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ふるさと納税 × NFTの可能性は?メリット・デメリットや取り組みをしている自治体の事例を紹介

解説系記事

主にデジタルアートやブロックチェーンゲームなどでの活用が進んでいるNFTですが、ここ最近ではふるさと納税にNFTを導入する自治体が増加しています。

しかし、「これからふるさと納税にNFTを活用したいものの、どのようなメリットがあるのかわからない」といった疑問を持つ自治体職員の方も多いのではないでしょうか?

そこでこの記事では、ふるさと納税 × NFTのメリット・デメリットを自治体(事業者)とユーザーの両方の目線で解説していきます。

記事の後半では、自治体の取り組み事例もいくつかご紹介していくので、ぜひ最後までご覧ください。

ふるさと納税 × NFTの取り組みが全国で加速している

現在はデジタルアートのイメージが強いNFTですが、今後は様々なビジネスや行政にも利用されると考えられています。

その中の一つとして、ふるさと納税にNFTを活用する動きが注目されています。

一部の自治体がふるさと納税にNFTを活用し始めている

現在、地方自治体が税収の増加などを目的として、ふるさと納税にNFTを利用する取り組みを開始しています。

2023年3月現在、大手ふるさと納税サイトの「ふるさとチョイス」での掲載数と、NFTによる地方創生支援を行う「株式会社あるやうむ」の支援実績を計算すると、少なくとも全国の21市町村がふるさと納税にNFTを活用しています。

もちろん、ここで掲載されていない自治体の数も含めると、もっと多くの市町村がNFTを利用し始めていると言えるでしょう。

2022月5月に初めてふるさと納税NFTの事例が登場したことを考えると、急激にその数が増加しているのがよくわかります。

ふるさと納税サイトも積極的にNFT特集をしている

こういった地方自治体の動きから、ふるさと納税サイトも積極的にNFTを特集しています。

上記は、「ふるさとチョイス」がユーザー向けにNFTを特集している特設ページです。

このページでは、初心者のために「そもそもNFTとは?」といったような基本情報から、同サイト内で取り扱いしているふるさと納税NFTの取り組みをわかりやすく解説しています。

全てのふるさと納税サイトがNFT特集をしているわけではありませんが、こういったプラットフォーム側の取り組みも少なからずNFTの普及に貢献していると言えるでしょう。

【自治体・事業者目線】ふるさと納税 × NFTのメリット・デメリット

ここでは、ふるさと納税にNFTを活用する自治体(事業者)目線でのメリット・デメリットをご紹介していきます。

それぞれ順番に確認していきましょう。

  • メリット①:大きな注目を集めることができる
  • メリット②:自治体への関係人口の増加が見込まれる
  • デメリット①:自治体だけで全て取り組むのは難しい

メリット①:大きな注目を集めることができる

ふるさと納税にNFTを活用するメリットとして、大きな注目を集められることが挙げられます。

現状、ふるさと納税NFTを提供する自治体は増えているものの、その数はまだまだ少ない状況です。そのため、こういった取り組みをするだけで大きな話題を集められるのは事実でしょう。

また、自治体と積極的な提携を進めるCNP(CryptoNinja Partners)のようなNFTコレクションもあるため、これらとコラボした返礼品を提供するという方法もあります。

こういった有名プロジェクトと提携することで、これまでとは異なるユーザー層にアプローチできるだけでなく、名産品が少ない自治体でも多くの寄付を集められる可能性があります。

メリット②:自治体への関係人口の増加が見込まれる

ふるさと納税にNFTを導入することで、自治体への関係人口を増加させられる可能性があります。

現在、ふるさと納税を利用する多くの方が、返礼品だけを目的としているケースがほとんどです。実際、自治体と寄付者の間では「1回寄付して終わり」という関係性が構築されていると言えるのではないでしょうか。

そういった問題解決に期待されているのがNFTであり、ふるさと納税NFTを会員証(住民証)のようなものとして活用する動きが登場しています。

中には、NFT保有者しか加入できないオンラインサロンの立ち上げを予定している自治体もあり、寄付者と市町村がより深い関係を築けるような取り組みが計画されています。

また、寄付をした自治体に実際に訪れることで、NFTのデザインが変化するような仕組みを導入する市町村もあります。

まだ手探り段階ではありますが、ブロックチェーン技術により「デジタルデータの唯一性と所有を明らかにできる」というNFTの特徴を生かし、多くの自治体が長期的に地域と関わってくれる関係人口の増加を目指している状況です。

デメリット①:自治体だけで全て取り組むのは難しい

上記のように、ふるさと納税NFTには様々なメリットがありますが、自治体単独で全てに取り組むのは難しい可能性があります。

実際、ふるさと納税にNFTを活用するためには、NFTの発行やユーティリティ設計、ウォレット管理など、ブロックチェーンに関する専門知識が必要です。

もちろん不可能ではないと思われますが、多くの自治体では株式会社あるやうむなどの専門業者と提携していることが多いです。

また、参考にできる取り組み事例がまだまだ少ないことも加味すると、まずは専門の業者と提携して進めていくのが現実的と言えるでしょう。

【ユーザー目線】ふるさと納税 × NFTのメリット・デメリット

次に、ユーザー目線でのふるさと納税NFTのメリット・デメリットをご紹介していきます。

  • メリット①:節税しながらNFTを購入できる
  • メリット②:クレジットカードで購入できるのでハードルが低い
  • デメリット①:ふるさと納税のNFTの売却は制限されている

