ビットコインをはじめとしたパブリック・ブロックチェーンは全てオープンソースであり、誰でもトランザクションの内容や履歴を確認することができます。
そのトランザクション履歴を簡単に検索できるのがブロックチェーン・エクスプローラーであり、暗号資産(仮想通貨)を取引するユーザーには必要不可欠なものです。
この記事では、そもそもブロックチェーン・エクスプローラーとはどういったものなのか?といった基本情報や、イーサリアムブロックチェーンの取引履歴を確認できるEtherscan(イーサスキャン)を例にして、見方・使い方をわかりやすく解説していきます。
記事の後半では、多くのユーザーに利用されているブロックチェーン・エクスプローラーもいくつかご紹介していくので、気になる方はぜひ最後までチェックしていきましょう。
この記事の構成
そもそもブロックチェーン・エクスプローラーとはどういうもの?
まずは、ブロックチェーン・エクスプローラーの基本情報をご紹介していきます。
「いまいちブロックチェーン・エクスプローラーについて理解できていない」という方は、詳しく確認してみてください。
ブロックチェーンのトランザクション履歴などを視覚的に確認できる検索エンジン
ブロックチェーン・エクスプローラーとは、その名前の通りブロックチェーン(分散型台帳)上のトランザクション履歴やウォレットアドレスなどのオンチェーンデータを視覚的に確認できる検索エンジンのことです。
ビットコインをはじめとしたブロックチェーンの取引履歴は全てオープンソース化されており、世界中の誰でも確認できることで知られていますが、その中身を閲覧する際にブロックチェーン・エクスプローラーを利用します。
「自分が送金したビットコインがなかなかウォレットに届かない」といった場合などに、ブロックチェーン・エクスプローラーを利用して取引の進捗状況(ステータス)を確認する、といった使い方が可能です。
また、自分だけでなく他のユーザーのトランザクションも確認できるので、例えば「ハッカーのウォレットを検索し、取引所から流出した暗号資産の行方を追う」といった使い方もできるでしょう。
それぞれのブロックチェーンに対応したエクスプローラーがある
そんなブロックチェーン・エクスプローラーですが、一つの検索エンジン(サイト)で全てのブロックチェーンの取引履歴を確認できるわけではありません。
中には、複数のブロックチェーンに対応した検索エンジンもありますが、基本的にはそれぞれブロックチェーンに対応したエクスプローラーを利用するのが一般的です。
ブロックチェーン・エクスプローラーは様々な種類がありますが、下記に代表的なエクスプローラーをまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
ブロックチェーンの種類 | エクスプローラーの例 |
Bitcoin(ビットコイン) | Blockchain.com |
Ethereum(イーサリアム) | Etherscan |
BNB(バイナンススマートチェーン) | BscScan |
Ripple(リップル) | XRPSCAN |
Polygon(ポリゴン) | polygonscan |
Cardano(カルダノ) | Cardanoscan |
Polkadot(ポルカドット) | polkascan |
Etherscan(イーサスキャン)を例にエクスプローラーの見方・使い方を解説
ここでは、実際にブロックチェーン・エクスプローラーの見方・使い方を詳しくご紹介していきます。
今回は、イーサリアムブロックチェーンを確認できるEtherscan(イーサスキャン)を例に解説しますが、他のエクスプローラーでも使い方は大きく変わりません。
ブロックチェーン・エクスプローラーをより深く理解するためにも、見方・使い方を詳しく確認していきましょう。
ブロックチェーン全体の状況を確認する
まずはEtherscanにアクセスし、ブロックチェーン全体の状況を確認していきます。
アクセスできたら、画面上部にある「Resources」→「Charts & Stats」をクリックしてください。
このページでは、「イーサリアム(ETH)の価格チャート」「トランザクション数の推移」「ガス代の推移」「ノード総数」といった様々な情報をチャートやグラフ形式でチェックすることができます。
イーサリアムブロックチェーンの全体の情報をざっくり把握したい方には、非常に参考になるページと言えるでしょう。
各項目のTop Statistics(上位統計)を確認する
次に、イーサリアムブロックチェーンで大きな取引を行ったウォレットアドレスを確認できるTop Statistics(上位統計)を見ていきましょう。
まずは、画面上部の「Resources」→「Top Statistics」の順番にクリックしてください。
画面上部のタブを「Overview」から「Transactions」に変更すると、取引金額の順番にトークンの送受信が行われたウォレットアドレスを確認することができます。
