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企業がWeb3サービスを設計する上で注意すべき点とは?大衆化への障壁と解決策を解説

解説系記事

企業が一般のユーザー向けにWeb3サービスを開発する場合、マスアダプション(大衆化)について考えなければなりません。なぜなら現行のWeb3サービスは、マス層にとって扱いにくい代物だからです。具体的には、暗号資産(仮想通貨)ウォレットや専門用語が初心者の流入を阻んでいます。このようなハードルがあるため、Web3サービスの利用者は、いまだに一部のアーリーアダプター層だけに限られています。

たしかに、ブロックチェーンの知識を持たないユーザーにとって、Web3の専門用語ばかりが並ぶサービスは近寄りがたいでしょう。それでは、企業が大衆向けのWeb3サービスを設計するにあたり、どのような点に気をつければ良いのでしょうか。

そこでこの記事では、企業が大衆向けのWeb3サービスを開発する際のポイントをまとめました。サービス設計の上で考慮すべき注意点を紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事の構成

暗号資産ウォレットのセットアップが難しい

まず自社のWeb3サービスを届ける上で、ユーザーに暗号資産ウォレットを準備してもらわなければなりません。ただ、これまでWeb3に触れた経験がないマス層のユーザーにとっては、難しい作業です。なぜなら、拡張アプリのインストールやシードフレーズの保管といった複雑な操作が求められるからです。このような現状では、ユーザーは自社のサービスにたどり着く前に離脱してしまいます。

そこで、暗号資産ウォレットを手軽に利用できる解決策を考えなければなりません。

ウォレットアプリの活用

ユーザーに暗号資産ウォレットを保有してもらう手段として、ウォレットアプリの活用が考えられます。2023年6月の時点で、マス層向けに設計されたウォレットアプリがいくつか存在します。これらのウォレットアプリなら、初心者でもセットアップが可能です。操作方法もシンプルであり、Web3の知識を持たずとも利用できます。

実際に日本国内では、以下のウォレットアプリが登場しています。

  • NFTag(エヌエフタグ)・・・株式会社PBADAOのNFT受取用ウォレットサービス
  • PassPayWallet・・・PassPay株式会社の決済用ウォレットサービス
  • NFTShot・・・SUSHI TOP MARKETING株式会社のNFT配布サービス

これらのウォレットアプリなら、メタマスクなどの従来型ウォレットと比較して大幅にWeb3参入のハードルを下げられます。そのため、ウォレットアプリを通じて自社サービスを利用してもらうことが、一つの解決策となるでしょう。

メールアドレスとパスワードによるアカウント管理

マス層にウォレットを保有してもらう手法として、メールアドレスとパスワードによるアカウント発行も有効です。たしかに従来型の仕組みであり、事業者が情報を管理するため「純粋なWeb3サービス」とは言えません。とはいえ、これまでのやり方に慣れ親しんだユーザーにとって、受け入れやすい点が魅力です。

メールアドレスを用いた手法では、アカウントの情報は原則として事業者側が管理します。ただ、希望者に対しては、外部への資産移動も認められています。そのため、マス層と熟練のWeb3ユーザーとの共存が可能です。

この他に、楽天NFTLINE NFTといった国内事業者のサービスと提携する方法も考えられるでしょう。例えばLINE NFTの場合、LINEのアカウントのみでNFTの保有が可能です。日本国民の大半がすでにLINEのアカウントを所有しているため、面倒な手続きがなくてもNFTの保有までたどり着きます。

このように「利便性を追求した結果、あえて暗号資産ウォレットを導入しない」という選択も考えられます。

ブロックチェーンが乱立している

昨今では、さまざまなブロックチェーンが登場しています。しかし、これほど多くのブロックチェーンが乱立すると、競争の中で淘汰されてしまうものもあるでしょう。そのため、どのブロックチェーンでサービスを展開するかが、自社事業の命運を分けます。

