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NFTドメインとは?事業者が知っておくべき内容から問題点までを解説

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NFTは「Non-Fungible Token」の頭文字を取った名称であり、日本語では「非代替制トークン」と訳されます。

デジタルアートの高額落札などをきっかけに注目され、日本国内では2020年頃以降急速にその知名度を上げていきました。

そのため、NFTといえば「デジタルアート」や「コレクションアイテム」、または「投資対象」といった認識を持つ人も少なくありません。

しかし、NFTはそのような役割に留まらず、今後のインターネットの仕組みを根底から覆す可能性を秘めているのです。

本記事ではブロックチェーン上で発行されるドメイン、「NFTドメイン」について解説します。

インターネットを通じた情報取得に無くてはならないドメインですが、NFTと組み合わせることでどのようなメリットがあるのでしょうか。

NFTドメインについて基本的な内容から、事業者が知っておくべき課題までを一挙に解説します。

NFTドメインとは

NFTドメインとは、暗号資産を送受信する際に利用される26〜42文字からなる英数字の並びを、任意の文字列に変更して登録する仕組みです。

通常、ブロックチェーン上で使用される暗号アドレスには以下のような文字列が利用されます。

  • 一例:9Gy8R5sB2vPTwZ7Jd6A3Y4qXcNh1oI0eVlFpKgMn

非常に複雑で覚えきれない情報であり、入力するにも手間がかかることは明らかです。

上記のように複雑な文字列を、「sample.nft」といった簡潔な文字列へと登録し直すことが、NFTドメインなのです。

NFTドメインは従来のようにWebサイトドメインとしても機能する一方、暗号資産の送受信に利用するウォレットアドレス機能を兼ね備えます。

NFTドメインを利用することで、1つのドメインに複数の暗号アドレスを登録することも可能です。

通貨ごとに使い分けていたウォレットを一本化できますので、メールを送受信する感覚で暗号資産の取引が行えると期待されています。

従来ドメインとの違い

ドメインとは一般的に「Web上の住所」と言い換えられます。

WebサイトのURLやメールアドレスといった、特定の箇所にアクセスするために必要な文字列をドメインと呼びます。

本サイトの場合、「https://nft-hack.jp/」の「nft-hack.jp」部分がドメインとなります。

従来のドメインは「レジストリ」と呼ばれる大本の機関が管理運用を行っています。

そのためドメイン運用には年間契約料などを支払う必要があり、ドメインの所有権はあくまでもレジストリ側にありました。

しかし、NFTドメインの場合はドメイン所有権の100%が購入者の手に渡ります。

また、従来のドメインが「Web上の住所」であることに対して、NFTドメインは「ブロックチェーン上の情報」を指します。

つまり、NFTドメインは従来ドメインと比較して自由度が高く、半永久的に所有できるという意味で画期的なシステムとなるのです。

NFTドメインの利用例 

インターネットの基本ともいえるドメインに対して、新しい可能性を提示するNFTドメインが、暗号資産の送受信に利用できることは前述した通りです。

他にも様々な利用方法が存在しておりますので、こちらでは以下の内容についてそれぞれ解説していきます。

  • マーケットプレイスへの出品
  • 信用度の高いWebサイトの構築
  • 制約を受けない表現の場を提供

マーケットプレイスへの出品

NFTドメインはアート作品などと同様に、マーケットプレイスへ出品できます。

世界最大のマーケットプレイスであるOpen Seaではすでに、様々なNFTドメインの売買が行われています。

過去に取引が行われたNFTドメインとしては、以下のような事例があげられます。

  • sex.crypto:約1,500万円
  • beer.eth:約300万円
  • darkmarket.eth:約7億円

ドメインに対してこのような価格が付けられることに違和感を覚えるかもしれませんが、従来ドメインにおいても過去「business.com」に対して、現在の日本円で約10億円という価格が付けられた事例もあります。

