(引用元:https://metagri-labo.com/#Metagri-labo)
過疎化が進む地方にはその土地ならではの貴重な農産物がたくさん存在しています。
Metagri研究所はそのような貴重な農産物にNFT技術を導入し、農業の普及と地方創生を目指す取り組みを行っています。
今回はMetgri研究所が取り組む「農業とNFT」「地方創生とNFT」について解説していきます。
この記事の構成
Metagri研究所とは
2022年3月、農業とブロックチェーンを組み合わせた様々な事業モデルを実証するために、運営会社である農場人が発足させたコミュニティです。
「成功や失敗を問わず、毎日のように生み出されるビジネスアイデアを具体的なプロジェクトとしてスタートさせる」ことをコンセプトに掲げてスタートしました。
スタートの時のメンバーはたった5名でしたが、2023年1月現在では350名を超えるメンバーが参加するほど大きくなり、更にメンバーは増え続けています。
通常、農産物の購入は顔の見えない農家から購入しますが、コミュニティに参加すると、信頼できる農家から継続的に購入することも可能になります。
また、Metagri研究所では「Web3」社会の到来に備え様々な試みを行っておりますので、ここからはWeb3への取り組みについて紹介していきます。
MetagriDAO
農業における様々な情報やノウハウはオープン化されることは少なく、秘匿情報として扱われることが一般的です。
しかし、これから到来するWeb3の社会を見越し、オープンな形で情報共有しながら、農家全体で農業における課題解決を行う必要があると考えMetgriDAOを立ち上げました。
MetgriDAOでは「まずは小さく始めてみる」をモットーに掲げ、可能な限りノウハウを共有しあい、理想的な農業モデルを作りあげながら農家の支援につなげていくことを目標にしています。
誰でも自由に参加することができ、現在のメンバーは農家の他、会社員や学生、福祉事業社や医療従事者など、様々なジャンルの方々が参加しており、Discordにて活発なディスカッションが行われています。
そして2024年には「FarmFi(農業×DeFi)構想」をもとにした、農業と金融の新しいシステムの構築を目指しています。
FarmFi構想が実現した未来には「あなたも、わたしも美味しくて安心して食べられる農作物を安定的に得られる社会」が実現していることを確信しながら進めていくとしています。
(引用元:https://metagri-labo.com/)
農業メタバース
Metagri研究所では「農業メタマルシェ」と命名した農業メタバース構想があります。
そのコンセプトとしては
- メタバース上でアバターを立てて広告を発信する
- メタバース上で農地情報を登録し、ワンクリックで目的の農家のもとに移動できる
以上のようなことを掲げており、既に少しづつ動いています。
その第一弾として、cluster(クラスター)というメタバースプラットフォームを使用して農業メタバース空間を立ち上げました。
(引用元:https://metagri-labo.com/metagri-nft/)
このメタバース内では生産者との協働プロジェクトエリアを制作しており以下のようなコンテンツが展示されています。
- 熊本県、しまだスイカ農園のプロジェクトエリアでNFTやスイカの育成過程などを展示
(引用元:https://metagri-labo.com/metagri-nft/) - 熊本県のトマト農家である梶原耕藝のプロジェクトエリアにて苗のネームプレートNFTを展示
(引用元:https://metagri-labo.com/metagri-nft/)
MetaゴリFM
毎週火・金曜日、AM8:00〜8:30の30分間、「DJゴリ」によるMetagriの活動を中心としたホットな情報や話題を毎回提供しているラジオ番組も行っています。
放送はstand.fmにて行われており、アプリをダウンロードしてスマホなどで視聴することが可能で、農家の方だけでなく、会社員や学生からも人気を集めている番組のようです。
(引用元:https://stand.fm/channels/5fe913eb1f63b1cf685bf802)
METAGRI LABORATORとMetagri出版
Metagri研究所では、セミナーの開催や書籍の発刊を行うなど、様々な形で農業支援の取り組みを行っています。
2022年には以下のセミナーやイベントを開催しました。
- 2022年11月23日:運営会社である農場人とラジオDJのゴリ氏による「日本発NFT×牡蠣メニュー試食イベント」の開催
