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Polygonとは?レイヤー2スケーリングソリューション代表格の機能について解説

解説系記事

Polygon(ポリゴン)はイーサリアムブロックチェーン向けのレイヤー2スケーリングソリューションです。

イーサリアムはアプリケーション開発などで最も幅広く利用されているブロックチェーンですが、その人気ゆえにネットワーク上での取引量増大に伴う処理の遅延やガス代の高騰といったマイナスの側面も持っています。

このようなイーサリアムの課題を解決するためにレイヤー2と呼ばれるネットワークの開発が進んでおり、その筆頭とも呼べるのが本記事で紹介するPolygonです。

この記事では、Polygonが生まれた背景にあるイーサリアムが抱える問題点も含め、Polygonの基本的な機能や活用されているプロジェクトについて解説します。

Polygonとは

引用元:Polygon

Polygonはイーサリアムのレイヤー2スケーリングソリューションとして、より速いトランザクション処理と低コストを実現するために誕生しました。

ネイティブトークンはMATIC(マティック)と呼ばれ、日本国内の暗号資産(仮想通貨)取引所でも取扱いを開始するところが現れています。

まずはPolygonが生まれた背景について見ていきます。

イーサリアムの課題

イーサリアムはdApps(分散型アプリケーション)の開発ができるプラットフォームとしては世界で最も幅広く利用されています。

NFTマーケットプレイスやPlay to Earnの機能を有したブロックチェーンゲーム、あるいはDeFi(分散型金融)のエコシステムに至るまで、様々なサービスがイーサリアム上で開発されています。

このためイーサリアムのブロックチェーンでは多くの取引が発生するようになり、その結果、処理の遅延や取引手数料にあたるガス代の高騰を招いています。

昨今、イーサリアムのNFTを購入した経験がある人は増えていますが、そのような人の中には「数百円のNFTを買うのに1,000円以上のガス代を支払った」というように、売買をするアセットそのものよりも高額なガス代を払ったことがある人も少なくないでしょう。

イーサリアムもこの課題を解決するために開発を進めていますが、現状では少額の取引、あるいは高頻度で取引をすること自体が高コストな行為となってしまっています。

そこで誕生したのが、Polygonをはじめとするレイヤー2と呼ばれる技術です。

イーサリアムのレイヤー2ソリューション

レイヤー2は、メインチェーンであるイーサリアムのパフォーマンスを向上させるために存在しています。Polygonもその一種です。

レイヤー2の役割を一言で表現するならば「イーサリアム上の取引の一部をレイヤー2のPolygon上で実行し、イーサリアムの負担を軽減すること」であると言えます。

これにより処理速度を上げ、手数料を下げることができます。

メインチェーンの負担軽減以外にもレイヤー2には有用性があります。

メインチェーンでのシステム変更はレイヤー2に影響を及ぼしますが、逆にレイヤー2に加えられた変更は、メインチェーンが許可しない限りその影響はメインチェーンに及びません。

したがってシステム変更などを検討する際は、メインチェーンに影響を及ぼすことなくレイヤー2上で実験を行うことができます。

ネイティブトークンMATICについて

Polygonには独自のトークンとしてMATICが存在します。

元々はPolygonというプロジェクト自体が「MATIC Network」という名称でローンチしましたが、2021年2月にプロジェクト名をPolygonに変更してからは、トークンの名前として残っています。

MATICはPolygonネットワークでの手数料の支払い、ステーキング、Polygonの変更に投票できるガバナンストークンとしての役割などを担っています。

Polygonの機能面について

引用元:Polygon

ここからは、Polygonの具体的な機能や性能について見ていきます。

特に数値面ではイーサリアムと比較することで、Polygonの「高速処理・低コスト」という特徴が理解できるはずです。

トランザクション処理速度とガス代

Polygonの強みの1つが、高速なトランザクションの処理です。

具体的な数値で見ると、イーサリアムのトランザクション処理数が1秒あたり15件程度であるのに対し、Polygonが処理できる件数は1秒あたり約65,000件とされています。

これに加えて取引手数料(ガス代)が非常に低く抑えられているのも特徴です。

イーサリアムでの取引は1取引あたり数百円、時には1,000円以上のコストがかかることもあるのに対し、Polygon上の取引でかかるコストは0.01ドルにも満たないとされています。

処理速度が速くコストも低いことから、Polygonはブロックチェーンゲームのアセットの売買やDeFiの取引に向いているとされています。

NFTのアート作品を購入するケースに比べると、ゲーム内アイテムの売買やDeFiでの資金移動は、取引の頻度が増える傾向にあります。

取引件数が増えるほど毎回の取引にかかるガス代はユーザーの負担として重くのしかかりますが、Polygonではそのガス代がそもそも低く抑えられているため、ユーザーにとって金銭的負担が少ないサービスを構築することができます。