「現在、イーサリアムではどういった資金移動の流れが起きているのか?」といったことを把握したい場合には、こちらのページを参考にするとよいでしょう。
ウォレットに入っているトークンを確認する
ここでは、Etherscan上で各ウォレットに入っているトークンを確認する方法をチェックしていきましょう。
なお、今回はイーサリアムの共同創設者の一人として有名なVitalik Buterin(ヴィタリック・ブテリン)氏の公開アドレス(vitalik.eth)を例にしてご紹介していきます。
EtherscanでVitalik Buterin氏のウォレットアドレスを表示させたら、まずは赤枠で示したアイコンをクリックします。
画面が切り替わったら、ウォレットに中に入っている暗号資産の種類や数量を確認することができます。
現在、ヴィタリック氏がどういったトークンを保有しているのか気になる方には、面白い情報と言えるでしょう。
画面を下にスクロールすれば、NFTを閲覧することも可能です。
また、ウォレットの中身を確認するだけなら、EtherscanではなくDeBankというサイトも使いやすいことで知られています。
むしろ見やすさならEtherscanよりもDeBankの方が優れているので、気になる方はこの機会にチェックしておいてもよいでしょう。
トランザクション履歴の一覧を確認する
次に、特定のウォレットアドレスで行われたトランザクション履歴を一覧で確認する方法を解説していきます。
先ほどのVitalik Buterin氏のウォレットに戻り、画面を下にスクロールして「Transactions」を確認しましょう。
ここでは、このウォレットで行われたトランザクションを一覧でチェックすることができます。
また、上記画像で示している「CSV Export」をクリックすれば、全ての取引をCSV形式でダウンロードすることも可能です。
過去の取引を振り返りたい場合や、税金の計算を行う際には便利な機能と言えるでしょう。
個別のトランザクションの詳細を確認する
上記は過去の取引を一覧で見る方法ですが、個別のトランザクションの詳細を確認することもできます。
個別のトランザクションを見る場合は、確認したいTxn Hash(トランザクションハッシュ)をクリックしましょう。
もしくは検索窓にTxn Hashを入力し、検索をかけることも可能です。
- Transaction Hash:各トランザクションに振られた固有のID
- Status:トランザクションの状況を示すステータス
- Block:トランザクションが格納されたブロック
- Timestamp:トランザクションが行われた日時
- From:送信元のウォレットアドレス
- To:送信先のウォレットアドレス
- Value:送信したイーサリアム(ETH)の数量
- Transaction Fee:発生したガス代(ネットワーク手数料)の金額
- Gas Price:設定したガス代の単価
- Ether Price:トランザクションが行われた日のイーサリアム(ETH)の終値
個別のトランザクションのページでは、上記の項目を確認することができます。
上記画像のトランザクションを例にすると、
・2022年11月1日に
・「vitalik.eth」から「0x39cf8bb6adf890e1fefd4448db8651fc7cdc1c76」へ
・100ETHが送金された
といった情報を読み取ることができます。
英語が並んでいるので最初は見づらいかもしれませんが、慣れてくるとスムーズにトランザクションの詳細を確認できるようになるでしょう。
インターナルトランザクションの詳細を確認する
インターナルトランザクションとは、自分が行うトランザクションによって実行された、スマートコントラクトの結果として送り返される取引のことです。
簡単な例としては、マーケットプレイスに出品したNFTが購入された際、自動的に自分のウォレットに販売代金のETHが入金されるトランザクションなどが挙げられるでしょう。
これは「NFTが購入された場合、販売代金を指定のウォレットに送金する」というスマートコントラクトが記述されており、インターナルトランザクションとしてブロックチェーンに記録されます。
インターナルトランザクションを確認する場合は、ウォレットのページの「Internal Txns」で見ることができます。
今回は、ヴィタリック氏のウォレットからコロナ対策ファンドに資金が送られたトランザクションを例に見ていきましょう。
インターナルトランザクションを確認する上で注目すべきポイントは、上記の赤枠で示した箇所となっており、ここから「1 ETHがコロナファンドからヴィタリック氏のウォレットに送金された」という情報を読み取ることができます。
全体のトランザクションを総合して見ると、以下のような資金の動きを確認することができます。
・「vitalik.eth」が「0xd8da6bf26964af9d7eed9e03e53415d37aa96045」へ 0 ETHを送金する
・0 ETHを送金したことで、記述されたスマートコントラクトが実行される