メリット①:節税しながらNFTを購入できる

ユーザー目線でのメリットとして、まず節税しながらNFTを購入できることがあります。

もちろん、これは全てのふるさと納税返礼品に該当する話ですが、金銭的な負担が少ないので手軽に購入できるのはメリットと言えるでしょう。

もし、関係人口の増加を目的に住民票NFTなどの発行を計画している自治体があれば、ふるさと納税という仕組みを利用した方が、多くのユーザーにアプローチできる可能性があります。

メリット②:クレジットカードで購入できるのでハードルが低い

クレジットカードでNFTを購入できるのもメリットのひとつです。

通常NFTを購入するためには、暗号資産(仮想通貨)取引所のアカウントを作成し、イーサリアムなどを購入するといった手続きが必要です。

しかし、ふるさと納税を利用すればクレジットカードだけで完結できるため、暗号資産やNFTに触れたことがない方でも購入しやすくなります。

NFTを保管するためのウォレットは必要ですが、それでもNFT購入までのハードルを大きく下げることができるでしょう。

デメリット①:ふるさと納税のNFTの売却は制限されている

ふるさと納税の仕組みの中でNFTを発行する場合、ユーザーは保有しているNFTの売却が制限されます。

法律上、返礼品を転売することが明確に禁止されているわけではありませんが、総務省も返礼品の転売行為は「制度の趣旨から大きく外れている」との姿勢を見せています。そのため、返礼品として受け取ったNFTの転売行為を制限している自治体が多いです。

ただし、単純な転売目的のユーザーをあらかじめふるい落とせると考えれば、自治体の目線ではメリットになるかもしれません。

いずれにせよ、自治体側としては寄付者がNFTを手放したくないような価値を提供していく必要があるでしょう。

ふるさと納税にNFTを活用する自治体の取組事例

最後に、ふるさと納税にNFTを活用する自治体の事例をご紹介していきます。

  • 北海道余市町:NFTでワインの抽選券を付与
  • 長崎県佐世保市:子豚のオーナー権NFTを提供
  • 福井県坂井市:名産品プレゼント・現地でNFTの絵柄が変化

北海道余市町:NFTでワインの抽選券を付与

画像引用元:PRTIMES

北海道余市町は、日本で初めてふるさと納税の返礼品にNFTを活用した自治体です。NFTクリエイターとして知られるPoki氏がイラストを担当し、余市町の特産品であるワインをモチーフにしたNFTアート作品を返礼品として提供しました。

ただのNFTアートで終わるのではなく、同町では保有者に付加価値を与えることを大切にしています。実際、NFTには名産品のワインを購入できる抽選券としてのユーティリティが付与されました。

また、NFTは余市町の会員証(町民証)としての性格を帯びており、今後NFT保有者のみが入れるコミュニティを作っていく計画をしています。NFTを通して関係人口を増加させるという面では、参考になる事例だと言えるでしょう。

他にも、NFTゲームとして有名なMy Crypto Heroesで使用できるNFTアイテムをふるさと納税の返礼品にするなど、独自性のある取り組みを実施しています。

長崎県佐世保市:子豚のオーナー権NFTを提供

画像引用元:ふるさとチョイス

長崎県佐世保市では、ふるさと納税の返礼品として子豚のオーナー権NFTを提供しています。仕組みとしては、1匹の子豚をNFTとして小口化し、複数の寄付者で所有するというものです。

所有している子豚に名前をつけられるだけでなく、子豚の誕生から成長まで1年間見守り、実際に食べるまでの体験をすることが可能。また、子豚の成長過程は養豚事業者のCOCOFAM(ココファム)の公式Twitterで配信されています。

ただ単に返礼品として精肉を提供する自治体は多いですが、佐世保市では「NFTを通して体験を提供すること」にフォーカスしていることがよくわかります。NFTが持つ「所有」という特徴を生かした、面白い取り組み事例だと言えるでしょう。

福井県坂井市:名産品プレゼント・現地でNFTの絵柄が変化

画像引用元:PRTIMES

2022年12月、福井県坂井市はNFTコレクションのCNP(CryptoNinja Partners)とコラボした返礼品の受付を開始しました。知名度の高いNFTコレクションとコラボしたこともあり、約5分で222個分全ての寄付金を集めることに成功しています。

また、坂井市に関してもNFTのユーティリティにこだわっており、保有者にはCNPのキャラクターが描かれた同市の名産品「越前織」のブックマーカーがプレゼントされます。

他にも、坂井市にある越前織工場に訪れることでNFTの絵柄が変化するなど、関係人口の増加や観光誘致を促進する仕組みが導入されていると言えるでしょう。

ふるさと納税 × NFTの事例やメリット・デメリットまとめ

今回は、全国の自治体で注目されてきている、ふるさと納税NFTのメリット・デメリットや取り組み事例を解説してきました。

ご紹介したように、ふるさと納税にNFTを活用するメリットは複数あり、様々な自治体が成功事例を作っている段階です。

ただ単にNFTを発行するだけではあまり意味がありませんが、NFTにしっかりとしたユーティリティを与えることで、寄付金や関係人口の増加が期待できます。

また、福井県坂井市の事例のような観光を誘致する取り組みもできるなど、ふるさと納税NFTには様々な可能性があると言えるでしょう。

GM

gm

2017年から仮想通貨投資を開始し、2020年から本格的にweb3.0の世界に参入。現在はフリーランスとして暗号資産やブロックチェーン、NFT、DAOなどweb3.0に関する記事を執筆。NFT HACKでは「初心者にもわかりやすく」をモットーに、読者の方々に有益となる記事の作成を行なっている。
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