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「NFT×Game」で収益化を目指す「Singularity 0 Universe」とは?

解説系記事

日本発のNFTプロジェクト「Singularity 0 Universe」が話題となっており、ディスコードなどのコミュニティに人が集結し始めています。

引用元:Twitter

NFTアートとしてはケレン味があって「厨二心をくすぐる」タイプのもので、日本人のNFTファンが重視する傾向のある「カッコいいデザイン」に仕上がっています。

NFTコレクションとしても楽しめるものですが、「Play to Earn」の要素もあり、今後注目すべきプロジェクトです。2022年9月、東京渋谷で「NFTクリエイターやコレクター、すべてのNFTを楽しむ人」に向けて開催されたイベント「NFT ART TOKYO」にも参加しており、国内でも有数のコレクションへとすでに成長しています。

引用元:Shibuya Culture Scramble

そこで、この記事ではSingularity 0 Universeの概要やゲーム要素、今後の期待について解説します。

Singularity 0 Universeの概要

「Singularity 0 Universe」は熱狂的なファンを獲得しているNFTコレクションです。プロジェクトの内容を詳細に見ていくと、カッコいいデザイン・アニメっぽいストーリー設定・仲間内で楽しめる構造など「今の日本のNFTファンが求めているもの」をしっかりと提供していることが分かります。

ここではSingularity 0 Universeの概要を解説していきます。

あらかじめ「ストーリー」が絶妙な塩梅で設定されている

Singularity 0 Universeには「緻密すぎず、かといってホルダーに投げっぱなしでもない」という絶妙なラインのストーリー設定があります。

Singularity 0 Universeのストーリー要約

  • 世界は3つの種族に分かれて宇宙都市の王座をかけて争っている
  • 3つの種族はそれぞれ「Anthro(獣人)」「Ankoku(暗黒)」「Human(人間)」と設定されている
  • 3つの種族のなかにはランクと属性が存在する
  • 種族にレアキャラとして「異端者」「暗殺者」「反逆者」がいて、覇権争いに大きな影響を持っている

3つの種族
「Anthro」

引用元:OpenSea

野獣のような「牙」を持っているデザインが特徴です。かつて「Human排除戦争」という混乱の時期があり、それに乗じて廃都市「リップル」に隔離されていたAnthroの鎖が解き放たれたという設定になっています。

「Ankoku」

引用元:Twitter

仮面をかぶっているデザインになっているキャラです。かつてHumanから軽蔑されて宇宙の闇都市「アクシー」に追放されていたところ、異端者たちが誕生して争いが始まったため、それに乗じて復讐を企てるという設定になっています。

「Human」

引用元:Twitter

アクションアニメに出てくるようなデザインになっている騎士団キャラです。自分たちが正義であると信じ、宇宙都市の秩序を守っていたところに革命を企てる集団が現れてAnthroとAnkokuを巻き込んだ宇宙戦争が始まるという設定です。

アニメのダークファンタジー的な設定となっています。3つの種族はそれぞれNFTアートとして3,333体が発行されることになっています。

力強いデザイン性が売り

日本のNFTファンのなかには「デザインがカッコいいから買う」という人が数多くいるのが現実。マンガやアニメに親しんでいて、毎日TwitterやInstagramにアクセスして情報を収集している「オタク」層にかなり近い人たちです。

Singularity 0 Universeは「とにかく格好いい!」「デザインがいい」という理由で購入している人が多くいます。オタク層の心を震わせる「中二病っぽいデザイン」には巧みな戦略を感じられます。

引用元:OpenSea

キャラクターアートを手掛けたのは日本人NFTアーティストを代表するひとりである「daichi」氏です。OpenSeaやfoundationなどでNFT作品を発表しており、日本人好みの「クールでカッコいいキャラクター」を描くことが得意です。

引用元:foundation

鋭い視線と引き締まった輪郭線で描かれるキャラクターからは「痛みを伴う青春を生きる若者」が感じられ、今までの日本のアニメやマンガが育ててきた感性が詰め込まれています。

daichi氏による力強いデザイン性は高く評価されており、アート的にも注目されています。

引用元:Twitter

また、日本の強みを活かすために日本人クリエイターとのコラボも行っています。第一弾はグラフィックデザイナーとして活躍する日本人アーティストの「RK」氏です。

RK氏は2021年にはfoundationで週間取引量世界第1位になるなど気鋭のアーティストとして高い評価を受けています。ダイナミックな構図の風景作品の多くがInstagramでシェアされています。