コンセンサス・アルゴリズムはPoS

Polygonでは、チェーン上での取引の承認方法としてProof of Stake(PoS)を採用しています。

投資家は保有しているMATICをステーキングすることでPolygonのエコシステムに参加し、ステーキング報酬を得ることができます。

また、MATICをステーキングしてエコシステムに参加する際の方法として、以下の2つがある点も特徴的だと言えるでしょう。

バリデーターとしての参加
デリゲーターとしての参加

バリデーターは新しく発生した取引を検証し、ブロックチェーンに追加する代わりに手数料や新しく作成されたMATICの一部を受け取ることができます。

バリデーターになるには、フルタイムで稼働できるノード(ブロックチェーンのネットワークに参加しているコンピューターの端末)を用意し、自分のMATICをステーキングする必要があります。

一方、デリゲーターとしてエコシステムに参加する場合は、信頼できるバリデーターを介して間接的にMATICをステーキングします。

ネットワークへのコミットの度合いはバリデーターよりも低いため、受け取る報酬も相応のものとなります。

Polygonを活用しているプロジェクト

引用元:OpenSea

高速処理・低コストが強みであるPolygonは、すでに様々な方面で活用されています。

ここからは実際にPolygonが利用されているサービスの中から、代表的なものを紹介します。

Sushiswap

Sushiswapは複数のブロックチェーン上で稼働しているDEX(分散型取引所)です。

元々、UniswapというDeFiプロトコルから派生したプロジェクトですが、現在はUniswapと異なる方向性でアップデートが進められ、その中で2021年5月にPolygonにも対応しました。

Sushiswapにおいても、Polygonとイーサリアムは互換性を保ったまま利用できるようになっています。

Aave

Aaveは暗号資産の貸し借り(レンディング)ができる分散型プラットフォームです。

貸し手と借り手を直接マッチングするのではなく、両者の間に資金のプールを作って仲介・マッチングする仕組みになっています。

Aaveで資金を借りて運用をする場合、イーサリアムで運用しようとするとガス代が高くなってしまい、それにより運用益が大きく削られてしまいます。

一方、Polygonで運用すればガス代が低く抑えられるため、より高い収益を得る運用が可能になります。

Curve Finance

ステーブルコインの取引を効率的に行えるように設計されたDEXです。

こちらもイーサリアムチェーンから誕生したプロトコルですが、現在はPolygonにも接続しています。

他のプロジェクトよりも有利な条件でステーブルコインのスワップができたり、低い手数料で取引できることが魅力のプロジェクトです。

OpenSea

世界最大規模を誇るNFTマーケットプレイスです。

資産性の高いNFTアート作品はイーサリアムで取引されるケースが多いですが、ゲームアイテムのように頻繁に取引を繰り返すもの、あるいはメインのNFTコレクションの廉価版として作品点数を多くして発行する場合などはPolygonが用いられることがよくあります。

HEXA

HEXAは、インフルエンサーが自分の作品やツイートをNFT化してファンに販売することで、ファンとのつながりを深めることができるサービスです。

サービス開始当初はイーサリアムのNFTしか取扱いがありませんでしたが、現在はPolygon上でもNFTを発行できる機能がリリースされています。

Polygon(MATIC)を取り扱っている暗号資産取引所

かつてMATICを購入する際は海外の取引所を使う必要がありましたが、最近になって国内でもMATICを扱う取引所が増え始めました。

ここでは国内外の暗号資産取引所でMATICを取り扱っているところを紹介します。

主な国内取引所

2023年1月現在、国内でMATICを取り扱っている暗号資産取引所は以下の通りです。

  • bitFlyer
  • SBI VC トレード
  • bitbank
  • Coinbase Japan
  • BITPoint
  • DMM Bitcoin

このうち、Polygon上で発行されたネイティブトークンとしての取扱いがあるのは、SBI VC トレードとBITPointの2社です。

それ以外の4社はイーサリアム上で発行されたERC-20規格トークンとしての取扱いになっています。

主な海外取引所

国内取引所に比べ、海外ではMATICを取り扱っている取引所は多数あります。

代表的な取引所を以下に列挙します。

  • Binance
  • KuCoin
  • Kraken
  • Coinbase Exchange
  • Bybit
  • Huobi

上記以外に、各種DEXでも取扱いがあります。

ご自身の利用目的に応じて、取引所を選んで利用してみてください。

Polygonの今後の展望まとめ

Polygonはイーサリアムが課題とする取引速度、取引手数料の問題を解決しうるレイヤー2のスケーリングソリューションです。

すでにDeFiやNFTなど様々な領域で利用が進んでおり、今後もますますPolygon、およびMATICトークンの名前を見かける機会は増えるでしょう。

国内の暗号資産取引所での取扱いも増加傾向にあり、より身近に感じられる銘柄となるはずです。

暗号資産の運用やNFTの売買に興味をお持ちの方は、ぜひPolygonについて学習を深め、いつでも利用できるようにしておきましょう。

Sparrow

Sparrow

フリーランスのWebライター。ブロックチェーンの非中央集権的な世界観に惚れ込み、暗号資産・NFT・メタバースなどのWeb3領域に絞って記事を執筆。自らの暗号資産投資やNFT売買の経験をもとに、難しいと思われがちなブロックチェーンについて、初心者にもわかりやすい記事を書くことを心がけています。好きなNFTクリエイターは「おにぎりまん」氏。
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