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M&M’sとBAYC(Bored Ape Yacht Club)のコラボからわかるNFTを使ったマーケティング戦略

解説系記事

2021年から日本でも大きな話題となっているNFT(Non-Fungible Token)ですが、デジタルアートやブロックチェーンゲーム内のアイテムなどを、主な利用用途として思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?

しかし、2022年あたりからNFTをビジネスで活用しようとする企業が増加してきており、チョコレートブランドとして有名なM&M’sもその一つに数えることができます。

そこでこの記事では、M&M’sが発売したBAYC(Bored Ape Yacht Club)とのコラボチョコレートからわかる、NFTマーケティング戦略のメリットについて解説していきます。

これから自社のビジネスにNFTを活用していきたいという方は、他社の事例を知るという意味でも参考にしてみてください。

M&M’sはBAYC(Bored Ape Yacht Club)とのコラボチョコレートを発表

M&M’sのNFTマーケティング戦略を理解するためにも、まずはどのような取り組みを実施していたのかを詳しくご紹介していきます。

M&M’sとBAYCのコラボチョコレートに関する情報を把握していない方は、ここからチェックしていきましょう。

2022年8月にBAYCのバンド「KINGSHIP」とのコラボを発表

2022年8月、世界的に有名なチョコレートブランドのM&M’sは、BAYCのキャラクター4体で構成されている音楽バンド「KINGSHIP(キングシップ)」とのコラボを発表しました。

人気NFTコレクション「BAYC(Bored Ape Yacht Club)」のキャラクター4体で構成されたバンド「KINGSHIP(キングシップ)」と、米チョコレートブランド「M&M’s(エムアンドエムズ)」による個数限定のコラボチョコレートキャンディーが米国で発売開始した。「M&M’s」が8月24日に発表した。

〜中略〜

なお今回のコラボチョコレートは、「M&M’s」のメーカー「Mars(マーズ)」と「KINGSHIP」の正式なコラボのもと実現しているとのことだ。

引用元:BAYCバンド「KINGSHIP」とM&M’sのコラボチョコが米国で発売

KINGSHIPとは、NFT収集家のJimmy McNeils氏が所有するBAYCと、MAYC(Mutant Ape Yacht Club)で構成されているバンドであり、アメリカのユニバーサル・ミュージック・グループにてデビューを果たしています。

今回、M&M’sを製造するMars(マーズ)とKINGSHIPの正式なコラボが行われ、限定のコラボチョコレートが販売される形となりました。

コラボチョコレートは限定10,000個のみを販売

BAYCとのコラボで販売されたチョコレートは10,000個のみの限定販売となっており、以下の3種類の商品が発表されています。

  • ゴールド100ギフトボックス
  • セレブレーションギフトボックス
  • ギフトジャー

画像引用元:KINGSHIP公式YouTubeチャンネル

上記画像のように、商品のパッケージにKINGSHIPのメンバーが描かれているだけでなく、チョコレート自体にもBAYCのイラストがプリントされています。

また、今回のコラボチョコレートはアメリカのみで限定販売が行われ、「ゴールド100ギフトボックス」に関しては発表から早い段階で完売してしまったとのことです。

M&M’sのBAYC(Bored Ape Yacht Club)とのコラボからわかるマーケティング戦略のメリット

ここからは本記事の本題となる、M&M’sのBAYCとのコラボからわかるマーケティング戦略のメリットについて解説していきます。

以下の項目に沿って、詳しくご紹介していきます。

  • 広告費用を大きく削減することができる
  • NFTのコミュニティを味方にすることができる
  • これまでリーチできなったユーザー層にリーチできる
  • マーケット状況によっては広告費用を回収することができる

広告費用を大きく削減することができる

M&M’sとBAYCのコラボからわかるNFTマーケティングのメリットとして、広告費用を大きく削減できることがあります。

もちろん詳細な契約の部分まではわかりませんが、今回のM&M’sとKINGSHIPのチョコレートはあくまでコラボをして誕生したものなので、一般的に莫大なマーケティング費用が発生したとはあまり考えにくいです。

また、マーケティングにNFTを活用する際には、コラボする以外に自社でBAYCなどのNFTを購入してしまうという方法もあります。

もちろん自社の規模にもよりますが、BAYCを一体購入するだけなら、大きな企業のマーケティング費用としてはそこまで高いものではないと考えられます。

※2023年2月14日現在、最も安い価格帯のBAYCは約73ETH(約1,450万円)を推移。

先ほどご紹介したように、コラボチョコレートの販売発表からすぐに完売した商品があることや、様々なメディアでも大きく取り上げられたことを考えると、かなり費用対効果のよいマーケティング戦略であることがわかります。

また、一度BAYCを購入すれば何度でも商用利用することができるので、現状では広告費用を大きく抑えられるマーケティング手法だと言えるでしょう。

NFTのコミュニティを味方にすることができる

自社のマーケティングにNFTを活用することで、そのNFTプロジェクトのコミュニティを味方できる可能性があります。

特に、BAYCのような熱狂的なファンがいるコミュニティでは、その傾向も強くなると考えられるでしょう。

NFTの保有者としてもプロジェクト自体が盛り上がることによって、自分が持つNFTの価値が上昇するというメリットがあります。

そのため、NFTを保有しているユーザーが自発的に自社商品をSNSで宣伝してくれるケースも多く、結果的にコミュニティを味方につけたマーケティングができる可能性があります。