ブロックチェーンの時価総額から判断する

ブロックチェーンを選ぶ際の重要な指標が、トークンの時価総額です。トークンの時価総額が大きければ、「多くの利用者が利用しているプラットフォーム」だと言えます。そのため一般論として、エコシステム全体の安定性も高くなります。とはいえ、過去には時価総額で上位を占めていたトークンが暴落し、地位を失っていったプラットフォームも存在しました。そのため、あくまで目安の一つとして捉えたほうが良いでしょう。

また、時価総額の低いブロックチェーンにもメリットはあります。それが、プラットフォーム側から受けられる手厚い支援です。小規模のブロックチェーンでは、エコシステムを拡大するために積極的な誘致政策を進めています。よって、影響力の大きいサービスでは、プラットフォーム側から多大なサポートを得られます。

このように、エコシステムの規模によって、自社が享受できるメリットはさまざまです。

プライベートチェーンでの展開も視野に入れる

プライベートチェーンの採用も有効な選択肢です。

プライベートチェーンには特定の管理者が存在するため、完全に自立分散的な仕組みとは言えません。加えて、イーサリアムなどのパブリックチェーンと比較して、グローバル展開が難しい点もデメリットです。

しかしその一方で、プライベートチェーンは事業者側に多くのメリットが存在します。その一つが、日本円やクレジットカードで決済できる点です。トークンを介さず取引ができるため、マス層の取り込みが容易です。

加えて、専用設計のウォレット、NFT取引所も準備されています。パブリックチェーンのように各ジャンルのアプリを点々とする必要がなく、一気通貫での操作が可能です。そのため、初心者にもわかりやすい仕組みが実現されています。

またプライベートチェーンのNFT取引所では、事前審査を通過した特定のコレクションしか売買できません。そのためコピー品が流通するリスクもなく、マス層にとって安心して取引できる設計になっています。

このように、プライベートチェーンには事業者側のリスクを低減する仕組みも備わっているため、マス層向けサービスのプラットフォームとして適しています。

Web3サービスは難解で、複雑な設計となっている

2023年時点でのWeb3ユーザーは、先進的な技術に関心を持つアーリーアダプターばかりです。彼らは自発的に情報収集し、Web3の体験を得ようと果敢に挑戦します。

これに対してマス層のユーザーは、先端技術そのものにはそれほど興味がないかもしれません。よって、マス層向けのサービスを開発する場合には、ユーザーの特性を理解した上で設計にも気を配る必要があります。

Web3の専門用語はできる限り排除する

マス層に向けたサービスを開発する際は、Web3に関する専門用語をできる限り排除しましょう。「ブロックチェーン」や「トランザクション」など、初心者にとって難しい単語が並ぶとサービスからの離脱に繋がるからです。

例えば、NFTを「デジタルコレクション」や「デジタルアイテム」といった単語に置き換えると、初心者にとってもイメージしやすくなります。

ブロックチェーンのメリットを端的に訴求する

Web3技術の導入にあたり、ユーザーにとってのメリットを分かりやすく伝える必要があります。マス層のユーザーは、ブロックチェーンの仕組み自体にはそれほど興味がありません。それよりもむしろ、自分にとってどのようなメリットがあるのかを気にしています。

そのため、ブロックチェーンによってもたらされるメリットを大々的に伝えましょう。例えばNFTの場合は、「他のユーザーに対して所有権の証明ができる」など端的な表現がユーザーの心を動かします。

このように、ブロックチェーンの初心者にも伝わるような説明が必要です。

投機筋からの資金流入を防ぐ

マス層向けのサービスを提供するのであれば、NFTやトークンの投機性を抑制しなければなりません。さもなければ収益性を目的とした投資家ばかりが殺到し、サービス本来の目的が歪められてしまうからです。

具体的な方策として、NFTではなくSBT(※)を積極的に活用するなど、転売目的のユーザーを排除する仕組みが挙げられます。この他にも、事業者がNFTを配布する際に「希少価値が生まれるものではない」と説明し、ユーザー側の期待値をコントロールするといった運営が重要です。

※SBT・・・Soul Bound Tokenの略。他者への転売やトランスファーが禁止されたトークンを指す。

ガス代の存在が足かせとなる

ブロックチェーン上でデータ処理を依頼するには、ガス代(手数料)が必要です。このガス代は、ブロックチェーン上でデータ処理を行う上で欠かせないコストです。とはいえ、事業者側ではコントロールできない要素であるため、マス層向けのサービス展開にあたって大きな障害となります。