・「0xd8da6bf26964af9d7eed9e03e53415d37aa96045」から「vitalik.eth」へ 1 ETHが送金される
つまり、「ヴィタリック氏が 0 ETHをコロナファンドに送金したことでスマートコントラクトが実行され、反対にコロナファンドからヴィタリック氏へ 1 ETHが送金された」というインターナルトランザクションが行われたことがわかります。
今回はあくまで一例ですが、インターナルトランザクションは様々な場面で行われているため、確認方法を覚えておいて損はないでしょう。
トークンの基本情報を確認する
最後に、イーサリアム上で発行されている「ERC-20」や「ERC-721」のトークンの基本情報を確認する方法を見ていきましょう。
トークンの基本情報を確認する際は、画面上部にある「Tokens」から該当するトークンの種類を選択しましょう。
もしくは、トークン名やコントラクトアドレスを検索窓に入力して、検索をかけることもできます。
トークンの詳細ページでは、「現在の価格」「時価総額」「トークン保有者数」などの基本情報をチェックすることができます。
また、検索したトークンに限定した資金移動も確認できるため、クジラと呼ばれる大口保有者の動きなども把握しやすいでしょう。
便利で使いやすいおすすめのブロックチェーン・エクスプローラー5選
記事の最後に、便利で使いやすいブロックチェーン・エクスプローラーを以下の5つに厳選してご紹介していきます。
- Blockchain.com
- CoinMarketCap | Blockchain Explorer
- BLOCKCHAIR
- Etherscan
- BscScan
Blockchain.com
Blockchain.comは、世界で最も有名なビットコインのブロックチェーン・エクスプローラーとして知られている検索エンジンです。
非常にシンプルかつ使いやすいUIとなっており、ビットコイン以外にもイーサリアムやビットコインキャッシュのブロックチェーンに対応しています。
また、ブロックチェーンに関する知識を学べるページが用意されていたり、NFTの出来高ランキングもチェックできるなど、エクスプローラー以外の機能も充実している特徴を持っています。
CoinMarketCap | Blockchain Explorer
世界で最も有名な暗号資産の価格追跡サイト「CoinMarketCap」では、ブロックチェーンのトランザクションを確認できるBlockchain Explorerが提供されています。
ビットコイン・イーサリアム・ライトコイン・バイナンススマートチェーンの4つのパブリックチェーンに対応しており、必要な機能以外は削ぎ落としたシンプルなUIが特徴です。
「とにかくシンプルなブロックチェーン・エクスプローラーを使いたい」という方には、非常におすすめできるサイトと言えるでしょう。
BLOCKCHAIR
BLOCKCHAIRは、複数のブロックチェーンに対応している、世界的にも人気が高いエクスプローラーです。
2022年11月現在、ビットコインやイーサリアム、リップルなど合計18種類のブロックチェーンに対応しており、BLOCKCHAIRだけで様々なオンチェーンデータにアクセスすることができます。
また、ユーザーのプライバシー保護を最優先としており、サイトを利用したユーザーの個人情報が集取される心配もないため、安心して利用することができるでしょう。
Etherscan
Etherscanは、イーサリアムブロックチェーンのエクスプローラーとしては最も有名な検索エンジンです。
2015年に設立されたブロックチェーン・エクスプローラーであり、イーサリアム(ETH)のトランザクションだけでなく、ERC-20、ERC-721トークンの取引履歴なども確認することができます。
先ほど見方・使い方でもご紹介したように、比較的シンプルなサイト設計になっているので、初心者の方でも慣れればスムーズに使いこなすことができるでしょう。
BscScan
BscScanは、BNB(バイナンススマートチェーン)に特化したブロックチェーン・エクスプローラーです。
先ほどのEtherscanと同じ開発チームによって作られており、バイナンススマートチェーン上の取引履歴やウォレットアドレスなどのオンチェーンデータを簡単に検索することができます。
今後、バイナンススマートチェーン上のオンチェーンデータを確認する際には、多くの利用機会がある検索エンジンでしょう。
ブロックチェーン・エクスプローラーの見方・使い方まとめ
今回は、ブロックチェーンのトランザクション履歴などを確認できるブロックチェーン・エクスプローラーの見方・使い方などを解説してきました。
Etherscan(イーサスキャン)を例にして解説したように、ブロックチェーン・エクスプローラーを使うのはそこまで難しくありませんが、慣れるまでに少し時間がかかるかもしれません。
しかし、使いこなせるようになれば、ブロックチェーンの透明性の高さをより理解することができるでしょう。
ぜひこの機会にブロックチェーン・エクスプローラーを活用し、ブロックチェーンへの理解を深めてみてはいかがでしょうか?