- 2022年11月23日:NFT実践講座「web3社会における地方創生の可能性とは」の開催
出版物は以下の書籍が販売されています。
(引用元:https://metagri-labo.com/)
農業支援活動
農業生産者を支援する目的として、Metagri研究所と生産者が協働してNFTを発行するプロジェクトを立ち上げました。
NFTの購入者へは主に以下のようなものが特典として付与されます。
- 新たな農産物の優先購入権
- Metagri研究所内での新たな農業実験企画やメタバース空間であるメタマルシェへの参加権
- Metagri研究所が販売するNFTの先行案内
- 農業メタバース空間でのMLSCホルダー名の使用とアイコンの展示
スイカNFTプロジェクト
協働プロジェクトの第1弾として、2022年4月に熊本県の「しまだスイカ農園」と共同で、ジェネラティブNFTである「MetagriLabo Suica Collection(略称:MLSC)」を20体限定で発行した「スイカNFTプロジェクト」が行われました。
(引用元:https://metagri-labo.com/)
NFT購入者には実際にスイカが届けられた他、MLSCホルダー限定のコミュニティチャンネルが開設され、その中で直接生産者と意見交換ができ、より深い交流が可能になりました。
実際にNFTの購入者から以下のような意見が届いています。
(引用元:http://metagri-labo.com/shimada-suika/)
このプロジェクトは先述した農業メタバースである「農業メタマルシェ」にも展示されており、NFTの他にスイカの成長過程なども見ることができます。
苺いち絵(一期一会)プロジェクト
農業支援活動は既に第4弾まで実施されており、2023年1月14日に第5弾の取り組みとして「苺いち絵(一期一会)プロジェクトの始動を発表しました。
(引用元:https://metagri-labo.com/mlic/)
熊本県のいちご農園「なかはた農園」とのコラボレーション企画で、いちごをモチーフにしたNFT「MetagriLabo Ichigo Collection(MLIC)」を発行します。
いちご生産者「なかはた農園」の価値を高め、「地域に支えられた農業」から「地域を支えていく事業」を目指します。
「地方創生×NFT」の取り組み
昨今NFTの活用が様々な方面で実証されている中で、NFTによる町おこしを実現する取り組みをスタートさせました。
NFTと地方創生は相性が良いと考え、人口減少などに悩む地方自治体においてNFTのようなデジタル技術を活用した「NFT×地方創生」に取り組み、地域活性化を実現させることを目指します。
ナカジマみかんNFTプロジェクト
地方創生×NFTの取り組み第1弾として、愛媛県デジタル実装加速化プロジェクトである「トライアングルエヒメ」による、愛媛県松山沖に浮かぶ「中島」の地域資源を守る取り組みに、Metagri研究所として参加することになりました。
この取り組みは「DX活用で中島と世界をむすぶ実行委員会」により立ち上げられたメタバースコミュニティである「メタ中島コミュニティ」を活用したものです。
名産であるみかんの他、柑橘類の農産物から生まれるアロマオイルなどの六次産業の製品をオンライン上で販売し、新たな市場の開拓を目指したものです。
オンラインの販売だけでなく、設立されたコミュニティを現地でのオフラインの体験に繋げ、関係人口創出へも取り組むプロジェクトです。
ナカジマみかんNFTプロジェクト開始の背景
中島は有人9島を含む、大小30以上の島々からなる忽那諸島の中で最も大きな島です。
温暖な気候と恵まれた日照はみかんの生産に適しており、1年を通して多品種の柑橘類が栽培されていることから「みかんの島」と呼ばれています。
中島は果樹栽培において国内有数の産地であるものの、深刻な人口減少の問題を抱えており、かつては1万人を超えた人口も現在では約3千人まで減少しています。
このような問題を解決するべく、中島の名産を使った商品開発・販売を通して関係人口創出を目指したメタ中島コミュニティが作られ、その中のプロジェクトの一つとしてナカジマみかんNFTが始動しました。
ナカジマみかんNFTを通して「中島を知らない人には知ってもらう」機会を、「中島にゆかりがある方には、より中島を好きになってもらう」ことを目指す取り組みです。
プロジェクトの詳細とスケジュール
NFTは中島で生産したみかんとイラストとのセット販売となっていますが、2次流通はNFTのみで販売となっています。
概要は以下の通りです。