そこでWeb3サービスを設計する際には、以下の点に気を配りましょう。

トークンによるガス代の支払いをなくす

そもそもマス層のユーザーは、ガス代を入手できない可能性さえあります。そのため、可能であれば「トークンによってガス代を支払う仕組み」自体を排除しましょう。

ガス代として必要となるトークンは、ブロックチェーンの種類に応じて変わります。そのため、送金するトークンとガス代として必要なトークンの銘柄が異なる場合も。Web3の経験者であれば、わざわざガス代用のトークンを調達しますが、マス層のユーザーには困難な作業です。

実際に、初心者がガス代となるトークンを入手しようとする場合、以下の手順が必要です。

  • 国内の暗号資産取引所での口座開設
  • 口座への日本円の入金
  • トークンの購入
  • 利用したいWeb3サービスへ、トークンの送金

もし、日本国内で扱っていない銘柄がガス代として指定されている場合、手順はさらに複雑になります。このように、ガス代を入手するだけで大変な労力となるため、初心者はサービスを利用せずに離脱してしまうでしょう。

この課題の解決策として、自社サービス内におけるポイントの発行が挙げられます。自社サービス内でポイントを発行すれば、ポイントをガス代として充当できます。これにより、ガス代の入手作業の大幅な簡略化が可能です。この他にも、日本円でガス代に相当するコストを受け取る方法もあるでしょう。

このように、ガス代のためだけに特定のトークンを用意させなければならない仕組みは、できる限り避けるべきです。

ユーザーが負担するガス代を一律に設定する

マス層に向けてサービスを展開するなら、ガス代は一律の金額設定が好ましいです。

ガス代の価格は、ネットワークの混み具合によって常に変動します。このためWeb3サービス提供時に、ユーザーに対して具体的なガス代のコストを提示できません。一般的なサービスでは手数料は均一であるため、ガス代が変動する仕組みはマス層のユーザーにとって受け入れがたいでしょう。

対策として、ユーザーのトランザクションを事業者側のシステムで蓄積し、ガス代が安くなったタイミングでまとめて処理する方法が挙げられます。システム側でガス代コストの上限を設定しておけば、ユーザーに対しては一律のガス代負担を提示できるでしょう。ガス代の変動幅は非常に大きいため、「一定の値を超えた場合には、トランザクションを実行しない」などの仕組みが有効です。

複数のデータをまとめてブロックチェーンに送る

ブロックチェーンではトランザクションを実行するたびにガス代が発生するため、大量のデータ処理には不向きです。

例えば、コンサートなどのチケットはNFT化して取引ができると期待されています。ただ、コンサートチケットの発行枚数は膨大であるため、既存のブロックチェーン上で1件ごとに処理すると、高額なガス代が発生してしまいます。よって、複数のデータを一括してブロックチェーンへ送るなどの工夫が必要です。

エコシステム全体を設計しなければならない

ブロックチェーンの世界では、トークンエコノミクスと呼ばれるトークンを中心とした経済圏が誕生しています。そのため、マス層向けのWeb3サービスを設計する際も、まずトークンエコノミクスの構想を描かなければなりません。以下のポイントに気を配りながら、自社のWeb3サービスを設計しましょう。

二次流通での流動性を確保する

トークンやNFTを発行する際は、二次流通市場における流動性を考慮しなければなりません。なぜなら従来型のデジタルアイテムと異なり、トークンやNFTは半永続的にさまざまなユーザーの元に所有権が移るためです。

そのため、トークンの発行時に価格や流通量を調整し、二次流通市場でも流動性を維持する必要があります。もし、二次流通でトークンの価値が下落してしまうと、サービスの運営にも悪影響を及ぼしかねないからです。ただその反面で、過剰にトークンの将来性ばかりをアピールすると投機筋に振り回されてしまうため、さじ加減が重要です。