引用元:rkrkrk.tokyo

Singularity 0 Universeではdaichi氏が描くキャラクターの背景にRK氏の写真が融合されたRKモデルがリリースされています。

引用元:OpenSea

この他、世界中で個展を開催して作品が即日完売するほどの人気を博している日本人グラフィックアーティストの「小川亮」氏も、背景画のコラボに参加しています。

目を引く背景に力強いデザインのキャラクターが描かれる作品はNFTアートとして高いレベルの完成度があります。

「熱狂できるコミュニティを作る」という哲学を持っている

Singularity 0 Universeのディスコードには「Singularity 0 Universeの哲学」の記載があります。

Singularity 0 Universeの哲学

  • 熱が伝播する作品だけを作る
  • NFTで新時代の生き方、楽しみ方を伝える
  • 毎日参加したくなる、熱狂できるコミュニティを作る

「今のNFTマーケットで、人気が継続しているプロジェクトは少数です」という説明から始まる「哲学」には、「mint(新規発行)して終わり」「プロジェクトに動きがない」「流動性を失って単に衰退に任せるだけのプロジェクトが多い」ことへの危機感を持っていることが現れています。

参加しているホルダーが「持っていて良かった」と思えるよう、継続的にプロモーションをしてプロジェクトの知名度をあげていくことを宣言しています。

また、NFTの価格を上げるためのプロジェクトではなく、作品を通して世界観を共有し「熱が伝わる作品を作る」ことをミッションとしています。作品の展開やコミュニティでの活動を通して「NFTの楽しさ」「美術品としてNFTの価値を向上させる」といったことを目標として掲げています。

今後はコラボレーションだけでなく、他企業や他のプロジェクトとのパートナーシップも予定されていると語られています。

実際にディスコードのコミュニティには活発な発言が寄せられており、充分な人数のファン層が形成されていることが感じられます。

NFTのプロジェクトのディスコードは英語主体ですが、Singularity 0 Universeでは日本語だけで発信・発言できるようになっており、この点でも「日本のファンを増やしてコミュニティを活性化したい」という想いが伝わってきます。

収益性のあるコレクション

Singularity 0 Universeが人気があるコレクションになっている要因のひとつが「ホルダーに収益をもたらす」という点です。

通常のNFTコレクションなら、「ホワイトリストで先行予約して、minはできるだけレアキャラやレアアイテムを入手し売却するという形で収益を得る」というのが良くあるパターンで、NFTを投資案件とするならこの手法を使っている人がほとんどでしょう。

Singularity 0 Universeでも二次流通による収益はもたらされますが、「長く保有して自分たちのファンになってほしい」という想いから、ホルダーに収益という形で還元する仕組みになっています。

収益の原資となるのは主にゲームですが、今までのNFTコレクションから学んでいるのか、巧みなシステムが構築されています。

ここではSingularity 0 Universeの収益システムを解説します。

ゲームのシステム

引用元:s0u.io

Singularity 0 UniverseにはNFTを使用してホルダー同士やチーム同士でのバトルが可能になるというもので、「Play to earn」の要素が組み込まれています。「Human」「Anthro」「Ankoku」の3つの種族が宇宙都市の王座をかけて争い、王座を獲得した種族がデポジットされたイーサリアムを総取りするというものです。

保有しているNFTは保有期間に応じてレベルが上がる仕組みになっており、それにより売却するユーザーが減って「売り圧力」がかからなくなります。それにより、NFTコレクションそのものの価値が上がることが期待されます。

3つの種族にはレアキャラとして「異端者」「暗殺者」「反逆者」がいて、王座奪還のために大きな影響を与えるとされています。種族ごとにランクや属性があり、「秘密を握っているキャラ」を3つ持っている人だけが購入できるコレクションも存在します。

3種族の争いによって王座を獲得した種族に対して「デポジットされたイーサリアム」が配布されます。デポジットの原資は「ファーストシーズンのNFTの二次流通の収益」となります。二次流通で100ETHの収益があり、仮に10%配布なら王座についた種族を保有しているユーザーに10ETHが分配されます。

