メタバース上でアバター同士で会話することでトークンが得られるプロジェクトである「AZITO(アジト)」は、近年のブロックチェーン・NFTの発達の中でたびたび話題となっている「〇〇 to Earn」の中でも「話す」ことに着目した「Talk to Earn」で、誰でも暗号資産を得られることで注目を集めています。本記事ではAZITOの概要、特徴、ロードマップなどについて網羅的に解説していきます。
この記事の構成
AZITOの概要
「AZITO(アジト)」はメタバース開発をメインとして、世界中のクリエイターと共創して持続可能なエコシステムの構築を目指す日本発のNFTプロジェクトです。創業者は、大阪を拠点にオフィスとしてのメタバース空間「RIZA」を開発・提供する株式会社OPSIONの深野崇氏です。株式会社OPSIONは創業当初からフルリモートでの業務を行なっており、社員は自社が開発した「RIZA」のメタバースで働いています。「AZITO」は、日頃からメタバース上でアバターを通じて社員とコミュニケーションをとっている深野氏だからこそ立ち上げられたプロジェクトです。
AZITOは、クリエイターが活躍する場所としてのメタバース空間と「Talk-to-Earn」の仕組みを組み合わせることで注目されているプロジェクトです。そのコンセプトが生まれた背景には、メタバースが抱える課題がありました。
既存のメタバースは発展途上で、未だ実際に利用するユーザーが少ないことや、魅力的なコンテンツが少ないという課題があります。AZITOはこの問題点から出発し、メタバースに人が長く留まる理由を作る要素として「Talk-to-Earn」を設け、コミュニケーションの活性化を目標としています。
具体的には、メタバース上でユーザー同士が一緒に活動することでより良いアイテムが手に入れられるミッションが用意されており、それを遂行するために会話をして報酬が得られる仕組みによって、お互いにwin-winな関係を作れるというものです。話すきっかけが初めに与えられていることで、知らない人との会話における心理的なハードルを下げるという狙いもあります。
このようにAZITOは、ユーザーが自律的に活動・交流することでコミュニティが発展していくプロジェクトで、数十年後にはメタバースに移住できるような世界を作ることを目標にしています。
AZITOでできること
ここまでAZITOの基本情報を大まかに紹介しましたが、この章では実際にAZITOではどんなことができるのか、大きく3つに分けて紹介していきます。
メタバース上の土地「AZITO Land Deed NFT」を購入できる
AZITOのプロジェクトでは、AZITOが独自に開発するメタバース上の土地を保有できる権利である「AZITO Land Deed NFT」が発行されています。このNFTを購入すると、メタバース上の土地(ランド)の保有者(オーナー)になることができます。オーナーになるとメタバース上でさまざまな建築物の作成や、NFTの販売・展示会、ゲームやライブイベントなどの開催ができます。ランドの運営で得た収益の一部はAZTトークンとしてオーナーに還元される仕組みとなっており、オーナーはランドの区画を多く保有することで多くのメリットを得られるようになっています。つまり土地が広いほど作れる建築物が多くなるため、より多くの人が出入りできるようになり経済活動が活発化し、好循環を得られるということです。またオーナー限定の特典として、ガバナンストークンのエアドロップやホルダー限定エリアにアクセスする権利が付与されています。
この「AZITO Land Deed NFT」は、2022年8月28日にプライベートセールとしてOpenSeaで3000点が発行され、発売後すぐに完売となりました。このNFTは合計で10,000点発行される予定となっており、残りの7,000点は今後パブリックセールにて販売される予定となっています。
長期保有で土地をカスタマイズできる
「クリエイターとの共創」を掲げているAZITOは、土地を投機的な資産ではなく自由な交流の場として提供することを目標としています。そのためにオーナーのコミット度合いによってランドをレベルアップできるという設定が組み込まれています。ランドをレベルアップすると、区画を拡張できる、建築物の数を増やせる、収容人数を増やせる、与えられるアイテムのレア度が高まるなどのメリットがあります。
AZITOは、下記のような要素を組み合わせてレベルアップを実施すると明かしています。