必要最小限の経済圏のみを構築する

自社サービスのエコシステムは、できる限り最小限の規模に抑えましょう。なぜなら、複雑なエコシステムを描くほど、実現に向けた施策の難易度が上がるからです。

経済圏が大きくなるほど、さまざまな外部要因が関係してきます。例えば、海外の事業者の不祥事によって、自社のWeb3サービスが被害を被ることも。このような想定外のトラブルに遭遇するリスクも高まってしまいます。

よって、まずは自社のサービスを中核としたシンプルなエコシステムを描くべきでしょう。具体例として、Web3ゲームでNFTアイテムを発行する場合、LINE NFTなどのプラットフォームを採用する選択が挙げられます。LINE NFTでは日本円で売買が可能であるため、自社トークンを発行する必要がありません。そのため、トークン市場の相場に左右されず、ゲーム事業に専念できます。

このように、エコシステムの規模は必要最小限に留めた方が、事業は進めやすくなります。

国内向けか海外向けかの戦略を決める

日本国内での展開に専念するのか、海外を主戦場とするのかの方針をあらかじめ決めておく必要があります。ブロックチェーン上のサービスであれば、グローバル展開が容易です。とはいえ現実的には、一つひとつの国に向けて地道な営業活動を行わなければなりません。

一般的に国内のWeb3スタートアップでは、日本で自社サービスの地位を確立した後にグローバル展開を目指しています。なぜなら、日本での実績が海外進出時のアピールポイントとなるからです。海外でもさまざまなサービスが台頭してきているため、このようにPRできる強みが欠かせません。

エコシステムを描く際は、どの国に対してサービス展開をするのか決めておきましょう。

トランザクションの処理に時間がかかる

ブロックチェーンでデータを処理する場合は、数分から数十分ほどの時間を要します。そのため、従来のWebサービスのようなレスポンスは期待できません。マス層に向けたサービスを開発するには、このデータ処理にかかる時間を加味する必要があります。

データの一部のみをブロックチェーンに記録する

データ処理に時間がかかると、アプリが次の画面に進みません。そのため、ユーザーに「レスポンスが遅い」との不満を与えてしまいます。

この対処法として、重要なデータのみをブロックチェーンに残す手法が挙げられます。全てのデータをブロックチェーンに記録せず、一部の情報をデータセンターで処理すれば、データ処理の高速化が可能です。

ブロックチェーンの性質上、タイムリーな情報処理が難しいため、時間がかかる前提でサービスを設計しましょう。

データ処理に時間がかかる前提でサービスを設計する

ユーザーがトランザクションを実行したにもかかわらず、画面に反映されないケースが考えられます。例えば、ユーザーが特定のNFTアイテムを購入した場合、所有アイテムの一覧に反映されるまでには一定の時間が必要です。

しかしWeb3に明るくないユーザーにとって、自身の購入したアイテムがすぐに反映されなければ、不安になってしまうでしょう。そこで、ユーザーの操作を直ちに反映する工夫が必要です。

例えば、従来型のデータサーバーを介在させて、ユーザーの操作を即座にアプリ画面へ反映させる手法があります。つまり、アプリ側では先行して情報を表示して、その後からブロックチェーンへの書き込みを行う手法です。このような仕組みであれば、ユーザーのストレスは軽減されます。

他にも、アプリの演出によってユーザーの退屈さを紛らわす方法もあります。例えば、Web3ゲームでNFTアイテムをトレードする際に、遠方からNFTアイテムが届く演出のムービーを流すと、プレイヤーを退屈させずに時間稼ぎが可能です。

現状におけるブロックチェーンの性能を考慮すると、データサーバーとブロックチェーンの併用も現実的な選択肢となります。

ハッキングが横行している

残念なことに、Web3の世界では国境を越えたハッキングが横行しています。加えて、自立分散型のブロックチェーンでは、事業者の権限だけでは悪質なユーザーを排除できません。とはいえ、ユーザーの資産を守るために可能な限りの対策を考える必要があります。

偽のSNSアカウントによるフィッシング詐欺を防ぐ

SNS上では、サービス運営者を名乗る偽のアカウントがたびたび出現します。この偽のSNSアカウントから、ユーザーを守らなければなりません。

このような偽アカウントは、フィッシング詐欺を目的として運営されています。運営者を装ってユーザーを外部のサイトへ誘い込み、不正なトランザクションに署名させようとするのが狙いです。