保有しているだけで3分の1の確率でイーサリアムが手に入るというのは画期的といえ、3種族とも保有していれば確実に収益につながることは特筆すべきでしょう。

個体ごとの強さと属性が存在する

Singularity 0 UniverseのNFTゲームは2022年12月現在ではまだ詳細は発表されていませんが、以下の内容が発表されています。

  • NFTの保有期間によって個体の強さが変わる
  • それぞれのNFTには属性がある
  • NFTには「レア度」が設定されている

NFTの保有期間と個体の強さの関係はSingularity 0 Universeのゲームで重要な部分です。多くのNFTゲームでは「まずキャラをmintする」「そのキャラを売って稼ぐ」という方式で利益を得ることができます。キャラをmixさせて強くさせるという方式を採っているNFTゲームもあります。

しかし、このゲームでは長く保有するほどキャラは強くなります。公式にも「購入したばかりの個体と1ヶ月間保有した個体ではHPの数値に大きな差が出る」と発表されています。

キャラの属性ですが、個体ごとに「火属性」「水属性」などが設定され、得意分野と苦手分野があります。そのため、単に強い個体がバトルで勝利しやすいというわけではありません。属性を考えたチームワークを重視するゲームになると推測されます。

各種族のNFTにはレア度が設定されます。「王」「女王」などの階級などの設定が用意されています。王・女王は各種族で「1体のみ」となることが公式のツイッターで発表されています。

引用元:Twitter

トークンには3つのユーティリティがある

Singularity 0 Universeでは保有者対象にトークンを配布します。基本的には初期に参加したユーザー、つまり新規発行(mint)でNFTを購入した人となります。mintした人に対して「エアドロップ(無料配布)」という形でトークンが配布されます。

エアドロップ対象者

  • Anthro・Human・Ankokuをmintした人
  • 「S 0 U OG Card」を二次流通で購入してAnkokuをmintした人

トークンは「S0U」という単位(「0」は半角数字のゼロ)で、条件により10,000S0U~60,000S0Uまで配布されます。

トークンは基本的にSingularity 0 Universe内の通貨として用いられます。ゲームでは「その世界のなかで武具や薬草などのアイテムを買うためのコイン」が存在するものが多くあります。S0Uもほぼ同様のものですが、いくつか独自の用途があります。

S0Uトークンの利用方法

  • S0UのNFTマーケットでの基軸通貨
  • ゲーム内でのアイテムなどの購入
  • ステーキング

Singularity 0 UniverseではOpenSeaとは別のマーケットプレイスを整備する予定で、そこでは育てたキャラクターやアイテムの売買が可能になります。

他のゲームと同様に、「キャラクターが新しい技を覚える」「ゲーム内のアイテムを購入する」などの用途もあります。対戦を一定以上達成すると10,000トークン獲得など、ゲームをするほどトークンをもらえる仕組みにもなっています。

また、トークンをステーキングで貯められる機能も実装されます。NFTをステーキングすることによってS0Uが貯まります。

Singularity 0 Universeのコンテンツ展開と今後の期待

Singularity 0 Universeは、オタク層が好むカッコいいデザイン・ゲーム要素・収益性などがバランス良く配合されたNFTプロジェクトです。

3つの種族のNFTコレクションのうち、2022年11月現在で2種族の計6,666体が発行されていますが、どちらも完売するほどの人気を獲得しています。オーナー数・総取引量は「Anthro」で1,015人・154ETH、「Human」が497人・46ETHで、プロジェクトとしては成功の部類です。

プロジェクトは順調に進んでおり、今後も様々に展開される予定です。ここでは、今までのSingularity 0 Universeのコンテンツ展開と今後に期待される活動について解説します。

コミュニティ発案の月刊誌が出ている

Singularity 0 Universeでは有志メンバーによって「月刊誌」が発行されています。『月刊S0U』と名付けられた雑誌は、NFTホルダーでなくともAmazonなどの通販サイトで購入可能です。プロジェクトの順調さやコミュニティの充実ぶりを示していると言えます。

引用元:EARTH CRPTO Blog

ユーザーによって形成する「DAO」でPDF資料作成コンテストを行ったところ、あるメンバーが月刊誌を創刊したらどうかと提案。ちょうどメインクリエイターの「daichi」氏も以前から構想していたことから始まったもので、表紙は『月刊S0U』のためだけにdaichi氏が描き下ろしています。

『月刊S0U』は、「Singularity 0 Universeに新たに参加したメンバーにプロジェクトの内容をよりよく理解してもらう」ことが目的です。公式では様々なアーティストやクリエイターとコラボしますが、その経緯などについて解説しています。