- トークンの消費(AZTトークン、ガバナンストークン)
- ゲーム内で与えられたアイテムの消費
- ランド上での活動を活発にすること
- ランドを訪れたユーザーの累積数
- 「AZITO Land Deed NFT」の保有期間
要するに、それぞれのユーザーが一人のクリエイターとしてAZITOにコミットし、長期的に自身の土地を活用して盛り上げることでレベルアップができ、より多くの報酬を得られるという仕組みになっているということです。長期的に利用することで土地を自由にカスタマイズできるようになっていくという点は、AZITOプロジェクトの狙いである、メタバースにユーザーを少しでも長く留めるための仕組みであるとも言えるでしょう。
話すことでトークンを得られる(Talk to Earn)
AZITOでは、ユーザー同士が活発に会話することで報酬が得られる「Talk to Earn」の仕組みを採用しています。初対面同士の会話のハードルの高さを下げるために、AZITOではユーザーが協力して解決するクエストが用意されています。
クエスト実施に当たっては、限定された人数のパーティーを編成しなければならないことと、他の参加者の活動が自分の報酬にも影響するという仕掛けが設定されています。こうすることで、不正な動きやフリーライドが発生することを防ぎ、よりアクティブな活動と会話を促しています。
AZITOの世界観
AZITOは、ユーザーを引き込む近未来的な世界観とストーリーの下で運営されています。その内容はおよそ次のようなものです。
2XXX年、「Destiny」という統一国家によって支配された世界では、人類はテクノロジーによって厳しく監視され、効率的に富を生み出すことのみが重要視されていました。こうした監視国家体制により各国の文化やエンターテイメントが失われていく中、1万人ほどのレジスタンスたちが支配からの解放を求めて暗躍。彼らは仲間たちとの交流を図るために、旧インターネット上に秘密基地「AZITO」を作ったことで、エンターテインメントの楽しさを取り戻していくという設定となっています。
1万人のレジスタンスたちは皆仮面を付けており、監視の目をかいくぐって暗躍しているという設定です。キャラクターたちのビジュアルは「AZITO Land Deed NFT」にそれぞれデザインされています。
クリエイターによって無限に拡張する世界を生み出すことを基本理念としているAZITOは、あらかじめ一定のストーリーをユーザーに提示することでユーザーを引きつけ、想像する余地を与えています。
今後の展開と将来性
AZITOは、2022年9月30日に「AZITOのクローズドβ版」がリリースされ、β版リリース記念として、MaskNFTのフリーミント権が当たる「β版リリース記念キャンペーン」が実施されました。また、AZITOのロードマップでは、シンガポールで法人化やAZITO内でNFTマーケットプレイスの設立、スマホアプリのリリース、ランドの貸し借りを可能にするなど、さまざまな計画がなされています。2022年10月現在、4000人以上が参加しているディスコードでは、これらのプロジェクトの初期メンバーを募集しており、コミュニティ内の交流や活動も活発に行われています。
他者とのコミュニケーションでトークンを得られる「Talk to Earn」の仕組みと、自律的に発展する社会としてのメタバースの掛け合わせは、エンターテインメントとして新規性があるだけでなく、今後さまざまなビジネスやクリエイティブが生まれる可能性を秘めています。AZITOはまだ始まったばかりのプロジェクトですが、NFTが即完売した実績やコミュニティが活発な様子から、今後もその動向は注目を浴び、参入者が増えていくと思われます。
まとめ
日本発の「Talk to Earn」をコンセプトとしたプロジェクトである「AZITO」について紹介しました。「Move to Earn」で話題となったSTEPNや、ゲームをしながら稼げる「Play to Earn」など、「〇〇 to Earn」は暗号資産やNFTの世界の中でたびたび話題となっていますが、単に「稼ぐ」という目的以外の楽しみや付加価値がなければ、どんなプロジェクトも持続的に発展していくことは難しいでしょう。その点で言えばAZITOは、ユーザー同志のコミュニケーションから生まれるクリエイティブに焦点を置いているので、今後もさまざまな発展と展開が期待できそうです。