで使えるアバターNFTを、購入者に配布したことも話題になりました。さらに、アメリカ大手の投資銀行JPモルガンは、Decentraland内に公式の事務所として、オニキス・ラウンジ(Onyx Lounge)を開設しています。

大企業や投資銀行の参入は、メタバースへの注目度がうかがえる事例です。

Horizon Workrooms

Horizon Workrooms(ホライズン・ワークルーム)は、Meta社が開発・提供している「ビジネス会議用のVRシステム」です。

VRヘッドセットのMeta Quest(旧:Oculus Quest)を使うことで、メタバース空間のオフィスを利用できます。

キーボードやモニター、デスクなどを読み込ませると、Horizon Workrooms内で実物と同じような使い方をできるのが特徴です。また、コントローラーをペンのように持ち、Horizon Workrooms内のホワイトボードに書き込むこともできます。

口の動きやジェスチャーを反映するため、目の前に人がいるかのような感覚で会話ができるのも特徴のひとつです。

Meta社のHorizon Workroomsは、ビジネスシーンにもメタバースが活用される事例として注目されています。

メタバースは新たな経済活動が始まるバーチャル空間:まとめ

ここまでの内容をおさらいします。

  • メタバースの構想は1990年代から始まっていた
  • XRやNFTなどの新しい技術進歩が発展のカギ
  • ゲームだけにとどまらず経済活動が行われていく

メタバースは、まだまだ発展途上のジャンルです。

これから、実生活と結びつくサービスが開発され、ユーザーが参加しやすくなると、さらに発展していくことは間違いありません。

すでに暗号資産やNFTは誰でも手にすることができるので、興味がある方は、いまからでも実際に触れてみてください。

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Web3.0ジャンル専門のフリーランスWebライターとして活動中。ビットコインをはじめとする暗号資産、および国内・国外のさまざまなNFTを保有。暗号資産やブロックチェーン、NFTなどを「とことん分かりやすく」解説するのがモットー。多くの人がWeb3.0に興味を持つきっかけとなるような記事を書いている。
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