これまでリーチできなったユーザー層にリーチできる

NFTを自社のマーケティング戦略に取り入れるメリットとして、これまでリーチできなかったユーザー層にまで自社商品を宣伝できることも挙げられます。

現状では、本格的にNFTを自社ビジネスに活用している事例はまだまだ少なく、NFTを使ったマーケティングを行うだけで大きな注目を集める状況となっています。

また、マーケティングに使用したNFTの保有者をはじめ、NFTや暗号資産に興味がある多くの方に自社商品を認知してもらえる可能性が高いと言えるでしょう。

もちろん全てのビジネスに該当するわけではないと思いますが、自社が取り扱う商材によっては、これまでリーチできなかった新しい顧客層に宣伝できるきっかけになるかもしれません。

M&M’sに関しては「チョコレート」という商材を取り扱っていることもあり、すでに多くのユーザー層に認知されていたと思われますが、それでもNFTに興味・関心がある一定数の新規ユーザーにリーチできた可能性が高いと考えられます。

マーケット状況によっては広告費用を回収することができる

NFTを使ったマーケティング戦略の優れた点として、マーケット状況によっては広告費用を回収できることも挙げられるでしょう。

今回、M&M’sはBAYCとコラボをした形ではありますが、一般的にNFTをマーケティングに活用する場合、自社でNFTを購入するケースが多いと思われます。

ご存知の方も多いと思いますが、NFTはマーケットプレイスで自由に売買ができるため、自社のマーケティングに使用した後に売却してしまうことも可能です。

もちろん、そのときのマーケット状況にもよりますが、購入した金額よりも高い値段でNFTを売却できる可能性もあるでしょう。

通常、広告出稿などでかかった費用を回収することは難しいですが、NFTを使ったマーケティングであれば費用面でも大きなメリットがあると言えるのではないでしょうか?

NFTとコラボしたマーケティング戦略の3つの注意点

ここまでご紹介したように、NFTとコラボしたマーケティングには様々なメリットが存在しています。しかし、メリットだけでなく事前に知っておきたい注意点があることも事実です。

記事の最後に、NFTを活用したマーケティング戦略の3つの注意点について詳しく確認していきましょう。

  • 長期的には目新しさがなくなってくる
  • 有名なBlue chip NFTを活用する必要がある
  • 全てのNFTプロジェクトが商用利用権を提供しているわけではない

長期的には目新しさがなくなってくる

今回、大きな注目を集めたM&M’sとBAYCのコラボ・マーケティング戦略ですが、長期的には目新しさがなくなってくる可能性があります。

実際、2022年8月には大手ファッションブランドとして有名なTIFFANY(ティファニー)が、CryptoPunks所有者向けのNFTコレクションをリリースするなど、様々な企業が徐々にNFTをマーケティングに活用し始めています。

現状では、まだNFTをマーケティングに活用する事例は少ない状況ですが、長期的には目新しさがなくなり、思うような宣伝効果が得られなくなる可能性もあり得るでしょう。

有名なBlue chip NFTを活用する必要がある

NFTとコラボするマーケティングを行っていく際には、多くのユーザーに知られているBlue chip NFTを活用する必要があると考えられます。

実際、ほとんどの人が知らないNFTコレクションとコラボしたとしても、全くと言ってよいほど話題にならないでしょう。

コラボ・マーケティングは相手が持つ知名度を借りる側面もあるため、NFT自体が有名でないとコラボする意味がありません。

もちろん、自社の知名度が非常に高い場合は別かもしれませんが、やはりBAYCやCryptoPunksなどのBlue chip NFTを活用した方が高いマーケティング効果を得られる可能性があると言えます。

全てのNFTプロジェクトが商用利用権を提供しているわけではない

NFTを使ったマーケティングを行う上では、必ず商用利用権について事前に確認しておく必要があるでしょう。

よく「NFTの保有=自由に商用利用してもよい」と考えている方がいますが、これはNFTコレクションによって大きく対応が異なっています。

今回の記事でご紹介したBAYCなどは保有者に「完全な商用利用」を認めていますが、一部の商用利用しか認めていないNFTプロジェクトも存在しています。

また、中には「個人利用しか認めない」というNFTプロジェクトもあるので、全てのNFTを自社のビジネスに活用してよいというわけではありません。

あとからトラブルが発生しないためにも、それぞれのNFTコレクションの利用規約などは事前にチェックしておいた方がよいでしょう。

M&M’sとBAYC(Bored Ape Yacht Club)のコラボからわかるマーケティング戦略まとめ

今回の記事では、M&M’sとBAYC(Bored Ape Yacht Club)のコラボからわかるマーケティング戦略について解説してきました。

M&M’sのマーケティングからわかるように、自社のビジネスにNFTを活用することで様々なメリットを得ることができます。

ただし、長期的には目新しさがなくなってくることや、有名なBlue chip NFTを活用する必要があるといった注意点は把握しておく必要があるでしょう。

まだまだ世界的にも事例は少ないですが、今後自社のマーケティング戦略にNFTを活用することを検討してみてはいかがでしょうか?

GM

gm

2017年から仮想通貨投資を開始し、2020年から本格的にweb3.0の世界に参入。現在はフリーランスとして暗号資産やブロックチェーン、NFT、DAOなどweb3.0に関する記事を執筆。NFT HACKでは「初心者にもわかりやすく」をモットーに、読者の方々に有益となる記事の作成を行なっている。
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