- コレクション名:Nakajima Mikan NFT(NMN)
- 使用チェーン:イーサリアム
- ホルダー特典
- メタ中島コミュニティ内での限定チャンネルへの参加権
- メタバース空間「メタ・イヨカン島」でのイベント参加や、中島における「いよかんサウナ」への参加
- 中島特産の柑橘類や関連製品の割引購入
スケジュール
- 第1弾:2022年12月22日発売「ナカジマはれひめ」(sold out)
みかんの品種「はれひめ」とNFTがセット販売され、既に1次販売は売り切れとなっています。
(引用元:https://opensea.io/assets/ethereum/0x9b98f76d4befb56b1237e863bb288eaff6f574f3/2)
- 第2弾:2023年1月4日発売「ナカジマどんな」(sold out)
愛媛県松山市出身のイラストレーターである田所哲平氏によるNFTとのコラボレーションで、作品は1点のみ、オークション形式で販売となりました。
(引用元https://opensea.io/assets/ethereum/0x9b98f76d4befb56b1237e863bb288eaff6f574f3/3)
- 第3弾:2023年1月14日発売「ナカジマいよかん」
冬の贈り物として人気の「いよかん」とのセットが「いよかんの日」である1月14日、21:00より販売開始されました。
作品数は14点、価格は0.05ETHでの販売です。
執筆時点(2022年1月15日)では7点が販売済みとなっています。
なお、このNFT販売の記念にキャンペーンが開催され、「中島」で生産された「いよかん」にちなみ、氏名に「いよ」か「中島」が入っている方の中から抽選で3名に、ナカジマいよかん2㎏のプレゼントが実施されました。
(引用元:https://opensea.io/collection/nakajima-mikan-nft)
- 第4弾:2023年2月4日発売「ナカジマはるみ」
執筆時点(2022年1月15日)での詳細は未発表ですが、12点のNFTが販売される予定です。
その他の取り組みについて
Metagri研究所では、他にも様々な取り組みを行っているのでその一部を紹介します。
HANEDA WEB3.0 EXPO
羽田未来総合研究所が主催するイベント「HANEDA WEB3.0 EXPO 2023~ THE bridge to the world through the Blockchain~」において、運営会社である農場人が登壇するほか、牡蠣の試食イベントでコラボレーションした「牡蠣若手の会」と合同で出展します。
イベント日程:2023年2月10日(金)・11日(土)、10時~19時
尚、出展に伴い約35万円の資金が必要になるため、2022年12月25日に「出展カンパNFT」を発売し、2023年1月4日に目標達成したことを発表しました。
(引用元:https://metagri-labo.com/haneda-web3-expo-campa-nft/)
お餅NFT特典つき餅つき大会の開催
2022年12月10日、お餅NFTのホルダー限定の餅つき大会をオンラインで開催しました。
NFTの保有枚数によって特典が用意されている他、お餅の半額券なども準備され、オンラインでの開催ではあったものの、大変盛り上がったイベントとなったようです。
(引用元:https://metagri-labo.com/mochituki/)
農業ジェネラティブNFT構想
2022年12月17日、Metagri研究所とtomajoDAOによる「農業ジェネラティブNFT」をテーマとしたコラボセミナーが開催されました。
tomajoDAOとは2022年11月現在、300人を超えるメンバーを擁するコミュニティで、「Web上の農村を創ること」を目標に掲げています。
ファウンダーである「とまたろう」氏は、農業で自由を手にすることを目指し、農業に従事する傍ら、YouTuberの他、VoicyパーソナリティやTomajoNFTを発行するなど幅広く活動しています。
今後、Metagri研究所とTomajoDAOのコラボレーションによるジェネラティブNFTの発行が実現するかもしれません。
まとめ
Metagri研究所は「農業とNFT」、「地方創生とNFT」の実証実験を大胆に行っており、今回紹介したプロジェクト以外にも多くの取り組みを行っています。
プロジェクトに参加した農家の方も、これまで無縁だったNFTという新しい技術の活用によって確かな成功体験を掴むと共に、地方が抱える課題を解決してくれる可能性を感じているようです。