人気の従来ドメインは現在も入手困難になっていることからも、NFTドメインの価値が今後上昇する可能性は十分に考えられるでしょう。

信用度の高いWebサイトの構築

従来のドメインは中央集権型のサーバーにおいて管理されています。

そのため、悪質な攻撃を受けることでドメインが乗っ取られる可能性は排除できません。

「ドメイン名ハイジャック」と呼ばれる手法ですが、攻撃者が用意した偽サイトに訪問者アクセスを誘導し、様々な悪質行為に利用される恐れがあります。

しかしNFTドメインであればブロックチェーンの情報改ざんが不可能であることから、同様の被害を受けることがありません。

中央集権型のサーバーに依存しないことから、管理者が引き起こす不具合や通信障害などを回避できるメリットもあります。

前述したNFTドメインである「beer.eth」は、アメリカの飲料メーカーであるバドワイザー社が購入しました。

このことからも、企業にとってNFTドメインの取得は価値のあるものだと考えられていることが分かるかもしれません。

制約を受けない表現の場を提供

現在、多くのWebサービスは運営による規制がかかることで、一部の議論が制限されたり投稿が一方的に削除されたりする場合があります。

非人道的な内容については当然省く必要がありますが、中には特定の団体に不都合な内容など、政治的に影響のある発言などに対しても検閲がかかるケースもあります。

また、運営側が利用者に広げたい内容を意図的に上位表示させるなど、情報操作とも取れる動きも少なくありません。

このような状況は言論の自由という観点から問題視されていますが、NFTドメインを利用したサービスであればこのような問題を解決できると期待されています。

自由な表現の場を提供することは、情報の民主化を加速させるかもしれません。

把握しておくべき課題も多い

インターネットの新たな可能性として注目されるNFTドメインですが、抱えている問題も複数存在します。

こちらでは、以下の内容についてそれぞれ解説します。

  • 統一規格が存在していない
  • パスワード紛失リスク
  • 検索エンジンに未対応

統一規格が存在していない

従来のドメインには、「.com」や「.jp」といった統一された規格が存在しており、各ドメインによってサイトの信頼度をある程度判断できます。

これらのドメインは国際機関であるICANNによって管理されており、誰もが自由にドメインを作り出せない状況となっているのです。

しかし、NFTドメインには統一された規格が存在しておらず、「.crypto」や「.wallet」、「.nft」といった文字列を自由に作成できる状況です。

現在は価値のあるNFTドメインであっても、将来的にどうなるかは予想がつかない状況ですので、取得に関しては慎重に判断すべきでしょう。

パスワード紛失リスク

NFTドメインは外部からの攻撃に強い特徴を持ちますが、万が一運営側が入力パスワードを紛失した場合、世界中の誰であってもコントロール不能の状態に陥ります。

従来ドメインの場合、パスワードが分からなくなっても中央集権組織による再発行など対処が可能です。

しかし、ブロックチェーンに関連する技術は運営者や所有者にセキュリティを一任しているため、完全に自己責任という形となるのです。

企業サイトのパスワードを万が一紛失した場合、その被害は膨大な額になる可能性も考えられます。

特に、複数人で管理することを前提にしたサイトにおいてNFTドメインを利用する場合は、十分注意を払う必要があります。

検索エンジンに未対応

現在、NFTドメインを利用して作成されたWebサイトは、Googleなどの検索エンジンに未対応となっております。

検索エンジンを通したアクセスが期待できない状況ということですので、サイトの実用性という点では大きな疑問が生じるでしょう。

GoogleはNFTドメインに対応するのか否かについては明言していないため、今後も検索を通した流入がメインになる場合、どれだけのユーザーを獲得できるのか不安が残ります。

Unstoppable Domainsについて

NFTドメインを提供、販売している運営会社はいくつか存在しており、その中でもトッププロバイダーと呼ばれる企業が「Unstoppable Domains(アンストッパブル・ドメインズ)」です。

様々なNFTドメインを取り扱っており、対応している暗号資産の数も豊富であり実用性の高さが評価されています。

同社が扱うNFTドメインはトップレベルドメインと判断されており、今後も安定した流通が見込まれています。

しかし、過去には「.coin」ドメインのサービスが終了したケースも存在しています。

「.coin」ドメイン関連サービスが終了

2022年10月、Unstoppable Domainsは以下の発表を行いました。

「私たちの.coinトップレベルドメインと、ブロックチェーンプラットフォームであるEmercoinが発行する.coinドメインが衝突する可能性があることを認識しました。慎重に検討した結果、.coinドメインのサポートを停止することが最善の道であると判断しました」

Unstoppable Domainsは「.coin」を所有していたユーザーに対して、支払った価格の3倍を補償金として提供しました。

このような事態が発生した原因は、Unstoppable DomainsとEmercoinという2社が同じ「.coin」ドメインを提供していたからです。

「.coin」はEmercoinによって2014年に登録されました。

しかし、業界内での周知が低かったことから、Unstoppable Domainsは2021年に同ドメインの販売を開始してしまいます。

複数社によって、同じドメインが販売されてしまうと、Unstoppable Domainsによって作成された「A.coin」と、Emercoinによって作成された「B.coin」のどちらが本物のサイトなのか判断できない状況が発生するかもしれません。

このようなケースを避けるために、「.coin」ドメインに関連するサービスは全て終了することになりました。

現状NFTドメインは法整備も規制も十分ではないため、今後も同様の事例が発生する可能性は十分に考えられます。

「.coin」での事例では信頼できる企業対応によって事前に被害は防げれたといえるかもしれませんが、場合によっては悪質な詐欺被害に発展する可能性もあったといえます。

そのため、できる限り信頼できる販売会社から購入する必要があるといえるでしょう。

Web3の根幹となる可能性は十分にある

NFTドメインに関する基本的な情報から、現在抱える課題について解説しました。

ブロックチェーンに関する技術は革新的であり、インターネットだけではなく我々の生活を根本から変える可能性を持っています。

当初は懐疑的に見られていた暗号資産が徐々に世間に認知されてきたことと同様に、NFTアドレスについても将来的には一般的な技術となることが考えられます。

NFTドメインは急成長が見込まれる分野であり、Web3の根幹となる可能性は十分にあります。

人気の文字列でもまだ取得可能な状況である今から、NFTドメインに触れておくことで将来的に大きな差がつくかもしれません。

今のうちにNFTドメインの取得を検討してみてはいかがでしょうか。

May

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ブロックチェーンを筆頭とする様々な技術が、今後世の中の仕組みを大きく変えるかもしれないという点に対し興味を持っているWebライター。 自身の経験を元にだれにでも分かりやすく、興味をもってもらえるような記事を執筆するように心がけて参ります。
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