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「ChatGPT」がWeb3.0やNFTにもたらす可能性と活用方法

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2023年に入り、日本国内で「ChatGPT」という単語が急激に注目を集めました。

テレビ、SNSといったメディアにおいて、これまでにない革新的なAI技術が到来したと話題になっているChatGPTですが、中にはこれまでの仕事を奪ってしまう可能性など否定的な意見も存在しています。

まるで人間と会話しているかと錯覚してしまうほど、高性能なチャット機能は確かに現在ある仕事に取って代わるかもしれません。

しかし、Web3,0やNFTなどの革新的な技術とは相性が良く、お互いの進歩を革新的に早めることが期待されています。

本記事では、そんなChatGPTの基本的な概要から、ブロックチェーン技術を利用した業界においてどのような可能性をもたらすのかを解説します。

さらに、すでに活用が始まっている事例も紹介しますので、ぜひご自身の事業に役立てる際の参考にしていただければ幸いです。

ChatGPTの概要

ChatGPTとはOpenAIという米国企業が開発した人工知能ツールであり、まるで人間が書いたような自然な文章を作成します。

リリースは2022年11月ですが、わずか5日でユーザー数は100万人を超えたことで大きく注目を集めました。

100万人を超えるユーザー数の獲得に「iPhone」でも74日、「Facebook」では310日を要していることからも、ChatGPTが一際注目されていることが分かるはずです。

すでに1億人を超えるユーザー数を抱えるChatGPTですが、こちらではその概要について簡単に解説していきます。

2020年より段階を踏んで開発されたAI

まず、ChatGPTは今年に入って突然現れたツールであると思われている方は多いですが、実はそうではありません。

2020年7月に開発されたAIツールである「GPT-3」から「InstructGPT」を経て、現在のChatGPTの登場に至るのです。

GPT-3は「Transformer」と呼ばれる、深層学習の手法を用いた言語モデルが採用されており、すでに人間が使用する言語を利用して自然な文章を作成できる状態でした。

しかし、学習ベースがネットを通じたものであったため、文章に不適切な表現が含まれてしまうことが大きな欠点として現れたのです。

対策として、2022年1月にリリースされたInstructGPTは、「Instruct」という単語が示すように、人間の手によって不適切表現の訂正を指示し、その作業を繰り返すことで前バージョンの欠点を解決しました。

InstructGPTの発言に不適切なものがあれば、人間が最も適切である内容をランク付けして学習させ、細かな微調整を繰り返していきます。

そうして、表現方法の問題をクリアしたものが、現在話題になっているChatGPTなのです。

会話やプログラミングが可能に

2020年7月に開発されたGPT-3の欠点を克服したChatGPTは、まるで画面の向こうに人間がいるかのような会話が可能です。

どのような話題にも対応できることから、「〇〇について教えて」といった質問にも答えてもらえます。

また、会話の流れから文脈を汲み取ることも可能ですので、長くやり取りがつづいても会話が噛み合わないということもありません。

そして、会話だけではなくプログラミングなどの疑問にもコード表記と共に返答してもらえるので、エクセル関数やコーディングの疑問にも即座に答えを提示してもらえます。

2023年1月時点でのChatGPTは、会話の中での答えに事実と異なる内容も含まれており、その点が指摘されていました。

しかし、同年3月には最新バージョンである「GPT-4」が登場し、最新の情報を元に正確な返答が実現しています。

今年中にGPT-5のリリースも予定されていることから、さらなる注目がされています。

Web3.0にもたらす可能性

高性能な会話、プログラミングの指示など非常に優れた機能を持つChatGPTですが、Web3.0を始めとしたブロックチェーン技術において、どのような影響や可能性があるのでしょうか。

こちらでは、以下の4つの内容についてそれぞれ解説していきます。

  • 検索機能の消滅
  • AI To Earnの活用
  • DAppsの開発支援
  • NFT作成支援

検索機能の消滅

ChatGPTによる的確な返答は、これまで十数年続いてきた調べ物に対する概念を変化させるかもしれません。

これまではGoogleに代表される検索エンジンによって、目的の情報を探し出していましたが、今後はChatGPTに質問するだけで解決してしまうのです。

そのため各サイトへの訪問者数、ページビュー、セッション数などから広告費用を算出し、多額の利益を生み出すビジネスモデルは崩壊し、インターネットは新たなステージに向かうことが考えられます。

