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Web3.0プロジェクトの資金調達方法とVCが果たす役割

比較系記事 解説系記事

Web3.0プロジェクトの成功には資金調達が非常に非常に重要です。ICOやIDO、IEOなど様々な資金調達方法がありますが、特にVCからの資金調達が注目されています。

本記事では、Web3.0プロジェクトにおける主な資金調達方法やVCの果たす役割について分かりやすく解説します。

Web3.0プロジェクトを計画されている方、すでに進めている方々に向けて有益な情報となれば幸いです。

VC(Venture Capital)とは?

ベンチャーキャピタル(以下表記:VC)は、成長の可能性があるスタートアップ企業に投資する投資家や投資機関のことです。

一般的にスタートアップ企業は資金調達に苦しむことが多いですが、VCが支援することで資金面での問題を解決し、ビジネスを成長させていくことができます。

VCと銀行融資の違いは?

VC 銀行融資
  • 投資期間が流動的
  • 株式等のバイアウト重視
  • 成長性が第一
  • 投資期間が決まっている
  • より長い金利受取
  • 信用第一

VCは高いリターンを求めて新興企業やスタートアップに出資します。そのため、成長性が高く、将来性が期待できる企業に出資する傾向があります。また、VCは出資先企業に積極的にアドバイスやネットワークを提供し、経営支援にも力を入れます。

一方、銀行融資は長期に渡り金利を受け取ることが主な目的となります。そのため、貸出先企業の信用力や返済能力を重視し、担保や保証人といったシステムを使います。

VCを使うメリットは?

VCを選択するメリットとして以下の3点が挙げられます。

  • 資金調達の速さ
  • 支援やアドバイス
  • 事業の信頼性向上

資金調達の速さ

VCからの資金調達は、銀行からの借入に比べて、返済条件が緩やかであることが多く、速やかに資金調達できます。

支援やアドバイス

VCは資金調達だけでなく、経営者に対して支援やアドバイスを行うことが多いです。経験豊富な専門家からのアドバイスやネットワークを利用することで、事業の成長やビジネスモデルの改善などにつなげることができます。

事業の信頼性向上

VCからの資金調達ができているという事実が将来的なリターンを期待させるため、それ自体が実績となり、事業の信頼性向上に繋がります。事業の成長や投資家への信頼を得るためにも、VCからの投資は重要と言えるでしょう。

VCを使うデメリットは?

デメリットとしては以下の3点が挙げられます。

  • 出資比率の低下
  • 経営上の制約
  • 高いリターン要求

出資比率の低下

VCからの資金調達によって、ファウンダーの出資比率が下がる場合があります。VC報酬を株式やガバナンストークンで設定した際は、出資比率の変化に備えなければなりません。

DAOなどにおいてはガバナンストークンで報酬が要求された場合、Web3.0プロジェクトの運営方針に大きな影響がでます。

経営上の制約

VCは投資した企業の経営に対して干渉することがあるため、経営上の制約を受けることがあります。VCからの資金調達によって、意思決定や戦略の自由度が低下する可能性もあります。

一定の期間内に事業を拡大させる要求をされることもあり、それによって無理なビジネス展開が生じた場合はWeb3.0プロジェクトの寿命を縮める可能性もあります。

VCが関わることで生じる経営上の制約については、Twitterの創業者であるジャック・ドーシー(Jack Dorsey)氏もWeb3.0プロジェクトにおける中央集権的なリスクとして懸念を抱いています。

参考URL:https://twitter.com/jack/status/1473139010197508098

高いリターン要求

VCは出資先企業に対して高いリターン要求を持っていることが多いです。その結果、貸付金利が高くなる場合があります。

また、リターンを暗号資産で払うことも想定されます。暗号資産は非常にボラティリティの高い金融商品です。事前に支払い枚数を固定してしまうと、思わぬ高額報酬になるかも知れません。

Web3.0プロジェクトの資金調達方法まとめ

  • ICO(Initial Coin Offering)
  • IEO(Initial Exchange Offering)
  • IDO(Initial DEX Offering)
  • SAFT(Simple Agreement for Future Tokens)
  • クラウドファンディング
  • STO(Security Token Offering)
  • VC(Venture Capital)

Web3.0プロジェクトの資金調達方法には、VC以外にもICO、IEO、IDO、SAFT、クラウドファンディング、STOなどの手段があります。

事業計画に合わせた最適な資金調達方法を選択し、プロジェクトの成長につなげることが重要です。
ここではそれぞれの調達方法を簡単に紹介いたします。

ICO(Initial Coin Offering)