また、S0Uはディスコードのコミュニティが活発であるため、メンバーがプロジェクトを楽しんでいる様子やコミュニティの活動の紹介、メンバー発案による記事などが掲載されています。

今までも「世界観のあるNFTコレクション」「コミュニティが盛り上がっているNFTプロジェクト」は数多くありました。なかでも、コミュニティ発案による月刊誌を出しているのはSingularity 0 Universeだけと言ってもよく、プロジェクトの充実が分かります。

大手レーベルとの音楽コラボが実現

2022年7月から、Singularity 0 Universeは日本の大手エンタテインメント企業エイベックスの子会社「エイベックス・クリエイティブ・ファクトリー株式会社」と協力して、NFTにオリジナルの音源を付与した「Music NFT」を発行しています。

引用元:OpenSea

音源は新たにSingularity 0 Universeの世界観を表現するために書き下ろされた楽曲で、倖田來未や東方神起などに楽曲提供してきたキーボードプレイヤーの「鈴木大輔」氏が手掛けています。

楽曲の一部はYoutubeでも公開されており、実際に聴くことが可能です。

引用元:Youtube

S0Uのメインクリエイターであるdaichi氏が描いたHumanのコレクションとともに鈴木大輔氏が制作した楽曲がブロックチェーン上に刻まれています。

曲調はボカロなどに聞き慣れた人に耳馴染みの良いもので、Singularity 0 Universeがこの世代向けであることが分かります。

アーティストとのコラボNFTを発行

フォトグラファーの「RK」氏はSingularity 0 Universeのチームメンバーとして加わっており、S0U内に存在する3つの種族のそれぞれ「101体」ずつにRK氏が撮影した写真を背景にしたモデルが存在し、「RKモデル」と呼ばれています。

全部で303体しかないので高い希少性があります。リアルな現実世界の背景とdaichi氏が表現する大胆なデザインのキャラクターが融合したNFTは既存のNFTコレクションにはない魅力が感じられます。

引用元:EARTH CRPTO Blog

写真だけでなく絵画背景でもコラボが実現しており、ステンシル(型紙)アートで数多くのグループ展で作品を発表している「Roamcouch(ロームカウチ)」氏ともコラボしています。

Singularity 0 Universeの運営は「日本最高のクリエイティブを集めて世界に日本のコンテンツを伝えたい」という想いがあり、今後も多数のアーティストとのコラボを予定しています。

NFTコレクターから「注目すべきプロジェクト」とみなされている

Singularity 0 Universeはリリース前からすでに注目されていたプロジェクトで、NFTが発行されてからも「これから来るコレクション」として話題にしばしばのぼっています。

引用元:Twitter

引用元:Twitter

daichi氏などを始めとする日本のトップレベルのクリエイターが参加していることや、有名アーティストとのコラボ、Twitterのフォロワー数の多さなどが注目される要因とされています。

コミュニティで月刊誌を発刊したり、自然発生的にDAOが立ち上がったりするなどユーザー同士の連携による活動も活発です。今後はゲームの「シーズン1」が始まったり、アニメのプロジェクトも開始するなど幅広い分野での活動を予定しています。

まとめ

注目のNFTプロジェクト「Singularity 0 Universe」について紹介しました。

最後にこの記事をまとめます。

  • Singularity 0 Universeには「3つの種族が王座をかけて争う」というストーリーの設定がある
  • 今のNFTファンが好む絵柄になっている
  • 熱狂できるコミュニティを作るという哲学があり、実際に活発な活動を行っている
  • ゲーム要素があり、ホルダーに収益が生まれる設定になっている
  • コミュニティ発案の月刊誌を発行するなど今までのNFTプロジェクトにはない積極的な展開がある

Singularity 0 Universeには「今の日本でのNFTプロジェクトで成功する」ための必要な要素がたくさん詰まっています。実際にNFTを購入するかは個人の好みですが、プロジェクトの推移を見守ることは無駄にはならないでしょう。

Spritz

Spritz

Web3領域を専門とするライター。DeFiやNFT分野への投資経験をもとに、クリプトに関する記事を発信しています。これまでに執筆した暗号資産に関する記事は70本以上。特に関心の強い分野は、セキュリティトークンです。ブロックチェーンによってもたらされる社会変革に焦点を当て、初心者にもわかりやすい記事を心がけています。
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