万が一、ユーザーが署名をしてしまうと、トークンやNFTが盗まれてしまいます。そこで事業者は偽アカウントの出現を監視し、ユーザーに対して注意喚起をしなければなりません。また、ホームページ上で公式アカウントのIDを明記するなど、対策が必要です。

偽のNFTからユーザーを守らなければならない

誰もが自由にNFTを発行できる点が、ブロックチェーンの魅力です。しかしその一方で、自社のNFTを無断でコピーし、マーケットへ出品する犯罪者も現れています。このような偽のNFTを放置しておくと、ユーザーが誤って購入してしまいます。

そこで運営者側も、NFTマーケットに類似の作品が出品されていないかを監視しなければなりません。もしコピー品が見つかった場合は、NFTマーケットの運営者へ通報の上で、ユーザーにも注意喚起しましょう。加えて、正式なNFTコレクションのURLを公式ホームページに記載するなどの対策が求められます。

法規制と税制による制約が多い

Web3サービスの設計にあたって、国内外の法制度や税制を十分に調査しなければなりません。特にブロックチェーンの分野では、金融に関する法律に抵触するリスクがあるため注意しましょう。

トークンの発行を控える

日本法人の場合、「あえて自社トークンを発行しない」という選択肢も検討すべきです。なぜなら国内法では、発行したトークンの時価総額が課税対象と見なされるためです。トークンを発行するために海外法人を設立する選択肢もあるものの、一般的な企業にとってあまり現実的ではありません。

そこで、他社がすでに発行しているトークンを流用したり、日本円での取引に対応したりといった代替手段が考えられます。トークンの発行自体が自社ビジネスの目的ではない場合は、トークンを発行しないビジネスモデルも考えてみましょう。

金融に関わる分野を避ける

Web3サービスを展開する際は、金融に関わるジャンルや要素を回避しましょう。なぜなら金融に関連するサービスを提供する場合、膨大な法令対応と管理業務が発生するためです。
加えて、法令に明記されていないグレーゾーンが含まれる場合もあり、安定的な事業活動が困難になります。

具体的に、以下のサービスでは注意が必要です。

  • 暗号資産取引所の開設
  • 独自トークンの発行
  • ステーブルコインの発行
  • Play to Earnなど、ユーザー側が利益を得られる仕組みのサービス
  • 有価証券と類似の機能を持つNFTの発行

これらのサービスを展開するには国からの認可を受けるなど、煩雑な手続きをクリアしなければなりません。よって、膨大な人的・金銭的コストが発生します。自社サービスの一環として取り組むにはあまりに負担が大きいため、できる限り回避しましょう。

トークンやユーティリティの付与は慎重に行う

ユーザーに対してトークンやNFTを発行する際は、景品表示法や賭博罪に抵触しないように気をつけなければなりません。特に、ゲーム系のサービスでは注意が必要です。

例えばWeb3ゲームのサービスにて、ゲームの勝者に希少価値の高いNFTを付与すると、「賭博である」と見なされるリスクがあります。同様の理由で、NFTに高価なユーティリティ(特典)をつけると、景品表示法に抵触する可能性があります。

NFTやユーティリティなど、市場での価値が認められる景品を発行する際は、景品表示法に準拠する形で対応しなければなりません。

​​企業がWeb3サービスを設計する上で注意すべき点のまとめ

今回の記事では、マス層向けのWeb3サービスを展開する上で、注意点しなければならないポイントを解説してきました。二次流通やエコシステムなど、Web3のサービスではこれまでになかった要素について、綿密に計画する必要があります。

Web3へ挑戦する際には、ただ単にブロックチェーンを導入するだけでは意味がありません。自社事業とブロックチェーンを組み合わせた時に、「ブロックチェーンでしか得られないメリット」とは何かを考えてみてください。今回のポイントを踏まえた上で事業モデルを構築すれば、失敗のリスクをいくらか軽減できるはずです。

段巴亜

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