ICOは「トークンセール」とも呼ばれ、トークンの発行者が自ら投資家と取引する資金調達方法です。

ICOは比較的容易に資金調達を行うことができますが、規制の緩さから詐欺的なICOも発生しています。投資家保護の観点からも注意が必要です。

参考URL:https://coinpost.jp/?p=253844

IEO(Initial Exchange Offering)

IEOは、暗号資産取引所が主催する資金調達の一種です。IEOでは、発行者が取引所に上場を希望するトークンを提示します。取引所の評価の後に、投資家はそのトークンを取引所で購入することができるようになります。

ICOと似ていますが、IEOでは取引所が仲介役を務めるため、より信頼性が高く、安全性が高いとされています。

IDO(Initial DEX Offering)

IDOは、分散型取引所(DEX)で行われるICOのことで、投資家はDEXを通じてトークンを購入することができます。IDOは、中央集権型のIEOよりもセキュリティや規制面でのリスクが低いとされています。

参考URL:https://cointelegraph.com/news/to-ico-or-to-ido-that-is-the-question

SAFT(Simple Agreement for Future Tokens)

SAFTは、未来のトークンを購入することのできる契約書です。トークンが発行された後、投資家はトークンを受け取ります。

SAFTは米国の証券法に則って設計されており、トークンが実際に発行される前に投資家が支払った金額は保護されます。

参考URL:https://www.contractscounsel.com/t/us/simple-agreement-for-future-tokens

クラウドファンディング

クラウドファンディングは、多数の個人から小額の資金を調達することによって、プロジェクトを実現する方法です。主にクラウドファンディングサイトなどで利用します。

低コストで資金調達でき、プロジェクトが話題になればすぐに資金が集まるかも知れません。

他の資金調達手段と異なり、リターンを物やサービスで設定することもできます。

参考URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000102906.html

STO(Security Token Offering)

STOは、証券トークンを発行して投資家から資金を調達する方法です。STOはICOと比較して法的に規制されています。証券トークンの発行側は、投資判断に必要な情報を投資家に提供する必要があります。

参考URL:https://www.reicapitalgrowth.com/reicg-insight/what-is-a-security-token-offering-sto/

VC(Venture Capital)

本記事で解説している、VCから資金調達する方法です。VCは資金調達に加えて、ベンチャーキャピタルからの支援やアドバイスを受けることができ、事業の成長に必要な資源を手に入れることができます。

Web3.0に特化したVC

ブロックチェーン技術や暗号資産、分散型アプリケーションなどの分野に注力するVCは多くあります。

ここでは、Web3.0分野に力を入れる有力なVCをまとめて解説します。

参考URL:https://privateequitylist.com/

Andreessen Horowitz(a16z)

Andreessen Horowitz(a16z)は、2009年にマーク・アンドリーセンとベン・ホロウィッツによって設立されたシリコンバレー拠点のVCです。

テクノロジー業界の革新的なスタートアップ企業への投資をはじめ、暗号資産やブロックチェーン分野にも注目し、多数の関連企業に投資をしていることで知られています。イーサリアムネットワークへの投資なども実績の1つです。

参考URL:http://www.a16z.com/

Blockchain Capital

Blockchain Capitalは、2013年に設立されたブロックチェーン技術と暗号資産のエコシステム分野に強いVCです。

同社は多数のWeb3.0スタートアップ企業に投資し、ブロックチェーン業界のリーディングVCの1つとして認知されています。RippleやCoinbaseなどに早期から投資した実績があります。

参考URL:https://blockchain.capital/

CoinbaseVentures

Coinbase Venturesは、Coinbaseのコーポレートベンチャーキャピタルです。早期スタートアップやWeb3.0プロジェクトに投資をしています。

Coinbase Venturesが投資した企業のリストはコインベースのHPで公開されており、多数のWeb3.0プロジェクトに投資していることが分かります。OpenSeaやUniswapなど有名なプロジェクトの他、BCGやNFTプロジェクトにも携わっています。

参考URL:https://www.coinbase.com/ja/ventures

ConsenSys Ventures

ConsenSysのVC部門は、ブロックチェーン技術を用いるスタートアップに投資しています。

TentaやMetamaskなどに早期から投資しており、これからもWeb3.0分野において大きな貢献を果たしていくでしょう。

参考URL:https://consensys.net/jp/

Paradigm

Paradigmは、革新的なブロックチェーンやDeFiプロジェクトへ投資を行っているVCです。MakerDAO、Uniswap、AaveなどのWeb3.0プロジェクトに投資してきた実績があります。

また、トークン投資に焦点を当てた専用ファンドも運用し、Web3.0プロジェクトの資本拡大にも貢献します。

参考URL:https://www.paradigm.xyz/

Web3.0分野に注力している国内VCは?