これはWeb3の流れを加速させ、NFTや暗号資産、メタバースなどにとって新しい収益化のチャンスが生まれるきっかけになると期待されているのです。

検索エンジンという中央集権的なシステムが取り払われることで、インターネットの中心が変化します。

その先に待ち構える収益モデルはどのような形になるのかはまだ分かりません。

ナイキやスターバックスという大企業がNFTに力を入れているように、顧客との関係性を強化することで、新しいモデルを構築するかもしれません。

いずれにせよ、ChatGPTの普及はWeb2のビジネスモデルを破壊し、Web3への意向を早めるきっかけになると考えられるのです。

AI To Earnの登場

「CryptoGPT」では、暗号資産を活用したAI関連のプロジェクトが進められています。

AI技術を暗号資産やブロックチェーンと組み合わせることで、一般ユーザーがAIデータを利用して収益を得ることが可能になるのです。

CryptoGPT自体は、ChatGPTとは関係ないのですが、「GPT(Generative Pre-trained Trensformer)」をベースにしたAIを提供しています。

このAIは「Alex」と呼ばれており、データを提供した人に対価としてGPTトークンを付与します。

CryptoGPTを活用すれば、日常生活で発生する様々なAIデータを収入源に変えられるかもしれません。

今年度中に本格的な運用が予定されており、大きな関心を集めることが予想されています。

DAppsの開発支援

DApps(Decentralized Applications)とは、ブロックチェーン上でスマートコントラクトを応用し開発されたアプリです。

従来のSNSのように、中央集権的な企業が所有するサービスではなく、ブロックチェーン上で実行されるサービスであり、Web3を代表する新たな概念として注目されています。

そしてChatGPTはプログラミングのアドバイスが可能であるため、想定されるDAppsアプリの開発を支援してもらえるのです。

開発側の人間はどのようなサービスを実現したいのか、どの通貨を使用するのかなどを想定しておき、その内容をChatGPTに伝えます。

もちろん、返答内容をある程度理解できるレベルの知識は必要ですが、試行錯誤するプロセスの短縮が期待できます。

NFT作成支援

これまでNFTアートは、優れたデザイナーのアイデアをベースに作成されることが一般的でした。

ジェネレーティブアートと呼ばれる、アルゴリズムを活用した作品も存在していますが、基本となる絵柄などは人の手によって作成されています。

しかし、ChatGPTに漠然としたアイデアを伝え返答をもらい、その情報をテキストから画像を生成するAIサービスへ流用することで、誰でも簡単に高品質のアートが作成できるのです。

作品を作成するための指示には多少のコツが必要ですが、人間が考えるアイデアをベースに量産できることは、これまでのアート制作環境とは一線を画しています。

すでにAIを利用したアート作品が多く評価を受けているように、今後はますますChatGPTと画像生成ツールを活用した作品が登場していくことが考えられます。

2023年5月時点での活用事例

Web3やChatGPTといった新しいサービスが多くの業界に浸透するには時間が必要です。

しかし、すでに一部の企業ではWeb3とChatGPTを組み合わせた新たなサービスや取り組みが開始されています。

こちらでは、以下の事例をご紹介します。

  • Sugii bot
  • Calqシリーズ

Sugii bot

株式会社bajjiの公式LINE「capture.x」において、ChatGPTを活用したサービスが運営されています。

公式LINEに登録することで、杉の木から生まれた「Sugii」というキャラクターとCO2削減に関する会話が可能となっています。

「capture.x」は環境貢献型NFTとよばれるコレクションを展開しており、CO2削減プロジェクトを応援することによる脱炭素社会の早期実現を目指しています。

CO2削減に取り組む施設やプロジェクトをNFT化し、保有者はそれらの「デジタルオーナー」となれるのです。

デジタルオーナーは日々のCO2削減データをリアルタイムで確認できる上、「エールポイント」という独自通貨を獲得できます。

エールポイントは今後、他社ポイントとの交換やQR決済との連携が予定されています。

「capture.x」ではNFTプロジェクトのブランディングを目的としたキャラクターとの会話に、ChatGPTが活用されています。

本来であれば人件費が発生する部門ですが、ChatGPTの高性能な会話機能によって効率的にプロジェクトの促進が実現できると考えられます。

Calqシリーズ

こちらは、ジェネレーティブAIや量子コンピューター技術を専門とした株式会社KandaQuantumと、2023年3月に開校した渋谷Web3大学を運営するシマウマ合同会社の提携事業です。