国内にもVCはありますが、ここでは特にWeb3.0分野に注力している国内VCを紹介していきます。

参考URL:https://www.keidanren.or.jp/policy/2022/096_honbun.pdf
参考URL:https://privateequitylist.com/

Globis Capital Partners

グロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)は、Astar Network(Astar)の開発をリードするStake Technologiesと協力し、Astarのエコシステムでプロダクトを開発するスタートアップ企業を支援することを発表しています。

GCPは、Astar Japan Labにも参画し、Astarエコシステムの発展とスタートアップの成長に貢献することを目指しています。GCPの支援により、Astarエコシステム発展の加速が期待されています。

参考URL:https://www.globiscapital.co.jp/

gumi Cryptos Capital

「gumi Cryptos Capital (gCC)」は、シリコンバレーと日本にオフィスを構える、ブロックチェーンに特化したVCです。

ビジネスの課題解決にブロックチェーンや暗号通貨技術を活用するグローバルな起業家のビジョンをバックアップすることに焦点を当てています。

またgCCは、OpenSea、Yield Guild Gaming、1Inch Network、Qredo、Agoric、VEGA protocol、Astarなど、優れたスタートアップに最初期の段階で投資していることでも知られいます。

参考URL:https://gumi-cryptos.com/
参考URL:https://www.gumi-cryptos.com/QII/

MZ Web3ファンド

MZ Web3.0ファンドは、ZOZOのファウンダーである前澤友作氏が主導するVCです。

Web3.0分野としては、Move to EarnやPlay to EarnのNFTなどに投資しています。RunBlox(ランブロックス)というM2Eプロジェクトを支援したことが、SNS等で話題となりました。

Web3.0やメタバース分野の企業やプロジェクトへの投資先を募集しており、DAOの活用も注目されています。

参考URL:https://web3.mzfund.co.jp/

国内でWeb3.0プロジェクトを行うリスクとは?

日本国内でも有力な投資先としてWeb3.0プロジェクトは話題となっています。ここでは、国内でWeb3.0プロジェクトを行うリスクについて解説します。

資金調達の問題だけでなく、法律の問題が生じることもあります。場合によっては、会社やDAO自体を日本国内から海外へ移す必要性が出てくるかも知れません。

日本国内でWeb3.0プロジェクトを進める際のリスクをしっかりと認識しましょう。

参考URL:https://style.nikkei.com/article/DGXZQOLM25B050V20C22A2000000/?page=3

リーガルリスク

DAO(分散型自律組織)に関する法律は日本では整備されておらず、米国の一部州のように法人格を認められることもありません。

Web3.0プロジェクトの主体がDAOとなる場合、ビジネスに制限がかかるかも知れません。

参考URL:https://corpgov.law.harvard.edu/2022/09/17/a-primer-on-daos/

ガバナンスリスク

日本では保有するガバナンストークンに税金がかかります。
DAOにおいては、運営方針の決定がガバナンストークン保有量によって左右されます。スタートアップ時においては、運営を決定できるだけの枚数をファウンダーは保有することになります。その際の税制についてしっかり認識する必要があります。

参考URL:https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=4054

決済リスク

Web3.0プロジェクトを進める上で決済プロセスは重要です。海外のVCを利用した場合は報酬が外国のフィアットで設定されることもあるでしょう。また、Web3.0プロジェクトとなると、ビジネスでの支払いが暗号資産で行われる可能性があります。

為替や暗号資産市場への理解が大切です。Web3.0プロジェクトを進める上で、日本円中心の判断基準を修正していく必要があります。

まとめ

以上、Web3.0プロジェクトにおける主な資金調達方法やVCの果たす役割について解説させて頂きました。

VCを用いることで経営支援やネットワーク提供も受け、Web3.0プロジェクトへの信頼性を向上させることができます。

本記事がWeb3.0プロジェクトを計画されている方、すでに進めている方々に向けて有益な情報となれば幸いです。

AMEHARE

AMEHARE

ITの最新トレンドを発信しはじめて十余年。Web2から3の時代の変革もいち早く察知し、2012年ごろから仮想通貨に注目をし始める。次世代の文化やテクノロジーを情報を掴みつつ、NFT・メタバース・DAOなどの領域であらゆる情報を発信中。
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