ChatGPTが搭載された株式会社KandaQuantumのプロダクト群であるCalqシリーズでは、すでにAI議事録である「CalqTalk」などの展開が行われています。

Web3に特化したプロジェクト創出コミュニティである渋谷Web3大学と提携し、Calqシリーズを活用した新サービスの開発が進められているのです。

望まれる成果として、自律分散型組織と量子技術によるリアルタイム組織化、自然言語生成や画像・動画生成のジェネレーティブAIへのトークン活用、エンタメとビジネスの融合が挙げられます。

特に、自然言語生成や画像、動画生成のジェネレーティブAIへのトークン活用によって、Web3技術を活用した新たなビジネスモデルの創出を目指しています。

トークンエコノミーを用いた報酬体系や、データのオープン性によって、より多様な人材が参加できるだけではなく、より高品質なコンテンツを創出することに繋がるはずです。

提携が開始されたばかりのプロジェクトですが、Web3技術とChatGPTによる自動生成AI技術を融合した新たなビジネスモデルが生まれることが期待されています。

ChatGPTの欠点も理解する必要がある

ChatGPTは素晴らしい側面だけではなく、社会にとって悪影響を与える可能性も示唆されています。

例えば、ChatGPTを使用して他人になりすます「フィッシング詐欺」への活用はその代表事例です。

マッチングアプリ等で架空の人物になりすまし、ターゲットを巧妙に欺き金銭を騙し取ります。

さらに、高いプログラミング技術を悪用することでハッキングがより容易になる可能性も指摘されています。

また、フェイクニュースに代表されるような偽情報も、1人の人間によって大量生成・拡散することが可能です。

SNSの拡散力と合わせると世論操作も容易になるかもしれません。

ChatGPTを利用する上で、このような負の側面も理解している必要があります。

機密情報流出のリスクも無視できない

2023年4月、韓国企業のSamsungの半導体事業に属する従業員が、ChatGPTに社外秘機密であるプログラムソースを入力したことにより社内情報流出事故が発生しました。

ChatGPTはその特性上、入力された質問と人間からの応答によって学習します。

そのため、Samsung社内では「私的な内容を入力してはいけない」と告知を出していました。

しかし、とあるプログラムを実行中にエラーが発生した際、前述した従業員はソースコードの全てをChatGPTに入力してしまったのです。

ソースコードの入力事例は他にもあっただけではなく、スマホで録音した議事録を別のAIソフトを経由してChatGPTに入力したケースも発覚しました。

Samsungは社内に向け、「ChatGPTへの入力内容は外部サーバに保存され、会社が回収することは不可能になる。ChatGPTに内容が学習されると、その内容が不特定多数に提供されるかもしれない」と、改めて警告を促しました。

このように、使い方によっては便利なChatGPTですが、社内機密事項や私的な内容に関しては利用を制限するといった注意が必要となります。

これは事業を進める上で社内情報はもちろん、顧客の安全性を担保する上でも注意すべきポイントです。

まとめ

ChatGPTを活用することで、従来以上にWeb3事業への新規参入は容易になったといえます。

しかしながら、まだ課題となる部分は存在しているため、欠点も理解した上で適切に活用することが重要です。

今後、ChatGPTの課題に対してセキュリティや暗号などの対策が追いつけば、人工知能ツールは新たな段階に進むはずです。

ブロックチェーン技術を活用した対策なども考えられ、今後の発展に注目が集まる分野だといえます。

Web3やブロックチェーン技術とAIをかけ合わせた、これまでにない革新的なサービスが数々登場する可能性は非常に高くなってきました。

まずは現在の事業に活用できそうな分野から検討し、少しずつノウハウを蓄積していくことをおすすめします。

May

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ブロックチェーンを筆頭とする様々な技術が、今後世の中の仕組みを大きく変えるかもしれないという点に対し興味を持っているWebライター。 自身の経験を元にだれにでも分かりやすく、興味をもってもらえるような記事を執筆するように心がけて参ります。
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